某大百科で知ったんですけどどうやらキヴォトスだとヘイローが出現すればキヴォトス人の身体能力が得られるみたいっすね。超電磁砲のコラボの為の設定感強いなぁと思ったんですけどこれも超電磁砲も作品越えたクロスオーバーという事で思いっ切り使わせていただこうと思います。
具体的にはリンクスのacfaの世界における人外スペックにヘイローによるキヴォトス人パワーが加算される感じです。あと思ったより実力上位勢と平均の差が大きく離れすぎているなぁと感じました。こぉれは大変だぁ。
白石ウタハは激怒した。必ず、この技術の生みの親を自らの手で裁かねばならぬと決意した。
それは自らをイレーネと名乗り、逆にそれ以外の全てが不明という少女に何かしらの銃を見繕って欲しいというセミナーの書記からの依頼を遂行する為、そしてこの常識知らずな少女に常識を教え、あわよくばエンジニア部の更なる追い風にしようと企んだ時の事だった。
彼女の身体測定と体に異常が無いかをチェックするために自らが設計、開発した新型の身体測定機。他人から見ればどう考えても不要な機能も付いていない訳では無いが、少なくとも自爆機能は着けていない。
イレーネは、そんな機械の試作テスト合格後エンジニア部での実稼働を除いて初の被験者――もとい利用者だ。
イレーネが測定機の中に入り、蓋を占め、装置を起動させる。すると瞬く間にイレーネの身体のスキャンが実行。それがデータとなってモニターに表示されていく。
《入力名称:イレーネ 身長:168cm 体重:49.4kg 座高・・・・》
(身長が168?だというのにこの体重は・・・成程、世の女性が泣いて羨むスタイルという訳だ。胸だってあれは俗にいう持つ者と言われる側だろう。)
表示されるイレーネの身長と体重を見ながらウタハはそう考える。勿論ウタハだってそういうスタイルだとかに一切の興味が無い訳では無い。あるにはある。あるにはあるが、別に執着する程では無いし、そんなロマンの無い非効率な事よりも輝かしき技術の研究を開発、そしてその中に生まれるロマンを追い求める事の方が圧倒的に大事だ。そんな思いと共にモニターより流れてくるデータを確認していく。
(うん?なんだ?この数値は。)
モニターを見ているウタハの手が止まり、そこに表示されたデータを凝視する。そこには
《握力推定:247kg》
と表記されており、スキャンで得られた体のデータから算出された推定の握力であることを示している。
(これはこれは・・・キヴォトスでもほとんどお目に掛かれない数値だ。)
あの細身から数値通りの力が出るなど想像もできない。ウタハはこれは面白いものを見つけたと少しばかり目を見開く。
そして次々と表示されていくイレーネの身体能力の推定値。しかしそのどれもがキヴォトスの中でも確実に上位に食い込む程の数値であることは間違いない。
(それにしても体重の数値からは有り得ない程の筋力だ。一体どうなっている?)
そう、イレーネの身長は168cm、一般的に見ても長身と言える程だが、その割には余りにも体重が無さ過ぎる。一般的に身長が高ければ高いほど体の体積は大きくなる。そしてそれに比例するように体重も増加していく。キヴォトスの住人が如何に頑強と言えどそこは変わる事の無い物理法則だ。
身体能力の表示が終わり、次は体の内部のスキャンデータがモニターに表示される。そこで今度こそ、ウタハは己の目を疑った。思考が完全に停止する。
「何故、ここに異物?・・・これは・・・明らかに人の身体に存在するものでは・・・」
止まった思考のせいで口から洩れる声にも気づかず、ただそのスキャンデータを穴が開きそうな程見つめ続ける。しかし、思考が戻ったのか、別の感情が湧いてきたのか突如に目つきが厳しいものに変わり、モニターを睨め付ける。
(ここの位置にあるという事は明らかに誰かの手によって埋め込まれたという事だ・・・まさか、まさか、人の身体をここまで弄り回すような技術が存在するとはッ・・・!到底許されるものではない・・・!)
