Blue Skies give me so much hope.   作:あーねむ 草の民

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 今回はF-15Eに乗っていきます。ホウェトストーンくんがWSO、テイラーくんが前席です。手動IFFだるいねF-15E…


Lie or Due

「レックス5-1、リクエストタキシング」

 

『レックス5-1、こちらコントロール、クリアードタキシング。着陸機があるため6で待機、ランウェイ3-0を使用せよ。風速0.3ノット、イースト』

 

「レックス5-1ソリッドコピー」

 

 荒野に囲まれた飛行場、その駐機場からF-15Eが轟音を発しながら動き出す。駐機場をゆっくりと出て行った機体は、「6」と書いた看板が置いてある滑走路の目前で止まる。

 

「見ろよテイラー、ランディングすんのはヴァイパーだ」

 

 声を聞いてから、テイラーは左を向く。段々とその機影をはっきりと、そして大きくしてくるF-16があった。パイロットまで見えるようになった機体が目の前を通り過ぎ、滑らかに、アスファルトを撫でるように着陸する。思わず目で追いかけながら、いつもの自機を思い出す。灰色の小柄な機体は、エアブレーキでその速度を大きく緩めながら滑走路脇のスペースへ進入する。

 

「レックス5-1、リクエストトゥーテイクオフ」

 

『レックス5-1、コントロール。クリアードトゥーテイクオフ』

 

 ゆっくりと滑走路へと入り、白い線へとHUDの中央を合わせる。

 

「さぁ、行くぞ」

 

「やらかすなよテイラー」

 

 爆弾を備えた大鷲は、今飛び発たんとエンジンを轟かせる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さっき離陸したストライクイーグルはなんだ?」

 

 照明のついていない、若干西陽が差す部屋に声が響く。先ほどのしわがれた男の声に続き、若い女の、凛とした声が響く。

 

「あれ?あれは私の依頼で出したものよ」

 

「どういうことだ?」

 

「表向きはFOCの補給地点襲撃。ヘリパッドと武器弾薬庫の爆撃ね」

 

 男は少し考え込む。直近で襲撃予定のある補給拠点の情報などなかった。そしてつい最近の、『何者かによる村の襲撃』を思い出す。

 

「あぁ、そうか。目撃者の徹底的な根絶やし…と」

 

「そう言うことよ。あの作戦の意味はわかるでしょう。あなたなら」

 

 女は微笑みを含み饒舌に喋る。男はむぅと呻き答えを探る。

 

「わかるが、理解したくはないな」

 

 苦渋の末の出した結論を声に出すと、女は機嫌良さげに話す。

 

「それはもうこちら側も同じよ」

 

 終始顔を顰めている男は忌々しげに口を開く。

 

「この雌犬が。飼い主がどこのどいつだか知らないが、余計なことはするなよ」

 

「そうね」

 

 女は笑う。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「テイラー!ニューピクチャー。方位1-3-2、Angel20、ブルズアイ320/15、シングル」

 

「了解、IFFかけるぞ」

 

 離陸して時間が経ちかなりの距離を飛んだ頃、レーダーに新たな反応が映る。F-15E独特の手動によるIFF質問。レーダーに映る一機の機影にむけ、信号を送る。もし応答がなかった場合、レイガンコールを行ったのちにAMRAAMを放つ。もしレイガンコールに反応があり、バディスパイクと帰ってきた場合は、味方である。わけだが…

 

「IFF応答なし、ホウェットストーン。撃つか」

 

「レイガンコール忘れんなよテイラー」

 

「了解」

 

 無線の周波数を変え、広域の味方機へ向ける。少しのノイズの後、テイラーはゆっくりと話し出す。

 

「こちらレックス5-1、レイガン。ブルズアイ320/15、方位1-3-2、Angel20」

 

 沈黙。無線機はノイズを流し続け、緊張と焦りを募らせる。バンディットとして攻撃許可を求め、ホスタイルとしてミサイルを発射するか。判断を求める無線を開こうとしたその時。

 

『ブルドッグ3-7、バディスパイク、バディスパイク。ブルズアイ320/15。すまなかったレックス5-1、不具合のようだ。近くの基地に着陸する』

 

 味方の声に安心し、操縦桿の手を緩める。一度バイザーを上げ、落ち着いて碧い空を見上げる。

 

「ブロックロック。ブルドッグ3-7、レックス5-1。気をつけて帰ってくれ」

 

