剣咬の虎に入った青年   作:氷結界の龍トリシューラ

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久しぶりの投稿です。

ご迷惑をお掛けしました。


今回はユキノの記憶前編です。






間章 彷徨う日々・前

 

数ヶ月前ー

 

 

 

フィオーレ北部、亜寒帯・ウラヌス山脈

 

 

 

 

剣咬の虎(セイバートゥース)の魔導士ユキノ・アグリアが出向いた依頼先。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「~ん~っ!!!!!!、ん~っ!!!!!!!!!!!っ、(い、嫌っ!!!!嫌っ!!!!!!…)」

 

 

ユキノは暴れていた。その眼に恐怖を浮かべて…。

 

 

彼女は山小屋の柱に縛りつけられていた。

魔法封じの拘束具である頑丈な縄はびくともせず、ユキノが暴れれば暴れる程体力を消耗していった。

 

 

ユキノの眼には…彼女の身体を舐め回す様に見ている数人の男が映っていた。

 

「へへ、こりゃ、仕事放棄して正解だったな~」

「ああ、良い女が見つかったぜ。」

「にしても弱いな~、星霊がいないと何も出来ないぜ。」

 

「…っ!!!!!!」

 

 

金と銀の鍵を振りながらニヤニヤ笑う男達。

この人気の無い山小屋にいるのはユキノと周りにいる数十人の男達だった。1人がユキノの足を撫でる。そのいやらしい感触からユキノは身を捩り逃れようとする。

 

 

「っ~、ん~!!!!!!、ん~!!!!!!(なんで…こんなはずじゃ……)」

 

 

ユキノは暴れながらも思う。彼らと戦ったユキノの感想。

 

 

「(…なんで、剣咬の虎(セイバートゥース)の私が…強いはずなのに……なんで……っ!!!…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日前ー

 

 

ユキノが剣咬の虎(セイバートゥース)に入って半年以上が経過した頃…ギルドに1つの依頼が来た。

 

「場所は、亜寒帯ウラヌス山脈の中腹、

依頼は…()()()()()()()の末端組織、()()()()()()()()

総額45万J(ジュエル)……受けましょう。」

 

ユキノはリクエストボードから依頼の紙を取り、受付で受領して貰い、早速現地に向かって行った。

 

強者主義の剣咬の虎(セイバートゥース)では大抵の依頼は1人でこなす者が多い。

 

距離が遠いため、ユキノは移動の為に鉄道を利用していた。

 

 

「(私も強くなりました、このような依頼など容易いものです…)」

 

剣咬の虎(セイバートゥース)に入って半年が経ち、数々の依頼をこなして行くに連れ、自信のついたユキノ。

 

たかが山賊ギルド程度ならこれまでに何度も潰して来た。

彼女の能力は星霊依存ではあるが、大抵の相手には負けない。今回も身一つで辺境の地へと向かう。

 

 

「(…さっさと終わらせましょう。)」

 

 

ユキノは知らない。確かに今回の依頼の山賊ギルドは小規模で弱く、簡単な相手だった。

 

しかし…その背後にいる組織は大きく強大なものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、同じ日、その組織を脱走した青年がいた。

 

組織はその男を追ってウラヌス山脈に入っていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユキノは山賊ギルドの捕縛の依頼を受けて、このウラヌス山脈に出向いていた。

 

 

そして、山の麓から馬車を可能な限り出して貰い、山脈に入って行ったユキノ。

 

 

 

 

 

 

 

…その道中、山の中腹にて、1人の青年とすれ違った。

 

 

 

 

 

青年はユキノを呼び止めて彼女に戻るように言われた。

 

 

 

「この先に闇ギルドの拠点がある、君も戻った方が良い。」

 

「別に問題ありません、

私こう見えて剣咬の虎(セイバートゥース)の魔導士なのです、

失礼します。邪魔をしないでください。」

 

 

自分は王国最強魔導士ギルドの人間であると断り、青年の静止を振りきって、そのまま目的地まで向かって行こうとした。

 

 

 

 

 

 

だが、

 

 

 

 

 

ガシッ グイッ

 

 

 

「ひゃあっ」

 

