救護騎士団の部室でハナコは目覚めた。
「やあ、起きたか。痛みはあるかい?」
「セイア……ちゃん……?」
聞き覚えのある声の方に顔を向ければ、そこには治療中のはずのセイアが隣のベッドの上に腰かけていた。
「どうしてここに」
「それは私が今ここに居るという意味かい? それとも君が救護騎士団の部室に運ばれたという意味かな?」
「怪我して頭がボーっとしてる子に面倒臭い質問するのやめなよセイアちゃん」
「……ミカ……さ」
「悪い夢でも見た?」
セイアを見た以上の衝撃にハナコは唖然とする。
セイアの座る隣のベッドには全身に包帯を巻いて横になっているミカの姿。
「全部夢だったら良かったのにね」
素肌が見えないほど包帯塗れで、髪の毛先が一部白く変色している。
声を聴かなければミカと分からなかったほど凄惨な姿をしていた。
「ああ、大丈夫だよ。見た目よりは平気だから……さて、みんな起きた事だし、何があったか話そうかな」
◆ ◇ ◆ ◇
今回の襲撃者、及びその学園の生徒達のこと。
事情を知るミカは全てを話すことはしなかったが、アリウスについては知る限りの情報を開示した。
「アリウスの生徒?」
「今回の大規模襲撃した犯行グループ。かつて第一回公会議で唯一反対の立場をとり、トリニティから弾圧され自治区から追放された学園内では数ある派閥の一つ。アリウス分校の生徒達だよ」
アリウス襲撃を予見していたので、頃合いを見てある程度の事情説明をするつもりではあった。
未来は不確定なものという映画や小説の御約束通りのことになったが、ここまで事態が急速に進行するのは予想外出来なかった。
「あの子達の目的は自分達を追い出したトリニティへの復讐……はついでだね」
「ついでか……ミカ、改めて君の口から話を聞きたい、今度はもっと正確にね」
「うん、まあね。本当は全部喋ってあげたいんだけど……ごめんね、腹の探り合いとかしたいわけじゃなくて本当にどこまで喋っていいのか分からないんだ」
「随分と奇妙な返答だ」
別の未来から来た聖園ミカなのでこれから起きることは知っている。などという単純な話でもない。
今のミカは自分でも良くわかっていない、契約通りには動いているがその範囲を超えた行動もかなりしている。
おまけに今のミカの身体は絶不調。
ヘイローが壊れる寸前の身体、無茶ができる状態だった前なら兎も角今は慎重に言葉を選ぶ必要がある。
色彩を怒らせて罰として消滅、というのは妄想が過ぎるだろうが万が一のことがある。
色彩に感情なんかあるかは知らないが。
「兎に角、私が知る限りの情報は言うよ。アリウスの目的はトリニティとゲヘナへの攻撃、その最初の第一段階としてアリウスはセイアちゃんのヘイローを壊そうとした。スパイを送り込んでね」
「そんな……スパイって?」
「ハナコ! 良かった、起きたんだ!」
部室の扉を開けてコハルとヒフミが入り、ハナコはほっと息を吐いた。
「大丈夫ですかハナコちゃん?」
「はい、私は……お二人もお怪我はありませんか?」
「私達は大丈夫、それよりミライとアズサはどこ? 一緒じゃないの?」
「他の部室を探しても居ないんです」
その言葉を聞いたハナコはベッドの周囲を見渡す。
ミライもアズサも居ない事に気付いたのだ。
「白洲アズサはこの学園には居ない、ミライもね」
「セイア様!? で、ではどこに?」
「襲撃者の生徒達、アリウス分校の生徒と一緒にいるだろう」
「アリウスって……その人達に誘拐されたってことですか? まさか人質に!?」
「違う、アズサがアリウスの生徒だからだ。今頃彼女達と合流してどこかに居るのだろう」
冷静なセイアの言葉に衝撃を受ける補習授業部。
ヒフミは目を見開き、コハルは動揺して戸惑っている。冷静を装うハナコも瞳が揺らいでいた。
