帆波と1つになった翌朝、目が覚めると帆波が朝食を作っていた。
「おはよ、キッチン借りてるよー」
「おはよう、好きに使って良いからね」
荷物があるため帆波が一足先に部屋を出ようとするので、
「帆波、いってきますのチュー」
と言って帆波にキスをする。
「にゃにゃ?!」
「いってらっしゃーい」
放課後、俺と帆波はみんなの前に立つ。
「改めて聞くが、俺がリーダーをやることに反対する奴はいるか」
昨日帆波がリーダーをやると言わなかったからか、誰も声を上げない。
「私をリーダーに推してくれた人には申し訳ないけど、私は優里くんを支えるよ」
「決まりだな、俺がBクラスのリーダーになる。異論反論下剋上は正当性と覚悟があればいつでも受け付ける。そしてこれからクラス貯金とクラス内ランキングを導入する」
「クラス貯金は簡単だ。毎月支給されるポイントの5割を帆波に渡すだけだ」
「なんで私に?」
「帆波以上に信用出来る人はいないだろ」
その言葉にはクラスの全員が同意する。帆波は嬉しそうだ。
「次にクラス内ランキングについてだ。これは学力、運動力、2つを合わせた総合力を順位づけするものだ。データはこれから収集するが、上位には報酬、下位には罰を与える予定だ」
これにはクラス全員が動揺し、騒がしくなる。
「報酬はわかるけど、罰ってどういうことよ!?」
白波が声を荒げる。
「モチベーション維持と制裁の意味合いがあるからだ。嫌なら下位にならないように努力すんだな」
「下位の具体的な順位はどうなる?」
隆二が冷静に聞いてくる。
「下位5人かな。成績向上率次第では温情もある」
「優里くん、罰って具体的に何するの?」
帆波が少し不安そうに聞いてくる。
「ポイント没収か、殴られるかのどちらかだな」
「殴るのはよくないんじゃ・・」
「それは努力も変わりもしないバカにだけだから」
帆波は少し考えた後に、みんなに聞こえる声で俺に尋ねる。
「つまり優里くんは努力していない人には厳しくするけど、努力していればそこまで厳しくはしないってことかな?」
「概ねその認識で問題ない。このクラスには天才がいないからな、全員で努力して団結する必要がある。」
「厳しい言い方してるけど、要はみんな勉強と運動両方頑張れってことだよね。ならみんな大丈夫だよ、みんなで頑張ろう!」
帆波の言葉にクラス全員が盛り上がる。
「Aクラスの座がひとつしかない以上、この3年間は戦いと研鑽だと思え。今日はこれで解散だ。帆波と隆二はこのあと付き合ってほしい」
俺の部屋に帆波と隆二で集まる。
「これでやっとBクラスとしてのスタートが切れるな」
俺の言葉に2人も同意する。
「しかしクラス内ランキングのデータはどうやって集めるんだ?」
「明日の体育を体力測定に変えてある。まずはそれだな。集計は隆二も手伝ってほしい」
「それはもちろんだ」
「学力はどうするの、次の中間?」
「いや、次の中間も過去問通りだから当てにならないんだよ」
「え、そうにゃの!?」
「そうだ、でも過去問の利用法は1週間前まで言わないから、来週から勉強会だな」
「あとはクラスの幹部決めだな。2人とも誰かおすすめの奴はいるか?」
「俺は柴田がいいと思うぞ」
「私は麻子ちゃんかな」
「2人とも明るくて運動ができるタイプだったよな。あとは勉強ができる女子が1人必要だな」
「なぜ勉強ができる女子なんだ?」
隆二が聞いてくる。
「俺と帆波がトップ。柴田と網倉が運動担当。隆二ともう1人が勉強担当になればバランスがいいからな。という訳だから勉強担当は隆二が選んでくれ、一緒に動くことが多くなるから」
「それなら了解した」
「あと、俺と帆波は恋人になった」
隆二はコイツらマジかという目で見てくる。
帆波は顔を赤くしてコクコク頷いている。
「今日はこれで解散、隆二は早いとこメンバー決めといて」
帆波は部屋に残る。
「俺の方針をどう思った?」
「いいと思うよ、理に適ってるし。でも中堅と下位のサポートをどうするか気になるかも」
帆波は冷静に聞いてくる。
「下位はノルマを与えてやらせると決めてるんだけど、中堅へのフォローがまだ決まってないんだよ。帆波は何かいい案ある?」
「中堅の順位区分は?」
「10~30位を中堅にするつもり。ボリューム層だから下手なことしたくないんだよ」
「うーーん」
そう言って帆波は考え始める。
「毎週理解どテストみたいなのを作って見れば?」
「それだ!というかそれは全員にやらせて基準点で分けよう。授業内容8割、応用2割とかにすればいいし。問題は俺が授業中に作っちゃう」
「それだと優里くんの負担が大きくない?」
「このくらい問題ないから大丈夫だよ」
クラスの話を終えると帆波が甘えてくる。
「ねえ、優里くん。私もこの部屋に住んでいい?」
「・・・同棲するってこと?」
「うん。優里くん忙しいでしょ?神崎くんとも遊んだことないみたいだし。だから同棲して一緒に過ごす時間作りたいな・・」
帆波を抱きしめる。
「そこまで考えが及んでなかった、ごめんね。同棲して一緒になろう」
「うん、それじゃ必要なもの色々あるから買い出しに行こっか」
帆波の提案を受けてケヤキモールに買い出しにきていた。