「危なかったなテイラー、バディロックだったか」

 

 ホウェットストーンは笑い、楽しげに話す。一方のテイラーは本当に焦っていたようで、額に浮かんだ嫌な汗を拭う。

 

「あぁクソ、コレからが本番だってのに。ウェイポイント4まで10マイル、そろそろ準備するか」

 

 テイラーは右MFDを操作し、F-15E独自の機能を使用する。レーダーを地上に向けて照射し、鮮明な地図を作ることができるこの機能は、地上のあらゆる物体を浮かび上がらせ、目標の確認ができる。

 

「パッチマップ作成中…作成完了。見えた、ヘリパッドと建物だ」

 

 完成した緑と黒の地図に映るのは、目標と思われるヘリパッドとその横にある建物。武器弾薬庫と思われるその影は、どこか違和感を感じる物だった。

 

「なぁテイラー、なんかへんじゃねぇか?弾薬庫ってよりか…」

 

「民家だな、これ。どう言うことだ?少し基地に問い合わせる」

 

 怪訝な表情を浮かべるテイラーは、無線周波を基地に合わせて通信を試みる。

 

「こちらレックス5-1、コントロール」

 

 少しの間が空いた後、ポップノイズが起こり男性の声が聞こえてくる。

 

『こちらコントロール、レックス5-1どうぞ』

 

「コントロール、レックス5-1。作成したパッチマップ上に目標と思われるヘリパッドと建物を確認した、だが、建物は民家のように見える。どう言うことだ?」

 

 また少し間をあけ、今度は女性の凛とした声が聞こえてくる。

 

『こちらコントロール、レックス5-1は指令通り空爆を行え』

 

「民家への爆撃はROEで許されない、レックス5-1」

 

『あー、今情報が入った。民家に偽装した弾薬庫のようだ。任務を達成せよ』

 

 怪しいと詰め寄ったが、全ていなされ、最終的には「今入ってきた情報」とやらを言われてしまった。テイラーは指令と任務を信用する選択をした。そうでないと、心の何かがおかしくなるような気がして。

 

「…ウィルコ、レックス5-1アウト」

 

「やるのか?テイラー」

 

 ホウェットストーンが問いかける。テイラーの表情はバイザーで見えない。その手は強く操縦桿を握り、マスターアームへ手を伸ばす。

 

「マスターアーム、アームド。コンファーム」

 

「やるんだな、後悔すんなよ」

 

「それは無理な話だ」

 

 乾いた笑いが酸素マスクの中でこだまする。右MFDで兵装システムにアクセスし、TGPを使用して先ほどのパッチマップ通りの場所を見る。

 

「ヘリパッド…デジグネイト、ペイブウェイレディ、アウェイ」

 

 高速で飛行中の大鷲から、鋭い紡錘形の爆弾が産み落とされる。ターゲティングポッドのレーザー着点に向けて爆弾は弧を描いて飛んでいき、

 

「ターゲット!ヘリパッド破壊確認。次行くぞテイラー!」

 

 TGPが動き、カメラとレーザー照射機が寂しく砂に吹き荒らされている建物を捉える。

 

「“武器弾薬庫“デジグネイト…やるんだな、やるぞ。ボムアウェイ」

 

 もう1発の爆弾が落とされる。先ほどと同じように、レーザーの着地点に向けて綺麗に落ちていく。乾いた空を切り裂き、大きな運動エネルギーを伴い着弾。中東の脆い建物は、莫大なエネルギーによって内側から爆散し、哀れにもその破片を砂に広げた。コレでは中に何があり、いたのかもわからないだろう。

 

「ターゲット。レックス5-1、指定された目標を破壊」

 

「帰るかテイラー、仕事は終わった。帰って酒飲んで寝ちまおう」

 

 テイラーは尚もMFDに映る建物跡地から目が離せなかった。今にも大怪我をおった人間が出てきそうなその雰囲気に、心臓が音を立てる。民家だったらどうするのか。罪か、仕事か、運命か、嘘か。

 

 砂漠の風は全てを包み込み、通り過ぎていく。大鷲は空を悠々と舞い、哀愁漂う地上のあらゆるものを見下ろす。




 なんかいつもより少し長くなりました。F-15Eの馬鹿でかい推力だとAMRAAMの命中率が上がりそうですね(ホーネットを睨みながら)
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