透き通った空に浮かぶ星   作:哲学の階司書補

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ミカの補習授業部計画

 ティーパーティー。生徒会長達の集まりであり、政治的な意味を持つ場……のはずなのだが、ここ最近はセイアがほぼ職権濫用で、もはやビナーとお茶をするために開いている。

 

 ナギサは同じ紅茶専門店を贔屓にする紅茶友達が出来たと、どこか嬉しそうにビナーと紅茶トークを繰り広げている。

 

 セイアは言わずもがな、正義実現委員会の訓練の進捗や、聞いてもよくわかない遠回りで比喩だらけの会話。

 

 そして、ミカはそれに対し、まあ確かにナギサやセイアと一緒にお茶をするのは楽しいけど、個人でやればいいのに……と思っていた。それに、ビナーのことは、正直そんなに信用していない。いくらホストであるセイアが連れてきたとはいえ、身元も得体もしれない大人。それに、あの目。光すら飲み込んでしまうような漆黒。精神的に不安定なミカにとっては、不信感に加えて、自覚は無いが恐怖の対象となっていた。

 

 シャーレの先生の、ミレニアムを始めとしたキヴォトスでの活躍。それを聞いてミカはひとつの企てを立てた。

 

 

 補習授業部。

 

 

 既に進めていたアズサを使ってのセイア襲撃は失敗に終わってしまったが、幸か不幸か、ナギサに、自分も襲撃を受けるかもしれない、と疑心暗鬼の種を植え付けることに成功した。

 これを利用して、不穏因子を監視するための箱として補習授業部を提案。監督不足の件を借りにしてシャーレの先生を使えば、ビナーもそこまで干渉してこないはず。

 

 正義実現委員会にもビナーの魔の手が伸びてしまったが、数人、訓練には参加していなかった部員が居た。その中でも成績の悪いコハル。彼女は正義実現委員会への人質として使えるだろう。

 

 シスターフッドに関しては、まだビナーとの繋がりがないはず。だが、一応けん制として、シスターフッドが目を付けていた、政治的関わりに疲れ、奇行に走るようになったハナコを入れることになった。

 

 そして任務に失敗したアズサ。セイアに反撃され怪我を負ったらしい上に、再びセイアとの接触があると、どのような影響があるか分からない、ということで、彼女も補習授業部への編入することに。

 

 最後に、彼女達を監視するための部長。都合よくシャーレの先生との関わりを持ちつつ、モモフレのイベントを優先して追試ごとサボったナギサのお気に入り、ヒフミ。彼女に担当してもらえば、ひとまず、各勢力から1人ずつはビナーと切り離すことが出来るだろう。

 

 そうして、ミカのトリニティを怪しい大人から守る計画は、ナギサの疑心暗鬼を増幅させる所から始まった。

 

 少し怪我してナギサの前に現れてみたり、ハスミのゲヘナ嫌いのエピソードを話して、本当にエデン条約に乗ってくれるのかな、と誘導してみたり。

 

 

 ミカは、時々ふと我に返ると、幼馴染であるナギサを陥れて、人間不信を悪化させようとしている、という事実に吐き気を催す。何をしているんだろう、と1度考え出すと、ただただ心が弱っていく。

 それでも。もうここまで来てしまったから。もう後戻りは出来ない。時はいつだって、一方向にしか進まないのだから。

 

 

 

 

 

 

 時は進み、案の定1度目の試験は不合格だった補習授業部のメンバー。

 少し離れた校舎での特別合宿となり、今日は掃除をしたそうですよ、とナギサの冷たい声を聞いてミカは現状を把握する。

 きっと裏切り者について、先生とも取引を提案したはず。

 どこか怯えるような表情を浮かべるナギサ。それに対して、書類の処理を終わらせて、どこか満足げなセイア。その2人の差を見ていられなくなったミカは、飛び出すようにティーパーティーの執務室を後にした。

 それと同時に、ナギサは酷くため息をつく。

 

「見ていて心が痛いです」

 

「すまないね、ナギサ。妙な演技もさせてしまって。2人の手を同時に取るには、私はどうにも不器用で。エデン条約とアリウス分校。その両方を熟すには何もかもが足りない。エデン条約は万魔殿の長、羽沼マコトが大人しくしているから、事は順調に進んでいる。……裏切り者、は実際にいたとしてどうとでもなるが、それでも不安要素は多い」

 

「セイアさんまでミカさんの戯ご……懸念を本気にしてるんですか? 全ての人が肯定的であれば、確かに話は早いですけど。それが夢物語なのは、私でも分かります」

 

「それでも行動力があって頭が冴える生徒を隔離してくれたのは、ミカの手腕あってこそだろう?」

 

「まるで悪役みたいなことを言うんですね」

 

「ミカからすればそうだろうさ。ミカが疑心暗鬼を抱いたのは私の力不足。詫びという訳では無いが、要望はある程度通すつもりだよ」

 

「そういう、妙に上から目線なのが近づき難い理由ですよ、セイアさん」

 

 談笑、というには毒が混じりすぎている気もするが、利用できるもの全てを利用してやる、と思っていたミカも、結局は、ホストであるセイアの掌の上に過ぎなかった。




いつになったらビナーと接触するんだ……
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