技術者の集うミレニアムサイエンススクールはそれぞれ生徒達が自らの得意な、好きな分野で様々な研究が日夜行われている。が、それでも触れてはならないルールというものが、暗黙の了解というものがミレニアムにも存在する。
禁忌とまで呼ばれる代物の内の一つ、医療による患者の治療や生活補助の目的以外で体に機械を埋め込むなどといった、人の身体を改造することで更なる進化という名の生きた機械を作り出す事。このテーマの研究は、過去に机上の空論とはいえこの技術の可能性に辿り着いてしまった生徒の進言によってミレニアム全域で絶対厳禁とされており、過去これまでにそのような研究がされていた事実すら存在しない。
そして、今イレーネの体を調べる過程でウタハが見つけたものは間違いなくそれにあたるものだ。しかもイレーネの体にある物は人の神経系の全てに通ずる脊髄に直接干渉するタイプの物だ。
(こんなこと、考えるのだってすらお断りだ。だがもし、もし仮にこの機械に何か命令することの出来る外部デバイスの様な物があるとするなら・・・この少女は・・・文字通りの生きる兵器という事になる。)
呼吸が浅くなる。背中に不愉快な汗が流れる。食道を駆け抜ける強烈な吐き気。技術を信奉し、追及する身として、そしてウタハ自身の性格的にも、そういった倫理に触れる物に厳格な警戒を持っているだけに、ウタハにとってイレーネの体が既に禁忌に侵されているという事実は受け入れがたいものだった。
余りの不快感と身体が起こす拒絶反応によって平衡感覚を失い、そのまま倒れかける。
「ウタハ部長!?」
イレーネの身長に合う制服を持って戻ってきたコトリが倒れかけ、机に手をつくことで何とか姿勢を維持する事に成功したウタハの姿を見て駆け寄る。普段のウタハの様子を知っているだけにこれがただの事故ではない事はすぐに直感できた。
「あ、あぁ、コトリか。戻ったか・・・」
今のウタハには、体を支えてくれたコトリに感謝を伝える余裕もない。ただ今も自分の中に残り続けるこの不快感に耐える事が精一杯だ。
「ウタハ部長、一体何が・・・」
「・・・正直言ってこれを見る事は推奨できない。」
たかが身体測定で一体何が?ウタハの殆ど見られない真剣な声にコトリはそう訝しむ。その様子を察したのかウタハは更に続ける。
「これは少なくとも1年生の君たちに見せるべきものではない。私個人だけでなく、エンジニア部の部長として、そう警告するべきものだ。これを知る者はあってはならないし、私たちが干渉できる問題でもない。」
「部長にそこまで言わせるなんて・・・一体何があったんでしょうか。」
普段と見違えるレベルのウタハの態度にコトリもその不吉さを感じ取る。
「とりあえず、彼女を出そう。」
そう言って立ち上がったウタハは端末を操作、閉じられていた蓋が開き、中が解放される。
(長いなぁ。)
普通の身体測定ならもう終わってるんじゃないのかと感じるくらいには長いスキャンが終わったのか、目の前の壁が開き外の光がイレーネの目を灼く。
眩しさに手で前を覆いながら外に出る。するとそこには顔色の悪いウタハと何か心配そうにこちらを見るコトリの姿があった。思わずイレーネは思ったことを口に出す。
「・・・なんでそんなに顔色悪いの。」
「い、いや、その、部費の申請の期限が明日だって事を今思い出してね。ソフトウェアとハードウェアの両方を開発しているこちらとしては部費の申請は確実にやっておかないと、開発や研究に困ってしまうからね。」
若干の早口でウタハがそう答える。しかし、イレーネにとってそれが嘘であることは直ぐに看破できた。
(あっちゃ~、もしかしなくても、知られちゃった?顔色的に、人体改造はここでもかなり危ない研究なのかな。)
「そ、そうなんだ。その、こんな時に、ごめんなさいね。お邪魔しちゃって。」
「いや、そこに関して君は何も悪くないよ。気付いたのは測定中の上に完全にこちらの失態だからね。さて、コトリの用意してくれた服は向こうに仕切りがある。今最寄りの更衣室は使えなくてね、すまないが向こうに仕切りがあると思うんだが、そこを使ってくれ。」
「あ、はい。」
そう返事をし、コトリから服を受け取る。ぱっと見た感じだと一般的なミレニアムの制服に見える。コトリに感謝を伝えつつ、敢えてウタハの真横を通り過ぎる。そしてすれ違う瞬間に足を止めて小声で、