「な、なにを、何を言って……アズサちゃんが校舎を壊した人達と同じ?」
驚きからどもるヒフミは質の悪い冗談と受け取ったのか半笑いになるが、本当のことを言っていると理解したのか冷や汗を掻いて口を閉ざす。
「白洲アズサは私のヘイローを壊すよう命令されたアリウス分校からのスパイだ」
「……なにそれ? スパイって……映画の話?」
「現実の話さ。この状況を築いた脚本家が居るなら苦言を呈さずにはいられないけれどね。こんな重苦しい、うんざりする話は本当に映画の中だけで十分だ」
「ありえない……だって、あんなに一緒に勉強したのに……」
コハルも同様に信じられない様子で俯く。
友人が裏切り者だったなんて信じられないしショックも人一倍だろう。
「アズサちゃんをトリニティに入学させたのは私だよ、アリウスの生徒なのも知ってる」
ミカの言葉にだろうねとセイアは分かっていた様に深い吐息をし、確固たる証言があると知ってヒフミの顔は青くなった。
冷静なハナコは何を考えているのか一人思案している。
「本当はアリウスと和解する為だったんだ……表向き順調だったしそれでセイアちゃんを煽りに行こうとしたんだけど、暗殺計画を立てられてたからミネ団長の力を借りたんだよ」
「病状悪化による治療という名目でセイア様には雲隠れして頂きました。まさかセイア様が本当に意識不明になり、本当に救護が必要になるとは思いませんでしたが」
「その結果、強硬策に出た……この責任は後で幾らでも取るよ」
セイアの暗殺を阻止したとはいえ、ミカが周囲に内密でアズサを入学させたのは事実。
結果的にトリニティに敵意を持ち、攻撃を開始したアリウスのことを黙っていた責任は取らなければならない。
「……君を責める気にはなれない。君は私やナギサが動けない間、命懸けでトリニティの防衛に努めた。アリウスを招き入れたのは君だが、そのアリウスからトリニティと私の命を守ったのは間違いなく君だ。結果は虚しいものだったが、過去と向き合い和解を望むその姿勢は非難されるものではない。見離そうとした私と違ってね」
身体は好調だが精神的な面は安定していないのかセイアは意気消沈した様子である。
あの時のようにミカを責めたりはしなかった。
「それに此処までの事態になるとは君の考えに同調したとしても誰も予想できなかっただろう。追放された学園がこれほどまでに力をつけていたとは」
「珍しいねセイアちゃん、私に気を使うなんて」
「そんな事はないさ、私は元々結構気を使う方だろう?」
「どう思う?」
「……アズサちゃんの件での続きを聞いてもいいですか?」
セイアと仲が良いハナコに聞いてみるが視線を逸らして話を戻した。
「それとミライちゃんもです、彼女もトリニティの裏切り者と仰るのですか?」
「いいや、ミライに関しては完全に巻き込まれた被害者だよ」
「この時期に転校生してくる生徒は珍しく、情報の重要性を理解している者なら嫌でもその存在は耳に入るだろう。ミライは出自や前校の情報が存在している、これまでの経歴もね」
「入院歴もです、ミライさんは小学生の時から昏睡状態となり中学校を卒業するまで意識不明でした。つまり目覚めたのはごく最近で、その間に彼女がアリウス分校と関係を築きトリニティのスパイとして侵入したと考えるのは些か無茶です」
「補足ありがとうミネ。付け加えるなら彼女が転入した時点で既に私はミネに匿われ姿を隠していた頃だ……それに彼女は私の存在も知らなかったんだ」
ミライに関しては白、だがアズサの方は黒。
そう暗に言われたヒフミは安心も悲しみもどっちつかずだ。
「だから良かった、とは思えません……私は、アズサちゃんがセイア様を襲おうとしたなんて、校舎を壊した人だなんて……信じられません、アズサちゃんと直接話したいです!」
「…………」