 

青年に手を握られ、いとも簡単に引き寄せられてしまうユキノ。

大きな手がユキノの手を引き寄せた。

 

 

 

 

不思議な事にユキノは手も腕も痛くは無かった。

 

 

 

「…っ…何を…!…」

「悪い、度々すまないが魔導士さん、頼む、俺の為にも依頼をキャンセルして戻って欲しい。」

「っ…何なんですか貴方はっ…失礼ですよ。」

 

ユキノは苛立ったように腕を振り払おうとする。

 

 

 

 

 

 

だがしかし…

 

 

 

 

 

「っ…(離れないっ…全然痛くないのに…)」 

 

 

ユキノは青年の手を振り払えない。

 

格闘術を嗜んでいるユキノは様々な技を掛けようとするが青年に掴まれた手は万力の如く動かなかった。

 

 

 

「っ…離して…くださいっ!………」

「………。」

「〜〜〜〜!!!」

 

 

 

どうやっても青年を動かせないし逃げられない。

 

ユキノは何とか逃げようにも逃げられず、徐々に疲れてしまう。やがて荒い息を吐いて座り込みそうになる。

 

 

 

「…〜〜〜〜〜っ!!!……んっ…………へ…???」

 

 

 

ユキノの心と身体が少し諦めかけて力が抜けた時、青年はユキノの手を優しく離した。

 

 

「…え?、…え?、……」

 

 

手を離されたユキノは信じられないとばかりに青年と自分の手を交互に見る。ユキノの手には跡すら付いて無かった。

 

 

 

「お嬢さん……じゃなくてお姉さん、最強ギルドの…剣咬の虎(セイバートゥース)の魔導士…だよね。」

「……はい…そうです…。」

 

 

 

疲れてしまったユキノは半ば諦めて返事する。

 

青年は構わず続けた。

 

 

 

「実は下山するのに1人だと不安なんだ。だから…護衛を頼んでも良いか?」

「…え…?」

 

 

 

困ったように頭を掻く青年。

 

ユキノはその姿を見て呆気にとられる。

苦笑いで此方をチラチラ見ている姿はさっきまでユキノが格闘していた相手と同一人物だとは思えなかった。

 

 

「その、すまない、最強ギルドの魔導士さん…恥を忍んでお願い致しますっ」

 

 

そう言ってユキノに頭を下げる青年。

 

自分を頼りにしているその姿。

ユキノはその情けない姿を見て少しばかり同情心が湧いた。何故かわからないが、可笑しくなってしまう。

 

「……はあ、わかりました、同行してあげます。」

「ありがとう、魔導士さん。」

 

 

青年が顔をあげる。

 

表情が明るくなり、ユキノの両手を握りお礼を言ってきた。

 

 

その表情の明るさ故か何故か手を握られた時、ユキノの疲労が吹き飛んだ。

喜んでいる青年を見て、ユキノはまあ仕方ないかと微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ユキノは青年を麓まで連れて行った。

 

 

青年と喋りながらユキノは下山していたがその話は魔導士であるユキノにとって意外と面白かった。

 

詳しくは省略するが、ユキノから見た青年は冗談を真実であるかのように言う面白い人だった。

 

 

 

 

……道中、時々魔力を感じたが、ユキノと青年が直接山賊ギルドや闇ギルドに遭うことは無かった。

 

 

 

麓に来る頃には辺も暗くなっていた。

 

 

 

 

 

「魔導士さん、わざわざすまない、護衛してくれてありがとうございます。」

「いえ、お礼なんて、これも魔導士の仕事ですから。」

 

ユキノと青年は麓の村に来ていた。

 

 

「その悪かった…えっと…魔導士さんの…仕事だけど…」

「あ、今晩は私もこの辺で泊まっていきます。」

「そうですか、良かったらコレ受け取って下さい。」

 

 

青年は懐から何やら袋を取り出す。

 

 

「え、こ、これ…」

「せめてものお詫びです。多分山賊ギルド逃げちゃったので。」

 

 

青年が懐から出したのはお金。その額は今回のクエストでユキノが手に入れるはずの金額よりも多かった。

 

 

