2週間のバカンスが終わり数日後、クラス全員で打ち上げに高級焼肉店に来ていた。
「特別試験お疲れ様。クラス全員で団結したおかげで良い結果で終わることができて、Aクラスへと昇格した。ここからAクラスを維持するのが本当の戦いだ。今日は俺の奢りだ、Aクラス昇格を祝して、乾杯!」
俺は乾杯の挨拶をした。
「優里くん、こんな高いお店で全員分奢って大丈夫なの?クラス貯金はいっぱいあるよ」
隣にいる帆波が聞いてくる。
「徴収してる金でじゃなくて、リーダーの財布から出すことに意味があるんだよ」
「そういうところ格好良くて好きだよ。リーダーお疲れ様」
そう言って帆波が肉を焼いてくれる。
「しっかしリーダーも太っ腹だよな!」
柴田が陽気に言ってくる。
「1学期にクラス全員が努力していたからな。その報酬の意味合いもある」
「2学期以降も頑張るぜ!」
珍しく姫野が話しかけてくる
「あんたはこういうことしないと思ってた。最初の方はクラスにいろんなこと強要してたし」
「たまにガス抜きしないと不満が溜まっていくからな。姫野にもいつも助けられている。今日は存分に楽しんでくれ」
打ち上げが終わり、帆波と2人で帰っている途中で帆波から、
「優里くんは将来のこと、どう考えているの?」
「正直まだ何も考えてない。1学期はクラスの地盤固めで忙しかったし」
「私ね、こうやって優里くんと人を率いるのもいいなって思ったの。優里くんが外でいろいろしてきてくれる分、私が内側を見てフォローするの。無人島試験でもそうだったけど、なんだか夫の帰りを待つ妻のようでね、こういった形も悪くないと思うの」
__帆波は俺の隣に立って、俺を支えようとしてくれる。そういうところがたまらなく愛おしい。
「クラスのみんなは子供か。帆波は良い奥さんだな」
「優里くんだから私もこうして頑張れるんだよ」
帆波が照れながら言う。
「俺もだ。帆波が支えてくれるから、俺も良い仕事ができる」
「にゃはは、リーダーの仕事が夫婦の子育てだね」
「帆波と信頼できて良い関係を築けてるおかげだな」
帆波となら上手くやっていける。俺は改めてそう感じた。
後日、俺と帆波は生徒会室にきていた。
「特別試験では活躍したそうじゃないか。Aクラス昇格おめでとう」
「そうです!こんなに早くAクラスに昇格するなんて、すごいです!」
会長とお姉ちゃんから褒められる。
「クラス全員で団結したおかげです。無人島試験ではDクラスに一歩及びませんでしたが」
会長はDクラスが1位でも驚いた様子ではない。
「いや、驚いてはいる。だがDクラスには期待しているからな」
綾小路を知っているんだろうか。
「・・・会長は彼のこと知ってるんですか」
「ああ、生徒会入りは断られてしまったが」
会長は一瞬目を見開き、答える。
「お前こそ奴を知っているとはな」
「ちょっとした縁があったので」
「優里くん、彼って誰のこと?」
「俺が最も警戒している人とだけ言っておくよ」
帆波がなんのことだかわからなそうだが、それ以上は聞いてこない。
「今日2人を呼んだのは、夏休み明けにやる体育祭について話があるからだ」
「体育祭ですか」
「生徒会が主体となって運営しているのでな。ルールの調整から機材の準備まで、やることがたくさんある。2人のメインは機材の準備だが、こっちの仕事も少し手伝ってもらう」
「体育祭なら私たちのクラスは強いですよ。みんな優里くんに鍛えられていますから」
帆波が自信満々に言う。
「一之瀬がそんなに言うほどか。期待している」
「体育祭の存在を知ることができて良かったね」
「ああ、生徒会に入ったメリットだね。このアドバンテージは有効に使おう。」
俺はクラスのグループチャットで体育祭があることを伝える。
「全員筋トレと走り込みを強化してくれ。この情報がバレないように、夏休み中は個人の能力を高めることに専念してほしい」
夏休みの最後の3日間プールが開かれることを知って、俺と帆波は水着を買いに来ていた。
「優里くんはどんな水着を着てほしい?」
