剣咬の虎に入った青年   作:氷結界の龍トリシューラ

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リアルが忙しくて申し訳ない。


ゆっくり投稿します。




嘲われたギルド

 

闘技場ー

 

人魚の踵(マーメイドヒール)カグラ・ミカヅチvs剣咬の虎(セイバートゥース)ユキノ・アグリア

 

ユキノは黄道十二門の星霊、双魚宮のピスケスと天秤宮のライブラの連携でカグラを攻撃するが、通用せず、カグラの重力操作によって標的にされたピスケスは耐えられず押し潰されそうになる。

ユキノはやむを得ずピスケスを戻した。

現在出ているユキノの星霊は重力操作が出来るだけのライブラのみ。

一応、ピスケスは再度召喚出来るが、カグラの重力操作の前には無力だ。

 

「っ、私に開かせますか13番目の門を…」

 

ピスケスでは勝てないと思ったユキノは冷や汗をかきながらも最後の切り札を手に持つ。

その形状は普通の星霊の鍵と同じだが、黒い何かが巻き付いたような鍵。

 

「開け、蛇遣座の扉…」

 

ユキノは天に向かってその鍵を向けて魔力を込める。

 

「オフィウクスっ!!」

 

瞬間、闘技場の空が暗くなる。黒の瘴気を纏った巨大な何かが場に現れる。黒い影。それは巨大な黒の機械の蛇であり、その口で象を飲み込む程の大きさだった。闘技場の空は蛇の影で真っ暗になる。

 

「こんな星霊…ありなの…」

 

闘技場の観客や魔導士らはその巨体に驚き、同じ星霊使いのルーシィはそのオーラーに戦慄する。

ここで初めてカグラが腰に装着している剣に手をかける。怨念を纏ったその剣は納刀したまま…

 

「これが私の切り札オフィウクス。この星霊の前では貴方も無力。貴方の運もここまでです。」

「運?生憎生まれてから運など全く当てにしていない。全ては己の選択が招いた事象。」

 

納刀したままの剣を持ち、カグラが向かってくる。ユキノは声を上げる。

 

「ライブラ、敵の動きを封じて、」

「了解っ!!」

「!!」

 

オフィウクスの動きは速くない。その為ユキノはライブラでカグラの周りの重力レベルを上げて足止めしようとする。

 

 

しかし…

 

「おいおいっ!!、速いぞっ!!」

「目で追いきれないっ!!」

「っ!」

 

剣咬の虎(セイバートゥース)の選手ですら目で追いきれない速度でカグラは駆ける。

 

「っ!!捉えられませんっ!!」

「オフィウクスっ!!」

 

ライブラはカグラの動きについていけず標的をロックオンできない。ライブラの重力操作の範囲は狭い。

ユキノはオフィウクスに攻撃命令を出す。オフィウクスは黒の巨体でカグラに突っ込む。

 

「例えライブラの重力操作を躱しても、このオフィウクスには勝てないっ!!」

「それは誰が決めたのか、終わらせる。怨刀…不倶戴天…」

 

叫ぶユキノ。向かって来たオフィウクスに向けてカグラは刀を振るう。静かに、音もせず、その巨体とカグラがすれ違う。

 

「抜かぬ太刀の型」

 

瞬間、機械の蛇が裂かれる。闇が消え、空が戻る。

 

「っ!!」

「ライブラっ!!」

 

隣を見て驚愕の表情のユキノ。ライブラが倒れていた。

 

そして、

 

「嘘っ、」

 

ユキノの眼前に迫るカグラ。その納刀を持ち低い姿勢から。

 

「現実は甘くない。」

 

ユキノの視界が回転する。気がついた時は空を仰いで倒れていた。

 

 

「人魚は時に虎を喰う」

 

 

会場は唖然とする。誰1人声を発しない。現実を見ているはずなのに受け入れられない。

 

 

「し、試合終了っ、勝ったのは人魚の踵(マーメイドヒール)カグラ・ミカヅチー!!」

 

「「「「う、うおおおおおおっ!!!!」」」」

 