「私の体の事、見ちゃったみたいね。その、いつかちゃんと話すから、それまでは秘密にするか、忘れていてくれると、助かる。」
「それは・・・」
返答に詰まるウタハにイレーネは続けるように、
「最後まで隠し通せるとは思ってないから、そこは大丈夫。だから、余り気に病まないで欲しい。それに、これは自論なんだけど、禁忌だからって一切の目を背け続けるのではなく、それに関するある程度の知識があっても、良いと思う。ただ忌避して腫物の様に触らないよりも、それがどんな風に恐ろしいのかを正しく理解して、その上で恐怖出来る人が本当の意味での技術者なんだと、私は思う。」
「・・・はは、まさか、技術者でない者に諭されるなんてね。私もまだまだという訳だ。分かった。このことは一切口外しないと誓おう。」
そう言い切るウタハの表情にもう黒い雲の様な陰りは見えなかった。
「エンジニア部の中までなら、情報が洩れても仕方ないとは思うよ。それ以上は状況によりけりだけど。じゃ、着替えてくるから、それで次は?」
「次?あぁ、次か。次は君の運動能力と戦闘能力でも測ろうか。まぁ、そこまで激しく動くことは無いと思ってくれていい。」
成程、ついに体を張った検査か、腕が鳴る。昨日ユウカには怒られてしまったが、今の自分がどこまで動けるかは大まかにだが把握している。だから、今は思いっ切り暴れよう。
ウタハに了解の意を伝えつつ、目線を仕切りへ向けると、かなり奥に仕切りで作られた臨時更衣室の様なものが見える。はっきり言ってめんどくさい。そこでイレーネは人目に付かなければいいと、稼働してなさそうな大型機械の裏に行きそのまま早着替え。ネクストのパイロットスーツの早着替えで培った技術を総動員。瞬く間にミレニアムの制服をその身に纏い、大型機械の裏から出る。
「そこは着替える場所では無いんですけどね。」
困惑したように言うコトリ。ウタハは見なかった事にするらしい。
「じゃあ、着いて来てくれ、私たちの作ったものを動かす試験場が空いているから、そこでやろう。」
さあ、いよいよ実戦だ。
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試験場に案内されたイレーネは入ってすぐにある射撃訓練場の様な所の少し前、ラックにハンドガンから狙撃専用に作られているスナイパーライフルまで置いてある所で、ウタハから説明を受けていた。
「これから君がどれくらい出来るのか、それを確かめようと思う。ルールは簡単。そこにある的が立ち上がったら、それを撃つ。シンプルだが、それ故に実力が物を言う。銃はそこにあるのを好きに使って欲しい。私は的の動作確認をしているから、準備が出来たら教えてくれ。」
頷く。それを確認したウタハは射撃場の後ろににあるドアを開け、防弾ガラスの向こう側から何かの操作盤を弄り、横に居るコトリとあーでもないこーでもないと話している。
イレーネはウタハに言われた所にあるガンラックを眺め、銃を手に取っては構えてみたり引き金を引いてみたりしては元に戻すを繰り返す。
「あら、いつもの場所に居ないと思ったら、こんなところに居たんですね。」
イレーネの後ろ、正確には射撃場の出入り口から声が聞こえる。この声はノアの声だ。銃をラックに戻し、振り返る。
「こんにちは。イレーネちゃん。これは今何をしているんですか?」
「えっと、銃を撃つ・・・試験?」
適切な言葉が思いつかず、変なことを口走るイレーネに、
「ノア、これは今から彼女がどれくらい銃を扱えるのか少し見てみようと思ってね。銃を見繕うにしろ、銃を持つなら、彼女の扱いやすい種類の方がいい。」
いつの間にか後ろの観戦室の様な部屋から出てきていたウタハがノアにこれからやることの説明をしている。
(うーん、ローゼンタールのMR-R102とかBFFの051ANNRとかあの辺は使い易かった記憶がある・・・狙撃銃なら・・・なんだったっけ、インテリオルの重か軽のレールとか懐かしいな。あれでネクストのでかい砲とかぶち抜くの、よくやったなぁ。スナイパーじゃなくてレールガンだけど・・・結局、真改の月光の誘い込みに使って両断されちゃって・・・あの時、頑張ればそのまま墜とせたんじゃ・・・)
イレーネは武器の選別をしながら過去にイレーネの使ってきた兵装の記憶を思い出していた。
