━━ガシャァンッ!!
「目標大量……ブッ殺ス!!!!」
試験も終盤になりつつある時間に突如として巨大ロボ──(おじゃま虫 0ポイント敵)が現れる。今までの仮想敵は高くても2mかそこらの身長だったが、0ポイント敵はそうはいかなかった。25m級の雑居ビルを軽々と超える高さのロボットを前にして、受験生は次々と逃げ出した
『えええ!!??ミミックあれは無理だよ!あーし絶対逃げるよ!?』
『あたいもあんなのは無理!!逃げようよ!!』
『ミミック!!』
「ら、雷獣!!」
「余の全力を喰らえぃ!!!」
雷獣の呼びかけに答え、慌てて雷獣を呼び出した。雷獣も事の大きさを分かっているのか、直ぐに高電圧を掛けるが全く効いてる様子はない。高電圧を出して力を使い切ってしまった雷獣は即座に実体化出来なくなってしまう。
『ヌ、効かぬぞ子奴!一度撤退するべきじゃ!!』
「ッ…逃げ、な…きゃ」
『しっかりせいミミック!!』
ミミックはその圧倒的質量と威圧に耐えきれず動けなかった。その時、0ポイント敵と目が合った。口があれば恐らく笑っているだろうその顔面に、ミミックは恐怖に支配されてしまう。
『フン…情けない。ミミック、俺様に身体を貸せ』
『んなっ、何言ってんのアンタ!死にたいの!?』
『黙れスピリット。俺様はまだ暴れ足りない』
ミミックは一瞬考え込むが、迷ってる暇は無いとすぐに決断を下す
「…分かったよ『デーモン』。ただその代わり危険だと思ったら直ぐに逃げること」
『フンッ、俺様が背中を向けるのは俺様が勝った時だ』
そうしてミミックの意識が途切れ、デーモンが表向きに出てくる。コキコキと首を鳴らし、腕をグルグル回す
「さぁて鉄塊。どう加工してやろうか」
「潰レロ!」
0ポイント敵は彼女の身体を被ったデーモンを踏みつけようとする。だがデーモンは殴りの姿勢を取る
「いいか鉄塊。デカイ図体はな…ただの的でしかねぇんだよ!!!」
━━グシャァッ、ベキ、バキッ…
デーモンが0ポイント敵の足裏を殴ると、衝撃で周りの建物が崩壊する。0ポイント敵の足裏はひしゃげ、後ろによろける
「よっしゃ、あとは顔面に1発ぶちこ──」
「SMAAAAAAASH!!!!!!」
「……はぁ、?」
けたたましい轟音と共に後ろによろけた0ポイント敵はそのまま後ろに倒れる。空中には1人、確かにそこにいた
『デーモン!早く離れろ!瓦礫に潰されるぞ!!』
「チッ!まだ暴れ足りないってのに…!」
『デーモン。私に変わって』
「クソが…」
デーモンの意識が途切れ、レイスに変わる。レイスは自身の体のメインになった事を確認すると、そのまま顔面を吹き飛ばした張本人の所に飛んだ
「貴方大丈夫?腕が真っ赤よ。足も力が入ってないように思えるわ。」
「う…くぁ…い、じょうぶで、す…」
『見事じゃったな。ただ身体の状態が不安定じゃの。ポル、レイスに力を貸してあげなさい』
『わかったー!』
レイスが片腕と両足ボロボロの少年を抱え地上に降り、ポルターガイストが少年を持ち上げる。その時にミミックに意識は切り替わった
「なんこれ…身体中ボロボロだ」
『最初期の自分みたいだな。あん時は力の制御が出来んくて良くボロボロなってたな』
『うぇ、めちゃめちゃオイル臭い…ミミック早く離れてーや。自分しんどいわここ』
ハントゥが少年の様子を見て過去の自分を思い出し、モーロイが0ポイント敵から溢れ出したオイル臭に苦痛を漏らす。
『しゅーりょー!!!!』
終了の合図とともに、周りに居た受験生たちは一斉に0ポイント敵の方向を見る。そこには仰向けに倒れている0ポイント敵と、ポルターガイストに持ち上げられているボロボロの少年、そのそばに立つミミックに視線が向けられていた
『なんやミミック。アンタ人気者かぇ?』
「そんな事ないよハントゥ。多分みんな驚いてるんじゃないかな」
『…まぁな。あんなデカブツ普通逃げてまうわ』
『レヴィとデーモン以外満場一致で逃げの判断だったからねー。あーしなんか怖くていつもの3倍の速度出せそう』
身内で雑談していると、杖をついたおばあちゃんがハリボーを渡しながらミミックの方に近づいている
「はいはい、ハリボーをおたべ…おやおや。ボロボロじゃないか」
