前回の予告にVSrabbit小隊と書いたのですがまだ戦闘は起きません。一体全体どうなってるんでしょうね?(妄言)
取り敢えずやられた時の呻き声とかのバリエーション考えときます。
注意:後会話文しかないのもあって中身が薄いというか原作通りの無に等しいです。
リンの要請を受け、公園を占拠してデモを行うSRT学園の生徒を鎮圧する為にイサネと先生の二人はデモを行われている場所である子ウサギタウンの子ウサギ公園に向かっていた。
「SRT、SRTねぇ・・・」
「イサネ?SRTがどうかしたの?」
「あぁいや、別に。」
イサネの呟きを拾った先生の問いを適当に返しながら、イサネは歩みを進める。
(はぁ、エリートかぁ。そういうタイプの集まりでないと良いんだけど。)
考えるのはリンのエリートという言葉。ヴァルキューレという数の暴力を容易に退けている辺りエリート気取りの愚図の集まりでは無さそうだが、如何せん選りすぐりの精鋭を育成している学園ともなると環境故に勘違いを起こしたエリート思考のボンボンが湧いてもおかしくない。
(まぁデモしてる生徒がエリート気取りの馬鹿なら現実を知るいい機会なんだけどね。)
余り相手を過小評価するつもりも無いが、イサネはエリート気取りから死んでいく世界で生を受け、闘争の中で世界を敵に回してなお生き残ってきた。教本だよりの見習い如きに後れを取るつもりは微塵もない。・・・相手がエリート気取りの愚図であるなら、の話だが。
「お、見えてきたよイサネ。あそこじゃない?」
「え?あー、確かに騒がしくなっているね。」
先生に声を掛けられてはっと顔を上げると、先生が何処かに向けて指を指している。先生の指差す方向には、大勢の生徒が集まっており、時折銃声や爆発音まで聞こえてくる。制服の色合い的にヴァルキューレの生徒が殆どで、近くに寄り付く一般市民は居ない。
「うん?あの制服はクロノススクールの生徒っぽくない?どう?」
「本当だ、後で話を聞いてみようか。」
「マスゴミと大差ない連中って聞いたことあるんだけど・・・大丈夫なの?」
言葉を交わしながらも二人はその喧騒の元へ向けて足を速めて進んでいく。そうすると、喧騒の中で交わされる会話の内容も聞こえてくる。
「あぁもう!うるさい!誰の許可を取って撮影している!さっさとカメラを止めろッ!」
喧騒から一際大きな怒声。イサネは改めて辺りを見回すと、そこには負傷して動けなくなっているヴァルキューレの生徒達が現場治療を受けており、正に臨時の野戦病院といった有様だ。
「くそっ、クロノスが・・・相変わらずうるさい・・・!とはいえ人員ももう限界だ。生活安全局の馬鹿共は使えないし・・・」
「なんだかすごい状況だね。」
イサネがヴァルキューレの生徒達の悲惨な状況に気を取られていると、先生はその中で通信機片手に苦い表情をしている恐らくこの部隊の指揮官らしき生徒に話し掛けている。それに気づいたイサネは「あ、ちょっと待って!」と慌てて先生を追いかける。
「――今回の作戦において、現場の責任者を担当しています。ヴァルキューレ警察学校の公安局局長、尾形カンナと申します。」
イサネが先生に追い付く頃には既に自己紹介が始まっていたらしく、慌てて駆けこんできた為に会話を聞かずに間に入ってしまう。
「あ、ヴァルキューレの狂犬さんじゃん。」
「イサネ、まだ自己紹介の最中だからちょっと待って。」
「え、あ、ご、ごめんなさい。」
先生の注意に謝罪を示しつつ、改めて尾形カンナと名乗った生徒に向き直る。カンナはイサネの顔を見るや軽く目を見開き、驚いたような反応を見せる。
