剣咬の虎に入った青年   作:氷結界の龍トリシューラ

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今回でユキノの回想は終わりです。

青年■■■とユキノの出合いにお付き合い頂きありがとうございます。

次から本編に戻ります。

長くお待ち頂きありがとうございます。






間章・彷徨う日々・後

 

 

 

ユキノが正気を取り戻した時、評議員の部隊が来ていた。

 

例の青年は闇ギルドの面々を引き渡していた。

 

評議員は倒れている男達の紋章を見て怯えていたが、部隊長の命令で拘束し出した。その内の2人が事情聴取の為にユキノ達の方に近づいて来る。

 

「……!!!!」

 

反射的に青年の陰に隠れるユキノ。

青年が評議員に事情を誤魔化して伝えている中、ユキノは評議員の男性にすら怯えており、ずっと青年にしがみついていた。

 

評議員に闇ギルドを押し付けた後、青年は真っ暗の中ユキノを連れて下山した。

 

 

 

 

青年が泊まる予定だった村の宿まで戻り、その晩は2人で1部屋に泊まることになった。

 

 

同じベッドに眠る訳にもいかず、取り敢えずベッドにユキノは寝かされて青年は床に寝転んだ。

 

 

ユキノは精神的に消耗しており糸が切れたように眠りに落ちた……。

 

 

 

 

 

 

 

「(……はっ…)」

 

 

夜中にユキノは目が覚めた。ユキノの眼に映るのは真っ暗い部屋の壁。宿の一部屋だった。

 

ユキノはベッドから起き上がっていた。

 

 

 

ふっと思い出す。 

 

 

頭の中に男達の顔が思い浮かぶ。

急に恐怖が襲ってくる。

 

ユキノは震えた。狂ったように辺りを見回す。

 

ベッドのすぐ近くの床に例の青年が眠っていた。

 

「っ…」

 

ユキノは青年に抱きついた。

 

「ん?」

 

青年はユキノの重みで目を覚ました。

 

 

「何だ?、おいおい、大丈夫か?」

「……。」

 

 

ユキノは青年から離れられない。

 

 

取り敢えず青年は床から起き上がるとユキノを抱えて自分もベッド上がり布団を掛けた。

 

「よしよし、俺がいる。大丈夫、大丈夫…。」

「……。」

 

 

青年はしがみついてくるユキノを撫でながら抱き寄せた。

 

 

「怖かったです。」

「ん、」

「凄く怖いです。」

「ん、ほら、」

 

ポツリポツリと溢れるユキノの言葉を青年は相槌を打ちながらより強くユキノを抱いた。

 

 

「〜っ!!〜〜」

「……。」

 

青年は無言でユキノを胸に抱き寄せた。ユキノは再び泣き始めた。

 

やがて安心し、泣き疲れたユキノの意識は少しずつ遠くなっていく。

 

 

「大丈夫、俺がついてる。」

 

 

 

その言葉を最後にユキノの意識は再び沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

(……はっ…)」

 

 

明け方にユキノは目が覚めた。目の前に映るのは薄暗い部屋の壁。

 

ユキノはベッドから起き上がっていた。

 

自分の状況を理解して取り敢えず少しだけホッとする。あの男達はもういない、評議員に捕まったんだ。

 

大丈夫だと自分に言い聞かせ、そういえばと頭を動かすと、自分のすぐ横で青年は眠っていた。その腕がユキノを護るように包みこんでいた。布団がはだけている。

 

「(…いけない…私ったら、)」

 

青年の世話になった挙げ句、ベッドに寝かされている自分の状況を理解した。

取り敢えずユキノは青年に布団を掛けた。

 

青年がビクリと動き布団がずれたのでかけ直す。

 

「〜〜zzzzzz…」

「ひゃあっ、」

 

青年に布団を掛けると急に青年が寝返りを打ち、ユキノは青年の腕によって布団ごと引っ張られた。ユキノは青年の真上に倒れる。

 

 

「!!!?、……〜〜〜!!!」

 

 

ユキノの目の前は青年の顔でいっぱいになる。

 

ガバッと顔を上げるユキノ。少しだけ青年との距離が離れた。

 

「……!!!」

 

青年の顔の全体像がユキノの視界に収まる。

 

 

暗い部屋の中、眠っている青年の顔…

 

 

上から見るその姿は思ったより幼く、綺麗で無防備で思わず庇護欲を掻き立てる。

 

 

 

ユキノはつい、その顔をまじまじと見つめてしまう。

 

 

 

 

 

程よく長い睫毛、透き通るような綺麗な肌、ユキノと同じ銀髪だが、よりが青みがかった髪…

 

