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「ほう……ギルドに所属していればログイン時の出現場所はここになるのか……」
今日も今日とて『New Wolrd Online』にログインして遊んでいこうと思っていたのですが……びっくりしたぁ。ログインして最初に見える景色が今まで違ったのでなにかのバグかと思いましたよ……心臓に悪ぅ。
ここは炎帝の国所属となった私が与えられた自室です。辺りを見回せば暗い色の木材で構成され、高価でありながら華美すぎないベッドと僅かな家具が置かれた寝室。眠くなったらログアウトすればいいので『New Wolrd Online』内で寝室を作る理由はあまりありませんがこれもロールプレイの一環と言うものです。寝室から出ればそこに広がるのは広々としたリビング……だったはずの書庫と言っても過言ではない空間でした。寝室と私室の出入り口以外壁は全て本棚に改装し、出来るだけ多くの魔導書を詰め込みました。それでも足らずに本棚やストレージボックスを買い、部屋に詰め込んでスクロールやら珍しい効果を持つ魔道具やら魔素やらを詰め込んでいます。それでも収まりきらずに一部アイテムは床に転がったりと私の部屋は散らかり放題です。
いえ、珍しい効果を持った魔道具や『New Wolrd Online』の設定に関わりがありそうなゲーム内書物があれば何でもかんでも買い込んでしまう私にも悪いところはあると思いますが、そもそも本棚における書物の数が少なすぎるのが問題でしょう! あんな大きな本棚なのに一段20冊までしか収納できないのはバグでしょう!!?? 実際にストレージから出して手に持ってみると明らかに通常の本よりも巨大な本も、通常の本の4分の1程度しかないメモ帳までも書籍1冊分カウントなのは理不尽でしょう!? 私はクエストアイテムの『走り書きのメモ』みたいなアイテムも破棄せずにとっておくタイプの人間なんですよ! こんなのストレージいくつあっても足りないんですよ!! 運営に即時修正を求めます!
「クヴァールさん、そろそろイベントの告知がされるので大広間に集合をお願いしま……あらあら。また随分と散らかっちゃいましたね」
「ミザリーか」
頭の中で一生懸命に言い訳を考えていたらミザリーさんが部屋にやってきて、部屋の中で困り果てる姿を目撃されてしまいました。……なんとも情けない。実はミザリーさんには私が炎帝の国に所属して初日に私室の設定を手伝ってもらったのですがその時にも片付けを手伝って貰っていました。まさか次の日にはこんな惨状になるとは思っていなかったでしょうに……。
「折角手伝って貰ったのにすまんの」
「ふふふ、大丈夫ですよ。私も大した効果がなくても可愛い装備とかあったら買ってしまいますし、気持ちはわかります」
「そうか、そうかなら今度は儂が片付けを……」
ふーむ。今、ナチュラルにミザリーさんの部屋の片づけを手伝うと言う所でしたが、いくらゲームとは言え、VRMMO、女性プレイヤーの部屋に入るのは微妙なラインじゃありませんか? しかもミザリーさんは先ほど『可愛い装備』と言いました。つまり鎧や衣服、身に付ける物だと思われます。『New Wolrd Online』のキャラクリって髪や目の色程度しか弄れないんですよ。
とどのつまり体の特徴、はっきり言うとミザリーさんのスタイル、スリーサイズは現実のものそのままなんですよ! されで下手に彼女の装備とか触ってみてください、その装備に記録されているサイズのデータは現実でミザリーさんが身に付ける衣服のサイズと一致してしまうんですよ! ええ、ハッキリ言いましょう、ミザリーんの身体は男子高校生には毒が過ぎます。そんな彼女の衣服、下手したら下着を含むサイズのデータなんか手に入れてしまったら……興奮しちゃうじゃないですか!! 物凄く!!
「いや、すまん。儂の言葉は忘れてくれ。いくらゲームとは言え女の部屋に気軽に行くべきではないからのぉ」
「別に私は気にしませんよ?」
「それでもだ」
私が気にしちゃうのでダメでーす。
「その代わり、手間取っているクエストや必要な素材があれば言ってくれ。そちらは全力で手助けさせてもらおう。そら、イベントの告知があるのだろう、ゆくぞ」
「それじゃあそうさせてもらいます。大広間まで案内しますね」
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「師、遅かったな」
「すまんな、少しばかり部屋を出るのに手間取った」
火山館本館の二階の大広間に到着するとミィ、マルクス、シン、それから何人かの炎帝の国のギルドメンバーの証である赤い装備に身を包んだ人間が4名。私たちのように個別の装備ではないので幹部クラスではないようですが、この場に呼ばれているということは準幹部……一般ギルドメンバーのまとめ役、と言った面子でしょうか。
まぁ、それは一旦置いておいて、運営からの告知動画も始まりますししっかり拝見すると致しましょう!