「貴様は・・・かの万物の天敵、もとい首輪付きか?警備局の連中がシラトリ区の不良掃討作戦の時随分と世話になったと言っていたが・・・」
「シラトリ区?あー、あれか。あれは作戦の実行日を決めた防衛室が悪いのであって私の活躍は運が良かっただけ。そもそも練度不足が大々的に指摘されてる上に戦える人員が動けない状態での作戦強行は最早作戦じゃなくて特攻でしかない訳で――」
「我々ヴァルキューレの練度不足は認めるが、過度な言及は侮辱と捉えられるぞ。」
イサネの良く回る口に、カンナの鋭い目線がぎろりと突き刺さる。
「どっちかというと防衛室の方の失態なんだけど・・・」
「そういう問題ではないし、そもそも今はどうでもいい話だ。」
イサネの言葉をばっさり切り捨てたカンナに、先生は「状況は?」と改めて状況を問う。
「そうですね、見ての通りといった感じですが・・・現状兵力は殆ど残っておらず、士気も底をついています。当初の数による制圧という作戦も、SRTの持つ火力の前ではただの的にしかならず・・・攻撃を掛けるだけの人員も不足しています。」
・・・想像よりも悲惨な状況かもしれない。が、イサネはある意味この展開を待っていたとも言える。そう、自分一人で戦うという状況に。そんなイサネの思惑なんて露知らず、一通りの状況を説明したカンナは更に続ける。
「勿論、ブラックマーケット最強の傭兵と名高い標根イサネさんと先生が助力してくれるというのは非常にありがたいのですが、こちらは既に援護も出せない有様で・・・残っているのは・・・」
正直不要な援護がない方がこれまで慣れ親しんできた自分の戦い方を通す事が出来る。カンナの言葉にイサネが獰猛な笑みを浮かべつつ口を開く。
「ははっ、こういう状況の方が遥かに燃えるね。というか私、部隊指揮なんて殆どやった事ないし、なんなら――」
一人の方が上手く立ち回れる。と、口にしようとしたタイミングで、二人、場に現れる姿があった。
「お待たせしました、生活安全局のキリノです!もう今すぐ出動して良いですか!?」
キリノと名乗った一人は凄い元気とやる気だ。
「・・・もう終わってるっぽくない?これ、最早私達の出番じゃないでしょ。」
もう一人は状況を理解できているというよりかは面倒臭いという心の声が言葉の節々から漏れ出ている。
「・・・残っているのは、この生活安全局だけです。」
そこにカンナの声が虚しく響く。生活安全局。明らかに戦闘向けの部署ではない事だけは確かだ。戦闘向けの部署である警備局や公安局の部隊が攻撃を仕掛けてこの様なら、生活安全局の生徒に出来る事など無いに等しいだろう。
「あ、先生!奇遇ですね、ヴァルキューレの支援に来てくださったのですか?」
「こんな現場に来るなんて、相変わらず大変だねぇ。」
どうやら2人は先生と既に面識があるらしい。先生も「久しぶりだね、二人とも。」と朗らかに挨拶を返している。
「・・・生活安全局の、誰?」
先生に面識があっても、イサネに面識はない。一体誰なのかをおもむろに尋ねるイサネに、2人はそれぞれ自己紹介を始める。
「あっ、申し遅れました。本官はヴァルキューレ警察学校、生活安全局所属の中務キリノと申します!えっと、本日は先生の付き添いですか?」
「同じく生活安全局所属の合歓垣フブキ・・・って、げっ、その顔、万物の天敵じゃん。」
2人の名前を記憶に刻んだイサネは、二人に自己紹介を返す。
「既に知っていそうだけど、改めて私は傭兵バイトとして活動している標根イサネ。天敵なんて言うふざけた渾名で呼ばれてるけど、私としては生粋のアルバイターと呼んで欲しい所ね。」
「生粋のアルバイター・・・しばらく振りに聞いたよ。」