 

チャパティの声と共に試合が終わった事を皆実感する。会場は大きく盛り上がる。最強のギルドである剣咬の虎(セイバートゥース)人魚の踵(マーメイドヒール)の剣士カグラが倒したのだ。

 

 

「な、な、…」

「あ、ああ…」

 

スティングは目の前の光景を受け入れられない。他の剣咬の虎(セイバートゥース)の選手もまさかユキノが負けるとは思っていなかった。

 

 

「っ…こんな…」

 

それは張本人のユキノも同じ。否、この場で最も現実を受け入れられなかった。カグラが自分のギルドに戻って行くなかユキノは倒れたまま動けないでいた。

 

「わ、私が敗北…()()()()が…」

 

ガクガクと声を震わせるユキノ。カグラが足を止めた。振り返らぬまま口を開く。

 

「そなたの負けだ。1つの忠告してやろう、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう言って今度こそカグラは去って行った。

その言葉でユキノにも現実が伝わってくる。

負けたのだ。王国最強の魔導士ギルド剣咬の虎(セイバートゥース)の紋章を身体に刻んでいながらも他のギルドの人間に敗北した。それも完敗だった。

ユキノは悔しさのあまり目から涙が溢れ止まらない。

 

現実は残酷だった。得点表が動く。人魚の踵の点数が10pt加算された。それが眼に入る。観客のカグラを褒め称える声が聞こえてくる。そして、実況から剣咬の虎(セイバートゥース)が2位に転落した事も…

 

倒れたまま空を仰ぐユキノの耳に足音が近づく。

 

「ユキノ、」

「っ…フリス、様」

 

ユキノの視界に蒼眼の青年が映る。フリスは倒れてるユキノの横まで行きユキノを影で覆う。そのまま身体を降ろしてユキノの片手を取り、その上体を起こした。

 

「わ、私…。」

「うん…」

 

フリスはユキノの身体を起こしながらただ頷く。ユキノは声を震わせて何とか言葉を出す。

 

「わ、私、ま、負けて、」

「うん、見てたよ…行こう。」

 

フリスは静かに頷き淡々と返す。ユキノは起きようとするが身体に力が入らない。

 

「っ、っ、フリス、さ、ま」

「ユキノ…よく頑張ってくれた、お疲れ様。」

「う、う、…」

 

ユキノはそのまま崩れた。フリスはその身体を支える。啜り泣く声がフリスにも聞こえてくる。フリスは自分のローブをユキノに羽織らせる。大きなローブはユキノを完全に覆った。

 

フリスはユキノの全体重を持ち上げて立たせるとそのまま連れ立って持ち場に向かう。

 

 

 

 

その時だった。

 

聞き覚えのある声が会場に響いた。

 

「なあ、今の見たかっ!、剣咬の虎(セイバートゥース)も大した事ないな~っ!」

「!!!!」

 

フリスが眼を向ける。その音源は大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の選手席、ナルプティングが発したものだった。ナルプティングは嗤いながら無駄に大きな声で周囲に聞こえるように嘲る。

 

「こんなのが最強ギルドか~、とんだ噛ませだな~っ!!!」

 

 

追撃の一言。

 

 

観客もザワザワとざわめいた。

 

何処かの一帯の誰か達が呟き始める。

 

「確かに…派手だったけど…何だか弱いな。」

「今日は2pt…」

「1位は大鴉の尻尾(レイヴンテイル)だ…」

 

ざわつく中、会場の一部からヒソヒソと観客の声が聞こえてくる。耳の良いフリスにはその声が聞こえた。

 

「っ!」

「聞くな、」

 

悪意を感じ取ったユキノ。フリスはユキノの耳を防いだ。徐々に悪意は拡がって行く。

 

「乗り物酔いとかwww、ウケるwww」

「星霊ねえ…」

「確かに大きかったけど…鍵が無いと何もできないよね…」

 

悪意は蔓延し、伝染する。会場のあちらこちらからユキノとスティングを、剣咬の虎(セイバートゥース)を侮辱する声が、ポツリ、ポツリと聞こえてくる。

 

