透き通った空に浮かぶ星 作:哲学の階司書補
「首尾はいかがかな、錠前サオリ。計画は台無しかい?」
「百合園セイア……! ティーパーティーホストが直々にやって来るとはな」
いくつもの作戦失敗の報告を受けていたサオリのもとに、銃も持たず、お供に誰を連れるでもなくやってきたセイア。
「何とも虚しい結果に終わりそうじゃないか。vanitas vanitatum et omnia vanitas. 君たちの大好きな言葉の通りだね? 条約を勝手に調印してくれて本当に困ったものだよ。尤も、それも虚しく終わってしまったがね、空崎ヒナによって」
コツ、コツ、とサオリの周りを歩きながら、余裕たっぷりに話すセイア。
「そもそも、私を潰すことに失敗した報告は上がらなかったのかな。未来を見通す力があるというのに、それを放置してトリニティ、ゲヘナ連合に勝とうだなんて」
「…………何故まだ条約が締結していないのに手を組んだ」
「ふむ……それは尤もな疑問だろうね。犬猿の仲と言って差し支えないトリニティとゲヘナ。アリウスの襲撃を予期した2校連合による反撃。しかし、実際は私と空崎ヒナが手を組んでいるだけ、先生をきっかけにして」
「先生……やはり…………」
「先生が居なければ、私とヒナによる連合は作られなかっただろうね」
サオリは考えを巡らせる。セイアが言うことを信じるのであれば、まずこの状況を脱して、連合の要となる先生を始末する必要があるからだ。それに先生の特異性は彼女も言っていたから。
「ああ、それと……アリウススクワッドの他のメンバーが無事かどうか、私は知らないんだ。ウジャトの眼達のことを、私は深く知らないから。殺さないように、とだけお願いはしたが……」
立ち止まりふと考えるような素振りをするセイア。視線は完全にサオリから外れている。
狙うならここしかない、と発砲するサオリ。
「危ないじゃないか。いや、余所見した私が悪かったかな?」
目を見開くサオリ。ありえない。病弱ながらも強いらしい、と聞いていた。しかしそんなはずが……。
セイアはさも当然のように放たれた銃弾を手で掴んで止めていた。
「錠前サオリ。私はティーパーティーのホストだが、それ以前に、ある生徒の友達でもある」
セイアは手を空へと伸ばし傘を現出させると同時にレインコートを身に纏う。突然の変化に動揺するサオリの隙を見逃す訳もなく。
明確な敵。しかし殺さないように、という最低限のラインを超えないようにだけ加減された一撃は、いとも簡単にその柔肌を貫き、腹に穴を開ける。
「くっ……ぁあああああっ!!!!」
痛みには慣れている。そのはずだった。銃で何度も撃たれたこともある。殴られたことも。それでも、ある意味新鮮な痛みに、つい声を上げてしまう。
「おや、少しばかり覚悟が足りていないんじゃないかい? 君は『人殺し』なんだろう?」
傘を引き抜くと、ぬちゃり、とその先端から血が滴る。
「ミカは確かにバカな所もある……が、私の友と呼べる人を騙した罪は重いんだよ」
傷跡からは当然大量の血が流れ出し、いくら訓練を積んだサオリといえど、失血には抗える訳もなく、意識を暗闇へと落としていった。
「っと、止血しないと。私が殺すなと言ったのに、私自身が殺してしまってはね」
そう言って、救護騎士団から借りてきた(事後報告)止血剤を使い、処置を施す。そして、意識を失ったサオリを抱えてその場を後にした。
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古聖堂、地下にて。
「ユスティナ聖徒会の変貌を確認。風紀委員長にこんな力があったなんて」
「意志のない肉の塊を支配下に置くだけって風紀委員長は言ってたけど、脳みそ剥き出しで、あまりにもグロテスクね……」
「ん、元のユスティナ聖徒会の角度がエグいハイレグも相まって、絶妙にシュール」
「ぶふっ、シロ……02先輩、変に意識させないでよ!」
歯車型のヘイローに、覚悟と角度がエグいハイレグに剥き出しの脳みそと、奇怪な見た目。しかしマエストロは、そのデザインに感銘を受けたらしく、このインスピレーションを作品に昇華しなくては! と即帰宅。ロイヤルブラッドなんかよりもよっぽど気に入ったらしい。
特に人の生というものを歯車に見立てることに感動したらしい。
その結果複製の供給も止まってしまい、肉の歯車達によりアツコは捕獲された。
「私達も戦いたかった」
「私は戦いたいなんて一言も言ってないから、一緒にしないでもらえる!?」
02と04は、そんな状況でも、普段通りのコントを繰り広げていたのだった。
原作からの乖離が激しすぎるよ〜