ACの技術を背負ってゲヘナで風紀委員のサポートする 作:ファーロン信者
俺が部長を務めるゲヘナ特兵部は、かなり特殊な部活だ。というのもまずメンバーが俺一人しか居ない。この時点で何で部活としてまかり通っているのか俺ですら甚だ疑問だが*1、もう一つ、特兵部には特殊な部分がある。特兵部は発足当時、当時の風紀委員会と『自治区外の戦闘は、現地の住民に被害が及ばない限り黙認する』という協定を結び*2、その協定は現在まで続いている。*3。こんな超法規的にもほどがある協定を何で結んだかと言うと、のちに始まる原作への介入を容易にするため、というのが理由の一つだ*4。
さて、俺は現在パワードスーツにVOBモドキ……
「ボス、まもなく目標地点だ」
「メインシステム、戦闘モード起動!!!VAB、パージ準備!!!パージのタイミングはお前に任せるぜ助手!!」
「了解した」
いつものように視界が一瞬紅く染まり、それと同時に耳鳴りが聞こえてはすぐに収まる。その後助手から通信が入る。
「VAB、パージ」
グリッド086を出てから強烈な推力で2000km/h近くで俺を飛ばしていたVABがパージされる。脚部ブースタを目一杯吹かし制動しつつ降下。ちょうど眼下に居たオートマタの集団にガトリングとミサイルを撒いて2、3体同時に破壊。着地と同時にブースタを吹かして急ターン、ちょうどそこに居たドローンにガトリングを撃ち込んで黙らせる。その後盾持ちのオートマタが出てきたので、アサルトブーストを吹かして一気に後ろに回り、ガラ空きの背中にガトリングとミサイルを撃ち込む。別のオートマタがロケランを撃ってきたのでクイックブーストで回避、その後アサルトブーストで肉薄し蹴りを入れ、接射気味にガトリングを撃ち込んで壊す。
「ボス、反応はクリア。ゴーストの偵察もからも敵影はない」
「OK……メインシステム、通常モード移行」
そう言って戦闘モードを解除すると声が聞こえた。
「うへへ~相変わらずすごい動きするね、レイヴンは」
「ホシノか……このパワードスーツがあってこその動きだけどな」
「にしてもだよ、いつ見ても中にレイヴンが入って動かしてること、ちょっと信じられないもん」
みんな大好き、おじさんこと小鳥遊ホシノ。普段は面倒くさがりな部分が目立つ子だが、後輩想いな子だ。
「そっちの最近の様子は?」
「みんな元気でやってるよ~。そういうレイヴンはどうなのさ」
「こっちもいつも通りだ。まァ風紀委員の仕事が忙しいのも変わってねェな。戦闘面で言えば支援兵器が出張ってくれてるから楽ではあるし、さすがに籠ってばっかじゃ俺が持たないから最低でも1日1回は前線に出てるけど」
「うへ~レイヴンも相変わらず元気だね」
「後ろに引きこもるのはあんまりガラじゃないんでね」
「そういうところも相変わらずだよね~……体脆いはずなのに……とりあえず学校来る?シロコちゃん達も会いたがってるし……」
「そうしようかね、ゲヘナも特兵部のおかげで俺が帰らなくともしばらくはどうにかなるだろうし」
「それじゃ行こうか」
そう言ってホシノはアビドス高校に足を進め、俺もそれに続く。
俺とホシノが会ったのは高校1年生の時。まだホシノがショートカットで、風紀委員会の情報部にすらマークされるほどの攻撃的だったときに会った。その時はまだパワードスーツは作ったばかりのときで、カーゴランチャーでの高速移動を諦めVABでの高速飛行に方針を転換し、あーでもないこーでもないと何度も調整をしていた時期でもある。VABの出力が安定してきた頃から、俺はアビドス砂漠を試験場代わりに使っていた*5。ある時、夜間強襲の練習としていつものようにゴーストで見つけ出したオートマタを殲滅して帰ろうとしたところ、当時のホシノに遭遇し、一戦やり合った*6。