 

 

 

フリスの腕に力が込もる。そして、静かに一息吐いて眼を閉じた。

その腕から魔力が流れ、隣にいるユキノを護るように透明な青い光の結界が包む。

 

 

 

 

会場に再びナルプティングの声が聞こえてくる。

 

 

 

「そうそう、所詮は星霊魔導士なんて、星霊がいないと何もでき無いただのゴ…」

「っ!」

 

 

その時、会場の中央がカッと青く光った。

 

 

次の瞬間、

 

 

 

 

ドオオオオンッ!!!!!!

 

「っ!!!!、フリス様っ!?」

 

 

驚いて思わず叫ぶユキノ。

 

巨大な光のコロナが会場の中央から爆発した。それはまるで恒星の爆発の如く激しい光を放出し、大轟音と共に闘技場の中央から天に向かって稲妻を纏った青い光線が走る。

その強力な光に、クロッカス全体を青い光が照らした。

その一筋の雷は天にまで届く。空の雲が暗く映り、光が収まった時観客は辺りが真っ暗くなったと錯覚する程だった。

 

 

会場から音が消える。

 

 

次の瞬間、その余波で大気が揺れた。

突風が会場に吹き荒れた。会場の中央からハリケーンが発生したような気流の乱れ。

魔導士も観客も驚いて悲鳴を上げる。

 

 

そして、突風が止んだ時には陰口を言っていた観客も静まり、全員硬直したまま、闘技場の青年を唖然と見ていた。

 

 

「フリスさ、ま…」

 

フリスの結界によって護られていたが暴発する魔力の波動に驚いて泣き止んだユキノが何とか声を出した。

 

そこには青い光のオーラを纏い、蒼い眼を光らせた青年、フリスの姿があった。

稲妻が身体から迸っており、蒼光が炎の様に沸き上がっていた。

 

そして、スッと元の姿に戻る。

 

 

「次は無い」

 

 

決して大きくない声。だが、それは会場全体に響いた。

 

フリスは大鴉の尻尾(レイヴンテイル)を一瞥するとそのままユキノを連れ立って戻って行く。

 

 

 

フリスとユキノが持ち場に戻っていくとスティングが一番に待っていた。

 

「フリス、アンタ…やっぱ凄えよ。」

「スティング…」

 

選手席に戻るなりスティングに声を掛けられた。彼の中傷の原因であるフリスとしては複雑な気分だ。

 

「すまない…お前達を巻き込んだ…」

「ふ、あんな奴ら気にしないさ、

それに決めた、…俺はいつかアンタを越えるっ!!

そしてフィオーレ1の魔導士になるんだっ!!」

「スティング、…そうか、なら期待してるぞ、俺は何時でも相手になる。」

 

だがスティングはもはや大鴉の尻尾(レイヴンテイル)など気にしていなかった。彼に感謝しながら、フリスはユキノを連れたまま奥に向かう。

 

 

「別格だな、」

「意外だったよ彼があんな方法を取るなんて」

 

 

フリスの背中を見ながらオルガとルーファスも呟いた。

 

 

 

 

闘技場(フィールド)から魔力は消えたが、先程の稲妻の余波で乱気流が発生し、空は曇っていた。

 

 

 

 

 

 

 

大鴉の尻尾(レイヴンテイル)選手席ー

 

「ハア…ハア…マス…ア、アレクセイ様…」

「無理っ、…あ、あんなの無理です…」

「あ、あ…」

 

青年に震えるクロヘビとナルプティング、フレアは声すら出せない。

 

「っ!!…おのれ、今回は引き下がってやるか…作戦は中止だ…剣咬の虎(セイバートゥース)…命拾いしたな…(あれは無理だ…!!!!!!)」

 

完全に剣咬の虎(セイバートゥース)を侮っていた。

競技パートのスティングとバトルパートのユキノを見て剣咬の虎(セイバートゥース)に何かを仕掛けようと考えたアレクセイ…否、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)のマスター、イワン・ドレアーだったが、フリスの魔力を垣間見てそれは無謀だと判断した。