生粋のアルバイターという言葉に何故か先生が反応している。言われてみれば確かに最後にそう名乗ったのはぼちぼち前だったとイサネ自身も記憶している。なら先生の反応も納得が出来る。
「えっ!?標根さんって、ブラックマーケットで悪名高いあの万物の天敵さんなんですか!?」
「・・・一応、公安局と警備局では七囚人に次いで準要注意人物として良く挙げられる人物の一人として、署内でも大分有名な名前だ。」
カンナの思わぬ独白には流石のイサネも目を見開いて驚く。数々の依頼をこなす上でブラックマーケットのあらゆる組織や企業にその実力を渇望されている事は知っていたが、まさか治安維持組織にまで目を付けられているとは思いもしなかった。
「・・・犯罪行為はやってないからね。」
「それで罪過があろうものなら緊急事態どころの話ではない。情けない話だが、単独で災厄の狐と互角以上に戦える者なぞ、現在のヴァルキューレがどうにか出来る案件ではない。SRTも閉鎖されてしまった以上、最早各学園に助けを求めるしか方法が残っていない。」
そう話すカンナの脳裏には、数か月前に行われたD.U.シラトリ区にて行われた不良掃討作戦の結果を綴った報告書があった。
「いくら凄腕の傭兵と言えど、災厄の狐と真っ向から交戦、更には撃退まで成功させるなんて初めは自分の目を疑ったぞ。」
出来ればそれをただの嘘八百だと信じて貰いたかったという戯言は言わない。イサネは気持ちを切り替え、目の前の物事について改めて切り出す。
「その話は後でするから。で、デモの方はどうするの?戦闘に特化させた警備局と公安局でこの様なら、曰く戦闘向けじゃない生活安全局はどう動く?」
イサネのその言葉に場の空気が引き締まる。今にも飛び出さんとしているキリノは、「先生が居るなら何の問題もありません!」と完全に先生を信用している様だ。だが、問題は指揮や作戦ではなく、その作戦を実行する実行員の練度不足が問題なのだ。その問題はカンナが一番理解しているようで、キリノに反対の声を上げる。
「待て、そこに居る首輪付き・・・いや標根で良いのか?まぁ標根ならまだしも、お前らが出て何になる?警備局も公安局も皆やられたんだぞ、お前達が相手になるか?」
その後もカンナの追求は続く。正直言ってイサネもこればかりはカンナと同意見だ。正直に言うなら公安局も警備局も生活安全局と何ら変わらないとしか思えないが、どちらにせよ戦力不足なのは覆らない事実だ。
「で、ですが、市民の方々も怖がっていますし・・・このまま見ているだけには・・・」
「意欲は買おう、だが気合だけではどうにもならない。」
キリノの言葉を厳しい言葉で受け止めるカンナを横目に、イサネはぼそりと零す。
「まぁ戦場では最終的に精神論が物を言うんだけどね。素人玄人関わらず。」
「随分と知った様な口ぶりだな。まぁ傭兵ならではの経験か?」
「はは、少なくとも異名を取る程度で学べるとは思わない事。今のキヴォトスじゃ足りない。もっと死にかけないと、もっともっと地獄を見ないと。」
興味深そうに言葉を拾うカンナにイサネは含みのある答えで返す。確かにただ精神論なら超銃社会であるキヴォトスに居ればすぐに身につくだろう。だが、イサネの言っている精神論は、銃弾が容易く命を奪う世界で、簡単に大量の人間が死ぬ世界で、ひたすらに闘争に明け暮れ、極限の死線を幾重もくぐり続け、それでもなお狂ったように戦場を駆けた者にしか辿り着けない一種の到達点と言える場所だ。
・・・はっきり言ってキヴォトスにおいて別に必要なものでも何でもない。
「貴様は何を言っているんだ・・・?」
イサネの発言の意図が理解出来ずに首をかしげるカンナに、「難しい話はそこまでにして、ここを占拠している生徒達について何か情報はある?」と先生が逸れた話を元に戻す。先生の質問を受け、カンナも思考を切り替えてそれに答える。
