剣咬の虎に入った青年 作:氷結界の龍トリシューラ
原作のバッカスを見て思いつきました。
スティング君達の奮闘です。
大魔闘演武2日目の競技パート
「スティング…」
フリスはスタートラインに立っているスティングをラクリマ越しに見ていた。スティングは冷や汗をかいており、どう見ても競技を完遂出来そうに無い。フリスは再度ルールを思い返す。
「…(失格になるかもしれない、それに上手く行っても…)。」
フリスは同じく顔を青くした
「すまん、暫くここ頼む、」
「(何で、乗り物なんだよ…)」
今回の競技名は
スティングの最大の弱点は乗り物酔い。
隣では同じ事を考えてるらしい
昨日、フリスから
無情にも選手を入れ替える事は出来ず競技スタート。
突っ込もうとするスティングに声がかかる。
「スティングっ!」
「ん、フリスっ…」
スティングが声の方向を見るといつの間にかフリスがスタート地点の外野に来ていた。思念体を応援席に残して来たようだ。
「スティング、
「割り切るって…」
疑問符を浮かべるスティング。既に他の選手は駆けて行く。そして、同じ
「っ!…」
再びフリスを見るスティング。その口元が動いた。健全な
『乗り物をぶっ壊して行け。』
「…!」
スティングは眼を見開いた。確かにルールでは戦車を壊したら失格とは言われて無かった。だが本当に良いのだろうか。再び前を見る。遥か遠くにいる5つの影と大して進めない2人の同類が目に映った。
…最悪警告で済むだろう。やるしか無い。スティングは息を吸う。そして、物凄い勢いで踏み抜いた。
彼らの横を
そのまま他のチームにも追い抜かれていく面々。
残された3人の男。今のところ順位はガジル、ナツ、何故か来ないスティングの順番だった。
ついこの前まで平気だったガジルは乗り物酔いになる自分に驚く。
「馬鹿な…俺は乗り物酔いなど平気だったはず…」
「じゃあ、やっとなれたんだなっ!本物の
「ん?なっ」
ドガアアアッ!
急にガジルが乗っている乗り物が破壊された。乗り物が止まる。酔いが止まる。そして、その横を一気に駆け抜けるのは
そのまま白の光を纏って彼は戦車を破壊しながら進んで行く。
「ギヒッ、そう言うことか…オラアっ!」
「成る程、やるじゃねえか。」
ガジル、そしてナツは口元に笑みを浮かべる。そして、
「「壊すのは得意だっ!」」
そのまま強く戦車を踏み抜き破壊した。
一気に戦況は変わる。身体能力の高い3人の
「こ、これは予想外の展開ですっ!スタートで出遅れた3人が、戦車を破壊しながら一気に追い上げていくー!!!!」
「ルールを詳しく書くべきだねー」
「「「「「「うおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」」」」」」
ラクリマ映像を見ていた実況と観客から驚きの声があがる。ヤジマだけは冷静に突っ込んでいた。
「いっけー!!、スティングくーんっ!!」
「頑張れ、スティングーっ!!」
「「「そのまま突っ切れーっ!!!!!!」」」
先程とは一転どんどん追い上げて行くぜスティングに
「めちゃくちゃだなあいつら、」
「まあ、うちも似たようなもんだがな。」
「実際真似してるしね、」
「いいぞーつ!!!突っ込めーっ!!!」
「頑張れーっ!!ナツ兄ーっ!!ガジルっ!!!」
3人の姿を見て呆然自失としていた
競技ー
先頭はクロヘビ、その後ろには
その3人から少し遅れて、
「ほおーう、酔っぱらい達が追い上げて来たか、俺も頑張っちゃおうかなー。」
最後尾からグングン追い上げる3人を見てニヤリと笑う筋肉質だが酔っぱらいの男。
「うぃー、うらああああああっ!!」
バッカスもギアをあげる。そして、思いっきり戦車を踏み抜く。戦車は崩壊そのまま一気に先頭に走る。クロヘビを追い抜いた。
「だああっ!!」
「「うらああっっ!!」」
戦車が破壊されたチャンスを逃がすわけもなく、スティング、ガジル、ナツも一気に駆け抜ける。バッカスの真後ろに迫る白の光。
「ふひひひ~っ」
バッカスは笑いながら息を吸い込む。そして横に来たスティング目掛けて大きく腕を振った。
「ひゃっはあああっ!!」
「グッ、」
スティングは突然打撃を受けて倒れる。戦車が止まっているため酔いは無いが、急に予想外のダメージを受けた。
