体育祭が終わりしばらくが経った。
帆波に支えてもらった俺は、より一層鍛錬に励むようになった。
そんな中、生徒会3年生の引退が決まった。
新生徒会長は南雲先輩に決まった。
俺と帆波は、会長とお姉ちゃんを誘いお疲れ様会を開いた。
「会長、お姉ちゃん、生徒会活動お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
「もう会長ではなくなったんだがな」
「もうお二人と仕事できないのは寂しいですね」
帆波が残念そうに言う。
「私はお二人とお仕事できて楽しかったですよ」
「俺もお姉ちゃんと一緒に生徒会やれて楽しかったよ」
お姉ちゃんに返す。
「副会長は一之瀬のままだが、この先生徒会長をやるのか?」
会長の問いに、帆波は俺の方を見る。
「帆波に生徒会会長を任せようと思ってますよ。クラスでは俺が仕切ってる分、生徒会は帆波に仕切ってもらうのもいいかと思うので」
「そうか、一之瀬なら良い生徒会長になれると信じているぞ」
南雲先輩は革命を起こして、より実力主義にしていくらしい。
帆波は反対気味だが、俺は半分賛成ってところだ。
努力を怠っている者はこのレースから脱落しても構わないからな。
中間テストが終わって数日後、小テストが実施されると伝えられる。
「この小テストは中学生レベルの簡単なもので、赤点で退学にはならないよ。ただこの小テストの結果が期末試験に影響するんだ」
星之宮先生がHRで言う。
<<ペーパーシャッフル試験の説明割愛>>
「大事なのはペア決め、問題作成、指名するクラスってことか?」
俺が先生に尋ねる。
「そうだね。それとこの試験では例年1,2組の退学者が出てるよ。それじゃあみんな頑張ってね〜」
そう言って先生は教室を出ていった。
「この試験の方針は放課後に伝える」
俺はそう言って朝のHRを終えた。
放課後、クラス全員を集める。
「まずはこの試験でどうすれば退学者が出ないかだ。例年の退学者がそこまで多くないことから、ペア決めに何かしらの法則があると考えられる。帆波はなんだと思う」
俺はそう言って帆波に尋ねる。
「そうだなあ・・少なくとも各ペアの学力のばらつきは少なそうだよね。だから小テストの得点が高い人と低い人がペアになるとか」
「俺もその可能性が高いと思う」
帆波に同意する。
「と言うことで次の小テストでは、わざと点数をばらけさせる。学力の上位10名ごとに、100点、80点、40点、0点に分ければどのペアも平たくなるはずだ」
そう言って小テストの対策を伝える。
「次に問題作成は俺と帆波で行う。クラスの勉強会は隆二と姫野に任せる。特に学力ランキングが半分以下の生徒は必ず参加してくれ」
「そして指名するクラスは元Aクラスを指名する。これには2つの理由がある。1つ目は今の他クラスの情勢的に元Aクラスとやり合う可能性が高いこと。2つ目は自分達がどれだけ成長できたか確認するためだ。入学当初は元Aクラスに学力で劣っていたのだから、今回が挑戦するいい機会だ。全員挑戦者の気持ちで、全力でこの試験に取り組もう」
俺はそう言って期末試験対策の説明を終えた。
「優里くん、問題は私たちだけで作るの?」
「ああ、一緒に住んでるから、その方が効率いいと思って」
俺は帆波に答える。
後日、小テストを終えてペアが決まった。
俺は白波とであった。
「白波、死ぬ気で勉強しろよ」
「わかってるわよ。せっかく帆波ちゃんと仲直りできたところなんだから。」
この様子なら白波は大丈夫だろう。
試験1週間前、俺はクラス全員を集めた。
「試験問題の作成が完了した。これからBクラスの想定得点を考えるために、みんなに問題を解いてもらう。これに時間をかけても意味がないから、各ペア1科目だけ解いてもらう。他のペアに問題を渡すのは禁止だ。」
俺は1科目を2組のペアで分配していく。
部屋に戻ってから帆波に今日のことを聞かれる。