「そう言われれば…でも…」

「魔導士さんと話が出来て楽しかったです。お願いします。」

「そこまで言うなら…」

 

 

ユキノはお金を受け取った。

 

 

「それでは魔導士さん、お世話になりました。」

「あ、気をつけて帰ってくださいっ!!」

 

 

青年が手を振ってくる。ユキノも手を振り返した。

 

 

「…う…か…無い…よ…ね…」

 

 

青年は背を向けたまま、何やらボソリと言ったがユキノには聞こえ無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、はっ…いけない、私ったら…山賊ギルドを片付け無いと…。」

 

 

ユキノは青年が見えなくなると仕事に戻る。

 

王国最強ギルド剣咬の虎(セイバートゥース)所属の魔導士の名にかけて依頼は達成せねばならない。

 

 

急いで馬車を手配し直した。山を登り、山の中腹へときた。

 

今日出ている馬車はこの場所とこの時間までのようだ。

ユキノはその場所に小屋があったのでそこに泊まることにした。

 

 

 

 

鍵をかける。

 

 

 

 

 

風の音が木製の小屋にはよく響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜10時…

 

ユキノは眠くなってきた。

 

 

「もう、今日は寝ましょう…」

 

 

ユキノは休もうとした、

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった、

 

ユキノの耳に人の声が聞こえて来た。

 

 

 

外から話し声が聞こえてきた。

 

 

 

「……なあ、このへんで休もうか…」

「…そうだな…あいつなら村まで降りただろう…わざわざ返り討ちに逢いに行くこたねえ…この辺で休んで、明日はギルドに戻ろうぜ…」

「そうだな…」

 

 

 

もう10時すぎ。魔導士だろうか、

こんな時間に外を歩いている人がいるようだ。

 

 

 

 

「っ…誰かいる…」

 

 

 

ユキノのいる小屋の外で声が聞こえた。足音からして十人近くいる。

 

ユキノは小屋から出て迎い入れようとした。

 

 

 

 

 

 

が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあなあ、村まで行って女でも貰ってかねえか。」

 

 

 

 

ピタッとユキノが固まる。

 

 

 

 

「はあ、おいおい、あいつの強さ忘れたのか…俺達じゃ無理…マスターだって勝てねえさ……やめとけやめとけ。」

「そうだな、俺たちが闇ギルドだってバレてるしな、捕まっちまうぜ、この小屋に女いねえかな〜」

「こんなボロ小屋にか?いるわけねえって。」

 

「っ…」

 

 

 

 

ユキノは驚いた。外にいるのは闇ギルドの集団だったのだ。

 

 

 

「よし、取り敢えず入るか。ってあれ開かねえな。」

 

 

 

 

 

ユキノは鍵をしめた。そして戸を全力で抑える。

 

 

 

「ん?中に誰かいるぞっ!!!」

「誰だっ!!中から締め出そうとしてる奴はっ!!!」

 

 

 

ドンドンと戸がなる。ユキノは全身で抑える。彼女の身体は恐怖で震え始めた。一度震えるとそれは止まらない。

 

 

 

「おいっ!!!開けろっ!!!」

「てめえ、何閉めてやがるっ!!!!」

「出てこいっ!!」

 

 

 

男達の怒声がドア越しにも大きく響き渡り、音が大きくなる。

ユキノは戸を抑えるが戸が激しく揺れ、音がどんどん大きくなっていく。

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

「おうらあっ、」

「きゃあっ」

 

 

 

大男の一撃でユキノはついにドアごと吹き飛ばされた。

 

痛みに呻きながらもユキノは顔を上げる。

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

 

…何もなくなった入り口から大柄な男がぬうっと入って来た。

次々に入ってくる男達。

 

いの一番に入って来た男が倒れ込むユキノに気付き、立ち止まり見下ろす。

 

 

 

「「「「「…………。」」」」」

 

 

 

 

男達はユキノを見て固まっていた…

が、次第とその口元が三日月に歪んでいく。

 

「ふむ、…女…だな?…」

「……おい…凄えいい女だ…ぜ…、」

「ほう…」

「……。」

「「「「「………。」」」」」

 

 