帆波に聴かれるが、これは非常に悩ましい。
「帆波にビキニを着てほしい、でも他の男に見せたくない」
「布地の多い水着にしようかにゃ・・」
帆波がいくつか水着を持って試着室に向かう。
「これはどうかな?」
白のパレオがついた水着を着た帆波が聞いてくる。
「すごく似合ってるよ。帆波の白い肌と相まって、とても綺麗だ」
「にゃにゃ?!、、もう一着あるから待って欲しいにゃ・・」
帆波は顔を赤くしながらカーテンを閉める。
しばらくすると帆波がカーテンから顔を出す。
「この水着は恥ずかしいから、優里くんが試着室の中に来てほしいにゃ・・」
そう言われて俺は試着室の中に入る。
布地の少ない黒のビキニを着た帆波がいた。
「ど、どうかにゃ・・」
「めちゃくちゃエロい。すごく似合ってるけど絶対に人に見せたくない」
「他の人には見せられにゃいよ・・」
プールで着る水着は白のパレオのやつにしたそうだ。帆波が黒のビキニを戻そうとしているのを俺は止める。
この水着でシたい、俺が耳元で囁くと帆波は顔を赤くしてコクンと頷いた。
普段よりも盛り上がってにゃんにゃんした。
夏休み最終日、俺は帆波とプールにきた。
水着に着替えてプールサイドで待っていると帆波が駆け寄って来る。
「お待たせ!優里くん水着似合ってるね」
「帆波も似合ってるよ。それじゃあ行こうか」
帆波としばらく遊んでいると有栖がパラソルの下で座っているのが見えた。
「帆波、有栖に声かけに行こう」
そう言って帆波と有栖のとこへ行く。
「有栖もプールに来ていたんだな」
「ええ、泳げませんが気分だけでもと思いまして」
有栖が少し羨ましそうにプールの方を見る。
「よければ俺たちとプールに入らないか?俺と帆波で支える」
「いいのですか?」
有栖は帆波の方を見る。
「坂柳さんは優里くんの恩人だし構わないよ。それに坂柳さんにも思い出作ってもらいたいし!」
そう言って帆波は有栖の手をとり、俺は有栖の体を支える。
有栖の体を支えながらプールに入る。有栖が俺の体にしがみつくと
「坂柳さんはこっちに来ましょうねー」
帆波が有栖の体を自分の方に引き寄せる。帆波の胸に有栖の顔が埋まる。
「子供とプールに入るのってこんな感じなのかな」
帆波が有栖を支えながら言う。
「そうかもな。これはこれでいい気分だ」
俺は帆波の腰に手を回し抱き寄せる。2人で有栖を支える形になる。本当に夫婦みたいだ。
「__なんですか。なんでもう夫婦みたいな雰囲気になってるんですか。もうそこまで行ったんですか。なんで優里くんもそんな優しい顔してるんですか。本当に私が子供みたいじゃないですか。胸ですか。この柔らかい胸がいいんですか。というかなんですかこの胸は。こんな大きさ反則ですよ」
有栖は帆波の胸に顔を埋めたまま呟く。好意でプールに入れてもらっている以上強く言えないが、この扱いは甚だ不本意である。
「坂柳さん、ママって言ってみてくれない?」
「嫌です」
有栖が即答する。帆波は母性が溢れたのか、食い下がる。
「お願い!一回だけ、一回だけでいいから!」
有栖に逃げ場はない。
「ま、ママ・・・」
「んーー可愛い!ママですよ〜」
帆波はご機嫌になり有栖をさらに抱き締める。
有栖は諦めたのか抵抗していないが、苦しそうだ。
「ご、ごめん。きつくしすぎちゃった」
苦しそうな有栖に気づいた帆波が腕を緩める。すると有栖は帆波の腕から抜け出し、
「パパ、ママがいじめてきます」
そう言って俺の胸に飛び込んできた。
「あ、有栖・・?」
吹っ切れた有栖はさらに続けて
「パパ、頭を撫でてください」
俺はその言葉を拒否できず、有栖の頭を撫でる。
「あ、ずるい!私も撫でる!」
帆波も有栖の頭を撫で始めた。
周囲からは生暖かい目で見られていた。
後日、有栖が俺と帆波の子供になったと噂が駆け巡り、有栖はヤケになって行動したことを後悔した。
帆波の圧倒的良妻感!!
帆波「坂柳さん、もう一度ママって呼んでくれないかな・・?」
有栖「絶対に嫌です」