「おおおおっ!」
後ろからガジル、ナツが追い上げてくるスティングの頭上を飛び越え…。
「があっ、」
「ぐわっ、」
追い抜こうとした2人目掛けて脚払いをかける。ナツとガジルは前のめりに倒れた。
「く、て、てめえっ!」
「こ、このやろおっ!」
「勝たせてもらうっ!」
スティングはその隙に倒れた2人を踏み台に大きくジャンプする。空中からバッカス目掛けて、大きく息を吸い込み、
「白竜の咆哮っ!!」
「があああああっ」
白銀のブレスを放つ。バッカスの背中にスティングの白銀のレーザー光線が命中する。
「行くぜっ!」
「させるかっ!鉄竜棍っ!!」
そのまま飛び越えようとしたスティング目掛けて、鉄棒が突き刺さる。撃ち落とされるスティング。それを見てガジルがニヤリと笑うが
「貰いっ!!」
「ガハッ」
ガジルの顔面を蹴り飛ばし鉄棒の上を走る炎の影ナツが一気にスティングを飛び越える。
「くそっ!白竜の鉤爪っ!」
「遅えよっ!」
スティングが、光を纏った回し蹴りを放つもナツは空中で回転し回避そのまま着地し突っ込む。
「きひひぃっ!!、酔・飛下翔」
「ぐ、ばばばっ」
が、突然横から一気に数発の裏拳を撃たれ吹っ飛ばされる。バッカスが、回転しながら腕をふるっていた。
「はははははっ!!、こりゃ魂が震えてくらあっ!!
纏めてかかってこいやあっ!!」
「上等だっ!!最強ギルド舐めんなっ!!
滅竜奥義っ! 白竜のホーリー・ノヴァっ!!」
バッカスの背後から眩い程の光がナツとバッカスを纏めて吹き飛ばす、スティングの技が炸裂した。
「鉄竜の咆哮っ!!」
「くらうかよっ!!」
そのスティングの背後から鉄のブレスが飛んでくる。読んでいたスティングは躱すが。
「ギヒィッ!!」
「何っ!ぐあああああっ!!」
「ギヒヒィッ、俺が1位だーっ!」
ブレスの軌道を変えられその刃が肩に命中する。そのスティングを追い抜こうとするガジル
「火竜の剣角っ!!」
「「ぐあああああっ!!!」」
そのガジルとスティング目掛けて火炎の弾丸が突撃する。ナツが炎を纏った体当たりをし、2人を吹き飛ばしたのだ。その後ろから迫るバッカス。
「ひぃーはあああああっ!!」
「火竜の鉄拳っ!!」
バッカスの攻撃を躱し、カウンターを放つナツ。しかしバッカスによって躱される。
「鉄竜剣っ!!!」
「白竜の鉤爪!!」
立ち上がったガジルとスティングも攻撃する。ナツとバッカスもその拳をくらいながらも反撃を撃ち込む。
そのまま戦車を破壊しながら4人は闘う。スピードは落ちるが激しい攻防が繰り広げられた。スティング、ナツ、ガジルの方が身体能力は高いが、最初に踏み抜く場所では少し酔うハンデがあり、更にバッカスの動きは不規則で読めない。バッカスが先頭に立ち3人が真後ろにいる状態になる。4人はすっかり目の前の相手に気を取られていた。
「
その為か後ろの影に気づかない。木に擬態しながらも4人に追い付いてくる黒い影。そして、
「樹木の反乱《ウッド・リベリオン》っ!!」
「「「ぐああああああっ!!!」」」
大量の木の枝が襲ってきた。クロヘビの擬態魔法、擬態した属性の魔法が使える。戦車に使われている木に化けた為その属性の魔法が使えるのだ。バッカスは避けたが、ナツ、ガジル、スティングは吹き飛ばされた。完全に虚をつかれる形となった3人はバランスも受け身も取れず、まだ動いている戦車の上に落下した。
「ぐ、」
「ガハッ」
「ぐおっ」
そのまま酔いが始まり、3人共酔ってしまう。
「あーっ!!!ゴールを目前にして3人が倒れたーっ!!」
「「「ああああああっ!」」」
無情にもゴールはあと少しだった。だがそのあと少しが勝敗を決めた。
「スティングくーんっ!!」
レクターの応援に何とか動こうとするスティング。しかし、
「ひゃっはあっ!!!今回は俺の勝ちだぜーっ!じゃあな兄ちゃん達っ!!!」
避けたバッカスはそのままゴール目掛けて一直線に走る。
「ふっ、」
クロヘビは3人を踏みつけるとそのままゴールを目指す。1位はバッカス、2位はクロヘビ。
そして…ろくに動けない3人の横を無情にも3つの影が通り抜けて行った。
「くッそ」
「く、」
「馬鹿なっ!」