…青年の顔立ちはユキノが昼間見たより整って見えた。

 

 

その表情が眠たそうに少し動く。

 

 

「……っ、ハッ…」

 

 

ユキノはずっと青年を見ている事に気がついた。同時に自分が青年の上に乗っている事も、

 

 

 

「……。」

 

 

…しかし、何故か起き上がる気にならなかった。ずっとこのまま上から青年を見ていたい気分にだった。

 

 

 

 

 

「……(綺麗…)。」

 

 

 

薄暗い部屋の中でユキノは青年の顔をじっと見ていた。

 

 

 

 

 

「……(…私が上、です、か…………)。」

 

 

 

 

 

何故かユキノはそう思ってしまった。何故今それを想像するのかユキノにも分からなかった。

 

……こういったものは普通は男性側が女性を護るように包み込むのに…、

 

と、青年の上に乗っているユキノは思う。

 

 

 

「〜〜zzzzz、zzzzzzzz……、ん〜」

「ん?、ひゃああっ!!」

 

急に青年がユキノを抱えたまま寝返りをうった。そのままユキノは抱き込まれ、

 

 

 

…そして、

 

 

 

「…zzzzzzzzzz、」

「…んっ…、んんっ♪(……今更遅いです…)」

 

 

女性が想像する。男性に護られる様に抱かれる構図となった。未だに深く眠っている青年の顔を見てユキノは少し笑ってしまう。今更、護ってあげるだなんて、とユキノは思ってしまった。ユキノの中で目の前の青年は何に変わっているのか。

彼の温かい温もりの中、ユキノの頭に1つの事実(現状)が思い起こされる。

 

 

「はっ…」

 

 

ユキノは気づいた。目の前の青年は初対面の相手だと言うことを。

そして、自分は帰るべき場所(最強ギルド)があることを。

 

「私ってば、駄目っ駄目っ…」

 

自分に厳しくしなければならない。

いつまでもこうしてはいられない、未練を振り払って、青年を押し退けて立ち上がろうとする。

 

 

 

その時、ぎゅっと青年に抱き寄せられた。青年とユキノの密着が更に強くなる。

 

「…んっ」

「…君は大丈夫…」

 

ユキノはビクッとする。

目の前を見る。

 

…青年は眠っていた。

 

 

「………。」

 

 

()、くらい良いか、とユキノは思う。

自分を抱き寄せる青年の腕。ユキノの中で無理矢理の決意が薄らぎ、このまで良いと言う気持ちになり、心が楽になってくる。

 

 

 

 

 

…やがて落ち着いてくるとユキノは心地良さから眠りについてしまう。青年の腕の中で安心して。

 

 

「…ん…」

 

 

温かい青年の腕の中でユキノはすうっと意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュン、チュンと鳥のさえずり鳴き声でユキノは目を覚ます。

 

 

「ん、…私…あれ…」

 

 

 

自分はベッドの上にいた。窓際から部屋に朝日が差し込んでいた。

 

ハッと周りを見回す。そこには…

 

 

「よう、」

「ひゃあああっ」

 

お目当ての人物がいた。笑顔で片手を上げている。

ユキノはびっくりして思わず胸を隠した。

 

「あ、ひゃあっ、ごめんなさい…っ!!!」

「えっ、何?」

「あ、いや、何でもないです。」

 

寝起きで良くわからない行動になっているユキノ。ユキノの頭の中がどうなっているのか彼女自身にも分からない。

 

「…っ…あ、あのっ、昨日は!!!」

「ここ変な宿でね〜、部屋のチェックアウト8時までなんだ、早くしないと宿代払ってもらうよ〜」

 

 

青年はユキノをからかうように自分の整え終わった荷物を見せつける。ユキノが時計を見ると7時40分だった。

 

 

「え、ひゃあっ、ちょ、その、待ってくださいっ!!」

 

 

ユキノは大慌てで着替える。慌てて支度を済ませた。

終えると、宿を出て村の店に入り、2人で朝食を済ませた。

 

 

 

 

 

そして、

 

 

 

青年とユキノは村の入り口まで戻って来た。ユキノは帰路に、青年は…

 

 

「あの、昨日はありがとうございました。」

「ん、ああ、あれは忘れてくれるとありがたいよ。」

「いえ、いつか恩を返すまで忘れません。」

 

困ったように頭をかく青年をじっと見詰めてユキノは言うと青年は苦笑いを浮かべている。

 

 

「そっか、えっと君はこれからギルドに戻るんだね?」

「ええ、そうしたいところですが…」

 

 