「2人で過ごすなら私はソファーがほしいな」
_ソファーか、置くと部屋が狭くなるんだよな。広い部屋に移るか。
「帆波、家具はもうちょっと待ってくれない?ポイント貯めて広い部屋に引っ越すことにするから」
「広い部屋に引っ越し、、、そうだね、そしたら今日は小物類だけにしよっか」
??「あれは姫さんの、、、姫さんに教えとこ」
「ちょっと坂柳、杖がミシミシいってるんだけど」
「大丈夫ですよ、真澄さん。ええ、問題ないですもの」
有栖の携帯に優里と帆波がデートしてる写真が送られてきた。
「優里くんとはお話ししなければいけませんね」
翌日、帆波と一緒に登校すると俺と帆波が噂になっていた。
席に着くと隆二から、
「あの後デートしたのか。けやきモールで2人を見たって噂になってるぞ。」
と揶揄われた。
帆波は女子に囲まれて顔を赤くしている。
体育の時間に体力測定を行う。
「この体力測定の結果はクラス内ランキングに反映されるからな。全員全力で取り組むんだ」
俺の言葉にみんなん表情が引き締まった。
握力、100m走、走り幅跳び、シャトルラン、、授業が終わる頃には全員疲労困憊だった。
男子は柴田と隆二が上澄みで、女子は網倉がトップだった。
全てトップだった俺は余裕があったので、先生にお礼をする。
最下位は男女共に平均を大きく下回った。男子は勉強に特化してるやつで、女子は白波だった。
帆波は中の上くらいだったから特訓だな。
ざっと見るにクラスの運動能力は高くない。テコ入れが必要だ。
放課後、星之宮先生に1LDKの部屋に引っ越すためのポイントを払う。3日後から住めるらしい。
ポイントがなくなったのでチェス部に向かう途中、有栖に会った。
「噂の優里くんじゃないですか。どこへ行くのでしょうか」
「ポイントが尽きそうだからチェス部に行こうと思ってな」
俺がそう言うと有栖はニヤリと笑う。
「私が先ほど賭けをしたのでそんなにポイントが残ってないと思いますよ」
「それなら明日、運動部に行くか・・」
「それには及びません。私と賭けをしましょう。優里くんが勝ったら、今日私が手に入れた50万ptを差し上げます」
こういう時の有栖は強いんだよな、、
「俺が負けたら?」
「一之瀬さんとの関係を洗いざらい吐いて貰います。ポイントは勘弁してあげます」
_失うものはないな
「広めないと約束するなら乗った」
「ええ、もちろんです。それでは私の部屋でチェスをしましょう。真澄さんもいきますよ」
「私もか・・」
一応帆波にも連絡しとく。
有栖にボコボコにされました。
「あらあら、ここまで差がついたのは久しぶりじゃないですか?」
「入学するまでは毎日やってたからな。その時と比べたら下手になっているさ」
「では聞かせて貰いましょうか。一之瀬さんとの関係を」
「帆波とは付き合っている。恋人だ」
「こ、恋人ですか?!」
有栖は珍しく、かなりの衝撃を受けている。
「い、いつ付き合い始めたのですか・・?」
「一昨日だな」
「コヒュッ」
有栖は力なく項垂れた。真っ白になっているみたいだ。
「__何でですか。何があったんですか。1ヶ月前は政敵としか見てなかったじゃないですか。何で引きずり下ろすつもりの相手が恋人になっているんですか。こんなの予想できませんよ。1年間恋愛のれの字もなかったじゃないですか。ホワイトルーム出身のシスコンというイロモノに惚れる人なんてそうそう現れないと油断していました。惚れるのも惚れられるのもこんなに早いなんておかしいですよ。まさか胸ですか、あの胸がいいんですか。私にないあの胸がいいんですか。私の方が先に好きになっていたのに・・」
有栖が俯きながら何かを早口でボソボソと呟いているが、何も聞き取れない。
有栖の後ろにいた神室は、同情したのか有栖に代わって質問を続ける。
「で、あんたは一之瀬のどこが好きなわけ?坂柳がこんなんだから議事録として録音しておきたいんだけど。」
二度手間は嫌だから録音を許可する。
「そうだな・・1番は俺の孤独を埋めてくれたことだな。長年1人で挑み続けていたことに、隣に立って2人で挑もうと言ってくれたこと。俺も帆波も人に甘えられなかったのを、お互い甘え合える関係にしてくれたこと。俺の過去を聞いて涙し、許容し、道を示してくれたことかな」
「ガチでベタ惚れじゃん・・兎も角ありがとう。坂柳が再起不能だからもう帰っていいと思う」
「そうか、それじゃ俺はこれで」
有栖の部屋から出て自室に戻る。
部屋に戻ると帆波が抱きついてくる。
「匂いがついてないから浮気じゃないと思うけど、付き合ってすぐに他の子の部屋に上がらないでほしいな・・」
「すまなかった。有栖はただの恩人だ。一応弁明しておくとチェスで勝負して負けたから、帆波との関係と帆波の好きなところを言っただけなんだ」
帆波は俺の手を引いてベッドに連れて行き、腰をかける。
「その話を聞いた坂柳さんの反応は?」
「真っ白になって再起不能になってた」
その言葉を聞いて帆波は機嫌が良くなる。そして俺を押し倒し、頭を擦り寄せて甘えてきた。
お互い甘えて、存分ににゃんにゃんした。
帆波「坂柳有栖は敗北者じゃけえ」
有栖「(−_−#)ピキピキ」