「はい、SRT特殊学園所属の1年生チーム、Rabbit小隊です。本来ならSRTの封鎖によって、ヴァルキューレの警備局に転入になる予定だったのですが―――」
カンナの説明を聞き、最低限の情報を把握したイサネはその場を離れて現在応急手当を受けているヴァルキューレの生徒達に元へ向かい、負傷度の少なそうな生徒に声を掛ける。
「ねぇ、そこの。SRTの奴らどんな感じだった?」
イサネに声を掛けられたヴァルキューレの生徒は、痛みに呻きながら質問に答える。
「どうって・・・うーん、気づいたらやられてたみたいな?地雷を踏んだのは覚えてるんだけど・・・」
「物陰から奇襲されたんだよ、確か。あと上を飛んでるドローンかな、あのミサイルがやばい。」
「狙撃がすごい正確で・・・地雷原抜けたと思ったら先頭が抜かれたりとか。」
「そうそう、後は――」
「あれも――」
一通り生徒達の会話を聞いていくと、火力が強すぎる以外にもドローンに奇襲、そして狙撃という単語がよく聞こえてくる。イサネは頭の中でそれらの情報を纏めていく。
「なるほどねぇ、4人編成で分隊長は居るとして、狙撃手と後方の火力支援、後は・・・ポイントマンか?4人の交戦距離なら狙撃手じゃなくてマークスマン?」
イサネはぶつぶつと独り言を呟きながら更に思考を加速させる。
(仮にブッシュからの狙撃がマークスマンか狙撃手だったとして、この距離なら既に射程範囲の筈。だというのに撃ってこないのは、陣地防衛を優先しているのか、狙撃用の兵装を持っていないのか・・・後者はまずありえない。なら、デモを続ける為の専守防衛の線が強いか。)
ヴァルキューレの生徒達に礼を伝えると、イサネは思考を回しながら先生の居る場所へ戻るべく歩き始める。
(特殊部隊だから一般的な大隊編成の様な分隊構成はまずない。で、ブッシュからの奇襲と狙撃を突破できないのはヴァルキューレの迅速性の低さが原因。一瞬でも気を引けるか、
そんなことを考えながら先生の元へ向かうと、一同は何やら一つのモニターを眺めている。イサネは一同に声を掛ける。
「何見てるの?」
「今向こうの様子を見てるの。イサネも見る?」
「よくまぁ非戦闘用のドローンが侵入できたね。多分カモフラージュもないでしょ。」
イサネの問いに答えたのは先生だった。イサネはクロノスのその記者魂に呆れと驚きの感情を抱えながらモニターに意識を向ける。するとそこには、恐らくSRT学園の制服に様々な装備を身に着けた生徒の姿が映っていた。
「えぇっ!?少数精鋭なのに顔見られるのは普通に論外じゃ・・・!いや、デモが目的ならむしろ拡散した方が目的の達成に近いのか・・・?」
「イサネ、しーっ。」
先生に注意を受けつつも、イサネはモニターに移った生徒の動きを注視する。
『・・・ドローンの駆動音、耳障りだな。そろそろ消し飛ばすとしよう。弾薬も結構余ってるし、テストも兼ねて何発かババっと撃ってみるか?』
・・・既に放映用のドローン消されそうである。
「え?私まだ全然見れてないんだけどちょっと――」
『サキ~?何か面白そうなこと考えてるじゃん。やっちゃう?ド派手にやっちゃう?』
もう駄目かもしれない。
『どうせなら爆薬全部使って打ち上げ花火みたいにしない?いやぁ~、綺麗だろうなぁ・・・』
・・・別の意味でも駄目なのかもしれない。
はぁはぁと熱い吐息を漏らすツインテールの生徒は、今にもドローンを動かしそうだ。しかし、鉄帽を被っているのが特徴の生徒が何かを思い出そうとするように思案している。
『それは良いんだけど、何か忘れている様な・・・?』