視線をユキノから離さずヒソヒソと話す男達。

 

皆、倒れているユキノを見下ろして凝視している。彼らの僅かにと口元が歪んでる男達を見てユキノは震える。

 

 

1人がユキノに手を伸ばしてくる。

 

 

「っ!…触らないでっ!!」

「痛えっ!!、何するんだっ!!」

 

咄嗟に男を蹴りで払いのける。ユキノに蹴り払われた男は怒声を上げて痛がった。次々に男達がユキノを掴もうとする。

 

「っ…やめてっ…やめ…」

「捕まえたぞ、大人しく…」

「っ…」

「…てめえっ!!…」

 

ユキノは男の脛を蹴り、逃れようとする。が…男の手はユキノの片手を掴んで離さない。寸での所でもう片方の手を掴まれる前に鍵を持った。

 

 

だが…

 

ガシッ

 

 

 

「へ、捕まえたぜ。鍵は使わせねえよ。」

「…っ、(そんな…)」

 

 

もう片方の腕もとられ鍵を取られてしまった。鍵を手にした男が嗤っている。

 

「へっへっへっ、これで身一つ…」

「まあ、待て…」

 

 

っとここでリーダー格の男が止めに入った。

 

 

「折角だ、星霊とやらを見せてもらおうぜ、」 

 

「えー、もう遊びてえよ。」

「レオン様、もう俺我慢出来ないっす、」

「ああ?いいだろ?これだけいたら逃げられねえさ。」

 

 

ユキノ1人に対して男達は十人前後おり、それぞれの魔力もユキノよりも上だった。

 

 

「う〜んがまあこれも遊びのうちか…」

「そういう事だ…お嬢ちゃん…星霊とやらを出しな、金の鍵を一体だけ許してやるよ。」

 

 

嗤いながら挑発するようにユキノを見下ろすリーダー格の男。下からだと真っ黒く見える顔の内、三日月の口元だけがよく見える。

 

 

 

 

明らかにユキノを下に見ている。

 

 

 

男達はユキノを拘束したまま、その右手だけを解放した。

 

 

ユキノは悔しかったが、絶好の好機だ。震える手で鍵に魔力を込めた。

 

 

「開けっ!…双魚宮の扉…」

 

 

ユキノは震えながらも星霊を召喚する。 

 

 

「ピスケスっ!」

 

 

掛け声と共に人型のピスケスが出てくる。

出てきたのは何処か魚を思わせる風貌の2人1組の星霊。

 

 

 

星霊達は状況を見て驚いた。

 

何しろオーナーのユキノは数人の男達に拘束されていたのだ。

 

男達によって他の鍵も使える状況では無く、今、出ている星霊である彼女達が最期の望みだ。

 

 

「オーナー!!、

くっ……オーナーの命にかけて、貴方達を殲滅します。」

「凄い数っ!!けど任せて、」

 

ピスケス達は数に怯む事なく、男達に向かっていく。 

 

 

 

 

 

 

 

しかし…

 

 

「へ、海雷撃っ!!!」

「があああああっ!!」 

 

「ピスケスっ!…」

 

 

男の1人が放った魔法、電撃を纏った水流がピスケスを襲う。

かなりの威力で小屋が破壊され、屋根が完全に吹き飛んだ。2人のピスケスはもろに雷の魔法を受け、感電し、倒れ伏してしまう。

 

「…っ!!…まだまだっ!!…」

「オーナー…僕達はまだやれるっ!!!」

 

 

何とかオーナーであるユキノの為にボロボロの身体に鞭を打ってピスケス達は立ち上がる。

 

「おうらよっ!!」

「ぐはっ、」

「坊やっ!!、しっかりっ!!!…ごふっ、」

 

 

2人とも男達に簡単に殴り倒される。

 

 

「な〜んだ弱えじゃねえか、見て損したぜ、お前ら、こいつらボコボコにしろ、」

 

 

リーダーの男も星霊に飽きてしまい、部下に止めを指すように命令する。2人のピスケス達は、男達によって蹴り飛ばされ殴り伏せられ、地に伏せられてボコボコに踏み躙られた。

 

「ピスケスっ!!」

 