さて、俺がアビドス砂漠について、約1時間後。俺はいつものようにホシノに連れられてアビドス高校、廃校対策委員会の部室に来ていた……のだが、一つ言っておきたいことがある。ここ、アビドスにおいても実は想定外のことが起きていた。と言ってもアビドス全体ではなく、ホシノのことである。ヒナが自分からスキンシップをとってくることが多くなった*7というのは以前話したと思うが、ホシノもヒナほどではないにしろ似たようなことが起きている。現に隣にホシノが座っているのだが距離が近い。
「あの……ホシノさん?」
「ん~?どうしたの、レイヴン?」
「いや、いつも思うんだが距離近くねェか?」
「うへへ~、そうかな~?」
「そう……なのか?」
「ん、ホシノ先輩とレイヴンはいつも仲良し」
ヒナと言いホシノと言い何故か俺の友人は距離が近いのだ。毎度思うがどーしてこうなった。
「レイヴンさんがアビドスに来るといつも飛び出していきますからね、ホシノ先輩」
「それくらいホシノ先輩とレイヴンさんは仲が良いんですね~☆」
「会ったばかりのときはもっとお互いギスギスしてたんだけどなァ……」
アヤネとノノミが言ったことに俺はそう返す。
「ていうかレイヴンとホシノ先輩はなんでそんなに仲が良いのよ……」
「さァ?いつの間にかこうなってたから俺にもようわからんよ、セリカ」
「昔はいつも来てたからね~レイヴンは」
「あんときはまだ風紀委員会には入ってなかったからな。あくまで一部活の部長だっただけで」
「ゲヘナ特殊兵器運用開発部……でしたっけ?」
「ああ、長ったらしいから『特兵部』で構わんよ、アヤネ。まァその部活名付けたの俺だけど」
そんな感じで雑談とかやっているうちにかなり時間が経ち、そろそろ戻らないといけない時間になった。
「わりぃ、そろそろ戻らねェとだ。ゲヘナまではかなり遠いし」
「うへ~、早いね~」
「今日は悪かったな、いきなり連絡入れて飛び込んで来ちゃって」
「レイヴンなら、いつでも歓迎」
「またいつでも来てくださいね~♪」
「まぁ、こんなところだけど、レイヴンならいつでも歓迎だからね!」
「あはは……また来るときは、いつでも連絡してください」
「最近忙しくなってきたから、次いつ来れるかは分からんがな……それじゃ」
俺はそう言い、玄関に向かう。すると後ろからホシノが付いてきた。
「どうしたホシノ?」
「レイヴンをお見送りしようかな、って思って」
「なるほど……」
俺はそう言い、ホシノと一緒に玄関に向かう。
さて、いきなりであるがここで一つ、この世界の原作との相違点をお話しよう。原作では、ホシノにはユメというホシノの先輩が居たのだが、今から2年前に死亡するのが本来の流れだった。もっとも、俺自身アビドス編3章は未プレイのため、詳しいことは知らないのだが……。だが、こちらの世界ではユメ先輩は生存している。とは言ってもかなり危機一髪ではあった。ゴーストが干からびかけのユメ先輩を発見して、俺が輸送ヘリと共に駆けつけ、応急処置を施したうえで近くの病院に送り込んだ、というのが事の顛末だ。
「レイヴン」
「んあ?どうした?」
「ユメ先輩を助けてくれて、ありがとうね」
「……あの時は本当に偶然だった。ゴーストがあの時見つけてなかったと思うと、な。……最近の先輩のご様子は?」
「元気だよ、今でも時々アビドスにも来てくれる」
「そうか……」
「うへ、ごめんね。変な雰囲気になっちゃった」
「いや、最近のことを聞けて何よりだ」
そんな話をしているうちに、玄関に着く。そこに止めてある自分のパワードスーツを装着し、システムの電源を入れる。
「それじゃ、またいつかな」
「うん、またね、レイヴン」
俺はアビドス高校の外に出て、アサルトブーストを吹かしゲヘナに向かった。
グリッドに着いた頃には日が沈みかけていた。
レイヴンとアビドスの関係
レイヴンがアビドス砂漠を実験場代わりに使っていたところ、哨戒中のホシノに遭遇したのがアビドスとの関係の始まり。最初こそかなり関係は悪かったが、時間が経つにつれて段々と関係が良くなっていった。