『も、もしかしてそれって私の事?・・・爆撃、私の居る所は巻き込まないでね?』
モニターに新たに加わった声。どうやら新たに加わった声がこの狙撃の正体の様だ。次いで聞こえる慌てた声から察するに完全に忘れられていた様だ。4人部隊なのに人員の状況を把握し切れていないのは特殊部隊としてどうなんだという言葉はこの際飲み込んでおく。
『ところで私、もう帰ってもいいかな・・・?相手もいなくなったし・・・なんだかこの辺り、湿っぽいし、虫も多いし・・・』
戦場において随分と贅沢な悩みを理由に戻ろうとしている。とはいえ、銃撃戦が日常風景であるここキヴォトスにおいてはそれでも立派な理由になるかもしれないし、実際に虫による感染症の罹患リスクは非常に重い。イサネは取り敢えずモニターが許される限りの映像を見る事にする。
『なんだかその、一人じゃ怖くって・・・』
『ミユ、SRTのエリートが、たかが、虫のせいで泣き言を言うな。』
その言葉にイサネが反応する。心の中に突き刺さる強烈な不快感。中継ドローンの映像を見ている人の事など露知らず、モニターに映った鉄帽を被った生徒は、言葉を続ける。
『いつまでもそんなこと言うなら今からでもヴァルキューレに行けばいいだろ。』
『不快な事も少ない毎日で、安穏と交通整理でもしていれば―――』
――不愉快だ。
やはりこいつらはエリートが何たるかを勘違いした連中だ。その事実にイサネは不快感を吐き出すように舌打ちと共に顔をモニターから背ける。そしてその直後、ミサイルによってクロノスのドローンが撃墜。ここまで聞こえる爆発音と共に中継を映していたモニターがブラックアウトする。
「ヴァルキューレの物じゃないと分かっているだろうに・・・どうしてあんな奴らが、SRTに入学出来たんだ?」
「戦術の観点からして、敵の偵察にあたるドローンは発見される前に墜とすべきなんだけどね。エリート気取りと一緒なんで御免だけど、私が彼女らの立場に居るなら真っ先に墜とす。」
カンナの呆れた呟きとイサネの無感情にドローン対処の遅さを指摘する声が重なる。先生はそんな二人を見ながら朗らかに話し始める。
「いやぁ、随分と元気な子たちだね。」
先生の感慨深そうな言葉に、カンナは溜息で応じる。
「御冗談を、あれらは馬鹿の間違いでしょう。その上力も持っている。会話も碌に通じない以上厄介なことこの上ない。こうなったら各学園の風紀委員会・・・ゲヘナ風紀委員会に連絡を――」
「私に任せて、大丈夫。何とかしてみせるよ。ね、イサネ。フブキにキリノも。」
先生はスマホを取り出そうとするカンナを手で制し、イサネ、フブキ、キリノの3人に声を掛ける。声を掛けられた3人もまた、
「はい!・・・はい!?」
「え、じょ、冗談でしょ・・・?相手はあのSRTだよ?」
「じゃあ先生、指揮よろしく。一人残らず締め上げてやる。」
と三者三様の反応を先生に返す。しかし、カンナの表情は渋いまま、先生に苦言を呈する。
「すみませんが、先生。彼女たちは戦闘員ではなく、平和ボケした生活安全局の所属です。警備局や公安局でも太刀打ちできなかったんです。凄腕の傭兵が居るとは言えど、彼女たちが戦力になると思いますか?」
そう言った彼女は厳しい表情のまま、
「先生の噂は聞いていますが、こんな寄せ集めでは・・・先生。エリートとそうでない生徒の間には、到底埋められない差があるんですよ。」
事実であるかのように、そう言い切った。元よりやる気の無かったフブキはともかくキリノは実力不足の自覚があるようで、カンナの厳しい言葉を受けて苦い表情をしている。しかし、先生はそれを知って尚カンナを真正面から見据えて話す。