ユキノは絶叫する。

しかし、星霊は倒され、星霊界に消えて行ってしまった。

 

 

「残念だったなお嬢ちゃん。」

「ここじゃまた誰か来るかもしれねえ、少し戻った所にも小屋があるからそこに移ろう。」

 

 

唯一の味方があっさりと無力化され、ユキノの眼が恐怖でいっぱいになる。

ユキノは自分の運命を悟ってしまう。絶望で目の前が真っ暗になる。ユキノはあっという間に捕縛され、担ぎ上げられ運ばれた。

 

 

「っ、やめて、触らな…むぐっ…」

「騒ぐな…誰も来ねえよ。」

「ふひひ、でっけえ胸だなあ〜」

「おい、良い尻してるな〜」

 

 

触るなと言って触らない相手では無い。

 

鍵を奪われ、ここに運ばれる道中ユキノは身体を散々触られた。ユキノは恐怖と悔しさと性感帯を触られる感触に震えた。次第と精神は弱っていった。

 

下劣な奴らだが、実力は確かで、ユキノは身動き出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。

 

 

ユキノの最強ギルドでという誇りは完全に砕かれ、ただ、この場から解放されたいと願うばかりだ。

 

誰か村の人が助けに来ないか、そればかりを願っていた。

 

 

 

 

 

 

しかし、その願いも無惨に打ち砕かれる。

 

 

 

 

 

 

「ヒヒ、そろそろ遊ぶか…、俺からで良いよな、」

「はあ?、俺が先だっ、お前殆ど何も出来て無いだろ。」

「ならさっさとやれよ、ほら行け、」

「ヒヒ、そう言うことだ、銀髪の姉ちゃん、まあそんなに痛くはしねえから安心しろ、」

 

 

 

男が近づく…。暴れるユキノを抑え込み、その服を脱がし始めた。

 

「ん~!!!!、ん~!!!(嫌っ、!!!!、嫌っ、!!!!)」

「おいおい暴れるな、なあ、グリル、お前ちっとこの脚を抑えてろ」

「ヘイヘイ、早くやれよな、」

 

 

 

 

「(そんな…)」

 

 

ユキノは涙を浮かべながら下を向く。

 

 

 

「おい、股を開けよ。」

 

 

急に目の前の男が命令口調でユキノに言い放つ。ユキノはその言葉に固まった。目の前の男は舌打ちするとユキノの顔に平手を打った。ダンッと足踏みするとユキノはビクッと震えた。

 

「聞いてるか?人の話はちゃんと聞けよ。お前に蹴られた脛が痛えんだよ。」

「そうだぜ、俺達はお前が暴れるから抑えてるだけなんだからな。」

「〜〜!!!!」

 

男達は次々にユキノへと口撃する。皆ユキノの身体を触ってくる。

 

「少しは礼節ってもんを持って欲しいな〜。」

「これだから駄目なんだよ、事実俺達を閉め出そうとしたしな。」

 

 

「おい、お前達脚を開かせろ、」

「へいへい、ほらほらお嬢ちゃん、暴れちゃ駄目でちゅよ〜」

「今、下を替えますからね〜」

「〜〜っ!!!!、〜〜っ!!!!、」

 

 

ユキノは暴れるが男達は脚を押さえつけ開かせてしまう。ユキノの眼の前に一人目の男が…迫る。

 

「ほらほら、悪い娘だお仕置きが必要だな…」

「…(嫌っ…い…や…っ…)」

 

 

 

ユキノは眼を瞑った。

 

 

 

その時だった…

 

 

 

 

 

 

 

ドンッ

 

 

 

「何だ?……」

 

小屋の戸が激しくなった。続け様にガタガタと戸がなる。

 

 

「すいませ〜ん、この小屋は満員で〜す、他を探してくださ〜いっ!!」

 

 

 

男の1人が外に向かって声を上げる。

 

 

 

 

 

 

ドンッ、ドンッ

 

 

 

 

再び戸がなった。

 

 

「満員だって言ってるだろっ!!!」

 

 

苛立った男が怒鳴る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、蒼暗く辺りが照らされた。

 

 

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

 