「この子ね!すごいんだよ!この大きいカイブツをドカーンって!」
「なるほどねぇ…降ろしてもらえるかい?」
「はーい!」
ポルターガイストが凄く大雑把に説明するが、おばあちゃんはそれを聞いて少年の近くに寄る
「チユーー!」
『わぁ!?大胆!』
『…汝はリカバリーガールか。文献で軽く見た記憶がある』
サブがリカバリーガールの行動にキャッキャし、妖怪が説明する。正直ミミックはそう言う色恋沙汰の知識や耐性が無いので顔を真っ赤にしていた
『ミミック!お前っ、顔真っ赤!』
「うるさい『幽霊』。そんなとこで笑わないで」
『だーっははは!!!』
ミミックの中で幽霊が爆笑する。そんな幽霊にゲンコツでも食らわせたいがわざわざ実体化させてゲンコツするのも面倒なので怒りを鎮めて帰路につくことにした。
数週間後、ミミックの家は相変わらず騒がしかった。ミミック本人はというと
「あー…国語がぁ…」
「なんやまだ落ち込んどるんかミミック。しっかりせぇよ」
「幽霊か…国語の読み配点1問2点だよ…?2点確実に取れた問題落としたんだよー…」
「んなもん自分にゃ知ったこっちゃ無いわ。自分を恨むんやな」
「こんの他人事みたいにいいやがって…!」
「ミミックー!幽霊ー!ごはーん!!」
「「はーい」」
メインに呼び出されてお昼ご飯を食べにリビングに向かう。今日の昼は鍋焼きうどんだった
「じゃーみんな一緒に」
「「「「「いただきまーす」」」」」
みんなゴーストだとしてもマナーはちゃんと教えられて生きている。家事担当のツインズと妖怪はエプロンを外さずにそのままうどんを啜っている
「相変わらずメインのご飯は美味しいねえ」
「ちょっとー!今日はあたいも手伝ったんだよ!?」
「はいはい、サブも偉いねぇ」
メアー以外の全員が食卓を囲み、お昼を楽しんでいた頃、ピンポーンとインターホンが鳴る
「ん、自分が出てきます」
ジンが玄関に向かい、他の人は気にせずご飯を食べていた。1分程経っただろうか、ドタバタと廊下を走る音が聞こえ、襖がパァンと開く
「ぜぇ、はぁ、ミミック!」
「なんじゃジン。お主が取り乱すとは珍しい」
「そりゃ取り乱しますよ御霊…!雄英からの合否通知ですよ!」
ジンが封筒を開けると、1つコロンと機械が出てくる。それを物珍しそうに見るゴースト達、ただ雷獣だけは部屋の隅に移動した。機械がピタッと安定すると、空中にモニターが投影される
『わーたーしーがー…投影された!』
「えぇっ!?オールマイト!?」
NO.1ヒーローの『オールマイト』が投影されると、ミミックが驚愕の声をあげる。それを見透かしているのか分からないが、少しだけ間を開けてオールマイトは話し始めた
『んっん、私がここに投影されたのはズバリ!私が4月から雄英高校の教師に…え?巻きで?後が詰まってるだって?……んん!早速、『
「本名久しぶりに言われた…」
「そこじゃないでしょ」
みんな固唾を飲んで見守る。オールマイトがスゥッと大きく息を吸い、ふぅと一息ついてからカメラであろう場所に目線を合わせて発表した
『筆記、実技共に合格点を大きく越していた!』
「…って、ことは」
『来いよ須藤少女…いや、須藤少女と
「合格…っ!」
「「「やったああああ!!!!」」」
一斉にミミックに飛びつくゴースト達、中には泣いているゴーストも居たが、まだこれは物語の序章の序章に過ぎない。まだ【ゴースト達】のヒーロー人生は始まったばかりである。
その日の夜。ミミックはある2人のゴーストと対面していた。
「結局受かったのね。雄英に」
「うん。メアーが朝話してくれなかったら緊張で頭真っ白だったかも」
「あら、嬉しいこと言うじゃない」
片方はメアー。夜型のゴーストで昼夜逆転生活を送っている。メアーの隣で胡座をかいて座るゴーストが居た
「…『怨霊』は雄英についてどう思う?」
「…」
怨霊と呼ばれたゴーストは、ただ目を合わせずに俯いている
「相変わらず何も喋らないんだなあ」
「そういう子だから仕方ないわよ。ほら今日は疲れたでしょミミック。寝なさい」
「…ん、そうするよ。おやすみ」
そのまま疲れも溜まっていたミミックは布団に潜り、意識を手放した。
更新ペースが亀ってレベルじゃないんだよね。うん