ユキノは少し困り顔だった。

それもそのはず、今回の依頼が達成されてないのだ。依頼失敗となるとマスタージエンマに何を言われるか。

 

 

「…?」

「…。(…この方が居てくれたら…)」

 

 

山賊ギルドを探して倒すのにこの青年が居てくれたら楽なのにとユキノは思う。

 

内心悩んでいるユキノ、ふと青年が顔を上げた。

 

 

「なあ、俺が言うのも何だけど、

 

……もし良かったらギルドの依頼、2人で行かない?」

 

「えっ?」

 

 

 

「…いや、だから一緒に依頼に行こうかと思うんだけど良いかな?」

 

 

ユキノは青年の誘いに跳ねる。食い付くような彼女に青年は引きながらも再度繰り返した。

 

「い、行くっ!、来てくださいっ!」

「お、おう、じゃあ行こうか…」

 

 

ユキノにとっては願ったり叶ったりだ。

青年とユキノは再び馬車に乗って山道を登った。

 

 

そして…、

 

 

 

 

「あ、あのマーク、」

「あいつらか、間違い無いな?」

「はいっ」

 

お目当ての山賊ギルドが見付かった。念の為青年はユキノに確認を取る。

 

「よし、早速やるかっ…、ふっ、」

 

 

青年が即魔法陣を展開し、蒼火球が山賊ギルドを襲う。それだけで山賊ギルドは半壊しかけてる。

 

「あ、あれ?……弱い…」

「ひ、開け…双魚宮の扉、ピスケスっ!!」

 

 

「「ギョッ」」

 

「な、何だ?デカい魚が来たぞっ!!!」

「うわあああっ!!!」

 

最初びびっていたユキノも星霊を召喚し攻撃する。2体の巨大な白と黒の魚が召喚され、既に逃げ腰の山賊ギルドを攻撃していく。

 

山賊ギルドはあっさりと壊滅した。

 

 

「え、これで終わり……」

「…あとは、評議員を呼んで、……と、依頼、完了です…。(っ…やっぱりこの人凄いっ!!!)」

「……(…どうする…簡単に終わってしまった…。大丈夫かな…この娘…)」

 

 

山賊ギルドが弱かったせいもあってユキノと青年はあっという間に片付けてしまった。

 

ひと息ついて、ユキノは評議員に連絡をした。

 

「(…呆気無いですけど、これくらいで助かりました…。)」

 

ユキノは山賊ギルドの弱さにびっくりしながらも評議員に連絡を入れた。これで後は彼らの到着を待つだけだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずだった。

 

 

 

 

 

 

「た、大変ですっ!

〜〜村付近で闇ギルドの集団が評議員の包囲を破って逃走しました。

 

 

…そして、ウラヌス山脈に、

 

…こっちに向かって来るそうです。」

 

「えっ」

 

ユキノが怯えたように青年に訴える。

 

驚いた事に評議員の部隊は目を覚ました闇ギルドを抑えきれず、その大半がやられてしまったらしい。

 

そして、彼らは自分の基地に戻るべくこちらに向かって来ているようだ。

 

 

「増援の、…本部の評議員が来るまで、6時間がかかるようです。」

「…!!!」

 

評議員の増援が間に合わない。このままでは再びユキノ達の元にも闇ギルドが来る。青年とユキノは捕縛した山賊ギルドを見る。

 

「ど、どうすれば…」

 

震えて話すユキノ。ユキノと青年は山賊ギルドを拘束している。この場から離れる訳には…

 

「よし、行くぞ。」

「えっ、」

 

驚くユキノ。青年の口がこう動いた。

 

 

 

 

 

 

()()()()()()。と

 

「…!!!!」

 

青年はユキノをじっと見詰めている。ユキノは思い出す。今は1人では無いことを。そして、昨日の光景を…

 

「その、闇ギルド来ます、よ…」

「俺が残らず殲滅する。」

 

ドクンと胸が高なる。あっさりと、迷いも無く言いのけた。目の前の青年は何物なのだろうか。こんなに強い人が今自分のそばにいる。

 

「打ち漏らしたら、どうしますか。」

「追撃するだけだ。」

「それでも、取れなかったら?」

「そうだな、…」

 

 

ユキノは食い下がる。何故かそうせずにはいられなかった。

 

青年は一拍おいた。そして、

 

 

「名前、」

「え?」

 

「名前、なんて言う?」

 

青年の問いにユキノは困惑する。

それでも、

 

 

「ユキノです、ユキノ・アグリア。」

 

「ユキノさん、ユキノね、そうだな、俺が打ち漏らしたらその時は…」

 

 

 

 

