ようこそ支配者がゆく教室へ   作:藤村凛

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失墜。そして理不尽へ

 

side帆波

 

私は罪で自分を罰し続けてきた。でも優里くんがそんな私の罪を赦し救い出してくれた。お互いの過去を受容し、これから同じ未来を歩いて2人で幸せになると誓った。私は優里くんと出会うまでは無垢な子供だったと思う。でも今の私は清い存在じゃない、優里くんに染め上げられた私だ。優里くんが前に進むんだから私も前に進まなくちゃいけない。優里くんの隣に経ち続けるためにも坂柳さんや龍園くんの悪辣、悪逆さを喰らってみせる。優里くんのためなら私はなんでも出来る__

 

 

 

試験の前、また茜さんがいちゃもんをつけられていた。周囲に人がいないから最後に苛烈に追い詰めるつもりなんだろう。

私はユキちゃんと麻子ちゃんにお願いをする。

「ユキちゃんは星之宮先生を呼んできてほしい。麻子ちゃんは何も言わずに今から動画を撮ってほしい」

私は2人にそう言った後3年生のとこに割って入る。

私は悪い子、優里くんのように敵対者には容赦しない。ここは私が優里くんの代わりに頑張るんだ。

 

「先輩方はいい加減にしてくだい」

「何よ、私たちの注意に干渉しないって言ったじゃない」

「これ以上見ていられませんよ。茜さんが虐められている姿も、先輩たちの情けない姿も」

私は3年生の言葉にそう煽って返す。

「情けないですって!?私たちを舐めるのもいい加減にしなさい!」

 

「そんなことをしてても茜さんが優秀なことに変わりはありませんよ。先輩は自信ないんですか?」

「帆波さん、そんなこと言わなくても、、、」

茜さんは遠慮がちに言うが、その時、、

 

「後輩に良いように言われ、使われて随分と情けないですね。先輩方?」

坂柳さんが煽りながら会話に加わってくる。

「誰よあなた。他のグループの人は関係ないでしょ!」

「ええそうですね。先輩方があまりにも見苦しく、みっともなかったのでつい声をかけてしまいました」

坂柳さんは嗜虐的に言う。

 

坂柳さんの言葉に顔を真っ赤にした先輩がこっちに近寄ってくる。責任者の猪狩先輩だ。

「あんた達いい加減にしなさいよ!どういうつもり!」

「このままでは先輩の目的は達成できませんよ。可哀想だにゃー、このまま茜さんは試験で高得点を取っちゃうんだろうにゃー」

ユキちゃんの姿を横目で捉えた私はここぞとばかりに全力で煽る。

 

「帆波さん、先輩にそんなことを言っては、、、キャッ!!」

猪狩先輩が茜さんを巻き込むように私を突き飛ばした。私は調整して壁に倒れ込み、壁に体をぶつける。

「無能さんはそんなことしか出来ないんですかにゃー?」

私の煽りで理性を吹き飛ばした先輩が、私と茜さんにのし掛かり殴り始めた。

「うるさい!!ここであんた達を退場させてやる!!」

 

「やめなさい!!」

星之宮先生が声を上げて私たちに近づいて来た。先輩は顔が真っ青になる。

「この場は私が預かります。貴方達はひとまず試験を受けなさい。処罰は試験後です」

猪狩先輩が私たちから離れる。他の先輩達もひどく動揺している。

「一之瀬さん、橘さん、体は大丈夫かしら」

「大丈夫です」

茜さんも頷く。

 

「まさか一之瀬さんがこんなことするなんて、、、」

「私は優里くんのためなら何でもしますよ。あとはお願いします」

先生にそう返して、私たちはその場を離れて試験会場に向かった。

 

_______________________________________

 

先生にポイントを支払い、結果発表の時の仕事をお願いした。これで仕込みは完了した。

試験は順調に進んでいって問題なく終了した。

 

 

結果発表のために全生徒が講堂に集められた。みんながいる前で南雲先輩が堀北先輩に話しかける。

「先輩、試験はどうでしたか?」

「問題ない、全力を尽くした」

「へぇ、それは結果発表が楽しみですね」

南雲先輩はニヤニヤしながら話していた。

 

