Q1
「史上初の女性棋士として注目を集める獅子堂新四段ですが、純粋な棋士として見たとき、どのような存在だと感じていらっしゃいますか?」
「非常に強い方だと思います。話題性のある立場ではありますけれど、盤の上ではそういうことはあまり関係なくて、純粋に将棋の内容が優れている、という印象です。特に、局面のバランスの取り方や、中盤で少しずつ差を広げていく感覚は独特のものがあります。派手なところだけで勝っているわけではなくて、全体として非常によく整った将棋を指される方ですね」
Q2
「獅子堂四段の将棋には、先生がこれまでご覧になってきた棋士の中で、どなたかに通じるものを感じられますか?」
「誰か一人に似ている、という感じではないですね。もちろん部分的に見ると、いろいろな棋士に通じる要素はあると思います。ただ、全体としてはかなり独自性があると思います。最近の将棋にかなり精通している一方で、実戦での判断にはご自身の感覚が強く出ているので、その混ざり方があまり見ないタイプなのかなと思います」
Q3
「一手ごとに小刻みに時間を使う独特な指し回しも印象的でした。実際に対局してみて、その時間の使い方はどのように映りましたか?」
「独特ではありましたね。ただ、実際に対局している側からすると、時間の長短そのものよりも、こちらの想定と読みが合わない局面が続いた、という感覚のほうが強かったです。そういう将棋になると、どうしてもこちらも時間を使わざるをえないですし、結果として相手のペースに引き込まれることはあります。ですから、単に時間の使い方が変わっている、というよりは、その背景にある考え方や局面の捉え方が独特なのだと思います」
Q4
「最後の質問になります。獅子堂四段は、将棋界にとって特別な存在だと思われますか?」
「ええ、特別な存在だと思います。もちろん話題性のある立場ではありますけれど、そういうことを抜きにしても、盤の上で示しているものがすでに特別です。
ただ、何かひとつだけ突出しているというよりは、将棋との向き合い方そのものが少し珍しいのかもしれません。こちらの想定と読みが合わない局面が多くて、実際に対局していて非常にやりにくい相手でした。
今後、将棋界の中で大きな存在になっていく可能性は十分あると思います」
毎朝新聞、名人ロングインタビューより抜粋。
インタビュー記事をスマホでチェックする、
ボクにしろ、生石くんにしろ。獅子堂くんの異彩とも言うべき将棋に類似する存在にはいまだかつて出会ったことがない。古い将棋ファンからは九頭竜くんを十五世名人になぞらえて、彼女の大師匠でもある実力制第四代名人の再来と言われるが……僕としてはそれはなんだか違うような気がする。
「君は将棋界に夢があることを証明してみせた、一介の女子大学生でも勝ち続ければスターになれることを」
君の輝きは文字通り将棋界を救った。マスメディアはライオンちゃん呼びしながら僕達を君の将棋があるたびに呼び出す。将棋界の露出も大幅に増え、君は棋士になってからマスメディアへの出演を断らない。
人気で言えば、第二の白雪姫どころか名人に次ぐスターと言っても過言じゃない。
獅子堂蘭くん。君はそこまでして、将棋界になにを望むのかな?史上初の女性棋士として、君は何を成そうとしているのかな?
「知りたいなぁ、君のこと」
ソフトで蘭くんの棋譜を研究していく、休日を使って、名人との3局の対局を幾百もの分岐をたぐるように調べ上げると……。
「ふふ、これは……」
名人がミスを、大きな敗着と言える手はないのにそれでも少しずつ評価値を落とすような手を選ばされている。大局観の盲点に少しずつ入ったかのように。それでも初戦を除く2局は終盤に蘭くんのミスが出て名人が勝ったが、その実力差は僅かと言ってもいい。
ソフト研究の少ない名人では蘭くんのソフトも活用する自在な感覚は超えられないのかもしれない。そう思わせられる内容だった。
「絶対無謬と思われていた