涙目になっても尚、立ち上がろうとするヒフミは眩しい。
ただの普通の女の子が気付いたのに、ミカは手遅れになるまで気付かなかった。
「そうだね、もしかしたらアズサちゃんはヘイローを壊す気なんてなかったかもしれない。本当は何も知らないまま利用されてただけかもしれない。今回アリウスが襲ってきたのとはアズサちゃん知らなかったかもしれないし!」
「ミカ、それはあまりにも都合の良い理想論が過ぎるよ。現に君は白洲アズサは私のヘイローを壊すアリウスからのスパイと」
「私はスパイの事は認めたけど、アズサちゃんがヘイローを壊す意思があったとは言ってないよ」
屁理屈だ。と、黙っているがセイアの顔に書いていた。
アズサがセイアと出会い、目的を遂げなかった。遂げたふりをしたこと自体が無くなったことで二人の関係自体何もない。
知っているのは世界でミカだけだ。
「──裏切られたと思っても、何か事情があったのかも。きちんと話し合えばきっと何かが違ったかもしれない。あなた達は同じ轍を踏んじゃダメ」
「ミカ様……」
肩に手を置かれながら言われているヒフミにミカの心の内を理解することはできないだろう。
だけど諦める必要はない事だけは伝えたかった。
「……こんなこと、釈迦に説法かな」
「ミカ様、動いては行けません。傷が開きます」
ミネの言う通り、ミカの身体は陶器のようなひび割れ動く度に裂け目が広がっていく。
既にミカの身体は限界ですぐには動けない。
ここまでの無茶をさせられた甲斐はアリウスの撤退という形であったもののミカ本来の目的は達成できていない。
ヒフミ達を激励したのはある意味ミカの代わりをさせる為でもある。
「それにアズサちゃんは良い子だよ、任務を受けてもセイアちゃんを殺したりなんかしなかった」
「まるで見たかのような台詞だ……しかし……うん……そうだね、彼女の人となりはそれなりに把握している」
「セイアちゃんもアズサちゃんの事、見たことあるみたいな言い方ですね。……もしかしてミライちゃんがずっと独り言をしているように見えたのは……」
「その話はまた今度ゆっくりしよう」
目を逸らすセイアにハナコ苦笑いする。
「それより、アリウスの目的がセイア様ならまだ姿を隠しておいた方がいいんじゃ」
「もう大丈夫になった、いや君達にとっては全く大丈夫ではないけれど」
「どういうことです?」
「私の暗殺やトリニティの報復を後回しにしても優先すべき目的が出来た……そうだろうミカ?」
セイアの暗殺、引いては自分達を追放したトリニティの報復。
これらを放置してもやるべき事がアリウスにはあり、それこそがミカがヒフミを激励した理由。
ここまでの強硬策に出た以上、もしかしたらセイアの事さえもうどうでもいいと考えているかもしれない。
「アリウスの目的は」
「お姉様よ」
ミカの台詞を奪った少女の声を聞いた途端、ヒフミ達に緊張が走った。
彼女達が振り向いた先に居る包帯を巻いた帽子と血色の瞳を持つ少女。
額に青筋を立てて顔を引き攣らせながら笑う竜巻レヴィの姿がそこにあった。
「こんにちは! ミカ様とセイア様! 今日もご機嫌麗しゅうございます!」
「別に無理して敬語使わなくてもいいよ?」
「無理なんてしてはいません」
無理矢理取り繕った慇懃さでもってレヴィはお辞儀をする。
仕草と洋装だけなら気品はあるように見えるが表情にそれはない。
「竜巻レヴィ、どうして君がここに?」
セイアの疑問にレヴィが不満気に鼻を鳴らした。
「ここは救護騎士団の部室ですよ、怪我をした生徒は誰でも此処へ来ることを知らないようですね。あなたはよく利用されてらっしゃるから自分の家と思い込んだのでしょうか? 活動時間を考えれば実質的に自宅と同じということで捉えていいのでしょうけど」