「優里くん、問題をクラスに配っても良かったの?情報漏洩のリスクがあるんじゃ・・」
帆波の言うことも当然だ。
「これはスパイの炙り出しが目的なんだ。体育祭で怪しい動きをしているやつがいてね、今回のでスパイ行為を明らかにさせたいんだ。だから下位8名には別々の科目を渡してある。」
「それなら納得だよ」
帆波は入学した頃からかなり変わった。入学当初の善良さなら、こんな騙すやり方認めなかっただろう。
試験は、A対B、C対Dの直接対決になった。
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side坂柳有栖
優里がクラスに問題を配った夜、有栖はAクラスにいるスパイと会っていた。
「橘がテスト問題を配ってくれてな。1科目だけ手に入ったんだ。他の科目は他のペアに配られているけど、入手は難しいと思う」
Aクラスのスパイがそう言う。
「そうですか。これは報酬のポイントです。また情報を手に入れたらお願いします。」
ポイントを渡して有栖はスパイと別れる。
「優里くんがそれぞれの科目を別のペアに配布ですか・・・間違いなくスパイの炙り出しでしょうね。これは踏み絵といったところでしょうか。スパイの存在に気づかれた以上、彼は用済みですね。優里くんが放置するはずありませんから。こんなに早く気づかれるとは思いませんでしたが」
有栖はスパイを切り捨てることに決めた。誤った情報を渡される可能性があるからだ。
「今はまだ確信を得ていないのでしょうが、これ以上彼を使うのはリスクがありますね。今回は精一杯利用させてもらいますよ」
有栖は嗜虐心溢れる顔でニヤリとした。
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俺は試験問題を変えずに問題を提出した。
期末試験当日
俺は問題を解いていて、
「有栖が作った問題だけあって難しいな。それでも全員50点は堅いはずだ」
そう思い、退学者が出ないことを確信した。
試験終了から数日後、結果が発表された。
Bクラスには後一歩及ばず、負けてしまった。
クラスの雰囲気はどんよりしていた。
今まで順調に勝っていた分、ショックが大きいのだろう。
「今回はBクラスに負けてしまったが、それは今までの努力を否定するものではない。Bクラスとかなりの接戦だったのは、全員が入学当初より成長した証だ。これからも継続して努力していくぞ」
俺はそう言ってみんなを励ます。
「そうだよ!私たちは確実に成長してる。だからこれからもみんなで頑張ろう!」
帆波の言葉にクラスの雰囲気が良くなった。
C対Dの結果はDクラスの勝利だった。後がないDクラスの執念で勝ったと思われる。
今回の試験のクラスポイント変動
坂柳クラス 840pt
一之瀬クラス 1320pt
龍園クラス 300pt
堀北クラス 320pt
CクラスとDクラスは入れ替わった。
スパイは最下位の彼で確定だ。Bクラスは科目の平均点が横並びなのに、彼に渡した英語だけ平均点が10点も上回っていた。有栖は俺がスパイを探してることに気づいたのだろう。スパイを切り捨てたから、英語の点数が不自然になることを飲んだのだ。事実、英語の平均点が10点低かったらAクラスが勝っていたのだ。この辺のバランス感覚は流石有栖だ。
結果発表から数日後、龍園が綾小路のいるCクラスに嫌がらせをしているらしい。
Cクラスにいる"存在X"を探しているのだとか。
龍園の策を破る存在なんて、Cクラスじゃ綾小路くらいだろう。
俺は存在Xが綾小路だと確信していた。
後日、俺は龍園に接触した。
「ククッ、バケモン様が何の用だ」
「お前のCクラスにいる存在X探しに協力してやる」
俺は龍園にそう言う。
「お前が協力する理由が分からねえな。」
「Cクラスの危険人物を潰したら、Cクラスは終わりだ。それにお前が探すほどのやつに興味がある」
