剣咬の虎に入った青年 作:氷結界の龍トリシューラ
翌日、大魔闘演武前にも関わらず
「なんだあ?貴様の今の打撃は、もっと敵を潰す勢いで攻撃をしろ!」
「ドーベンガル、なんだ今の軽い正面突きは、てめえは煙幕を撒くだけの能無し忍者か?ああん!?」
ジエンマに怒鳴られながらギルドメンバーは格闘訓練に励んでいた。
少しでも手を抜くとジエンマに掴まれ、床に叩きつけられたり、殴られたりするので皆真剣だった。ジエンマの実の娘ミネルバ・オーランドなど、今仕事でいないメンバー以外はこうして毎日鍛練に身を打っている。
女であるユキノも例外ではなく訓練相手に蹴りを入れていた。重い蹴りが相手に深々と入り相手は吹き飛ぶ。一年前にギルドに加入したユキノはしっかりと格闘術を身につけており、ユキノは訓練の相方を投げ飛ばし組伏せた。ユキノの息は荒く服は汗でびしょ濡れになっていた。
訓練中のギルド
そこに1人の青年が入って来た。青を基調とするローブの青年。その姿を見たユキノの顔色が変わった。数日前に自分を助けてくれた恩人だった。だが…
「失礼します、ギルドへの加入を希望します。」
「雑魚に用は無い、とっとと失せろ。」
青年を見るなりマスタージエンマは帰れと一言。青年が魔力を抑えているためジエンマには力量が計れなかった。ユキノはその様子を見て一言入れようとするが…
青年とユキノの眼が合った。青年が首を横に振ったのを見てユキノは声をあげるのを止める。
そして…
ゾワリ
瞬間、
まるで
青年が一瞬だけ魔力の一部を解放したのだった。
青年が魔力を戻すと同時に恐怖の感覚から解放された
沈静化するのに数十秒…
落ち着きを取り戻すと同時に全員、魔力を戻した青年の方を見る。
「ギルドへの加入を希望します。」
青年の声が再びギルド内に通る。ジエンマの返答は…
「…ドーベンガル、相手をしてやれ」
「…は、はっ!」
ジエンマが何とか命令を出すと呼ばれたマスクの男
「貴様の実力を、確かめてやろう」
ジエンマの言葉に青年は礼をした。
青年の穏やかな礼を見てドーベンガルは落ち着きを取り戻す。
そして…
青年に煙幕を投げつけた!
煙が青年の周囲に現れ青年の視界を奪う。
「煙幕っ…」
不意をつかれた青年にドーベンガルは容赦なく襲い掛かる。だが、何故かその一撃は躱された。青年が身体を少しずらしたのだ。
「運が良かったな、」
今の一撃を躱されたのが偶然だと思ったドーベンガルは、即座に身体を反転させ追撃の為、手裏剣を投げつけた。そのまま突っ込もうとしたら…
「っ!…」
突然背中に強い衝撃を受けたドーベンガルはそのまま意識を失った。
ドサリと倒れるドーベンガル、そして…
「勝ちです。」
煙が晴れると同時に全員の眼に無傷の青年とその足元に倒れるドーベンガルの姿が映った。あまりに早い決着にギルドメンバーは騒めいた。
「嘘だろ…」
「あの、ドーベンガルが…」
「うちで10番以内に入る強さなのですよ…」
「何が…何が起きたんだ……」
「…やはり~~様…強い…」
皆、目の前の光景が信じられず唖然としていた。
ユキノ以外は、
当の青年はというと、ドーベンガルを何とか起こしていた。青年に叩かれたドーベンガルが眼を覚ました。
「う…い、痛てえ…」
「すまん、人と闘うの久しぶりなんだ…」
「だ、大丈夫だ…」
眼を覚ましたドーベンガルだが背中のダメージが大きくしばらく立ち上がれないようだ。
「静まれ、」
低い声が響き渡る。
ジエンマの声でギルド全体が静かになった。
「貴様、名を名乗れ」
「フリスです。フリス・スウェード」
「フリス、貴様の
「ありがとうございます。」
再びジエンマに礼をするフリス。
そしてギルドメンバーにも礼をした。ユキノとフリスの眼が合った。一瞬フリスの眼が穏やかになるが直ぐに戻る。
こうしてフリスは
青年の左手首に青い剣虎の紋章が入る。
一連の様子を見ていたユキノは一先ずホッとした。
そして内心ガッツポーズをする。今現在のギルドメンバーとあまり親しく無いユキノにとって接点のあるフリスの加入は何となくありがたかった。
この時フリスはこのギルドに入ってから様々な場面で振り回されることになるとは知らなかった。
原作でもミネルバは仕事で演武2日目の夜まで帰って来ていなかったので今は外出中です。
さて、無事ギルドに入ったオリ主どうなるのか。