白い隊服を着たC級隊員や青いジャージのB級ソロの隊員が集まるB級ランク戦が行われる観客席。
そこでは今回の試合であるB級中位の部隊が4つ映っており、今回の実況を行う茶髪ツインテールの少女こと海老名隊のオペレーターこと武富桜子(14歳)はいつも通りハイテンションで話し始めた。
「10月10のB級ランク戦ラウンド2・昼の部。今日の解説は海老名隊の竹富桜子、解説にはA級4位・二宮隊のバランサーである犬飼先輩とA級1位・太刀川隊のモサモサイケメンこと鳥丸先輩にお越しいただきました!」
「よろしくー」「よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします!」
今回の実況は金髪イケメンで黒スーツを着た何を考えているかわからない怪しいガンナーこと犬飼澄晴(17歳)と、ボーダーの公式イケメンランキングトップの黒いロングコートをきたモサモサした髪型が特徴な少年・烏丸京介(15歳)が軽めの挨拶をしていた。
というか、このイケメンを呼べた武富の腕がすごいのか、それとも画面に映るある人物の影響か。
「それで今日のB級中位は諏訪隊、桐原隊、嵐山隊、林山隊の4つ巴になりますが、お二人が気になるところはどこですか?」
「うーん、今回のマップ権はB級14位の林道隊にあるので選択次第でどう転ぶかですけど……」
「いつもの如く桐原さんがどう掻き乱すかがポイントですね」
「あー」
実況をしている武富の頭の中には黒髪でミディアムヘアーの少年が浮かび、過去に苦渋を舐めさせられた記憶を思い出す。
なので苦笑いを浮かべながらも実況をしていくために、解説をしているイケメン2人に言葉を返した。
「お二人は桐沢さんとは付き合いがあるんですよね」
「ええ、てか、たまにウチの出水先輩や国近先輩とゲームしてます」
「おれはガンナーとして色々と話したりしているよ」
「ほうほう! それは楽しそうですが、腕的に贔屓目なしだとどのような評価になりますか?」
「「ガンナーランク3位のステルスガンナー!」」
「へええぇ!?!?」
微妙な評価……。
ちなみに当の本人であり物語の主人公である桐沢悠治は隊室でくしゃみをしてました。
まあそれはさておき、和気藹々と3人が話している中でガールズチームである林道隊が決めたマップは。
「おっと、林山隊が決めたマップは展示場Bみたいですね」
「これは……射程が通りやすくて隠れる場所が少ないから自力が試されそうですね」
「では機動力が高い部隊が有利なんでしょうか?」
「それもそうだし、スナイパーがいるのは嵐山隊と林山隊だけだからソロ部隊の桐沢隊とガンナーが主力の諏訪隊はきついと思うよ」
「なるほど、それは面白そうですね」
明るく元気がモットーな武富はハイテンションなまま実況を進める中、展示場Bと知った他の部隊は各自で対策を話し始めた。
〈B級9位(暫定)・嵐山隊〉
赤いジャージに黒いズボンを履いているスタイリッシュ部隊である嵐山隊。
チームメンバーは隊長の嵐山、オールラウンダーの時枝、最近チームに入ったガンナーの木虎、スナイパーの佐鳥、オペレーターの絢辻の5人チーム。
見た目は全員整っており、アイドル部隊と比喩される嵐山隊だが実際はオールラウンダー2位の嵐山を筆頭に腕利き達が集まっている。
ただ今回は少し事情が違うのか、木虎を筆頭に少し渋い表情を浮かべていた。
「展示場Bはわたし達には有利ではありますが、逆に罠に見えるのは気のせいですか?」
「うーん、おれもそう感じるけど林山隊からすれば桐沢さんの暗躍を抑えたいんじゃない?」
「私も2人の意見と同じ事を考えたけど嵐山さんは?」
「俺は……確かに桐沢を抑えるのはあるとは思うが違う思惑も感じるな」
この中で一番の年長者である隊長の嵐山は自分が知っているデータを元に林山隊を考察していく。
(林山隊はアタッカー2人にガンナー1人とスナイパーで多角的な攻撃と機動力が持ち味の部隊)
足で勝負するなら王子隊に次ぐレベルの林山隊。
嵐山はその記憶を思い出しながら、若干不安そうにしているチームメンバーへ明るく言葉を返す。
その姿は出来るリーダーであり、ボーダーのお手本だがどこか無理しているようにも感じる。
「しっかし林道隊も勝負をかけてきたのかな?」
「まだラウンド2なのに早くないですか?」
「いやだって、林道隊のお得意な機動力戦にしても弾トリガーが通りやすい展示場Bだったらウチが有利じゃん」
「確かに佐鳥先輩にしてはマトモな意見ですね」
「それってドユコト!?」
いつもの如くネタにされている佐鳥。
側から見ると可哀想ではあるが、これが嵐山隊では日常なので本人はともかくメンバー達の気持ちは軽くなった。
そのため緩んだ空気を締める為に、隊長である嵐山からの一言。
「今期からは木虎もいるし決して不利ではないはず。だからみんなには頑張って欲しい」
「「「「はい!!」」」」
この一言で纏まる嵐山隊。
隊員達の空気感はかなりいいので、本人達は準備を整えながら対策を話し合い始めた。
〈B級10位(暫定)・桐沢隊〉
桐沢隊の隊室。
シンプルな藍色のジャージに黒いズボンのトリオン体をしている黒髪ミディアムヘアーの青年と、茶髪サイドテールの目つきが鋭めの少女が互いに頭を抱えていた。
「展示場Bとか明らかにキツくない?」
「それもだし、これで天候が雪だったら完全にメタられるぞ」
「ですよねー。で、悠治さん的にはどうするの」
「うーん、いつも通りでやるしかないだろ」
桐沢隊の隊長で唯一の戦闘員・桐沢悠治(17)。
ソロ部隊なのにB級10位(暫定)なのは彼がNo.3ガンナーという凄腕……いや、陰湿な戦い方のせいでヘタレガンナーと呼ばれている。
そのためオペレーターであり幼馴染の一条凛花(17)は彼を振り回し続け、ボーダー内では悠治が不憫な奴と思われている節が。
「それはそうだけど不利な状況でぶつかるのはキツくない?」
「あのな、それを言ったら1人部隊の方が無理ゲーだろ」
「確かに!」
原作の漆間さん並に頑張っている桐沢隊長。
本来であれば隊員を入れるつもりだったが、最初のランク戦でB級16位で終了した結果、中位に入っちゃったのでソロ隊員を誘うに誘えなくなったらしい。
そのせい桐沢隊長がめっちゃ頑張る羽目になったが、才能があったのかガンナーランク3位になった実力者……。
ただ本人はヘタレ(復唱)なので、見た目が整っている割に変なあだ名をつける王子とは違う意味でボーダー隊員から残念イケメンと呼ばれる存在になった。
「本音を言えば隊員募集をしたいが、今はランク戦に集中したいな」
「そうねー! で、わたしはいつも通りにやればいいの?」
「おう!」
ソロ隊員が集団相手に点を取るには搦手を使う方が楽。
本人たちもそれを理解しているのか、互いに顔を見合わせながらため息を吐くのだった。