龍園は顔を顰め、思案する。
「計画を話せ。これは参加料だ」
龍園に30万pt渡す。
「ククッ、こんなもんもらって協力してくれるんじゃあ、断る理由がないな。いいぜ、お前も一枚噛ませてやる」
そう言って龍園は計画を話し始める。
「仕掛けるのは終業式の後だ。軽井沢がXの駒だから、あいつを呼び出す。軽井沢の弱みを握ってるから、それを使ってXの正体を吐かせる。場合によっちゃあXを吊り出せる」
「わかった。Xを吐かせるのに協力しよう」
俺が龍園に協力する理由は、綾小路に挑めるからだ。
帆波にもう一度立ち上がらせてもらったから、綾小路にもう一度挑みたい。
俺は終業式までの間、苛烈な鍛錬をこなした。
終業式当日
「帆波、今日は一緒に帰れない。先に帰っててほしい」
「優里くん・・また無茶するつもりなの・・?」
様子の違う俺を察した帆波が聞いてくる。
「ケジメをつけてくるんだ、過去の自分に。前に進むために」
「・・きっと私には手伝えないことなんだと思う。それでも、私は待ってるよ。2人で前に進むんだもん」
帆波が真剣に言う。
「・・わかった。ただし屋上には絶対に来ないでくれ」
「無事に帰ってきてね。私は優里くんが大切なんだよ」
Dクラスの奴らと共に屋上へ向かう。
「ここは監視カメラが一個しかないからな。こうしてしまえば終わりだ」
そう言って龍園はカメラをスプレーで塗りつぶした。
しばらくすると軽井沢が屋上にやってくる。
「何の用?私の過去をバラすってどういうつもりなの」
「お前が存在Xの駒なのは知っている。過去をバラされたくなかったら、存在Xが誰か吐け」
答えない軽井沢に痺れを切らした龍園が軽井沢を突き飛ばす。
「さっさと吐け。これ以上黙るのであれば・・・おい石崎、バケツに水組んでこい」
そう言って水汲みに行かせる。
「ククッ、こんな寒い中水濡れになったらどうなるだろうなあ。・・これでもだんまりかぁ!」
龍園は軽井沢を蹴り飛ばす。
「伊吹、やれ」
龍園の命令に応じ、伊吹が軽井沢を抑えつける。
しばらくし、龍園が持ってきたバケツを受け取り軽井沢にかける。
それでも軽井沢は綾小路をバラさない
大した忠誠心だ。俺がそう感心していると、
「あんた生徒会でしょ?!こんなこと見過ごすって言うの?」
軽井沢が俺に言ってきた。
「悪いが俺には俺の目的がある」
俺はそう言って動かない。
軽井沢が伊吹の暴力に耐えていると、屋上の扉が開く。
「ククッ、お前がXだったか。綾小路!」
「オレがXだ」
そう言って綾小路は軽井沢の下へ駆け寄る。
「遅くなってすまなかった。恵、あとは任せてくれ」
綾小路は軽井沢を逃した。
「ククッ、この人数に1人とはな。ここでお前を確実に潰す。石崎、アルベルトやれ」
龍園の言葉に2人が綾小路に襲いかかる。
石崎の拳を掴んで握り潰し、アルベルトの攻撃を足払う。
「お前がここで仕掛けてくるのはオレの計画通りだ。この場に誘導したのは龍園、お前はここで潰すためだ」
綾小路が無機質な声で告げる。
__この何人も脅威と思っていない眼、ホワイトルームの時と変わっていない。
俺は僅かに震える手を押さえつける。
龍園以外が綾小路に一蹴された。
ついに龍園が襲いかかる。
「そんな実力を隠していたとはなぁ!見下していた気分はどうだ」
龍園の拳を難なくかわし、綾小路が龍園を蹴り飛ばす。
「暴力はお前の専売特許ではない。お前ではオレに勝てない」
「俺は絶対に折れねえ、理不尽はもう十分なんだよ!」
龍園は再度綾小路に襲いかかる。しかし綾小路の反撃で一気に龍園は劣勢に立たされる。
綾小路の拳を、蹴りを受けて龍園はボロボロになるが、それでも龍園は立ち上がる。
「バケモンは1人で十分なんだよ。俺は絶対に負けない。お前が飯の時、クソしてる時、四六時中襲ってやる。最後に勝つのはこの俺だ」
龍園の拳をかわし、綾小路が強烈なアッパーを叩き込む。倒れ込んだ龍園の顔を踏み潰した綾小路は言う。
