禁止級の超絶クソ強カードに転生したけどメインデッキに入れてくれない。   作:ガトー

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いつも感想ありがとうございます。
勘違いを読みに来た方、最強系主人公に惹かれて来た方、TCGのテキストをついつい読み込んでしまうデュエリスト、それぞれ違う観点からコメントを頂けるので非常に楽しませていただいてます。


第9話

よっす、俺だ。

今日はイツメンでカード談義。え、入院中のミズキちゃんはどうしたのかって?闇のカードがフワフワ見舞いに行っても迷惑だからな、何度か黒フード3号に手土産を持って行ってもらったぜ。名代って奴だ!

 

「死神さん、神官長さん。ボク、とんでもないコンボに気が付いちゃったっス」

 

コイツはユウ。ビートダウン偏重なこの世界には珍しく、色々な戦略に目を向けられる中々に見所のある奴だ。

 

「ユウ様。とんでもない、なんて一体どんなコンボを?」

 

ユウのコンボ評はボジョレーヌーヴォ並だからな!中身を聞くまではわからんぞ?

 

「まずはこのカード。《インスタント・トリック》っス」

 

インスタント・トリック、軽量ハンデスだ。ピーピングができる代わりに自分の手札を一枚渡す必要があるから、相手の手札が減る事は無い。

情報アドバンテージを稼ぎつつ、ピンポイントでキーカードを咎める必要がある、玄人向けの一枚だな。

そして渡したカードは高確率でエネに埋まる、無常である。

 

「そして《強制決済》を組み合わせるっス」

 

なるほど。こっちは相手の手札を強制的にプレイさせるカード。コストが払えない場合は不発になるが、逆に言えば払えるなら払わなければならない。

取っておきの切り札の暴発、不意のエネ消費でターン中の予定崩壊。

使われると確かにウザいが、自分で使ってもあんま強くない。こっちも割と玄人向けだな。気軽に使うにはエネ消費がキツイ。

 

で、組み合わせると……送りつけて強制発動。

だが、相手は送りつけたカードのコストを払えるか?

デッキの色が合ってないと不発。もし上手く行っても手札とエネの消費はかなりのもんだ。支払いに見合ったアドが取れるカードなんてあるか?

 

「え、死神さん気づかないんスか。神官長さんはわかったみたいっスよ?」

 

デメリットが大きいカードを相手に使わせたい、それは分かる。

後続が展開出来なくなる《唯一神の塚》?それとも手札全捨てを要求される《嫉妬の化身》?

いや、どちらも色拘束が厳しすぎる上、わざわざ3枚コンボで利用するくらいなら別のカードを使った方が強い。

 

だめだ、わからん。降参!

 

「死神さん、あなたを送りつけるっス。相手に黒エネが無ければ強制的に代替コスト払いっスよ!」

 

なるほど、相手のライフを半分徴収できるわけね。…………え?

 

「ガッと行って、グッと吸うっス。」

 

お、おぉおおま、おまえ!人の心とか無いんか!!??

ファイト中のリアルアタックは反則だろ???

神官長も笑ってないでなんか言えって。

 

「いえ、我が主は優しいな、と思いまして。」

 

は?ルールを守って楽しくファイト。最低限のマナーだろ、そんなの。

 

「ふふふ、そうですね。我が主はそのままで良いのです。」

 

なんか納得いかんぞ?

 

 

———————————————

 

 

今日は私の退院日。付き添いは居ないからアルちゃんと二人での帰宅だ。

お見舞いの山は既に自宅へ郵送済みである。山のようなカードの差し入れはマジでやめて欲しい。精々数パックでしょ。

 

リハビリ、大変だったね。

 

——— マスターは高濃度スピリットに汚染されてましたから。大変だった、で済むのは凄いことです。

 

それにアルちゃんも凄い豊満?な見た目になってたし。

 

——— それはっ!……やめてください、あんなブクブク太った醜い姿。思い出したくもありません。

 

ゴメン、デリカシーがなかったかも。

けど、よかった。アルちゃんが重いままだったら、デッキを根本的に見直さなきゃいけなかったから。

 

《氷槍龍 トリアイナ・アルベード・ドラゴン》

 

過酷なダイエット(本人談)に成功した、新生アルちゃんの名前である。紆余曲折あって新しい力を手に入れたんだって!

詳しい話を聞いても顔を赤くするばかりで教えてくれないけど、強くなったのは確かだ。

 

「———3丁目の12番までお願いします。」

 

帰路はタクシー。流石に病み上がりでは歩いて帰れない。……ちょっとだけ贅沢かな?

 

「あいよっ!3丁目12番……カード御殿までねー。」

 

そんな感じでアルちゃんは大幅に強くなった。

他のカード達も変質しちゃった子はいるけど、家のカードで調整すれば、デッキとしては収支プラスだ。

 

あの死神にも少しは感謝しなきゃね。

 

被害は確かにあった。けど、それだけじゃ無い。

喉元過ぎればなんとやらってね?

 

乙女は意外としたたかなのだ!

 

「お客さん、着きましたよー。」

 

料金を支払い、車を降りる。

久しぶりの我が家だ。

 

「「「「おかえりなさいませ!」」」」

 

黒フードが居る。たくさん。

 

「お荷物、お持ちします。」

 

我が家だった建物は大幅に改築されて、大豪邸になっていた。

 

「こちらへどうぞ」

 

盛大に祀られる、死神の像。

 

「闇の巫女よ、如何なさいましたか?」

 

残念ながら、感謝の気持ちはどこかへ吹き飛んだ。




なお、イツメンが集まってるのは移設後の神殿(旧ミズキちゃん家)の最上階、カード祭壇前である。
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