「君は自前の部室で治療すると思っていたからね。君が自宅と思い込んでいる部室でいつものように家臣達に囲まれていると思っていたんだよ」
「レヴィ様、セイア様と戯れるのは今度にしましょう」
引き攣った笑みで前のめりになるレヴィをその背後から現れたサクヤが止める。
「報道部の方々が何故ここに? それにアリウスの目的がミライちゃんって」
「言葉通りの意味よ。骨董品の傀儡共がお姉様を攫った……ヘイローを壊すつもりならその場でやってるから、セイア様とは別の何かするつもりよ」
「傀儡? あなたもアリウスに詳しいようですねレヴィ部長。教えて頂けますか」
「あのいかした髑髏の校章を調べれば分かるわよ。古書館に足を運んでみなさい」
そう言いながらレヴィは分厚い資料をミネに押し付ける。
そこには髑髏と薔薇のような花が描かれた校章があり、過去のアリウスについての記事がまとめられていた。
「それとこっちも」
「わっ! え……」
同時にカメラを投げ渡され、映し出されている画面を見てヒフミは唖然とする。
カメラに映っているのは襲撃者の生徒がミライを抱えているのと一緒に、アズサもそれについて行く場面。
「これは」
「嘘……なんでアズサ、着いて行ってるの?」
「……」
「これを見ても、まだ白洲アズサが裏切り者じゃないなんて言えるわけ?」
決定的な証拠だと言わんばかりに、レヴィは鼻を鳴らしてニタニタと嗤う。
「私は報道者よ、誇張表現や偏向報道なんていくらでもやるけれど、映された真実は誤魔化せない。アイツがアリウスの生徒で、ずっーっと裏切ってたこともね。天才のハナコ様には、この映像を見ても何か擁護できる点があるのかしら?」
レヴィはアリウスの記事が書かれた新聞を広げた。
「アンタ達に先に読ませてあげる! 裏切り者の氷の魔女、白洲アズサの計略! 一面を飾るに相応しいわ! ねえそうでしょう?」
「……まだわかりません」
カメラをレヴィに返すヒフミはの表情は揺れ動かない。
不満気なレヴィがヒフミを睨みつける。
「……私は浦和ハナコに聞いたのだけど。分からなかったらどうする気? 裏切り者だったらどうするつもりなのよ? 現実を見なさい、もう言い逃れできないわ」
「例え本当にアズサちゃんが裏切り者だったとしても私が連れ戻します。みんなで止めて、戻って来てもらいます! こんな別れ方は嫌ですから。これが現実だと言われても私は認められません。私は、まだ諦めたくありません!」
「…………」
まるで駄々を捏ねる子供のようだった。
理屈にもならないヒフミの願望をレヴィは否定するでも嘲嗤うでもなく静かに聴いている。
「もっと、まだまだたくさんやる事があるんです。海に行く約束も、みんなでモモフレンズのライブに行く約束もまだなんです」
「みんなって、私達も入ってるの?」
困惑しているコハルとハナコ。
ヒフミは目を逸さず真っ直ぐにレヴィと視線を交差させている。
「仲の良いお友達が裏切り者の悪い人だったなんて記事、私は読みたくありません。もっと明るい記事の方が、みんな読んでくれると思います!」
「……」
決意の固いヒフミを何を思うのかレヴィは沈黙していた。
「やばい……あの子、レヴィ様の記事に文句言った!」
「こ、殺される……! 惨たらしくバラバラに!」
ヒソヒソと入口で様子を伺う報道部の部員が焦り、危険を察知したのかミネも盾と銃を握り警戒している。
しかしレヴィは以前のような敵意のある目つきではない。
「……ならアンタが読みたい記事はどんなのかしら?」
「誰もが最後は笑顔になれるような、冗談みたいな記事です!」
再び黙り込んだレヴィは瞼を閉じて思案する仕草をとる。
数秒後、レヴィは不気味なほど満面の笑みを浮かべながらヒフミに寄りかかった。
「アンタ──あなた名前はなんだったかしら?」
