透き通った空に浮かぶ星 作:哲学の階司書補
ゆっくりなペースですが、ちょっとずつまた書いていきます、よろしくお願いします
トリニティ内の病院の一室でハナコを除く補習授業部の3人は、心配げな表情を浮かべ先生を見つめる。
先生はミサキの爆撃により意識を落とし、救護騎士団によって病院へと運び込まれていた。
生徒たちの必死の治療により一命を取り留めていたが、意識は未だ戻らない。
「私のせいで……」
アズサがぽつりと、そう零した時。
『ごめんね、寝坊しちゃって』
先生はゆっくりと起き上がると、アズサの頭を撫でる。
先生が起きたこと、自分のせいで先生が死ななかったこと。それに安堵したアズサの目には涙が浮かぶ。
『それに、アズサのせいなんかじゃないよ。アリウスが襲撃してきたのは、別にアズサが手引きした訳じゃないでしょ?』
同じアリウス出身だから、自分が止められなかったことに責任がある、と考えたのだろうと想像した先生は、優しい言葉をアズサに投げかける。
「それに、先生も意識を取り戻したんですから、めでたしめでたしでいいじゃないですか」
カラカラ、とハナコが病室に入ってくる。
「ハナコ……あんた、何か「ハナコちゃん! 無事だったんですね!」
コハルがなにか言おうとしたが、ヒフミの声にかき消される。
1人で黒い服を着た怪しい人物を追いかけたというハナコだったが、特に怪我をした様子もなく、服も汚れていない。
「はい♡カタコンベまでは追跡出来たんですが、その先で見失ってしまいまして」
「カタコンベ……ハナコに怪我がなくて本当に良かった。その相手はアリウスと関係があったかもしれないから」
「先生を襲撃し意識不明の重体にまでしたのも、アリウスでしたか。それなら、私は幸運でしたね。あ、先生が不幸だという訳ではなく。今はただ意識を取り戻したことを喜びましょう?」
どこか距離感が変わったような、雰囲気の違うハナコに、ひとり困惑していたコハル。
その場で言い出すことも出来ず、モヤモヤした気持ちを抱えたままその場はお開きとなった。
その日の夜、コハルのモモトークに一通のメッセージが送られる。
「病室であんな熱い視線を送ってきて、何か用事でもありましたか?」
「そんなやましい視線なんて送ってない! ただ、アンタの様子が変わってたから、何かあったのかと思っただけよ」
「あら、コハルちゃんは聡いですね。そういう機敏なところ、好きですよ」
「普通に褒めてくれるのなら、素直に受け取るわよ」
珍しくストレートに褒められ少し顔を赤くしつつも、適当に返信してスマホをベッドに放り投げる。
このまま詰めたとしてもハナコが答えることは無いだろう。尻尾掴ませてあげたのだから、そこから先は自分で手繰り寄せろ、ということなのだろう。
難しいことを考える気はあまりしなかったコハル、自身もベッドへと体を預け、そのまま夢の中へと落ちていった。