「みんなすまなかった。5日目の物資購入がなければDクラスに勝てていた。」
俺は全員の前で頭を下げる。
「あれは必要経費だと思う。クラスのみんなの安全の方が大事だったし」
帆波が庇ってくれる。
「それよりもこの無人島試験で何が起こっていたのか教えてほしい」
隆二に聞かれたので答える。
「そうだな、まず結果から見ていこう。
Cクラスは0ポイント作戦でリーダー当てに失敗した。Aを当てたがBとDから当てられて0だ
AクラスはCクラスとの契約により200pt以上持っていた。しかし全クラスから当てられ、Dを外したから200ptを失って20pt
Bクラスは130ptを残した上で2クラス当てたから230pt
Dクラスは140pt残して2クラス当てたから240pt
今回の結果はAクラスの1人負けだ。CクラスはAクラスから毎月80万pptもらう契約を交わしたからな。」
「結果は理解した。優里が何をしていたのかも教えてほしい」
「1日目はベースキャンプの設立と他クラス拠点の場所の把握。
2日目は午前中に地図を作成した。この時点でBクラスは俺がいなくても拠点を運営できるようになった。
その後帆波とCクラスに行って、Cクラスがポイントを使い切ってリーダー当てに専念すると予想した。
3日目はCクラスの生徒を発見した場所にトランシーバーが埋められているのを見つけた。そこで滞在してるスパイをリタイアさせた。その後Aクラスの坂柳派と接触して、AクラスのリーダーとCクラスとの契約を知った。
4日目はDクラスにいった。Dクラスのリーダーは堀北だったが、体調が悪そうでリタイアされる可能性があった。その時点でDクラスの指名を諦め防衛に専念した。
5日目は龍園がBクラスにいたスパイが失敗したことを知ったらBクラスに来ると予想していた。だからそれに備えて縄などの荒事に対応できる物資を追加で購入した。案の定龍園は深夜に襲ってきた。1人だったから物資が余ってしまったが、おおむね想定通りだった。
6日目は龍園に彼のプラン通りの行動をさせた。Dクラスにいたスパイと合流し、AクラスにDクラスのリーダー情報を渡させた。その結果AとCはDクラスのリーダーを外した。
俺の1週間はこんなところだ。2日目からは他クラスに目を向けられたから、情報戦で優位に立てた。これはみんなが問題を起こすことなく拠点で生活していたからだ」
「橘はそんなに仕事していたのかよ・・・」
みんな驚愕している。自分達が拠点で暮らしている間にいろいろなことが起こっていたのだから。
「俺がこの話で伝えたいことは、Aクラスになったけど決して油断しないでほしいってことだ。龍園や坂柳はこちらの隙をついて攻撃してくるし、Dクラスも落ちこぼれではない。これからもより一層努力していこう」
幹部だけ残ってもらった。
「幹部のおかげで他クラスに集中できた、ありがとう。みんなはこのクラスの課題はなんだと思う?」
隆二はすぐに答える
「搦め手への対応だな。裏を読む、複数の選択肢を持つ、こういったことを考えずに正攻法だけだったな」
みんなもその言葉に同意する。
「正攻法は間違っていない。あとはこれから試験の裏や相手の策を読めるようにしていけばいい。今回の幹部としての立ち回りは完璧だった」
すると帆波が
「私たちも優里くんに頼り切りにならないよう頑張ろう!」
と鼓舞する。
帆波と遊んだ夜、俺は有栖とデッキに来ていた。
「我儘言ってすみません」
「最近会えてなかったし、これくらい気にしないで」
ベンチに座ると有栖が話し始める。
「Aクラス昇格おめでとうございます。こんなに早く抜かされるとは思っていませんでした。」
「と言っても僅差だ。このままずっとAクラスにいれるなんて思ってない」
「優里くんはいつも楽しませてくれます」
「優里くんが一之瀬さんと付き合い始めたと聞いて本当に驚きました。優里くんは恋愛に興味ないと思ってましたから。」
「俺もそうだったさ。だからこそ俺は有栖に感謝している。あの時拾ってくれてありがとう。俺は今、人生が充実している。」
「私もあの時優里くんに助けてもらったこと感謝してますよ。私にとって大切な思い出です」
「しかし、一之瀬さんの好きなところを上げ連ねている音声を聞きましたが、一之瀬さんが孤独を埋めてくれたんですか?・・・・・私では孤独を埋められなかったのでしょうか」
