Blue Skies give me so much hope. 作:あーねむ 草の民
MP-155(ピラニア弾)でPMC3人屠ったらー、スナイパースカブにやられてしまいましたー!◯すぞー!
「東風速20m、距離730m、目標1、動作なし」
スポッターが報告した情報を元に、ゼロインを修正。バラクラバ越しに頬を叩く砂を意識の外に追いやり、視界に映るスコープに集中する。照準線のクロスを目標のバイタルゾーンに合わせ、呼吸を整える。安全装置を外し、トリガーに人差し指を掛る。チークパッドに頬が沈み込む。大して重くもないトリガーを難なく引き絞ると、消音器により大幅に減音された気の抜けるような音が響いた。
「今回の任務はFOCと武器の取引を行う予定の武器商人の排除。護衛は数人いるようだが、こちらからすれば意味はない。カウンタースナイプは殆ど無理だろうから、見つからないうちに撃てば大丈夫だ。今日から2ヶ月間、俺がスポッターやるから、よろしくな」
機密保持の観点から、行きのブラックホークでブリーフィングを受ける。SEALS出身のダンと名乗った男は、出身部隊のわりに細身の男だった。思わずウォール街でパソコンでも叩いてたんじゃないのかと聞きたくなるが、ぐっと堪えて話を聞いた。私が腕に抱えているライフルはレミントンM700。言わずと知れた名銃だが、この相棒はマグプル社のM700用シャーシである「Pro 700 Rifle Chassis」を使用しており、エルゴノミクス性能が大幅に向上している。ポーランドのメーカーである「ヘリコンテックス社」製のチェストリグに入っているマガジンには7.62×51mm「M61」が詰め込まれており、もし目標がアーマーを着込んでいても、ほぼ確実に貫徹させて死に至らしめるだろう。
「報酬額はたんまり。おまけに2ヶ月の休養期間付きだ。いい仕事だろう?」
流れていく殺風景な景色に目を向けながら、小さく頷く。窓に映った彼の顔は、満足げに笑みを浮かべていた。
「ETA2分後!準備してくださいね!」
コックピットからパイロットの声が聞こえてくる。座席の下に置いたFASTタイプを被り、プレートキャリアーとチェストリグを再確認。隣に目をやると、彼も装備を整えてMk18にマガジンを差し込んでいるところだった。彼のカスタムはマグプルCTR、イオテックXSPとG33ブースターセット、Mk16ハンドガードとその上にPEQ。マズルは知らないサイレンサーでグリップはAFG-2。ハンドガンはわからないが、多分P226。偏見だが。
徐々にスピードと高度が落ちてきた。恐らくもうすぐ着陸だろう。M700とサブのMP7にマガジンを差し込み、目を瞑る。小さな衝撃と共に機体が水平になり、揺れが消える。
「よーし、行くぞ今日の相棒」
椅子を立った彼が少し重そうにドアを開けて外に出る。私もそれに追随して機外へ足を踏み出した。メインローターによる強風と巻き上がる砂に目を薄く閉じながらドアを閉めると、隣で彼がコックピットの外部装甲を叩く。それを合図にして機体が徐々に高度を上げ、大きなローター音と共に遠ざかっていった。
「俺たちも行くぞ。ポイントまでハーフマイルだ」
頷いて肯定の意を示すと、彼は歩き出した。それに付いて行く。太陽の激しい熱線がバラクラバ越しに肌を焦がす。血が沸騰しているような暑さを感じながら歩を進めると、ようやく狙撃地点らしい大きな岩を見つけた。
「着いたな。ここからあの廃墟…見えるか?あの灰色のビルを狙撃する。正確に言うと入口だが」
彼の話によると、目標が車両から降りて建物に入る瞬間を狙うらしい。
「さ、準備するぞ。と言うかお前さん、喋らないのか」
必要なこと以外は喋らない。私の職業上戦闘のど真ん中にいることがないから、声を出す必要がないだけなわけだが。
「もうちょっと愛嬌よく喋ってくれればかわいいんだがな」
返答をせずに岩の上に登る。ある程度平らなところを見つけて砂を少し払…わない。痕跡となってバレる恐れがある。ライフルのバイポッドを開き、腹這いに伏せて構える。スコープを覗くと件の廃墟がくっきりと見え、倍率を上げると壁に入った罅や塗装が禿げた看板までもが見える。これから目標が車で来るまで待たなくてはならない。時間はわからないが今日中に来ると言う話だったので、情報が確かであれば明日の朝には優雅に朝食をとっているだろう。
「なぁ」
隣で同じく準備していたスポッターが声を掛けてくる。そちらに目をやると、彼はこちらに真剣な顔を向けていた。少し目をやって前を向こうと思ったが、目が合ってしまったのでそのまま話を聞くことにする。
「俺はお前の名前も、経歴も知らない。今回一緒に仕事をする以上俺はお前のことを知っていたいと思う。気持ち悪ぃと思うなら構わないが」
「……名前はアリシア。歳は23。去年までフォースリーコンにいました」
嘘を吐いても仕方ないので本当のことを話した。前を向き、銃のボルトを撫でる。数年使っている相棒には砂による摩耗のあとが目立っているが、それが私との長い関係を示しているようで愛着が湧く。
「俺の友達もフォースリーコンだったよ。お前と同期だ。よく同期の女の子に凄腕の狙撃手がいるって話してた。そしてその子にナンパかけまくってるけど今の所ずっと無視されてるって」
ふと思い出す。あの部隊にいた時、ずっと話しかけてくる男がいた。部隊の中では大して目立った成績を持ってなかったが、明るく人気なやつだった。本人が真後ろにいる中で小隊長のモノマネをして、彼だけが爆笑していたのを覚えている。それからあいつの最期も。
「死ぬ間際まで想い人に看取ってもらったんだ。運は悪かったかもしれんが、幸せではあったろう」
「…あいつは死ぬ時、しつこくてすまないって言ってました」
脇腹から入り動脈を引きちぎった弾丸は、ものの数分で彼の命を奪った。彼は喉から溢れる血に咳き込みながらいろいろ言っていた。私には謝罪と、想いを伝えたり。
「嫌なこと思い出させたかもしれないな。ごめん」
否定。首を横にふる。
「…仕事の時間です」
「それもそうだな」
前を向き、スコープを覗く。丁度廃墟の目の前に煤けた白い車両が止まるところだった。車内から数人のAKを持った男が降りてきて、周囲を確認している。男たちが周りを固めると、中から黒いスーツを着た男が降りてくる。目標の武器商人。いつも通りやれば良い。
隣から報告が投げられる。
「東風速20m、距離730m、目標1、動作なし」
めっちゃ間空きました。申し訳ありませんでした…
今年のテストラッシュも乗り越えた(乗り越えたとは言っていない)ので、少しずつ投稿をしていきます。別作品については触れないでください…デキゴコロデシタ