真改。ORCAのNo.5でネクスト名はスプリットムーン。なんでも師からの引継ぎだそうな。大型のレーザーブレード【07-moonlight】に全てを注いだような機体構成に、武士を彷彿とさせるあの喋り方。カーパルスの2週間後辺りにいきなり単騎で襲撃を掛けてきた。彼の剣捌きは今でも覚えている。遠距離に切れるカードの少なさを意にも介さない様近接極振り、恐らく彼に合わせてイレーネも左腕に付けていた月光で斬り合いを続けていたら間違いなく首を落とされたのはイレーネだったと言える。重レールを犠牲に真改の月光を破壊した後は自分の月光に物言わせて刺し殺した。正直今になっても斬り合いで彼に勝てる気がしない。
(しかも、開幕いきなり背中のハイレーザーキャノンだけを狙ってぶった斬っていくし・・・あぁ、思い出したら戦いたくなってきた。早くいいやつ見つけないと。)
そう、後ろでこっちの銃選びを眺めるウタハとノア、どうやらもう的の準備は完了したようだった。しかし、中々イレーネのお眼鏡にかなう銃が無い。イレーネは諦めてさっき軽く触ったアサルトライフルの中から適当に一つ拾い上げ、そこから的確にアタッチメントを選択。
(これを主軸だから、アタッチメントはこれとこれ・・・あとは・・・これも使おう。ルールにないなら、使っても問題ないよね?)
アタッチメントの選別に掛かった時間は10秒程。そして手慣れた手つきでパーツの取り換えを行う。その様子を見ているウタハは感心したように、呟く。
「凄いな、アタッチメントの選別に20秒も掛かってない。しかもかなり手馴れている。これは凄いデータが取れそうだ。」
その言葉には研究者として、技術者として、何よりマイスターの称号を頂く者としての確信が見て取れた。
「ごめん遅れた。準備できたよ。」
「よし、じゃあ、早速始めようか。試射はしなくてもいいのかい?」
「何の問題もない。」
ウタハの耳に返ってくるのは明らかにトーンの違う声。声の方を見やると、先ほどまでの若干ぼんやりとしたようなしてないような不安定な雰囲気から一転、ピリッとした雰囲気を纏う彼女の姿があった。その顔つきには一切の感情読み取れず、元々の機械的な美貌も相まってより非生物であるように見えてしまう。
「制限時間は2分、的一つに付き1点、10カウントでスタートだ。準備が出来たらそう言ってほしい、カウントダウンを始める。」
ふむ、精密射撃と速射のテストか。
「準備できた。」
即答。その声に応じる様にウタハが「よし、起動!」と何かのボタンを押す。
《10、9、8、7―――》
射撃場の奥の壁についているモニターに映る数字が0に向かって進んでいく。
(本当はネクストの様に二丁使いたかったけど・・・)
《4、3、2、1―――》
(ははっ)
《スタート!!》
首輪付きのキヴォトスに来て初めての
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的が起き上がった瞬間に一発の銃弾がそれを撃ち抜く。撃ち抜かれた的は、後ろに倒れていく。
その様を見ながら、ウタハの心の中はただただ驚愕の感情で埋まっていた。
(冗談だろう?実力が完全に不明という事で設定を起き上がっている時間以外で最もハイスコアを狙いやすい設定にしたのだが、なんだこの精度と速度は。起き上がり切った瞬間に撃ち抜くなど、反応速度がいくら早くても、この数を一瞬で捌き切るなどこのキヴォトスの中でも何人いる事か。10人も居るのか?そのレベルだぞ、これは。)
ウタハが唖然としている中でもイレーネは正確に一発のミスもなく的を射抜いていく。隣でスコアを測っているコトリが、
「す、凄いです。今の所、殆ど理論値です!これ最高記録出せるんじゃないですか?」
と驚きの表情で告げる。
と、ここでウタハの探求心に火が付いた。
「よし、的の受付時間とランダム性の難易度を上げてみようか。」
「えぇっ、そんなことしちゃっていいんですか?」
「そもそも、自分の銃での射撃ではないし、記録申請の為の正式なルールでもない。なら問題はない。試作品の試射と何ら変わらないし、人体に何か影響が出るわけではないはずだ。」
そう言い切り、的の操作盤の設定を変更。出現頻度はそのままに、得点と見做される時間、的の出現のランダム性の二つのパラメータを上げ切る。すると途端に的の上がり方が変わる。
(さて、どうだ?これに対処できたのは記録を見る限りC&Cくらいだが・・・これはっ!)