3位リズリー、4位ユウカ、5位一夜。次々にゴールしていく他のチーム。
「さて、残るは最下位争いの3人ですが…」
「く、クソッ!」
「スティングくーんっ!!!!」
「スティングっ!あと少しだーっ!」
激しく動いた為か気絶しそうな程酔い、這いつくばるスティングにレクター達の声が届いた。
スティングは歯軋りしながらも何とか動く。あと少し。隣ではナツ、ガジルも這いつくばっている。少しでも前へ前へと進む。
「うおおおおっ!前へ、前へ…進むんだっ!」
「はあ、はあ、くっ」
「ナツーっ!」
「ガジルーっ!」
「スティングーっ!」
「スティング様ーっ!」
苦しむスティングの耳に応援が聞こえてくる。レクター達の声に自分を奮い立たせる。せめてコイツらには負けられない。ここまで来たら。絶対に負けられない。スティングは進む。どれだけみっともなくても…そして、そのまま3人は同着でゴールした。
「ゴールっ!同着、妖精の尻尾2チームと剣咬の虎には2ptずつ加算されますっ!!」
「スティング君っ!」
レクターがスティングに駆け寄る。フリスとローグも降りてきた。
「スティングっ!良く頑張ってくれたっ!」
「凄かったぞ、」
ローグもスティングを賞賛する。フリスはスティングに肩を貸しながらスティングに回復魔法をかける。3人に向けて観客からも僅かだが拍手があった。
「ふう、助かった…」
「はあ、はあ、」
スティングは酔いがマシになる。近くではナツとガジルも倒れている。フリスはある程度だけ魔力を2人に流し込んだ。丁度ルーシィとリリーが2人を回収しに降りてきた。フリスの魔力がナツとガジルに流れる。ルーシィとリリーはその光景を見ている。
「うぷっ、ん?何か…マシになった…ぞ、」
「ナツっ!平気っ!」
「!?…楽になった…か、」
「ガジルっ!大丈夫なのかっ!」
ナツとガジルは顔色が戻り何とか立ち上がる。それを見て立ち去ろうとするフリス。だがフリスの前にクロヘビが立った。
「ふ~ん、
「何っ」
「あれえ?、何かな、僕は事実を言っただけさ、それに君に怒る権利なんてあるのかなー」
クロヘビはフリスを挑発する。フリスはクロヘビを睨むがクロヘビは何かを指差した。
「…!!!!」
そこにいたのは、
「っ!銀髪~っ!!!」
全身ボロボロになった赤髪の娘、昨日
「な、どう言うことだっ!」
「何怒ってるんだ~い?君なら想像できるだろ~う?」
クロヘビは今度は降りて来ていたルーシィを指差す。その意味は…
「君のせいだよ、君が余計な事をしなければフレアはああならなかったんだ。」
クロヘビはそう言って去ろうとした。だが、
「待て、今うちの新人に何か言ったか?」
スティングが立ち塞がりクロヘビを睨む。
「別に~」
「そうか、なら俺からも1つ言ってやろう、試合を妨害し無いと勝てないギルドごときに俺達は負けねえ。」
「僕に負けた癖に、よく言うよ~」
クロヘビはそれだけ言って去って行った。
残されたのはフリス、スティング、ローグ、レクターとナツ、ガジル、リリー、ルーシィ。
フリス達は戻ろうとするが、
「おい、どう言うことだっ、
ナツの声に振り向く
「何か用か、
「て、てめえらっ!
つい先ほどの光景を見ていたナツ。乗り物酔いから治ったばかりで会話が殆ど聞こえなかったようだ。近くではルーシィも困惑の表情を浮かべていた。レクターが口を開く、
「これはこれは、別に貴方達には関係ないですよ~」
「お前に聞いてねえ!」
レクターの返しに言い返すナツ。そしてフリスを指差す。他の皆もフリスを見ていた。
「出場選手の皆さんは持ち場に戻ってくださーいっ!」
「行こう、フリス、あいつらは俺が片付ける。」
チャパティの警告にスティングはフリスの肩を叩く。フリスは妖精の面々を一瞥するも警告に従う。それを見て妖精の尻尾も戻って行った。
「(…警戒されてる。)」
妖精の尻尾…大会前にフリスと顔を合わせたメンバーは2人と1匹。特に思い出すのはあの夜倒れていた青髪の少女と猫。
「(…まさか、回復魔法が合わなかったのか?)」
恐らくそう言う事だろう。魔力を持ってる人間を治療すると稀にあることだ。事実彼らを回復させた後でロックオンされたとフリスは思った。
妖精の尻尾とヤバいですね。
まあ誤解は後で解きましょう。