改造人間逃走記   作:森の翁

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 変化した肉体を見てつくづく思う、俺は化物になってしまったのだと。

 

「はっ、ほんっと気色悪いねぇその姿、僕たちエージェントと違って体を直接弄られた化物はやっぱ違うねぇ」

 

「お前らだって似たようなもんだろう、1度人間を介したことで安定化した異体因子を体に取り込み、腰に巻いた装置でその因子を活性化させることで変身しているんだからな、お前たちだって体を弄ってるじゃないか」

 

 目の前のエージェントの言う通り、変化した俺の姿はあまりにもおぞましいものだった。

 まるでトンボをそのまま人型にしたような無理矢理過ぎる見た目、こりゃ確かにキモい。

確かにキモいが...。

 

 こいつらのくだらない選民思想は一体どこから来るんだろうな。

 自分たちは化物じゃないと思ってるみたいだが、その力を使ってる時点でお前らも化物だっていい加減気づかんのかねぇ。

 

「貴様らのような醜い劣等種と違って僕たちエージェントは選ばれた存在、根本からして違うのだよ!」

 

「あぁそうかい、じゃあこれも躱せるよな!」

 

 刹那の不意打ち、俺はやつの内蔵にダメージを与えるべく渾身のレバーブローを放った。

 

「狙いが見え見えなんですよ劣等!」

 

「ちっ、やっぱりこの程度じゃ当たらないか」

 

 やつはほんの少しだけ身を捻ることで俺の攻撃を避けやがったんだ...普通あのタイミングで避けられるのかよ。

 正直驚いている、何せエージェントはひたすら俺たちを見下すばかりでまともに訓練もしてない見てくれだけのハリボテみてぇな連中がほとんだだからな。

 だが、こいつは違うらしい。

 

「ヒヒヒヒヒッ、さっさと死になさい!」

 

 あの不意打ちを避けられた後、俺は全く気づかないうちに合計で10回以上の攻撃を食らった。

 どういうからくりか知らんがやつは俺の感知能力を阻害する力を持っているらしい。

 ...まさかそういうことか?、試してみる価値はあるな。

 

「ふん!、おぅらぁぁぁ!!!」

 

 俺は背中に生やした四枚の羽を全力で動かし、辺りの空気を吹き飛ばした。

 

「なっ、しまった」

 

 やはりな。

 

「お前のA.V.Aのベースがようやくわかったぜ、てめぇのそれはヒョウモンダコだな」

 

 反応をみる限り、俺の予想は当たっていたらしい。

 こいつのA.V.Aのベースはヒョウモンダコ、ステルス能力の正体もタコ特有の擬態能力、そして俺の感知能力を阻害さていたのは...。

 

「まさかヒョウモンダコの毒を散布して俺の感覚を鈍らせるとはな、敵ながら恐れ入ったよ」

 

「チッ」

 

 そう、なんとこいつはヒョウモンダコが持つ毒をガス状にして散布していやがった。

 そのせいで俺の感知能力が鈍り、こいつの攻撃を避けられなかったわけだ。

 それがなくなっちまえば当然俺の感知能力が使えるようになるわけで。

 

「さて、そんじゃそろそろ死んで貰おうかな」

 

 もうこいつに用はない、俺はさっさと妹に会いたいんだ。

 

「まっ待ってくれ、見逃してくれたらお前のことは本部には黙っていよう、だから見逃してくれ!、なっ?なっ?」

 

 なにふざけたこと言ってんだこいつは?。

 

「先に殺しに来たのはそっちだろう?、じゃあ殺されても文句言えねぇよなぁ!」

 

「ひぃ、やめてくれぇぇぇ!!!」

 

 

 

 

 グシャリと音をたてて目の前のエージェントの頭はまるでトマトのように潰れた。

 その感触は、ものすごく気色悪いものだった。

 

「さぁて、エージェントも始末したことだし、改めて妹に会いに行くか」

 

 エージェントの死体はそれはもう酷い状態だった。

 頭は潰れ、目玉と脳味噌がはみ出しているうえについでとばかりに殴った腹からは内蔵が覗いている。

 これが異体とエージェントの戦闘どっちかがぐちゃぐちゃの肉塊になるまで続く地獄みてぇな争い、俺はこれを何度も見てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「3年ぶりの家だ...みんな俺のこと忘れてないも良いなぁ」

 

 場所は移りここは都内某所、俺の実家がある場所だ。

 

「えぇと、ここを左に曲がったら次は突き当たりまで真っ直ぐ進んで...」

 

 3年もの間地獄のような環境に身を置いた結果、俺の記憶はかなり頼りないものになっていた。

 それも仕方ない、戦って殺してまた戦って、俺たちの日常はそんな血生臭いものに変わってしまったんだから、そりゃ平和だったころの記憶も薄れるし、家の場所が中々思い出せなくても仕方ねぇ。

 

「しっかしこの辺りも見ないうちにだいぶ変わっちまったなぁ、知らない建物もいっぱい立ってるし俺の記憶の中の町と全然違う、まるで別世界に来ちまったみたいだ」

 

 さて、このぶんだと俺の実家がちゃんと記憶の通りの場所にあるか怪しくなってきたぞ。

 もし引っ越しとかしてたらどうしよう。

 

「あぁ、まじで不安になってきた」

 

 そう思いながらあっちでもない、こっちでもないとふらふら歩いていたその時だった。

 

「お兄ちゃん?」

 

(みこと)?、お前命か!」

 

 俺は慌てて声の主のほうへ振り返った、そこにはなんと会いたかった妹がすぐ後ろに立っていたのだ。

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」

 

「おわっ!」

 

 命は俺の顔を見るなりおもいっきり抱きついてきた。

 

 




【ヒョウモンダコのエージェント】

 政府から派遣された殲滅チームの1人、ヒョウモンダコの因子を使用している。
 能力はタコの擬態能力と毒の散布、特に後者は主人公の感知能力を狂わせ苦戦を強いた。
 ほとんどナレ死のような終わりかたを迎えたのは書いていてめっちゃムカついたのとこいつさっさと殺したかったから。
 
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