「お前が何をしようがオレが負けることはない」
「ククッ、温いなぁ綾小路。こんなんじゃ俺は屈しねえ!」
龍園は顔を踏みつけられても、尚吼える。
「_そうか。ならばお前はここで沈め」
そう言って綾小路は龍園の右手首と右肘を持つ。
龍園の前腕を捻じ曲げようと力を加える。
「グアああああああぁぁ!!!」
骨が軋む。
「これが恐怖だ」
綾小路の言葉を最後に、龍園は気を失った。
龍園を処理し終わった綾小路はこちらを向く。
「橘、お前はどうするつもりなんだ」
「俺は俺のケジメをつける」
俺はそう言って地面を蹴り出す。
拳を受け止められ、綾小路の反撃を身を捩ってかわす。
即座に蹴りを入れようとするが、足を掴まれ腹にパンチをもらう。
「理不尽さは相変わらずだな。それでも俺はここで止まっていられない!」
それでも俺の攻撃は完璧にいなされる。何度も綾小路からパンチと蹴りをもらう。
俺を蹴飛ばした後、綾小路が告げる。
「お前の動きは過去に見ている。お前は俺に勝てない」
ボロボロになった俺は立ち上がり、綾小路に襲いかかる。
「クソがああああああぁぁ!!」
綾小路は俺の攻撃をかわし、腹に強烈な1撃を叩き込む。
「ぐはぁっ!」
体がくの字に曲がる。肺の空気が全て吐き出される。
吹き飛ばされた俺は、倒れた龍園にぶつかる。その衝撃で龍園の意識が戻る。
「・・お前でも綾小路に勝てないのか」
ボロボロの俺を見て龍園が言う。
「ああ、俺は綾小路に勝てたことがない」
俺と龍園は地べたに這いつくばっている。意識を保つので精一杯だ。それでも俺は立ち上がり、綾小路に宣言する。
「確かに俺は綾小路に勝てない。だから集団でお前に勝つ。俺のクラスで、お前のいるクラスに勝つ。Aクラスで卒業する。個人戦で勝てないなら集団戦だ。そして俺は俺の価値を証明する。これは俺の決意表明だ」
「_オレはクラスを率いるつもりはないし、Aクラスになるつもりもない」
「そんなことは知っている。これ以上突っかかるつもりはない。俺が勝手にやるだけだ」
「好きにするといい」
綾小路は俺との会話を終えると龍園に尋ねる。
「龍園、お前はまだやるのか?先に言っておくと降りた先に元生徒会長が待っている。先に龍園が手を出したことは明らかだ。」
「・・俺が屈するとでも?」
「お前ならそうするはずだ。このまま続けるなら沈むのはお前だけではない」
その言葉に龍園は苦虫を噛み潰した顔をする。
「お前は俺らをどうとでも出来るってわけか」
「ああ。だがお前らがこれ以上仕掛けてこないのであれば、オレはこの件を使うつもりはない」
「・・・勝負は終わりか。俺の戦いも終わりだ。綾小路、全ての責任は俺が取る。こいつらは関係ない。」
龍園は力なく言い、スマホを操作する。
「伊吹、クラスのポイント全額だ。好きに使え。俺はここで終わりだ」
「ちょっ!?なに言ってるんすか、龍園さん!」
「うるせえ。暴君は暴力があるから成立してるんだ。暴君として敗北した以上、続けるつもりはない」
龍園は石崎に返す。
「あんた、無人島の時に橘に負けたけど続けてたじゃない」
伊吹が龍園に言う。
確かに俺はあの時龍園の心を折ったはずだ。
「確かに橘には敗北した。だがあれは個人での話だ。今回は暴君として配下を率いて敗北した。敗戦の将のいく先は決まっている」
「随分と殊勝な心がけだな」
「暴君となった時から首を切る覚悟はしていた。じゃあな」
綾小路に双返しし、龍園はフラフラになりながら立ち去ろうとする。
「龍園、お前は本当にそれでいいのか?暴君としてたった1度敗れただけで、暴君をやめてしまうのか。支配者が首を切るのは負けた時じゃない、革命が成立した時だ。革命が起きず、勝者から首を切り落とされたのでないのなら、お前が退学する必要はない」
「意味わかんねえ。何でお前が止めるんだよ、橘」
龍園が怪訝そうに俺の言葉に返す。