少しはミスが増えるかという目論見は外れ、その命中精度は100%から動かない。途中で挟まれるリロードだってほぼ最小限の動作で、その動きに一切の無駄が無い。
(これは・・・改めてとんでもないな。いくら一発二発の銃弾ではこれといったダメージの無い我々だからこそ若干軽視されがちな傾向にある精度だが、ここまでの精度だとそれはそれで最速での無力化や相手の武器を破壊したりといった芸当で戦えるレベルだぞ。)
(いいね、残り時間は少ないけど、この的の動き、中々に悪くない。撃ってて飽きが来ない。)
イレーネはいきなり難度が変わるというイレギュラーを楽しんでいた。先程までの的は確かに早撃ちの練習にはなりそうだが、かなり初心者に向けた設定なのかやってて全く面白くなかった。
そうしてイレーネは顔つきこそ無感情のそれだが、夢中になって的を撃ち続けていた。それこそ残り時間3秒で残る的が3つの時になってやっと手に持つアサルトライフルの予備マガジンが無い事に気付くくらいには。
(あっ、マガジン・・・)
心ではそう呟きつつも、イレーネの左手は勝手に動いていた。左手を腰まで持っていき、ホルスター代わりにポケットに刺してあるハンドガンのグリップを掴み、引き抜く。
―――あと2秒。
アサルトライフルのグリップを握った右手を下げると同時に左手のハンドガンを片手で構える。
―――あと1秒。
引き金を3回引く。吐き出された3つの弾丸は3つの的の中心を正確に射貫く。
―――《タイムアップ!!》
沈黙。
左手に持ったハンドガンの銃口からは硝煙が立ち上っている。銃口から立ち上る硝煙が消えた事を確認し、左手を降ろす。
モニターを見るとそこには457という数が表示されている。これがキヴォトス基準でどれくらい速いのかは分からない。イレーネの感覚的にはキヴォトスに来る前の方が、速射も精度ももっと安定していたし速かったというのが本音だ。
(はぁ、ネクストばっかで生身での戦闘ほとんどやってないからなぁ。腕も落ちるか。よし、あとで徹底的に鍛え直そう。これじゃダメだ。せめて感覚的にだけでも取り戻さないと。)
自分の射撃の腕の錆び付き具合を嘆き、徹底的に錆を落とそうとイレーネが決意を新たにしていると、それまで黙って見ているだけだったノアが、
「すごい、すごいです!イレーネちゃん。途中で的の動きも変わっていたのに一発も外すことなく当てるなんて!」
初めて見るノアの歓喜と驚きの表情。イレーネはそんな様子のノアに困惑しつつも、
「う、うん。その、期待に応えられたようで、良かった。」
と返す。すると扉の開く音が聞こえ、後ろの部屋からウタハが苦笑いの表情で出てくる。
「・・・ここまでの記録は確かに私も見たことが無いが、最後の3つ、申請無しのサイドアームを使うのはどうなんだい?」
苦笑と共に称賛と苦情の声。しかし、イレーネはそれを意に介さずにさらりと言う。
「別にサイドアームの使用禁止なんてルールは無かったでしょう?使った銃の種類すら伝えてないんだから。」
「ははは。ルールの穴を突いてきたか、一本取られたね。いやぁ、参った参った。」
イレーネのその清々しいとも取れるその言い様に、ウタハは力が抜ける様に笑う。
「それでも、あの状況ですぐにハンドガンに切り替えるという判断が出来るイレーネちゃんも十分すごいと思いますよ。」
予備のマガジンが無いと見るや即座にハンドガンによる射撃に切り替えるというその思考の速さをノアが率直な感想と共に伝えるも。
「いや、でも全盛よりは体感だいぶ反応っていうか、認識してから体が動くまでっていうか・・・なんかその辺が錆び付いてるなぁって感じで・・・そもそも予備のマガジンが無くなったことを手で触って漸く認識してる時点でもう残弾管理が出来てないっていうか・・・いやまぁ恐らく一発も外してないから何とも言えないけど・・・」