ユキノの肩が揺れる。青年がユキノの両肩に手を置いていた。

 

 

 

()()()()()()()()

 

 

 

 

ユキノの心臓が大きく高鳴った。

 

目の前の青年の口元が動く。

 

 

「ユキノなら()()()()。」

 

 

 

 

ユキノの中で何かが壊れた。そして、小さな何かが宿った。

 

 

 

 

 

 

ユキノは青年と共に走って一気に山を下りる。山賊ギルドの面々は青年に捕まったまま高速移動しており、悲鳴をあげていた。

 

 

 

「来ました。」

 

 

中腹を過ぎて森を抜け、遠目に村が見えて来た時、遂にユキノ達の視界に昨日見た紋章の男が映る。青年とユキノは一度足を止める。

 

 

紋章の男が1人、2人と増えてくる。

 

「行くぞっ」

「はいっ、」

 

青年とユキノは同時に飛び出した。ユキノを見た男達は驚いたが、ニヤリと笑いこちらへ向かって来る。

 

「へっへっ、昨日の奴かっ!!()()()()()()()()()()()()()()()()が生憎このとおりだっ!!!!今日こそ捕らえてやるっ!!」

 

「ユキノ、」

「っ、はいっ」

 

 

突撃して来た闇ギルドを見ながら青年がユキノの肩に手を置く、

 

 

「思いっきりやれ、」

「!!!!」

 

 

そう言われたユキノの目に闘志が宿った。目の前の男達は昨日自分を散々慰み者にした人達、私を好き勝手にして来た人達…

 

そんな奴ら、許せない!!!……

 

 

「開け、天秤宮の扉、ライブラっ!!!」

 

「はあっ!!!」

 

 

ユキノが召喚したのは重力操作のできる星霊ライブラ。

 

 

「ライブラっ敵の重力を最大限まで上げて斜め下方向にっ!!!!」

「了解っ!!!!」

 

 

ライブラは下り坂の方向に重力を操作する。

 

「ぐ、うわあああっ!!!!!」

 

「「「ぐおおおおおっ!!!!!」」」

 

 

ライブラの重力操作を不意にくらった闇ギルドの面々は斜め下へと飛んで行く。

 

「何だっ!!、これ!!」

「どうなってやがるっ!!」

 

突っ込んで来た男達は大きく押し戻される。

 

 

「っ調子に乗るんじゃっねえっ!!!」

「うおおおっーりゃーっ!!!!」

 

それでも、身体能力が高いものや、ある程度だがガードする魔法持つ魔導士もおり、それらを相殺して向かって来るものもいる。

 

「開け、双魚宮の扉、ピスケスっ!!」

「昨日の恨み晴らさせてもらうよっ!!」

 

 

その男ためがけて召喚したのは巨大な身体を持つピスケス。重力に意識を集中していた男達は、突然のピスケスの巨体の突進で吹き飛ばされた。昨日とは打って変わってピスケスの猛攻が続く。開けた場所と坂と重力の後押しを利用し、闇ギルドの面々を一網打尽にしていく。

 

ユキノの視界に見覚えのある大男が映った。

 

「海雷撃っ」

 

そのままピスケスに向かって雷を纏った水流を放つが、

 

蒼光(ブルー・レイ)

「なぁっ」

「!!!」

 

青年が蒼の光を放ち、大男の雷をかき消し、吹き飛ばした。

 

「ピスケスっ!!!」

「昨日の恨みっ!!」

「ここで晴らすよっ!!」

「ぐおおおおっ!!!!」

 

 

大男にピスケスが突撃し、地面に叩きつけた。

集団が増えてくる。

 

 

「ピスケス、よくやりました、戻ってっ!!!」

「OK、後は頼んだよ、」

 

ユキノは一度ピスケスを戻した。

 

「今だっ、!!!」

「「「うおおおおっ!!!!」」」

 

ピスケスがいなくなった事で、男達が再び突撃してくる。

ライブラだけでは男達を防ぎきれない。向こうにとって絶好のチャンスだ。

 

 

 

青年がいなければ、

 

 

 

 

 

 

絶対零度(アブソリュート・ゼロ)

 

 

 

 

 

瞬間、目の前に広がる絶対零度の景色。辺り一面が真っ白に氷と化した。ユキノと青年の視界に映る男達は1人残らず、氷漬けとなり、山の景色と一体化した。

 

青年の広範囲魔法で大群が一瞬で凍りついた。

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

「解除、」

 

「う、が、…!!…何だ?コレ…!!」

「あ、が、魔力が、力が入らねえ…!!」

 

 

 

青年が指を鳴らすと男達を凍らせていた氷が解除された。

 

