透き通った空に浮かぶ星   作:哲学の階司書補

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サオリを中心に数話進めていきたいが、、キャラシミュが難しすぎる
感想なんかもらえるといい感じに筆が進みます、よろしくお願いします。


変わりゆく友、立ち止まった自分

 授業が終わり、未だにユメ先輩コスを外すことを許されてないヒヨリは、サオリがそそくさと教室を出ていったのを見ていた。

 

「ミサキさん、リーダーの様子見てきます」

 

 思い詰めたような表情をしていたことから、恐らくはアツコの事だろう、と後をつけることにした。

 

 ──────────────

 

 階段裏の暗がりで、1人座り込み考えに耽けるサオリ。思い出すのはアツコのこと。今まで比べ物にならない力を手にして、きっと自分たちが守るまでもない存在になったのは紛れもない事実で。

 

「私が助けられなかったから」

 

 痛みと恐怖の中、生贄として育てられ。そうならなくていいように血の滲む思いで生きてきたのに。

 結局アツコを助けたのは誰だ。

 サオリだったか? アリウススクワッドだったか? 

 違う。あれだけ憎むべき存在として教えられたトリニティとゲヘナの両首長、そして無関係のアビドス。

 聞いた話でしかないが、ベアトリーチェもビナーが殺したらしい。

 

「鳥籠を取り払ってやれたのは私たちじゃない」

 

 優しいアツコのことだから、恩返しのつもりで、もう守られなくていいように、きっとそんな思いであの力を手にしたんだろう。

 独りよがりな庇護欲なのかもしれない。勝手な思い込みかもしれない。でも、また脅威に晒されうるような力は、手にしないで欲しかった、なんて。

 折角鳥籠は取り払われたというのに、自分の内から離れていくのがただ怖かった。

 重い一撃を受けた腹が鈍い痛みを発してふと、現実へと引き戻す。

 ふと視線を上げると、そこには普段と違う身綺麗な制服を着たヒヨリがいた。

 確かホシノに着付けられたままの姿で。

 

「サオリ姉さん……大丈夫ですか?」

 

 心配げな目。それすらも、いや、サオリは自分勝手に傷ついただけだった。

 

「姫ちゃんのこと……ですよね」

 

「いや、いいんだ。分かってる」

 

 突き放すように、これは自分だけの問題だから、と。

 

「私たちはもう牢獄の中の奴隷じゃないって言ってくれたのは……他ならぬサオリ姉さんじゃないですか」

 

 目を伏しながらそう言うヒヨリ。

 トリニティかアビドス、どちらに転校するかを決める時、サオリがアリウスのメンバー達に向けた言葉。上に立つもの、ベアトリーチェやスクワッドの命令なしに生きることがなかったからこそ、もう自由なんだと伝えたつもりだった。

 だが、言った本人であるサオリは、嘗てベアトリーチェに植え付けられた命令である、生贄としてのアツコを守り続けることに執着してしまっている。

 アツコだって今は自由の身であることは理解しているつもりなのに。

 

「彼女の呪いに苦しめられてる生徒は、アリウス生の中にも居るみたいで……そういう人たちはシャーレの先生に相談に乗ってもらってるらしいですよ。私は……全てが苦しいと知っているので、苦しみも受け入れていますけど」

 

「シャーレの……先生」

 

 俯いたまま話を聞いていたサオリは、パッと顔を上げる。

 危険因子として排除しようとしていた存在に希望を見出すほどに、自分の心が弱っていることに苛立ちを覚えながらも、心配するヒヨリの優しい視線に心を解かれる。

 

「不甲斐ないところを見せてしまったな」

 

 帽子を深く被り直すサオリ。

 普段の凛々しさが少し戻り、ヒヨリは安心感を覚える。

 

「ビナー先生にも相談してみたらいいと思います。なにか思惑もあって姫ちゃんに態々あんな力を授けたんでしょうし。ああでも、あの人との会話は苦しそうですね……」

 

 優しい表情から急に顔を青くするヒヨリに、つい頬を緩めるサオリは、苦しみの中にも日常はあったんだと再確認する。

 

「ヒヨリは相変わらずだな」

 

「あ、でも、苦しみの中にも、希望はあるんです。そう、ホシノさんに熱弁されましたから。変わらないこともひとつの選択肢だけど、変われないことは無いんだって、言ってました」

 

「変われないことはない、か……」

 

 サオリは不安と希望を胸に抱えたまま、ひとまずはシャーレの先生に相談することに決めるのだった。

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