禁止級の超絶クソ強カードに転生したけどメインデッキに入れてくれない。   作:ガトー

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誤字報告、ありがとうございます。各話助かってます。


第10話

「……そういえば、こちらのカードをユウ様に托したいのです。」

 

神官長が取り出したのは3枚のカード。

 

「これらは教団所有のカードなのですが、先日のファイトの余波で黒属性になりました。」

 

あー。見覚えがあるぞ?俺が教団で暴れた時のデッキメイトだ、その節はどうも。

 

「精霊付きの黒カードとなると取り扱いが難しく、中々日の目を見ることができません。その点、ユウ様なら十全に使いこなして頂けるでしょう。」

 

確かにな、使って貰えないカードの哀しみはよく分かる。だが、シナジーのないカードを無理に投入するのもよろしくないぞ?

 

「もちろん、無理にとは言いません。一枚だけでも良いのです。どうか御配意頂けないでしょうか。」

 

「わかったっス。まずはカードテキストを確認してもイイっスか?」

 

まずはテキストの確認か、流石だな。ただ、精霊付きのカードの場合はフィーリングも大事にしろよ?案外馬鹿にできん。

 

——— ■■ッ!!!■■■ ■■■■ーッ!

 

「まずは一枚目、《狂乱騎士 ダニエラ》。攻撃強制のデメリットつきアタッカーっスね。」

 

うん、弱くはないな。そこそこのコストでそれなりの打点。悪くないぞ?

 

「小回りの効きそうな効果がいくつもあるっスが……攻撃強制が致命的に噛み合ってないっス。」

 

なんというか、すまん。

 

「以前の彼女は、今よりもコストが軽く、打点こそ低かったものの、攻撃強制はついていませんでした。我が主の祝福により変質したようですね。」

 

「別物じゃないっスかそれ!」

 

本当に、すまん。

 

「このカードに必要なのは活躍の場ではなくて治療っスね。ミズキちゃんに掛け合ってみるっス。」

 

「ほう、闇の巫女ですか?」

 

「正確にはアルベードさんっスけどね。死神さんの影響を克服した経験者っス。」

 

そういえば確かに、鱗の白さを取り戻してた気がするな。あとで聞いてみるか。

 

「ではこのカードはそのように。2枚目ですが……」

 

「《黒水晶の占い師》っスね。」

 

——— ケヒッ…ヒッヒヒヒッ……。

 

「効果はお互いのトップ操作っスけど……死神さんの影響を受ける前はどんなカードだったんスか?」

 

いや、そんな目で見ないでくれ。マジで悪かったと思ってるから。

 

「以前の効果は自分デッキトップ3枚の確認ですね。祝福によって並び順への干渉ができるようになったので、強化されています。」

 

「精霊さんの性格面はどうスか?今はちょっと……アレっスけど。」

 

「元より内向的な方なのであまり……。水晶に向かって一人で呟いている事も多かったと記憶しています。……今ほど不気味な笑い方はしていませんでしたが……。」

 

「治療っス。」

 

はい。

 

「3枚目、《殺戮機巧 ジャスミン》。カードタイプにアーティファクトを持つ、珍しいエレメンタルっスね。」

 

確かに、こっちでは複合カードタイプってあんまり見ないな。メリットはアーティファクト扱いできる事、デメリットも同様。良くも悪くもって奴だな。

 

——— 所有権の譲渡を確認。……全システム正常、メインモード起動。新たなマスターを登録しました。おはようございます。

 

「あ、どうもっス。」

 

——— システムの更新を実施しました。詳細につきましてはカードテキストをご確認ください。

 

便利だなその機能。どれどれ?

 

「うわぁ。フレーバーテキストがミッチミチになってるっス」

 

あんまり便利じゃなかったな。

あー、ざっくりと要約してくれ。文字が小さ過ぎてこれじゃ読めん。

 

——— 承知致しました、更新内容は次の通りです。<ul> <li>属性シンボルの変更(黒→無色)</li><li>プレイ時の消費エナジー変更(6→2)</li> <li>カード効果の編纂、機能を大幅にオミット</li> <li>テキスト修正に伴いカード名変更(→《機巧従者 ジャスミン》)</li></ul>

 

なんて???

 

——— 表示システムと出力フォーマットの齟齬を検知。再出力しますか?

 

「いえ、大丈夫っス。つまり効果を削って軽く使い勝手を良くしたんスよね、属性も黒から無色に変更。いい調整だと思うっス。」

 

——— お褒めの言葉、感謝致します。会談中、マスターの提案するコンボから嗜好を推定して調整致しました。

 

やる気のある精霊だな、前のめりな姿勢は嫌いじゃない。

 

「神官長さん、この子を譲って頂けないっスか?……もう黒のカードじゃないっスけど。」

 

「もちろん。カード自身が主人を選んだのです、咎める理由はありませんよ。」

 

「ありがとうございますっス!そうと決まればデッキビルド……の前に治療の相談っスね。ジャスミンさんも一緒に来るっすか?」

 

——— 肯定、お供致します。

 

「じゃあ行ってくるっス!」

 

いってらー。

 

…………戻って来るまでにアーティファクトデッキと相性の良さそうなカードを出しておくか。……他意はないぞ?

 

 

 

———————————————

 

 

 

今日はデッキを調整する日だ。さっきそう決めた。

死神の影響で変質したデッキの中身を把握しなければいけないし、必要ならカードの入れ替えもする。

御見舞いに貰ったカードの山も、開梱して中身の確認と整理が必要だ。

 

まずは見舞いのカード山を崩すか。重い腰を上げて一つ目のダンボールを開封した時、部屋のドアがノックされた。

 

「ミズキちゃーん。今ちょっといいっスかー?」

 

ユウ君だ、珍しい。……自室をノックをされる事に慣れてしまった事が怖い。そのノックは玄関ですべきだったと思う。

 

——— 珍しいですね、この部屋に来るのは。マスターに何か用でしょうか。

 

「あいてるよ、どうぞ。」

 

とりあえず開けたダンボールは一旦退けるか。

 

「失礼します。実はアルベードさんにご相談があるっス」

 

——— 私ですか?はい、なんでしょう。

 

「死神さんの影響で黒属性に染まっちゃった子たちをどうにかしてあげたいんス。知恵を貸して欲しいっス」

 

——— ッ私とは遊びだったんですねッ!?

 

ん?修羅場???




ユウ君:カードの事が好き。異性の友人宅に入り浸ってる自覚はない。
ミズキ:教団の人が食事の用意をしてくれる事にまだ慣れない。
主人公:大量のレアカードを入院見舞いに送った犯人。色々迷惑をかけたお詫びのつもりだった。
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