氷から解除された男達の身体がガクンと傾き倒れた。一気に彼らの魔力も体力も大きく落ち、殆ど残っていない。  

 

 

 

 

 

ユキノはその隙を逃さない。

 

 

 

「開けっ!!蛇遣い座の扉、オフィウクスっ!!!!」

 

 

掛け声とともにあたりが闇の瘴気で包まれる。

ユキノが召喚したのは彼女の最強の星霊、巨大な黒い機械の身体を持つ蛇。天に届くその巨体が武器となる。

 

 

「オフィウクスっ、」

「シュルルッ」

 

 

 

オフィウクスはその巨体で大群に向かって行く。そして魔力が無く、崩れ落ちている男達を、

 

 

 

ヒュンッ

 

 

「「「ぐああああああっ!!!!」」」

 

「「「ぐおおおおおおっ!!!!」」」

 

 

一気にその巨大な尾を振り大群を全て麓の村の方まで吹き飛ばした。

 

 

ユキノと青年は村の方まで降りて行く。

 

 

 

 

オフィウクスによって1箇所に吹き飛ばされた闇ギルドは皆倒れていた。

 

 

闇ギルドの男達はピクリとも動かない。起き上がる者もいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決着がついた。

 

 

 

「ユキノ、ユキノ、」

「は、はいっ」

 

 

青年に揺さぶられて呆然としていたユキノはハッと我に帰る。

 

 

「凄いぞ、勝ったな、」

「えっ」

「闇ギルドさ、1人残らず倒したんだ、」

 

 

 

ユキノは目の前を見る。皆倒れている。勝ったのだ。

 

「は、はいっ」

 

「おおっ魔導士っ、良く来てくれたっ」

 

ユキノがそちらを見やると昨晩の評議員の部隊長が来ていた。

 

 

「いやはや、流石にあの数は抑えきれなくてな、参ってたんだよ、あと5分で本部の増援の先遣隊が、来るみたいだ。」

 

「いえ、これも仕事ですから、その代わりにこの人達もお願いします。」

 

ユキノはお礼を言ってくる評議員の部隊長に青年が連れてきた山賊ギルドを引き渡した。

 

「素晴らしい魔導士です、この闇ギルドの他に山賊ギルドも倒してくれるとは。これはお手柄です。」

 

評議員の部隊長はユキノを褒める。ユキノはそれに笑って答えながら訂正しようとする。

 

 

「いいえ、山賊ギルドを倒したのも、闇ギルドを押し戻したのも、彼が………」

「ん?、どなたですか?」

 

ユキノの手をかざす方向を見て首をかしげる部隊長。

 

「だから、彼が、……あれ?、えええっ!!!!?」

 

 

そこには誰もいなかった。

 

 

「え、何処に……」

 

ユキノは辺りを見回すが誰もいない。

 

 

 

「ん?」

 

 

そんな中、自分の服のポケットに違和感を感じた。ポケットに何かが入っているのを感じ、それを取り出した。

 

そこには1枚のメッセージカードが入っていた。

 

 

メッセージカードにはこう書かれていた。

 

 

 

()()()

 

 

それを見た時、ユキノの中に何かが宿った。それは心地良く、力強い何かだった。

 

再び目の前の部隊長に向き直るユキノ。

 

「失礼しました。私、剣咬の虎のユキノが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……数分後、増援の評議員が駆けつけて闇ギルドを拘束し出した。今度は魔力封じのちゃんとした拘束具を使っていた。

 

更に数時間後には本部の大部隊も来た。闇ギルドは今度こそ、1人残らず拘束されていった。

 

剣咬の虎の魔導士が闇ギルドを倒したという一報を聞いたマスタージエンマは機嫌が良かった。

 

ユキノは評議員から報賞金を授かった。

 

 

 

ユキノは時々思い出す。あの人は何者だったんだろうかと。

 

今、何処にいるのだろうか。

 

もし会う日が来たら…

 

 

 

 

 

「私、頑張ります。今度会った時は…」

 

 

 

格闘訓練をしながらユキノは思う。

 

 

「ふっ、」

 

 

相手に蹴りが入る。もっと強く。もっと重く。

 

 

 

 

 

彼に再び会う日が来たらその時は強くなっていたい。

 

護られるだけでは駄目だとユキノは自覚した。

 

 

「待っていてください、私、必ず…」

 

 

 

 

 

ユキノはその日からギルドの鍛錬により一層励む様になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ユキノは多少本編より強いかもしれませんが、そこまで大きな差は無いです。

肉弾戦に限って言えば1回り近く強いかもです。



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