自分に言い聞かせるように、まるで一人で反省会を開いている様な声でぶつぶつと話す。
「・・・我々キヴォトスの住人は外の住人と比べて銃弾の一発二発では大したダメージにもならないから、連射の効く銃を使う生徒は命中精度というものを若干軽視しているきらいがあるが、君のその精度と速射性なら、相手の武器を破壊しての無力化だけでも十分実力者として前線に立てると思うが。」
そう評価するウタハに対し、イレーネは信じられないというような声で、
「え?敵の武装を壊しただけで無力化なんて、何かの冗談でしょう?敵は必ず殺す。これが戦場における鉄則よ。敵の武器を破壊しただけで無力化なんてありえない。せめて生かすにしても四肢の内二本は千切っておかないと無力化なんて言えないよ。」
と、これは常識だという様に言う。その言葉にウタハもノアも顔を顰めつつ、
「あのですね、ここキヴォトスでの殺人はただの重罪で済む様な事ではありませんよ。」
「ノアの言うとおりだ。キヴォトス内で殺人が起きた知られれば、恐らく腰の重い連邦生徒会とて本腰を入れて動き出すだろう。」
とイレーネの発言を厳しく咎める。そして後に続く「あ、そうなんだ。皆銃火器持ってるからてっきりそういう場所なのかと思ってた。」と言うイレーネの肩を掴み、
「よし、少し休憩にしよう。お昼の時間も近い。そして君にはその間にここキヴォトスの常識と法律に関係する知識を覚えてもらおう。」
「え、常識は大丈夫だし、法律も後で勉強はするつもりだったから―――」
「いーや、駄目だ。殺人を平然と言い張る様な人がエンジニア部に居るとなればそれこそ問題だ。いくら君の身体能力が高くとも逃がさない。絶対にここで覚えてもらうよ。ノア、協力してくれるね?」
イレーネの反論をまたもぶった斬る形でそう宣言するウタハ。ノアはウタハの意見にも賛成しつつも、彼女の思惑に気付いた様で、
「構いませんが、ウタハ部長。エンジニア部に居るというのは?イレーネちゃんはまだ正式にどのような措置になるかまだ決まってないのですが。」
「・・・・・早速食堂へ行こう。そこで昼食を取りながらここキヴォトスの常識をしっかり覚えて行ってくれ!では行こうか。」
ノアの苦言に冷や汗をだらだら流しつつそのままイレーネの背を押して試験場を出ようとするウタハ。しかし、セミナーの書記という重職に就くのノアがそれを見逃すはずもなく―――
「ウタハ部長?どこへ行くおつもりですか?質問の答えを頂いていないのですが。」
(すごい、顔はにこやかなのに、声が笑っていない。まるでセレンの説教が始まる直前みたいだ。)
とりあえず自分は悪くないと理解したイレーネはリンクスになったばかりの最初の依頼でホワイトグリントの居ないラインアークを攻撃した時、せっかく近接武装あるなら弾代ケチれるじゃんとノーマルが相手とは言えブレードのみで突撃した帰りにセレンが見せた笑顔だけど笑顔じゃないみたいな表情でそのまま拳骨と説教をされた記憶を思い出していた。
書き始める時はかなり長くなりそうだなぁと思っていたんですが、意外と何とか1万字に収めることが出来ました。
でもかなり不自然に終わった感じが否めない・・・
ただ、途中で大きく修正した部分がありますが、かなり慌てての修正だったのでおかしな表現だったり誤字脱字が酷いかもしれません。
後々確認しますが、余りに酷ければ一旦削除なりして書き直すかもしれません。
先生の性別はどっちがいい?
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男先生
-
女先生