 

「…だが、本作戦まで諦めた訳では無い…」

 

荒い息を吐きながらもイワンの目は、まだ嗤ったままだった。

 

 

 

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)Bチーム選手席ー

 

 

観客同様、一部始終を見ていたのは妖精の尻尾も同じだった。気流の乱れで吹き荒れる風が選手席の手摺に掴まっているミラジェーンの長い髪を揺らした。

会場の中央を見ていたミラジェーンはハッとしたように呟いた。

 

「!!!!、あ…あの人っ…」

「!?、し、知ってるのか、ミラジェーンっ…」

「ううん、…昨日ちょっと、ね…」

「そっ…そうなの…か……!!」

 

フリスを見て驚愕の表情浮かべるミラ。それに反応するミストガン否、ジェラール。彼は毎年この大会でゼレフに似た魔力を感知しており、今年こそその原因を突き止めるべく変装してまで参加していたのだ。

かつて聖十の大魔導士の称号を持っていたジェラール。しかし、フリスが見せた魔力は彼のそれを遥かに超えていた。

 

「っ!!!!ヤバいぞっ!!!!……、って、あ、あいつ…確か…昨日の朝通路で見た奴…だ、ろ」

「何だとっ!!!、それにしても…なんて…なんて魔力だっ…!」

「暴力的な…魔力です…ね…何故、大会に彼が出ていないのでしょうか…」

 

妖精の尻尾において、ギルダーツを除けば最強の魔導士ラクサスですら、フリスが一瞬発した魔力の強さは異常レベルのようだ。ガジルとジュビアは膝をついている。2人とも実力は既にS級並のはずなのに。

 

「っ!!!…あいつは!!!!、な、何者なんだっ!!!!」

 

 

ジェラールはその背中から目が離れない。

 

 

 

 

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)Aチーム選手席ー

 

 

「っ!!!!!!……す、凄え魔力っ!!!…あ、あの野郎…お、怒ってるのかっ!!!」

「あ、当たり前だろっ!!自分のギルドの仲間が侮辱されたんだ、」

 

ナツとグレイがフリスの魔力を目の当たりにして手摺に掴まりガクガクと震え、驚愕しながらも叫ぶ。そんな中、今日の試合で大怪我で倒れているエルフマンと交替したウェンディが目を見開いて声を発した。

 

「っ!!!…あ、あの人です、私を助けてくれたのはっ!!!!」

「!?、ウェンディっ、やっぱり、やっぱりそうなのっ!!」

「はいっ!」

 

ウェンディはフリスを見て予選のあった夜中に会ったのを思い出す。ルーシィはナツとガジルを回復させるところを近くで見ていた為か、気になっていたようだ。

 

その横でも…

 

「(魔力を開放したのは、一瞬だった)…なんて奴なんだっ…!!!」

 

Aチーム内最強のエルザも冷や汗をかく。

別の場所では彼らのマスターであるマカロフ、そして幽体でありながら大会に応援にきた妖精の尻尾(フェアリーテイル)初代マスターメイビスもフリスの魔力に戦慄していた。

 

 

 

 

 

とある観客席ー

 

 

「(…!!!……凄まじき魔力…っ!!!)」

 

 

ジエンマは歓喜していた。つい先程までこの男のギルド、剣咬の虎(セイバートゥース)が馬鹿にされる流れだったが、それはたった一瞬で1人の男によって搔き消された。

 

フリスの破滅的な程の魔力を垣間見た魔導士は彼を恐れ、観客は改めて剣咬の虎(セイバートゥース)の絶対的な壁の高さを思い知らされたようだった。

 

「(せめて、もっと早く入れば良いものの…)」

 

フリスが入った時期を恨むジエンマ。そうすれば大会に出す事が出来たのに。

新人にも関わらず、既にギルド内で最高の魔力を持つ男。あの時ギルドに入れて正解だった。

 

それに引き換え…

 