「それでは男子の結果を発表します。男子総合1位は……3年Cクラス、二宮倉之助くんのグループです」

俺と堀北先輩がいるグループだ。グループメンバーは歓声をあげる。

「流石は堀北先輩ですね。おめでとうございます」

南雲先輩は堀北先輩を称賛するが、全く悔しそうではない。

 

「決着は着いた。南雲、お前の負けだ」

「ええ、決着はつきましたよ、、、、男子の方はね。でもまだ女子の発表がありますよ」

「女子は関係ないはずだ」

「関係ありませんよ、この勝負にはね」

ニヤつく南雲先輩に対して堀北先輩は怪訝な表情を浮かべている。

 

「では次に女子グループを発表します。1位のグループは3年Cクラス、綾瀬夏さんの所属するグループです」

女子の方から歓声が上がる。うちのクラスのグループではないから今回のポイントはマイナスになりそうだ。

教師が順に順位を発表していく。

「最下位のグループですが、、3年Bクラス、猪狩桃子さんのグループです」

最下位になるとわかっていたからか、動揺が少ない。

 

「そして猪狩桃子さんの小グループは重大な違反行為をしたため失格となり、点数が無効になります。そのため猪狩桃子さんの小グループはボーダーを割ってしまったことになります」

教師の発言に会場が大きく騒めく。

「何をしたんだ南雲!!」

「え、、いや、、、そんなはずは、、」

堀北先輩は怒りを露わにし、南雲先輩は訳がわかってないようで動揺している。

 

「静かにしてください。責任者の猪狩さんは退学が決定しました。審議の結果、連帯責任で命じることはできません。以上で発表を終わります」

「はあ!?どういうことだよ!」

「猪狩先輩が問題を起こしたからですよ、南雲先輩」

俺は怒っている南雲先輩に近づいて言う。

 

「優里、、お前がやったのか」

「猪狩先輩が私と橘先輩に暴力を振るったから失格になったんですよ」

帆波がこちらに近寄って言った。南雲先輩は帆波が絡んでいたことに驚き目を見開く。

「南雲先輩、次は貴方の番です」

俺と帆波は壇上に上がってマイクを持つ。

 

「生徒会書紀の橘と生徒会副会長の一之瀬です。この場をお借りして生徒会長の不信任決議を取りたいと思います。先生、準備をお願いします」

「「なんだとっ!?」」

先輩方は大きく驚き、講堂は生徒の動揺で騒がしくなる。

「優里、帆波!どういうつもりだ!!」

南雲先輩が怒声を上げる。

 

「不信任決議を取る理由は、南雲会長が猪狩先輩グループの失格に関与していたためです。猪狩先輩が私と橘先輩に暴力を振るったことが失格の原因です。そして南雲会長が猪狩先輩の行動を教唆する証拠が発見されました。それがこちらです」

帆波の発言でまた騒がしくなるが、スクリーンに南雲先輩と猪狩先輩の密会映像が流れ出して静かになる。

 

「こ、こんなの出鱈目だ!」

南雲先輩の声を無視して俺は帆波に続けて発言する。

「南雲会長に唆された猪狩先輩が橘先輩への中傷、暴行をしたことは事実です。これは教師にも把握されていることです。そして会長として不適切な行動をとった証拠が他にもあります」

南雲先輩がクラスメイトを突き飛ばして怪我をさせる映像が流れる。

2つの映像に教師陣にも動揺が走っている。

 

「お静かにお願いします。南雲会長が生徒会長として不適格であり、この不信任決議に賛同する方は挙手をお願いします」

徐々に手が上がっていく。その様子を見た南雲先輩は、

「お前達にそんな権限はないはずだ!生徒会長が不信任決議にかけられることなどない!」

 

「歴代の生徒会長は皆人格者でしたからね。ですがこれは現生徒会の半数が提訴した不信任決議であり、妥当性としては充分なはずです。生徒の皆さん、教師の方々、どうか正しい判断をお願いします」

俺と帆波は頭を下げる。

挙手の数は増えていき、8割近くの生徒が賛同の意思を示した。その状況に南雲先輩は怒り狂っている。

 