「同じ支配者として見てられないからだ。今のお前を見ても尚忠誠心が残っている奴らがいるからだ。兵がいる以上、将が勝手に幕を下ろすのは許されない」
「そうっすよ!俺は龍園さんから離れるつもりはないっす!」
「Yes, you're my boss.」
石崎とアルベルトが龍園への忠誠を顕にする。
「それに綾小路はお前らに格の差を見せつけて抑止力を得ただけで、退学させるつもりはないんじゃないか?」
「そうだ、お前らが大人しくなるなら、俺は事を大きくするつもりはない。下にいる元生徒会長にも他言無用と話はついている。それでも退学するなら止めないが、、」
綾小路が同意する。
「龍園、お前はその程度の人間なのか?お前が将として1度の敗北で学校辞めるんだったらな、俺は人生やめれるくらい負けているぞ。お前がここで降りるなら、お前は不良にビビったガキ大将と同じだ」
「・・・・んだと」
龍園が俺の言葉に反応する。
「お前も勝利への執着が強いと思っていたんだけどな。俺の見込み違いだったようだ」
龍園の目に意思が宿る。
「いいぜ。ああ、いいぜ。ここまで煽られちゃ、こいつを地べたに叩きつけなきゃ気が済まねえ。俺も王としてお前らに挑んでやる。綾小路のクラスを越えて、橘のクラスを叩き潰す。最後に勝つのは俺だ。俺の退学を引き留めた事を後悔させてやる!」
「龍園さん!!」
石崎の目には喜びのあまり涙が浮かんでいる。
「カバーストーリーはこうだ。俺に反抗すべく石崎たちは俺を屋上に呼び出した。橘は立会人として呼び、争った。お互い手負いになり、仲裁に入った橘も多少巻き込まれた。これならDクラスがおイタしただけで済む。この場の責任くらいは俺が負う」
「俺はそれで構わないぞ」
「オレもお前らが大人しくなるなら何でもいい」
俺と綾小路が同意する。
こうして俺たちは屋上を後にした。
階段を降りると堀北先輩と帆波がいた。
「優里くん!!」
ボロボロの俺を見るなり、帆波が駆け寄ってきて俺を抱きしめる。
「ばか・・・・」
「ごめん・・」
俺は帆波を抱き返す。
堀北先輩が尋ねてくる。
「優里、何でお前までここにいるんだ?」
「ククッ、俺たちの争いの立会人になってもらっただけだ」
龍園が代わりに答える。
「そうか、どうせ監視カメラを潰しているのだろう。その罰は受けてもらうぞ」
「それは俺がカメラにスプレーを吹きかけた」
龍園が即答する。
堀北先輩も一応納得し、そう言うことで学校には説明しとく、と言って去っていった。
帆波は俺に無言のまま引っ付いて離れない。
「これで終わりだな。綾小路、俺はクラス戦で必ず勝つ」
「ククッ、俺がまとめて潰してやるぜ」
こうして存在X捜索の一件は幕を下ろした。
「帆波、いつまで引っ付いてるんだ・・・」
俺は部屋に戻っても離れない帆波に言う。
「・・こんなボロボロになった優里くんが悪い」
帆波はそう言って俺をベッドに押し倒した。
「私心配したんだよ? 屋上からは乱闘音が聞こえてくるし、軽井沢さんがびしょ濡れで降りてくるし。優里くんの叫び声が聞こえたのに、その場に行けなかったんだよ??」
帆波の目から涙がこぼれ、俺の顔に落ちる。
「ごめんね・・。でもこれで俺1人の戦いは終わったんだ。あの10年にけりを付けられたんだ。これからは帆波と2人で戦い抜くよ。もう帆波に涙は流させない、そう誓うよ」
俺はそう言って帆波にキスをする。
そして帆波は俺に額を合わせた。
「優里くんが1人で背負っていたものは、これで全部無くなったんだよ。これからは全部2人で一緒に背負おう」
「ああ。2人で全て分かち合おう。そして一緒に幸せになろう」
龍園は即座に王へ復帰させました。
即復帰の理由としては
・優里が逃げてないのに自分だけ逃げられない
・「支配者が首を切るのは革命が成立した時」この言葉が胸に刺さった。
・優里の自分が負け続けた発言を嘘じゃないと感じた
こんなところですかね