「この孤独は、、、情けない話、天才への劣等感に由来するものなんだ。隣に立って一緒に努力してくれる存在が欲しかったんだと思う。だから天才には埋められない孤独だったんだ。」
「・・・・天才でも得られないものがあるんですね」
「綾小路も学習の天才でありながら感情が欠落しているしな」
有栖を部屋に送る。
「優里くん、私は諦めません。天才は諦めが悪いんですよ」
有栖は俺の頬にキスをして部屋の中に入っていった。
特別試験実施のメールがきた。
指定時間に部屋に行くと隆二と安藤がいた。
<<干支試験のルール説明は割愛>>
【辰グループ】
Aクラス:葛城康平 坂柳有栖 的場信二 矢野小春
Bクラス:安藤紗代 神崎隆二 橘優里
Cクラス:小田拓海 鈴木英俊 龍園翔
Dクラス:櫛田桔梗 平田洋介 堀北鈴音
試験の説明を終えて幹部で集まる。
「今回の試験の方針を考える前にだ。帆波、今クラス貯金はどのくらいある?」
「550万ptくらいだね」
毎月170万くらい貯金に回せているのか
「試験説明の時に言われた、
「今回の試験では、大前提としてAクラスからDクラスまでの関係性を一度無視しろ。そうすることが試験をクリアするための近道だ」
優待者の決め方を聞いた時に答えられた、
「優待者は学校側が公平性を期して、厳正に調整している。それと禁止事項についてもよく目を通しておくように」
この2つがポイントだ。調整ってことはランダムではない。優待者に法則があったらすぐに試験が終わってしまう」
「私たちで法則を見つけるってこと?」
「その作業は必ずする」
帆波に同意する。
「法則探しがメインだが、表向きのポーズは結果1を目指すようにして優待者探しを阻害する。
こちらの指示があるまで回答しないことを徹底させるんだ」
方針は決めたあとは最速で法則探しをしよう。
「今のうちに法則に当たりをつけたい。情報を整理すると、各クラス混合の12グループに分かれる。グループの識別が干支になっている。優待者は調整されている。クラスの関係を無視しろ。こんなもんだな。」
幹部で頭を捻る。
「法則ってことは順番と規則性がありそうなんだが、、」
「優待者の人数は各クラス3人で均等だと思うよ」
すると帆波が
「クラスの関係を無視するなら、今のグループメンバーの表記がクラスごとに別れてるからそれを1つにまとめようよ」
と言う。
「でもごちゃごちゃにしてもいいのかよ」
「クラス混合の名前順にしておこう。みつからなかったら整列順を変えてみればいい」
翌朝、優待者にメールが届く。すぐに優待者から報告が来て、うちのクラスに3人いた。
優待者に印をつけて表と睨めっこしてると気づく。
干支の順番と名前順に並べた時の優待者の順番が一致している。
「優里くん、これからどうするの?」
「全クラスの優待者情報は幹部にとどめておいて、1回目のディスカッションに参加する」
「最初は様子見ってことだね」
「できればAを落としてDを上げたい」
一回目のグループディスカッションの場にいく。
俺と有栖が喋っていると龍園がギリギリで入ってきた。
「ククッ、メインディッシュが2人もいるとは豪華だなぁ」
グループディスカッションが始まる。
「全員揃ったし、まずは自己紹介しない?」
Dクラスの平田が提案してくる。
これに反対するものはいないようで全員自己紹介をする。
「俺たちのクラスは話し合いに参加するつもりはない。」
自己紹介が終わるなり葛城が断言する。
「どういうつもりかしら」
堀北が尋ねる。
「この試験は結果1、2にはデメリットがない。全員が大量のポイントを手にして試験を終えることができる。」
俺たちは葛城のプランに乗っても問題ないから静観していると、龍園と堀北は葛城を責める。
「ククッ、無人島でポイントを得るどころか失っちまったからな。元Aクラス様はお小遣いが欲しいってか?」
「クラスポイントを得る機会を見過ごすわけにはいかないわ」
「なんとでも言うがいい。俺たちのクラスの方針は変わらない」
そう言って葛城は腕を組み、瞳を閉じた。完全に拒絶の姿勢だ。
「おい、バケモン。さっきから黙っているがお前はどうするんだ」
龍園が俺を見て聞いてくる。
「どっちでもいいんだ。元Aについてポイントを得るのも、お前らと組んで元 Aを潰すのも、どちらでもクラスの利益になるからな」