「それでも私からすれば、皆生徒である事に変わりないかな。」
「っ、そうですか・・・責任はシャーレが負うという事なので、無理に止めはしません。」
真摯な表情でそう言い切った先生。カンナは一瞬面喰らった後、苦虫を噛み潰したように返すと、まだ立っている人員に向かって指示を出し始める。
「で、作戦はどうするの?」
既に殺る気満々のイサネが「えぇ!?先生正気なの!?」と騒いでいるフブキをスルーしながら先生に作戦の有無を問う。先生もフブキとイサネの二人の言葉を聞き分けるという中々の離れ業を披露しながらそれに応える。
「大丈夫、きっとできるから。それに、任せてと言った以上策はあるよ。」
「フブキ!大丈夫です!先生の指揮ならきっと何とかなります!多分!それに、市民の安全を守る為、この状況・・・放っては置けません!」
先生の言葉にイサネと同じくやる気満々のキリノも便乗する。
「あー、もう計算が狂っ・・・いや、戦闘はそこの天敵さんに任せれば・・・」
「・・・おい、聞こえてんぞ。」
「げっ。」
一方のフブキはイサネを上手く使って何とかサボろうとしているようだった。それを間近で聞いていたイサネもジト目でフブキの怠惰を咎める。
「まぁまぁ、この作戦が上手く行けば特別休暇とか貰えるかもしれませんし、それに警備局への転科のチャンスだって貰えるかもしれません!」
「後者はどうでもいいけど・・・まぁ仕方ない。」
その点キリノはフブキの扱いを分かっているように見える。・・・いや、フブキが警備局への転科に興味素示していない以上何とも言えないが。
「それじゃあ皆、作戦を説明するから集まってもらっていいかな?まずは―――」
先生の音頭と共に作戦の説明が始まる。
「と、まぁ相手が4人編成ならこんな感じかな。大体その場のアドリブ力が試されるけど、相手に地の利がある以上仕方ないね。」
数分後、あらかたの作戦の説明を終えた先生がそう言って締めくくる。因みに場の空気は若干凍り付いている。なんなら指揮場の防衛の観点から攻撃に参加しないカンナも「えぇ?」という明らかに困惑した表情をしている。
「・・・リンクスの作戦?」
圧倒的な沈黙が支配する中、イサネがぽつりと零す。確かに先生の作戦はリンクス、つまりネクストが舞う戦場でなら使えるかもしれない。それはユニットが単純にほぼ
だが、それを人サイズで行うのはほぼ無作戦の突撃に等しい。で、先程先生が提示した作戦はまさにリンクスのそれだ。常にほぼ無作戦で戦ってきたイサネならともかく、単純に練度の不足しているヴァルキューレの面々には余りにも難易度が高すぎる。
「ねぇ先生、もう一回考え直さない?」
「お言葉ですが先生、流石にそれを作戦と呼ぶのは無理があります。」
イサネに続いて硬直から復帰したカンナもイサネの言葉に便乗する。しかし、先生はもうこの作戦で行く事は決定事項の様で、「大丈夫大丈夫。」と言って聞かない。・・・本当にお願いだから考え直して欲しい。
「私を信じて、大丈夫だから。それと・・・イサネ、頼んだよ。」
「・・・」
先生はそれだけを言うとイサネの肩をポンと軽く叩き、いまだ固まっているフブキとキリノの方へ近づき、再起動をさせようと声を掛けている。
「ねぇカンナ、これ大丈夫かな。今回ばかりは不安しかないんだけど。」
「・・・まぁ私は作戦の成功を祈る事しか出来んよ。」
・・・本当に大丈夫だろうか。
余りにも大きすぎる不安を抱えたまま、シャーレ主導によるデモ鎮圧作戦が始まった。
イサネさんが精神論語るところだいぶ盛り過ぎた感が否めないっすね。(他人事)
っていうかやっぱり会話シーンがしんど過ぎィ!!
次回、VS rabbit小隊、実戦編