透き通った空に浮かぶ星   作:哲学の階司書補

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久々に登場します


ウジャトの目の歯車

「いやぁ、出来ることなら余計な仕事は増やさないで欲しいですね?」

 

「うへぇ、仕事にいつも追われてる人が言うと違うねぇ〜」

 

「何も起きなければ、話は早いんですけどね〜」

 

「ん、もうすぐ始まる」

 

「なんだかこっちまで緊張するわね……」

 

 エデン条約が調印されようという古聖堂の見える路地裏で、どこか気怠げに話すのは、金の刺繍が施されたスーツに身を包んだ5人組。

 それぞれがウジャトの眼をモチーフにした仮面をつけており、ヘイローは同じく全てウジャトの眼に偽装されている。

 どう見ても不審者集団である。

 

「ま、ヒナちゃんからの依頼だからね〜。ほどほどに頑張らないと」

 

「連名での依頼と聞きましたけど、他には誰の名前が?」

 

「百合園セイア、確かトリニティのトップ、生徒会長だったはず」

 

「ゲヘナの風紀委員長とトリニティの生徒会長が連名でってこと?」

 

「トップと一般の生徒では、色々と違うでしょうからね〜」

 

「それにしても、この仮面凄いよね〜。ヘイローまで隠せちゃうし」

 

「武器も今回専用のものを用意して頂けましたね」

 

 そう言いながら、腰から提げた武器を手に取る。

 武器も各学園や個人の特徴が出やすいことから、身元を探られないよう専用のものが用意されていた。

 

 金と黒を基調としたARやSG、MGなど、見た目以外は元々のものと同じ銃種だったが、1人だけ、ハルペー風偃月刀という、もはやよく分からない武器を持っていた。何ですか、これは。

 

「さぁ……準備できた? いくよ〜。00はここで待機だよね」

 

「はい、ここは任せてください」

 

 それぞれが持ち場へと移動していく中、1人残された偃月刀を持った少女は

 

「責任重大、頑張らないと」

 

 偃月刀を腰だめに構え……

 

「時間ピッタリ、流石はトリニティの生徒会長です」

 

 

 

 

 

 

 

押し寄せる

 

 

 

 

一撃

 

 

 

 

 

 

 

 

 音速をも超えた斬撃は、ちょうど真上を通過した巡航ミサイルを真っ二つに切断する。

 空をも焦がす一閃によってミサイルは空中で爆散。衝撃波や熱によって火傷や怪我を負った生徒はいれど、着弾と比べれば、考えるまでもない軽傷だった。

 

「柱の数百倍は軟らかいですね……ああ、ここから先は進入禁止ですよ」

 

 ザッザッと現れたガスマスクをした武装集団。

 情報にない存在が巡航ミサイルを破壊するというイレギュラーがあったが、アリウスには、後戻りすることなんて出来ないから。

 

「なにも、そんな怯えなくてもいいんですよ」

 

 ビナーから、頭と胴体を切り離したり、心臓を破壊したりしなければ案外生きてるという情報を得ている少女は、なんの遠慮もなく武装集団の手足を、いとも容易くスライスしていく。

 しかも、音速に迫るその斬撃は切断面を焼き焦がすことで、失血死を回避してくれる。

 

「こうすると、後処理が必要ないんです。とても楽だと思いませんか?」

 

 迫り来る弾幕を一閃で全て吹き飛ばし、弾き、切断する。

 気付けば周囲に立っているものはおらず、肉の焦げた嫌な匂いだけが立ち込めていた。

 

 

 ──────────────

「たーまやー。うひゃ〜、流石はアヤ……00ちゃん、おじさんたちに出来ないことを平然とやってのけるねぇ」

 

 少し離れたところ、ゲヘナ側の陣営が集まっている近くで、空中で爆散するミサイルを眺めていたホシ……01。

 

「さて、ここに来るのは誰だったかな……おや?」

 

「な、なんでミサイルが空中で爆発してるんですか……?」

 

 おどおどとしている、どこか梔子ユメと似た1人の少女とガスマスクを付けた武装集団。

 

「(ユメ先輩とちょっと似てる子がいる……捕虜にしたら、うちで飼っちゃダメかな……)」

 

 ナチュラルにヤバいことを考えている01を発見したヒヨリは、即座に包囲を命令し、サオリへと通信する。

 

「1つ目の仮面を被った謎の生徒が居ます、ど、どうしましょう……きゃっ!」

 

 ほぼ一瞬のうちに包囲していたアリウス生を制圧した01はヒヨリが手に持っていた通信端末をハンドガンで破壊。

 

「戦場でよそ見は良くないよ」

 

 意識を刈り取る為に銃床で後頭部を打ち付けようとするも、とっさのところで避けられる。

 

「出来ればあんまり怪我させずに捕まえたいんだけどね」

 

「捕まったら終わりです……絶対酷い目に遭って苦しむことになります……」

 

 01の私欲による、狂気の鬼ごっこが始まってしまったのだった。

 ──────────────

 

「風紀委員長、こちら02。ユスティナの顕現を確認。後は頼んだ」

 

「ええ、任されたわ、シロ……02」

 

 ヒナは万魔殿が用意した車によってトリニティにやって来ていた。

 珍しく気が利くなと思えば、自分たちは飛行船を使うから、地べたを張って行くんだな、キキキッ、との事で。

 

 ふぅ、と一つ息を吐く。

 意識を心の奥深くに落とし、E.G.O.を展開。

 手元には天秤、ヘイローは歯車へと変形する。

 

「ユスティナ聖徒会、嘗ての条約の亡霊。彼女らには悪いけど、肉によるシステムであったことを恨むことね」

 

 カリカリカリと歯車が回る速度があがり、けたたましい音を立てる。

 その様子を少し前まで同じ車に乗っていた風紀委員の行政官、アコは驚いた目でそれを見る。

 

 

 

「結局は、歯車にすぎないのだから」

 

 天秤を掲げると、ユスティナ聖徒会のヘイローが全て同時に破壊され、歯車型のものへと置きかわっていく。

 

「肉の歯車たちよ、アリウスを程々に壊しなさい」

 

 ひと仕事終えたヒナはE.G.O.を解除し、戦闘音、ホシノもとい01がいる方向へと消えていった。

 アコは作戦は聞かされていたけど、何が何だかよく分かっていなかった。が、委員長が凄いことはよくわかった。

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