「スティングっ、ユキノっ…無様に負けおってっ…」

 

思い出しただけでも腹が立つ。ビキィと破裂音がなる。ジエンマの魔力が漏れ、付近の椅子にヒビが入った。

 

「な、何だ!?」

「あ、あそこにいる奴!!!」

剣咬の虎(セイバートゥース)のマスタージエンマだー!!!」

「「「ひいいいいいっ!!!!」」」

 

周囲の観客は逃げていく。根源の男は非常に機嫌は悪い。絶対強者主義を掲げるこの男にとっては弱者、敗北者が自身のギルドにいるなど許せざることだ。

 

競技パートに出たスティングがバッカスに善戦するも敗北し、更には妖精の尻尾の同じ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)達相手にも優位を取れずにいた。スティングの頭を踏み潰してクロヘビがゴールしていく光景を見てジエンマは怒りが爆発寸前だった。

 

更にユキノ、こちらは対戦相手のカグラに実質何も出来ず、圧倒的な実力差で完膚なきまでの敗北だった。しかも戦闘は星霊に頼りきりであり、終始ずっと上から目線の口調で話していた。

 

許せなかった。弱者が自分のギルドにいることなど。スティングとユキノの失点でこの大会で自分のギルド評判は落ちるだろう。

 

本当に何とかして()()()()()()()()()()()()

 

 

今からでもユキノとフリスを入れ替える事が出来るか。

 

ジエンマの眼に闘技場の端に映る弱者(ユキノ)とそれを支える強者(フリス)が映った。

 

「ん?、むむ?、ふむ…」

 

2人を見たジエンマの脳にふとある考えが浮かんだ。

ギルドメンバーへの情が欠片も無いこの男の脳に1つの策が思い浮かんだ。

 

こうすれば…良いのだ…。

 

 

「ユキノ、お前は用済みだ…」

 

 

ジエンマは内心ほくそ笑んだ。

 

 

 

 

 

 

剣咬の虎(セイバートゥース)の医務室ー

 

 

使う予定のなかった医務室にフリスはユキノを連れてきていた。選手席に戻った際に丁度来ていたローグがフリスとユキノをここまで案内してくれていたのだ。医務室に来るとローグはその場を離れた。ベッドに腰掛ける彼女の隣に座っていた。

 

「ユキノ…」

「っ、っ、…ううっ…」

 

医務室のベッドでフリスは泣きじゃくるユキノの背中を擦っていた。

 

「っ、私…勝てると思って…」

「うん。」

 

ユキノは泣き声でポツリ、ポツリと話し出す。フリスはそれを隣で聞いてる。

 

「最初は…上手く行ったと思って…」

「うん、そうだよね…」

 

ただ、ユキノの言葉に頷くフリス。

 

「負けるなんて思ってませんでした…。」

「そっか…」

 

ユキノがそう思ってたのも無理は無いカグラから感じる魔力はあまり高くなかった。だが、彼女は魔力に頼る必要が無い程に…否、剣の実力だけで魔導士を凌ぐ程の実力を持っていたのだ。

 

「っ、っ、私…」

「うん?」

 

ユキノは泣き疲れてきて掠れ声で話す。

 

「…私は…」

「…んん?」

 

フリスは耳を近付ける。ユキノは掠れた声でしかしハッキリと声に出す。

 

「フリス様に、…見て欲しかったです、…私の勝つ姿を…」

「!?」

 

フリスは「え、」と声を出しそうになる。直後、ああそうかと納得する。自分の失態を帳消しにしようとしてくれていたのだと。しかし続けてユキノの口から出た言葉はフリスの予想とは遥か遠く、斜め下を行く内容だった。

 

 

「私、貴方に憧れたんです。フリス様、私、数ヶ月前から貴方を知っていたんです。雪山で会ったのが初めてじゃ無いのですよ。」

 

その後、ユキノの口から出た話はフリスにとって衝撃的だった。

 

 

 

 

 

 





2日目長いかも、

色々な展開はもう少しお待ちください。
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