剣咬の虎に入った青年   作:氷結界の龍トリシューラ

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クロッカスの街です。

話が進まない。






クロッカス街で…

 

大魔闘演武の説明を受けたメンバーは各々0時まで解散することになった。自由になると同時にメンバーはマスタージエンマの圧力と緊張感から解放された為か、各々散開し出す。

フリスもメンバーから離れて折角来たクロッカスを思うがままに廻ろうとしたらユキノに腕を引っ張られた。

 

 

「フリス様、一緒に行きますよ。」

 

 

腕を押さえながらフリスを見る。

何故かユキノはフリスにだけ強気に出ている気がする。他のメンバーには控えめなのに、

 

 

「(嫌では無いけど……)」

 

 

ユキノは単純に他に親しい人がギルドにいない為、後輩のフリスを捕まえたのだが、フリスはまだそれを知らない。

 

 

(俺を気遣ってくれてるのか…)

 

 

もしかしたら新人のフリスを気遣って、誘ってくれているのかもしれないとフリスは思う。

 

フリスもこの1週間で大会メンバー達とは大分打ち解けたとは言え、一番頼りにしているのはやはりユキノだった。なのでフリスはユキノの誘いを断り難い。

何より、何時もより表情が柔らかいユキノを見てるとフリスは何も言えなくなってしまう。

 

 

フリスはユキノに引っ張られて行った。

 

クロッカスは花で溢れていた。まさに花咲く都という名に相応しい街だった。途中で花の冠をユキノに買ってあげたり、軽いものを食べたりしながら歩いていた。そんなユキノとフリスの方に何かが歩いて来る。

 

 

 

「おいおい、あれ、本物だぜ、」

「マジかよ、あいつも出るのか…」

 

 

 

フリス達が来た方角が何やら騒がしい。有名人が来たのだろうか。

 

「ジュラ・ネエキスだ、…」

「せ、聖十のジュラだっ!!」

 

「え、」

 

 

その名を聞いたユキノは思わず振り向いた。観衆が潮を引くように道を空ける。大きな体躯、スキンヘッド、長髭が特徴の威風堂々を体現した男が道を歩いていた。

大陸で最も優れた魔導士の称号を持つ男、()()()()()()序列5位のジュラ・ネエキス、彼もこの大会に出るのだろうか。

立ち止まっていたフリス達の目の前を通る。その威厳、貫禄に圧されたユキノは全身を硬直させ、思わずフリスの腕にしがみついた。その男、ジュラ・ネエキスが一瞬フリスを見た…が直ぐに正面を向いて通り過ぎていく…

 

 

ジュラが通り過ぎるとユキノは脱力したようにフリスにもたれかかった。フリスはユキノを支えた。

 

 

「…大丈夫か、」

「……」

「(…駄目だこの娘…)」

 

 

体重を預けて来るユキノを支える。ユキノを抱えてその場を離れて近くの公園に向かう。フリスはとりあえずベンチにユキノを座らせた。が、フリスが手を放すとユキノはフリスの膝にバタリと倒れた。

仕方無い…フリスはユキノが落ち着くまで片手でユキノの手を握り、もう片方の手で彼女の頭を撫でながら待つことにした。

 

 

(…しょうもない先輩だな…)

 

 

 

普段は礼儀正しくて格好良いのに、何故かフリスの前では脱力しているユキノだった。

 

 

 

クロッカスの公園は様々な人で賑わっていた。子連れの他に旅行に来た初々しいカップルもかなりいる。

 

 

暫くするとユキノは落ち着いて来た。自分の顔をフリスが上から覗き込んでいるのを見ると恥ずかしさから顔を赤らめて顔を横に向けたりしていた。

が、何故かフリスの膝から起き上がらない。暫くの間ユキノはフリスの膝の上で寝そべっていた。

 

 

 

(……もう十分だろ…)

 

 

 

フリスは落ち着いて来たユキノを抱えて起き上がらせる。

 

が、ユキノは直ぐ様()()()()()()()()()()()()()()()()()()

フリスに覆い被さるようにその上半身に押し倒すように両手で体重をかけて来る。ベンチの背もたれに押し付けられたフリスをじっと見ている。ユキノの眼はフリスに対する強気な目線に戻っていた。

 

 

「ねえ、フリス様」

「何でしょう、ユキノさん」

「私はフリス様をこのギルドに誘いました。」

「ん、あ、はい」

「この剣咬の虎(セイバートゥース)にです。」

「ん?、うん…」

「王国最強のギルドにですよ、」

「そ、そうだな…」

 

 

まるで恩を着せる言い回しのユキノにフリスは困惑する。

 

 

(…絶対…何かあるな…)

 

 

フリスを逃がさないとばかりにユキノは見ている。

 

 

 

「ですから…

 

もし私が大会で活躍したら()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「………え、」

 

「え、とは何ですか。

フリス様が来るのが後1日早ければ、フリス様が大会に出る羽目になってたのですよ。」

「あ、ああ…そうだったな」

 

ユキノの正論にフリスは押さえ込まれる。

そう言えば、剣咬の虎(セイバートゥース)に着いた日はギルドに入らず、戻ったのをフリスは思い出す。理由は勿論その日に大会メンバーを決めていたからだ。

 

あの日フリスが、翌日と同じように押し入っていたらフリスとユキノは選手交代していただろう。

 

 

「ちゃんと地図を見て教えてあげたのに、」

「……すまない…」

「別に良いですよ、でも私が頑張っている間、フリス様は客席で見ているだけなのですね。」

「ん…ううっ…」

「ずるいです。」

「分かった、分かったから、大会で頑張ったら1日ユキノさんの言うこと聞くよ。」

「ひゃっ」

 

 

ユキノの圧に負けてそう言ってしまったフリス。するとユキノはビクっと身体を振るわせる。そして再度、フリスを見てくる。

 

 

「い、言いましたね?」

「え、うん」

「本当に?」

「はい」

「何でも?」

「はい…」

 

ユキノの確認にフリスは首を縦に振る。少し冷や汗を垂らしながら。ユキノの表情が、一気に明るくなった。

 

 

「ふふっ…フリス様、約束ですよ♪」

「ああ、良いよ」

「フリス様っ」

 

 

ユキノはフリスの首に抱きついて来た。大会が終わったらユキノの思うがままに扱われるのかとフリスは一瞬遠い目になる。

まあ、ユキノだし何とかなるだろうと気を取り直す。

ユキノはすっかりご機嫌な様子だ。自分に圧力を掛けてきたユキノを見てフリスは思う。

 

 

 

…やはり彼女も剣咬の虎(セイバートゥース)の一員なのだと。

 

 

 

夕刻になり、フリスはユキノを宿に送り届けた。その際に差し入れとして飲み物と菓子を買って行った。

 

 

宿にはルーファスが先に来ていた。相変わらず高級な服を着たま寛いでいたが、フリスが飲み物を差し出すと即受け取った。

 

「全く、本当に勿体無い、君の活躍も記憶したかったよ。」

「来年頑張ります。今年は俺の分まで盛り上げてください。」

 

 

 

暫く3人で雑談してフリスは立ち上がった。

 

 

 

「それじゃあ、2人共、頑張ってください。」

 

 

 

フリスは宿を出た。戻って来たオルガとすれ違い様に拳を合わせる。

 

 

その後…フリスが想像してない波乱の日々が、続く。

 

 

 

 

 






まだ、殆ど原作と変わらない…

少しずつ次回から原作に大きく踏み込んでいきたいと思います。
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