ズドオッ

 

 

 

 

 

 

 

戸が吹き飛び、男の2人が吹き飛んだ。

 

他の男達がそちらを見るやる前に、

 

 

 

 

 

 

カッ

 

ドゴオオオオオッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼く何かが光り、8人が壁に叩き潰された。

 

ユキノは何が起きたのか理解するべく現状を見ようとする

 

 

 

 

が、…

 

 

 

 

 

 

ユキノの目の前の男の顔が消えて、

 

 

 

 

 

 

ドガガガガガガッ

 

 

 

 

 

 

 

轟音と共に後ろにいた男達十数人ごと小屋を破壊して吹っ飛んでいった。

 

 

 

 

ユキノを拘束していた男が逃げようとして、

 

 

 

 

 

ズドオオオオッ

 

 

 

 

青い光に叩き潰された。

 

 

その光はユキノの前に立つと人型となって降り立った。

 

ユキノは前を見た。何かがユキノの前に立っている。

 

 

「ひいいいいっ!!!!!、何なんだっ!!!!!、殺されるっ!!!!!」

 

 

 

ユキノを襲っていた男達の後ろに控えていた集団が一斉に破壊された壁から逃げようとしたり、こちらに様々な魔法を撃って来たりするが、

 

ユキノの前にいる何かが片手を男達に向けて、

 

 

 

 

 

ピカッ

 

ドオオオオオオオオオオンッ!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

一人残らず青い光に飲み込まれ吹き飛ばされた。

 

 

 

 

逃げていく一人一人を青い光が攻撃し、男達は一人残らず潰された。ある者は光の矢を受けて、ある者は蒼火球で焼かれて…

 

 

 

 

ユキノは眩い光の中、何とか前を見ようとする。

 

蒼光の中、ユキノの前の人影が振り返った。

 

 

その人影を見たユキノの顔が驚愕に変わる。

 

 

 

「!!!」

「悪い、遅くなった。」

 

 

 

少しだけ揺れる長くは無い銀髪。

 

 

その人の顔にはユキノは見覚えがあった。

 

ユキノの方を見る青年の顔…

 

 

「(昼間の人…っ、)」

「大丈夫…じゃないな…待ってろ…」

 

 

青年はユキノを拘束していた布や、縄、手錠を取ってくれた。ユキノは自由になった。

 

 

「あ、貴方は…」

「…怪我は無いか…取り敢えず、これ着てくれ、」

 

 

バサリと何一つ纏ってないユキノの身体に青年は上着を掛けてくれた。大きな上着がユキノを包む。

 

此方を除き込む顔、ユキノは徐々に緊張の糸が解けた。その為か、ユキノの眼からは…

 

 

「あ、あれ…私…」

「!…怖かったか…もう大丈夫だ。安心しろ、」

「え?え、あ、あれ?」

 

 

青年はユキノの背中に手を回しそうっと擦る。

 

青年の大きな上着と大きな手の温もり。

その手の体温を感じた瞬間、ユキノは我慢できなかった。

 

 

「ん、んうううう、う、う、うああああああっ!!」

 

 

ユキノの眼からは涙が止めどなく溢れて来て止まらなかった。青年がユキノを支えるとユキノは思わず青年にしがみついてしまう。

 

 

そして…大粒の涙を流して大声で泣き始めた。

 

 

「う、ううっ、ゔううううう〜!!!」

「すまん……じゃ、すまないな…」

 

 

ユキノは恥も自尊心も忘れて大声で赤子のように泣きじゃくる。

その為かボソりと呟いた青年の声も分から無かった。

 

 

 

 

青年はユキノを支えると、通信機で評議員に連絡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日前、

 

 

 

 

 

 

闇ギルド異界の魔物(Xeno・Monsters)

 

イシュガルの辺境の地の洞窟にある。強大なギルド。

 

この闇ギルド、マスターの男は聖十大魔導士を遥かに越える魔力を持ち、冥府の門(タルタロス)を凌ぐ程の傘下ギルドと資源を抱えている。

 

「マスターっ!!、マスターゼノっ!!!、少し良いですか。」

「なんだ…何か起きたのか、アトス」

 