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「期間限定モンスターの討伐、か」
「モンスターが落としたアイテムを収集、その数に応じてギルと報酬、個人報酬を獲得ですか……」
「時間加速もないからどれだけの時間インできるかがランキングに絡んでくるな」
「期間内に目標のモンスターがよくPOPする狩場も見つけないとだよ……」
第三回イベントはイベント限定のモンスターを倒してドロップアイテムを集めるというものでした。ミィ、ミザリーさん、シンさん、マルクスさんの順で意見を出して話し合いを始めました。にしてもドロップアイテム収集かぁ……。魔素周回にアイテム周回、理想の大魔法使いになるとはいえ、私このゲームで周回しかしていないような気がします。なんにせよ、やる事が多すぎるし―――
「日中はログインが出来ぬし、時間が足らんのぉ……」
「「「「……」」」」
「むぅ?」
ふと、私が呟いた一言に皆の視線が私に集まりました。あ、あれ? 私何か変なこと言いましたか?
「あぁ、別に気にすんな。別に『イベント上位ランクインの為、仕事休んでインしろ!』みたいなバカなことは言わねぇよ」
「そうそう、確かに上位は目指すけどあくまでリアル第一だからね。そこはあくまで自己判断と自己責任だよ」
そうシンさんとマルクスさんが言います。ようやく合点がいきました。確かにMMORPGではそう言った強要もあると聞いたことはありますが……ふむ、少なくとも炎帝の国ではそう言った行為はないみたいですね。
「そういう俺も基本的には夜だな、時たま昼にもインするけどな」
「僕はどうしよっかなぁ……必修は問題ないだろうし、何日かフケてインしようかな」
「すみません、私は夜と土日だけです」
「師にも言ったが気にする必要ない。私たちは確かにランキング上位を目指すがそのことだけに集中して私生活まで崩壊してしまってはそもそもインすら出来なくなってしまうからな」
ほえー、我が弟子の立派なこと。とっても健気でいい子ですねぇ。だからこそこれだけのギルドメンバーがついてくるし、皆がこのリーダーに一位になって欲しいからと努力するという訳ですか。いい関係を部下たちと築けているようで何よりです。私もミィの為にか頑張りたいのですが……
「高校がなぁ……部活はやってないから早めにインは出来るけど……」
「(あ? 高校? クヴァールのやつ高校生なのか!?)」
「(えええええ!? あ、と、年下!? 高校生であのエディットしてたの!? う、うぅぅぅ、自信なくしそう……)」
「(あらあら、ロールプレイ外れちゃってるわ。部屋の片づけを手伝った時から思ってたけど学生さんなのね)」
「(え、待って!? 高校!? 師って高校生だったの!? 年下!? 私年下の子と一緒にゲームやってたの!? え、あ、待って、師の顔みたらメッチャ可愛く見えてきた!? いや、まぁ、前から美人だなーとか男の人なのに綺麗めな属性なんだー、とか思ってたけど年下ってわかった瞬間めっちゃ可愛く見えてきた! というか私ずっと高校生の子のこと『師』って呼んで『ミィ』って呼び捨てさせてたの!? いや、ここにいるのは『近衛美琴』じゃなくて『ミィ』だし、『師』は高校生じゃなくて、一人のプレイヤー、『クヴァール』だから! リアルは関係ないから! 問題無し、ヨシ!)」
クヴァールの本棚の不満は私があるゲームで実際に感じた不満です。いや、もしかしたら解決方法やMODでどうにか出来たのかもしれませんけどね……。
男子高校生の近くにミザリーさんみたいな人がいて見ろ、辛抱たまらんだろ絶対。というか、防振りのほとんどキャラクリが出来ないシステムって絶対悪用出来そう。
そして独自設定の炎帝の国メンバーのリアル。
シン→社会人、自営業や接客業で休みはシフト次第
マルクス→大学生、成績優秀で単位や欠席日数の管理もお手の物。たまにサボってゲームに入り浸る
ミザリー→社会人、OL。多分メンバーの中で一番、大人(柔らかな表現)
ミィ→大学生、マルクスとほとんど一緒だが、サボりはせずに授業は出る。その代わり丸一日履修無しの日とか作って休んでる。近衛美琴はミィのリアルの名前。由来は中の人が演じたキャラ二人から名字と名前をとっている。今回の件で自分は年下好きなのかと悩み始める。