「風見鶏ね」
「どっかのクラスと違って余裕があるだけだ」
堀北にそう返すと、彼女は顔を顰める。
「有栖はどうするんだ」
「私は何もしませんよ。責任は葛城くんにありますから」
有栖は今回も葛城に失敗して欲しそうだ。
「ククッ、こっちで組んで葛城を潰そうぜ」
「それも悪くないかもな」
1回目のディスカッションが終了した。
1度幹部を集めて方針を話す。
葛城 -200
一之瀬 +250
龍園 -150
堀北 +100
「この結果になるように動く。俺と帆波はDクラスとの交渉。姫野は戸塚弥彦に接触してうちのクラスの偽の優待者情報を教えろ、わざと外させる。50万ptまでならポイントで買収していい。動くのは契約が終わったあとだ。それとAクラスの優待者がいるグループのやつに優待者を教えて、指示したらすぐ指名できるようにしておけ」
「うちのクラスで独占するよりも、このほうがヘイトが分散されるんだね」
「そう言うことだ。DクラスはCクラスと接戦になり、元Aクラスも落ちるから狙われやすくなる」
俺は綾小路に連絡して堀北を呼び出す。
堀北、綾小路、俺、帆波の4人が交渉の場に着く。場所はずっと貸し切っている会議室だ。
「俺たちは優待者の法則を把握している。AとDで同盟を組んでBとCを潰さないか」
「ハッタリね、そんなにすぐわかるわけがないわ」
堀北が一蹴するのでDクラスの優待者を告げる。
「俺のところは櫛田、帆波のとこは軽井沢だろ?」
「な?!」
「理解したか?お前たちに選択肢はない。クラスポイントを減らしたいなら止めないが」
「あなたたちが独占しないでなんのメリットがあるのかしら」
「ヘイトの分散、とだけ言っておく」
それでも堀北は頷かない。
「今ここで契約をするなら、対価は150万ptでいい。もし信じられないなら今からAクラスを指名して見せよう。その後に契約するなら、対価は300万ptだ。さあどうする」
俺は綾小路の方を見る。彼は察したのか、見かねたのか口を挟む。
「堀北、早いか遅いかの違いだ。実質的に拒否権がない以上今契約するべきだ」
「・・・そうね」
契約内容
・AクラスはAとCの優待者情報を提供する。
・情報が間違っていた場合はDに300万pt支払う
・情報提供の対価としてDクラスはAクラスに150万pt支払う
「これで問題ないか?」
「待ちなさい、支払う条件は指名が成功したらにしなさい」
そこは変更されたくないところだ。
「これは情報の取引だ。どう使うかはお前たち次第で、成功まで俺たちが面倒見る必要がない。クラスのリーダーなら、正しく指名させるくらい問題ないだろ」
「・・そうね。試験終了後の優待者が確認できる時間で情報の正誤を判断するので間違いないわね?」
「ああ、支払いはこの試験が終わってポイントを得てからでいいぞ」
契約が成立し、優待者の情報を教える。
「契約した礼に今Aクラスを指名しよう」
俺は姫野に買収工作の指示を出すのと、Aクラスを指名するように指示を送る。
__3つのグループが試験終了したメールが届く。
堀北たちが去っていった。
さらに1つのグループが終了した合図が届く。
戸塚とは別だが、うちのクラスが優待者のグループだ。
俺は利益を確定させるために、Dクラスを指名するよう指示を送り、俺と帆波も優待者を指名する。
__3つのグループが試験終了する
しばらくしてから戸塚のいるグループが終了し、買収完了の連絡が来た。
部屋に戻る途中、龍園と会う。
「何しやがった」
「お前よりも先に優待者の法則を見抜いただけ。残っているのはCクラスだけだ」
Dクラスが指名して残りのグループも終了した。
今回は全てを完璧にできた。
堀北からポイントを受け取る際に嫌味を言われる
「・・やってくれたわね」
「愚か者が先走っただけだ。俺は知らん」
俺は150万ptを受け取り立ち去った。
クラスポイント変動
坂柳クラス 890pt
一之瀬クラス 1370pt
龍園クラス 400pt
堀北クラス 420pt
DクラスはCクラスに昇格し、俺たちは圧倒的リードを得た。
主人公は幹部6人で法則探しができたので、早々に法則に気づく展開にしました。
龍園の策を潰して乗っ取っていると、とんでもない利益になりますね。
集団の機動力により綾小路より先に動いて試験に勝ちました。