1人の女性魔導士が焦った様子で彼女のギルドマスター話し掛ける。アトスはギルドの書庫を指差して訴える。

 

「あの青年が、またギルドの書庫から本を取り出してます。それに資材庫も荒らされてます。」

「ん?ああ、あいつか…ま、良いだろう。放っておけ。」

「で、ですがっ!!!」

「落ち着け、まあ確かに怪しいが、仮に正規ギルド(カス共)のスパイだと仮定するなら、あからさま過ぎる。あれ程大ぴらに行動するものか。」

「……。」

「ま、ここに来る時点でなんかしらの理由があるのだ。それに、奴の実力は本物だ。我々の仲間に加われば鬱陶しい冥府の門(タルタロス)をはね除ける事も容易い。」

「マスターがそう言うなら…」

 

アトスは納得していなかったが引き下がった。それを見てマスターの男は深いため息をついた。

 

「(まあ、異界の魔物(俺のギルド)を抜けると言うなら…話は別だがな…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃ー

 

 

「無いな…ん?…この瓶は……」

 

1人の青年がギルドの地下にある資材庫を掻き分けていた。

 

「違った…只の催眠薬、……あの棚にあるのは…っ!!!…()()魔水晶(ラクリマ)か…うんざりだ…。」

 

棚から滅竜魔導士のラクリマを見つけたが即戻す青年。

青年の横には大量の書物があり、それは全てこの魔導士ギルドの物だった。

 

「無いな。別のギルドを探すか。」

 

青年は顔を上げた。青年の目的の物は見つからない。これ以上ここにいても無駄だと判断した青年は資材庫から出てきた。そして、ギルドの1階へと昇っていく。

そして、ギルドの奥の部屋へと向かって行く。部屋をノックする。

 

「なんだ、」

「すみません、マスターゼノ、話があります。」

「入れ、」

 

この闇ギルドのマスター、大きな体格に蒼髪と真紅の眼が特徴の男、ゼノが青年の方を向く。

 

「単刀直入に言います、俺、今日限りでギルドを辞めようと思います。」

「……ふむ…貴様、一応理由を聞こう。」

 

余裕綽々の態度のゼノが青年に尋ねるのにも理由がある。青年がこのギルドに入ったのは数日前。直ぐに辞めるのは不自然だった。ここ最近、青年は正規・闇問わず、魔導士ギルドを移っていた。

 

「俺はとある効力を持つ薬…あるいはそれに関する書物が無いか探していました。その薬品がこのギルドには無いのです。だから抜けさせて頂きます。」

「ま、待てっ、」

 

近くで聞いていたアトスの声を無視して、青年は頭を下げるとそのまま背を向けてギルドの出入口へ向かう。ギルドメンバーはあたふたとしているが、誰も青年を止めない。

 

 

 

 

その背中がギルドの外に出掛けた時、

 

 

 

 

 

 

 

「待て、組織の情報を持った貴様を我々が逃がすと思うか。」

「……。」

 

「散々ギルド内を嗅ぎ回った貴様を逃がすわけ無いだろう…」

「…。」

「ふ、お前達…そいつを捕らえよ…」

 

「「「はっ!!!!!!」」」

 

 

 

 

ゼノの言葉を革切りに青年を取り囲む面々。

 

青年の正面に来たアトスが、いの一番に口を開く。

 

 

「ふ、残念だったな、最も私は貴様を疑っていたが…」

「…。」

「黙りか…まあ良い、やれっ!!!!!!」

 

 

 

「「「「うおおおおおおおっ!!!!!!」」」」

 

 

100人近い部下達が一斉に青年に襲いかかる。

 

 

 

 

 

 

だが、

 

 

 

 

 

 

 

「「「「え…」」」」

 

 

 

部下達の前から消える青年。

 

 

その直後、青年はギルドの外に出ていた。

 

 

 

 

「「「う、ぐああああっ!!!!!!」」」

 

 

 

直後、部下達は肩から血を吹き出して倒れた。

 

青年は進もうとする。

 

 

背後から暴風のような魔力が発生し、ギルドの入口を出た青年の前にゼノが一瞬で移動する。青年を通すまいと立ちふさがる。

 