「この場は我々教師が預かります。最終的な判断は教師会議で審議にかけた上で決定します。皆さんは帰る準備をしてください」

状況を変えたのは3年の学年主任の先生だった。そして生徒は次々に講堂から出ていった。この場には堀北先輩、お姉ちゃん、南雲先輩、俺と帆波が残った。

 

「やってくれたな2人とも」

「お姉ちゃんを狙い、危険に晒したやつを許す訳がないでしょう」

苛立ちを隠さない南雲先輩に俺は睨みながら答える。

「南雲、お前は最初から茜の退学を狙っていたのか」

「ええ、そうですよ。これまで勝負に乗ってくれませんでしたからね。堀北先輩の顔を歪ませてやろうと思ったんです」

「それでこのザマか」

 

南雲先輩と話した堀北先輩は俺と帆波の方を向く。

「2人はこれからどうするつもりなんだ」

「退学まではいきませんからね、南雲先輩を生徒会長の座から引きずり下ろします」

「そして私が生徒会長になります」

南雲会長の睨んでくるが、俺と帆波は毅然と答える。

 

「そうか、、、それにしても、生徒会長の不信任決議なんて初めてのことをよくあの場でやったな」

「正直証拠としては決定的ではなかったので。問題を顕在させて民意を煽りました。それができるのは今日の場しかありませんでした」

 

「優里、、、」

お姉ちゃんは複雑そうな顔をしている。

「これはお姉ちゃんのせいじゃないよ。お姉ちゃんを退学に追い込もうとするなんて万死に値するからね。俺が勝手に報復しただけだよ」

「ですが、、それに帆波さんも危ない目にあって、、、」

お姉ちゃんが心配そうに帆波を見る。

「私も優里くんと同じです。それに私たちは2人で一緒に背負うと決めてますから。優里くんの敵は私の敵です」

 

「敵か、、お前ら覚えていろよ。この借りは必ず返してやる」

そう言って南雲先輩は去って行った。

「優里、帆波さん、改めて助けてくださりありがとうございます」

「俺も礼を言う。茜のことも南雲のこともな、助かった」

「お姉ちゃんのためです、これくらい当然です」

「私もです。茜さんが悲しむ顔は見たくありませんでしたから」

 

こうして波乱の混合合宿が終了した。

 

試験結果

坂柳クラス  -20pt

一之瀬クラス -30pt

龍園クラス  +15pt

堀北クラス  +20pt

 

 

 

合宿から帰ってきた俺と帆波は自室のベットの上で抱き合っていた。

「帆波、今回は辛い役目を負わせてしまってごめんね、、、」

「覚悟してたことだけど人に悪意をぶつけて、ぶつけられるの心苦しかったよ、、」

帆波は顔を俺の胸にうずめて力なく言う。元々善良な彼女にとってわざと暴力を誘発するなんて真似はかなりの負担だったはずだ。

 

「それでも、、私は優里くんと2人で歩むと決めてるから。どんな時でも優里くんを支える、だからこれからも必要だったらこういうこともやるよ」

「ありがとう、愛してるよ」

「私も優里くんを愛してるよ」

帆波は俺に唇を重ねた。

 

 

猪狩先輩は2000万ptを使って退学を回避したが、暴行の罰として賠償を支払うことになった。お姉ちゃん、帆波に100cptと200万pptの譲渡をすることになり、2週間の停学になった。

南雲先輩は生徒会長を辞任することになり、1週間の停学と300万pptの没収の処罰が加わった。

 

 

3月

来週に1年最後の特別試験を残すのみとなったが、星乃宮先生が普段のおちゃらけさが全くない様相で教室に入ってきた。

「みんなに伝えなければならないことがあるの。この学年からは退学者は出ていない、それは素晴らしいことだけど異例なことでもあるの。そこで教師として甚だ不本意な特別試験が実施されることになったの」

クラスが沈黙を保つ中で先生は言葉を続けた。

 

「理不尽にクラスから退学者を選ぶ試験、クラス内投票よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




混合合宿終了時のポイント

坂柳クラス  815pt
一之瀬クラス 1410pt
龍園クラス  320pt
堀北クラス  335pt
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