剣咬の虎に入った青年 作:氷結界の龍トリシューラ
今回は平和です…
大魔闘演武会場
闘技場ドムス・フラウ
大会当日の午前9時
「
選手の待合室がある通路をフリスは歩いていた。
待合室からは談笑する声が聞こえてきたり、静かだったりと様々だ。
「寝てる人もいるな…」
何しろ選手達は夜中に予選を行っているのだ。
起きてる人の方が少ない…
フリスは出来るだけ静かに通路を進む。
「大会前に何も食べないのは不味いからな…」
フリスが運んでいるのは大量の差し入れだった。飲料や菓子を含めた弁当を運んでいた。
スティング達が起きたら直ぐに食べられるように朝から用意していたのだ。
「っ……(何で馬鹿食いする奴が3人も居るんだよ…)」
フリスの思う通り双竜とオルガは馬鹿みたいに食べる。
彼らは少量の差し入れでは満足出来ない。
狭い通路を大きな荷物を持ってフリスは進む。
流石、身体能力が高い。
繊細な平行バランスを保つフリス。何もなければ問題無い。何もなければ…
「(ふう…後少し……)」
少し、安堵したフリスは
予選2位のギルドの選手控え室…
「んっ…ふあぁ…(…喉乾いた、まだ皆寝てるわね…そうっと…)」
出てくるのは中で寝ているギルドメンバーに気を使いながらも、寝起きで意識が覚醒仕切って無い女性。
フリスの視界の隅に長い銀髪が見えて、
次の瞬間、
「うぐっ、」
「きゃっ、」
急な衝撃と声に人がぶつかった事を脳が認識する。
フリスは片手で荷物を持ち替え、左手で突撃した人を支えようとする。
「っと、お、お、…」
「…うえ?」
何とか倒れずに済んだ女性、しかしフリスの荷物箱はそうもいかない。フリスは何とかバランスを保とうとするが…
無情にも…荷物の箱から缶が1本…箱の外に出た…
そして、重力に従って…
「っ、ハイ、キャッチ、」
女性が手を伸ばしてキャッチしてくれた。
「あ、ありがとうございます。ごめんなさい、前を向いてなくて、」
「大丈夫よ、私の方こそごめんね。寝起きなの、」
女性は笑って返した。何と言うか…おっとりした印象を受ける。ここに居るということは予選を突破したギルドの選手だろうか。フリスは取り敢えず箱をおろした。中の食料が見える。
「随分と大荷物なのね、」
「すみません、もし、よかったら好きなだけ…、人数分どうぞ。」
「え、そんな、悪いわ。」
「重たいので、質量を減らしてくれると嬉しいです。」
「ふふ、そういう事なら貰おうかしら。」
フリスの箱には缶が大量に入っていた。少しくらい取っても大丈夫だ。女性は5本だけ、缶を手に取った。
「では、これで、」
「うん、じゃあねー」
フリスの背中に手を振る女性。そしてフリスが離れると缶を空けて即飲み出した。
「ふう、生き返ったー」
一気に飲み干す。
控え室の扉が開いた。
「騒がしいと思ったら…ミラか…」
「あら、起こしてごめんねラクサス。」
金髪の大男、ラクサスが眠そうに眼を擦りながら出てきた。
「ったく、ん?、何だ?買ってきてくれたのか」
「ううん、ちょっとね、」
ミラはそういって去っていく背中を見る。その左手首には
意識が覚醒しないままぼんやりと見ているラクサス、だがそれより…
「……よく、わからんが、貰って良いか?」
「うん、良いわよ。」
「サンキュ、」
喉が乾いた。
ミラはラクサスに缶を差し渡した。ラクサスはそれを受け取り彼もまた飲み出した。
「んぐ、……はぁ、うまいなコレ」
「お粗末様♪」
「ご馳走さん、って、お前のじゃないんだろ?」
ミラに突っ込んでラクサスも息を吹き返した。そして通路を見るがもうフリスはいない。
「………。」
その一部始終を、
フリスは
「っ、折角差し入れ持ってきたのに、これじゃ渡せませんねー」
「フロー、届かなーい」
どうやら2匹は差し入れを持って来たようだがドアノブに手が届かないようだ。
2匹は何とかドアを開けようとピョンピョンしている。
「よう、」
「あ、フリス君っ」
「フリスー、」
フリスを見て安心するレクターとフロッシュ。
フリスはドアを開けてやる。
「気が利くエクシードだな、」
「当たり前ですよ、僕はスティング君のお供なんですから」
「フローもそう思うー」
フリスとレクター、フロッシュの1人と2匹が差し入れの為の軽食と飲料を運んできた。
「スティングくーん」
「ローグ」
中に入ると
「あ、フリス様、」
「ん?レクター、」
「フロッシュ、来てたのか、」
予選を無事1位で突破した
「おお、差し入れかー?」
「ああ、好きなの取ってくれ」
「どうぞ、召し上がってください、」
「ローグ、食べてー」
「ありがとなフロッシュ。」
「頂くよ、」
「いただきーっ」
「フリス様、レクター様、フロッシュ様も…ありがとうございます。」
それぞれ食事を始めた。
やはりスティング達は喰う。
「……。」
フリスは無言で飲み物を飲む。
大会前の息抜きの時間だった…
フリスとミラ、(ついでにラクサス)を見ている何者か…
厄介ごとにフリスは片足突っ込もうとしてます。