 

「逃げると言うなら貴様には眠って貰おう。」

 

 

瞬間不気味な光が辺りを包んだ。

 

 

急にその身体が青と真紅の混沌の光に包まれ、ゼノの姿が大きく変わる。

 

 

「う、うわああっ!!!!!」

「ば、化け物だー!!!!!!」

「や、やべえ、俺ギルド抜けるわ…」

 

 

ギルドの部下達が悲鳴をあげる。新しく入った者の中には逃げ出す者もいる。

 

 

 

服が破れ、頭部が肥大化し、頭には角が2本Vの字に生えてきた。その手足が巨大化し、4本脚になった。

それは青く変色し、透明な結晶が組み込まれ、背中からは巨大な爪が生えてその身体が大きくなり、背中からはバサリと大きな翼が生えてくる。

その背後からは長い尾がヒュン、ヒュン空を切る様に伸びていた。

 

大きくなった顔からは無数の牙が生え揃い、そして、その真紅の眼が青年を見下ろした。

 

 

『我は冥界の魔竜、Monster・Xeno(モンスター・ゼノ)

我々に協力しないのなら貴様は今日で終わりだ。』

 

 

 

辺りの木々を遥かに越える高さから青年を見下ろす竜。

 

強大で凶暴な冥界の魔物(ドラゴン)が青年の前に立ち塞がった。

 

 

『さあどうする青年よ、まだ生きたければ働かせてやるぞ。』

「…悪いが断る、」

 

 

青年の言葉の途中でMonster・Xeno(モンスター・ゼノ)は魔力を高めた。そして、その口に魔力が集まってくる。

 

 

『なら、消えろ』

 

 

 

そのモンスターの口から青濃く透明な光が収束し、やがて大きくなる。

 

 

 

「な、なあ(汗)、マスターは何をする気だ…」

「い、いやわからねえな…」

「あ…」

 

 

 

そして、青年に向けて一気に光線が撃たれた。

 

 

 

ドオオオオオオッ

 

 

 

「「「うわああっ!!!」」」

 

 

 

轟音と共に辺りが吹き飛ぶ、ギルドは破壊されてしまった。

 

 

『(ふ、たわいもない……)』

 

 

部下ごと青年を吹き飛ばしたと思ったMonster・Xeno(モンスター・ゼノ)は一応爆心地を見ていた。しかし…

 

 

『…何っ!!!!』

 

 

 

爆心地のから魔力が高まっていた。そして爆発の埃が徐々に薄れていくと同時に目の前の光景を見て驚く(ドラゴン)

 

 

 

 

 

 

「…残念だったな…」

 

 

 

何とそこには()()の青年の姿があった。青年の周りは光が発生し、青の稲妻が迸っていた。

 

 

 

 

『ふ、そう言うことか…その属性には耐性があるようだな。』

 

『…ならこれでどうだ!!!』

 

 

 

 

 

 

Monster・xeno(モンスター・ゼノ)は再び魔力を高める。今度は黒い渦で辺りが覆われる。闇の魔力だった。

 

 

 

 

冥界の濁流(ゼノ・ストリーム)!!!』

 

 

 

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『…貴様、まさか…』

「お前が考えている事は多分あっているぞ…」

 

 

 

そして、青年の身体を蒼闇が包む。

 

Monster・xeno(モンスター・ゼノ)は青年だったその姿を見て驚愕し、他の物は震えで動けなかった。

 

 

 

『馬鹿な…(俺より優れた◼️◼️◼️◼️…)』

 

 

Monster・Xeno(モンスター・ゼノ)はその姿を()()()()後退する。

 

 

 

 

「じゃあな、」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「…世話になった。」

 

 

ギルドメンバーはざわつきながらも去っていく彼を見ていた。青年がギルドの門を抜けて外に出ていった。

 

 

「おのれ!!!追え、追うのだっ!!!」

 

 

 

アトスの声にギルドメンバーはのろのろと動き出した。

 

 

その中に本気で青年を追おうとするものはアトスを含めていなかった。

 

 





ユキノの記憶編です。

後編に続く。


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