「え…あ、阿慈谷ヒフミです! 二年生です」
「ふーん? 良いじゃないあなた気に入ったわ、私と同類の匂いがする。一緒に来なさい、擦り直させてあげる」
「え」
軽く肩を叩かれたヒフミはレヴィの雰囲気の変化に戸惑っている。それは周囲も同じで戦闘が始まるかと思われた剣呑な空気が反転した。
友人のような態度でレヴィはヒフミぼ肩を組んで連れて行こうとする。
直後に部室の扉が開かれ、防弾スーツや火器を全身に完全武装したシズクが姿を見せる。
「レヴィ、準備完了した。いつでも出発できる」
「メンバー追加よシズク、更に一人着いて行くわ」
「もう結構いっぱいだ、乗せるとしたらルーフの上くらいだけど」
「じゃあそこでいいから乗せてやりなさい」
「ちょ、ちょっとヒフミを何処に連れて行く気!?」
「あ?」
「うぅ!」
レヴィもミカと変わらないくらい包帯塗れであるにも関わらず、睨む瞳から来るその圧迫感は怪我人のそれではない。
それでもコハルは震えながらも退かなかったのは彼女も友人を想う故か。
「あ、あの! 私達はミライちゃんとアズサちゃんを探しに行かないと!」
「勘が悪いわね、そこに連れて行ってあげるのよ」
「場所を知ってるの?」
「報道部の情報網を甘く見ないことね、とっくに奴等の居場所は押さえてるのよ」
鼻高々に胸を逸らして身体の痛みに悶えるレヴィに目を見開くヒフミ達。
「いつつ……一緒に来なさい、お姉様のところまで送ってあげるわ」
「どういう風の吹き回しだい?」
急な態度の変化にセイアが問いかける。
「あの訳の分からない変態幽霊の大群を相手にするに戦力が必要なのですよ。正義実現委員会は厳戒態勢でトリニティから動けないですし、人が必要です。私もこの身体なので動けませんから」
「自業自得では?」
「サクヤは黙ってて!」
ミライをいじめたせいでレヴィは暴走したヒナにコテンパンにやられた。
本当に自業自得なので同情はしないが。
ところでお姉様とは何なのだろうか。
「セイア様、正義実現委員会にも協力を頼めないのでしょうか?」
静かに話を聞いていたミネが当然の問いかけをする。
「そ、そうです! ハスミ先輩達に言えば助けて……」
「難しいね。ナギサが最後に出した指示でティーパーティーと正義実現委員会は生徒と民間人の救助救出を優先している。警備に当たっている者を含め、その指揮をハスミ達が担っている以上彼女が出向くのは無理だ。ティーパーティーは現ホストである私の指示で動かせるかもしれないが、私もまだ本調子ではない……それに」
ミカは行動不能、ナギサは意識不明、セイアも目覚めたばかりでまたいつ倒れるか分からない。
現在進行形で民間人救助を優先しているティーパーティーと正義実現委員会は動かせない。
「…………助けられる者に限りはある……人員を割く余裕はあまりない……すまない」
「……」
目を逸らすセイアは濁して最後まで口にしなかったがミライを助けに行くと言うことはミメシス、ユスティナ聖徒会とアリウスの軍勢を相手にするということ。
ミライ一人を救う為に救助を中止して向かえと生徒会長として命令できない。
「はっ! 頼れないなら自分達の力で何とかするしかない、それだけじゃない。行くわよヒフミ」
「私も行きます」
「……好きになさい」
ベッドから起きたハナコの言葉にレヴィは淡白に返す。
「シズク、追加メンバーは三人よ! 車の上にロープで縛りつけなさい、浦和ハナコは車の後ろで引っ張って行くのよ!!」
「え、本当にそこしかないんですか!?」
「嫌なんだけど!?」
本当に車の上に縛り付けられるようでヒフミとコハルは大焦りする。
「それでしたら、我々の使う車にお乗りください」
その直後に凛とした声が響き、登場したシスターにレヴィは露骨な嫌悪感をあらわにした。