今回は先生パートとイサネさんパートの二部でお送りいたします。
多分先生パートが長めかもです。会話パートが殆どなんで大分冗長になっちゃった。
「・・・ここかな?」
縦横3~4m程の閉鎖空間を音を突き破る程の超高速で駆け抜ける超極限環境の中、半透明な翠緑の薄膜をその身体の周囲に張った少女――標根イサネは、超速で流れていく暗闇の景色の中からホームらしき構造を見逃さない。
「ん・・・」
慣性と加速が乗った機動をQBによる別ベクトルへの超加速で強引に塗り潰し、周囲に反響し続ける
圧倒的な加速による人の身体を容易に押し潰す慣性に耐えながら、イサネは壁を1m少し走って地面に着地。
「はは、忘れていたよ。閉鎖空間は色々と危険な場所だという事をね。」
PAの維持だけなら別に体力も体内に蓄積されたコジマ粒子の残量も問題無いのだが、自らの超加速によって生み出された何十何百の衝撃波を延々と受け続けるとなるとまた少し話が変わってくる。後普通に鼓膜が破れる。
階段を3段飛ばしで駆け上がり、改札口へと続く通路を人の限界を超えた速度で走り抜ける。音速を越えて閉鎖空間を飛行した事により、既に目的の建築途中で放棄された駅のホームから改札口は損壊・崩壊が始まりつつある。
「出口はどこだ・・・あっちか。」
出口へと続く経路を見つけ、コジマ粒子の生成を加速させる。ヘイローを形作る翠緑の粒子の対流が加速し、瞳のライムグリーンがその色味と光を増す。キヴォトスに流れ着いてから発現した、コジマ粒子を用いて身体能力を底上げするという大元のネクストにも存在しない不思議な特性。
(出入口に吹く衝撃波の残滓から逃げるなら、もうちょっと強度上げるか・・・?)
その特異な特性によって常識を遥かに外れた身体能力に物を言わせ、基礎の内壁がぼろぼろに剥がれ落ち、敷設されている内線がぼこぼこと露出した通路を駆け抜ける。そして――
「わぶっ!だぁもう風が凄い!!」
強風というか最早突風と化して吹き抜ける衝撃波の残滓と共に、イサネは最低限の出入り口用として建築された地上出入り口から飛び出す。場所は黒服の情報通り、爆音を鳴らそうが見向く人が居ないトリニティの郊外も郊外。
「・・・エデン条約が締結されるまで、もう来る事はないだろうなーなんて思っていたが。」
遠くに見える閑散ながらもトリニティの建築方式に則って建築されているいくつかの構造物を眺め、地上出入り口から数百m程距離を取ったイサネは溜息をつく。
「でも踏み入れちゃったからもう戻れないんだよなぁ。はは、ははは・・・あっはははは・・・」
黒服に唆され、勢いで依頼を受諾した時は「やってやるよ畜生が」と半ばやけくそ根性だったが、こうして改めてエデン条約直前で爆発寸前の様な状態のトリニティに足を踏み入れるとやはり関わるべきではなかったとあの時の選択を後悔してしまう。普段は獲物達に恐ろしき狩りの時間を知らせる純粋で澱みなく狂った笑い声も、今だけは弱々しく萎れ、悲しく乾いている。
ハイライトが消えた瞳で、晴れた空を見上げる事十数秒。もう一度深い深い溜息を吐いたイサネは、スカートのポケットからスマホを取り出して画面に指を滑らせる。
『ククッ、いつになく萎れた声ですね?イサネさん。』
開いたアプリは通話アプリ。掛ける先は黒服。きっちり3コールで通話に出、数日前と何ら変わりない声で通話に応じた黒服に、イサネは萎れ切った感情を抑える事なく口を開く。
「やっぱ帰ってもいい?」
『トンネルをあんな速度で飛びさえなければ、帰る事は出来たかもしれませんね。クックック・・・わざわざ音速を越える必要は無かったでしょうに。』
――今日から当分の間は、厄介事だらけの厄日が続きそうだ。
黒服の返答を聞き、イサネはそう確信した。はっきり言ってただの自業自得である。
その後、うだうだと情けない事をぼやきながらも通行人に怪しまれない様トリニティ郊外の町に入ったイサネは、黒服の道案内により何事もなく指定されたホテルに辿り着く。
『郊外、リゾートが近いホテルという事で、部屋はどこも広めな作りになっている筈です。3階の6号室を予約しましたので、契約期間中はそこを拠点としてお使いください。遅れて調達した装備などはその部屋の方にお届けします。』
「はいはい。じゃあ一先ずはここを突き止められた時の為に構造把握と逃走経路の確認だな。」
そうして黒服との通話を繋ぎながら、イサネはホテルの受付にて予約の確認とチェックインを取り予約した3階の6号室の中に入る。
「中は結構広いな。観光目的の客を相手にしたホテルだから内装もなんかそういう感じにしてるのかな。ここで戦うなら部屋を一つか二つに絞って防衛線を張った方が良いかも。」
『そのような状況になってしまったのなら下手に粘るより部屋を捨てて離れるのが合理的でしょう。失って困る物資も特にある訳ではありませんので。補充の方もお任せください。』
「かなぁ。ま、元より遂行プランなんてあって無い様なものだし、やりたいようにはやるけど。どっちにしろ面倒事である事には変わりないしな。」
間取りや内装を確認し終えたイサネはリビングに当たる部屋の机に愛銃含めた銃器3丁を置き、椅子にどっかりと座って背凭れに背を預ける。
「今日は夕方になったら動くから~、そいじゃ。」
黒服との通話を終わらせたイサネは、通話アプリを閉じておもむろにニュースアプリを開くと、エデン条約に関するニュースを探し始める。
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キヴォトス中にその異名を轟かせる【万物の天敵】が、策略思想渦巻くトリニティに人知れず紛れ込んだ翌日。
「・・・補習授業部の、顧問になっていただけませんか?」
トリニティ学内でも
「補習授業部?」
その中でもティーパーティに属する3つの大派閥のトップ、俗に生徒会長達と呼ばれるティーパーティのホストに就く事が許される者達のみが使う専用の建物のテラスにて、白のワイシャツにスーツズボンを着たヘイローを持たない若い女性――シャーレの先生は、それぞれ聖園ミカと桐藤ナギサと名乗った二人の生徒からとある依頼を持ち掛けられていた。
「はい。部と言う形では言いましたが、現在成績不良によって落第の危機に陥っている生徒達を救っていただきたいのです。顧問と言うよりは担任の先生と言った方が正しいでしょうか。」
ミレニアムにて機械仕掛けの少女である天童アリスを巡った一件の後、いつも通りシャーレで馬鹿みたいな量の書類業務をいつも通り捌いて居た時に彼女達から正式な形で連絡が来たのが三日前。そこからトリニティ来訪の予定を組み、今に至る。
「トリニティ総合学園は、昔から文武両道を掲げる伝統と歴史が息づく学園です。それなのにあろうことか、よりにもよってこの時期に、成績の振るわない生徒が4名もいらっしゃいまして・・・」
「私達としてはちょっと困ったタイミングでっていうか・・・エデン条約の件で今はバタバタしててね。あの子達の件も何とか解決しないといけないんだけど、人手も時間も足りなくって・・・」
お互いにその長い歴史の中で対立し続け、争ってきたトリニティとゲヘナ。その長く永いいがみ合いの歴史に終止符を打つ様に失踪した連邦生徒会長によって提唱された不可侵条約。連邦生徒会長の失踪により空中分解しかけたが、ナギサ主導による相当の努力により今や調印式目前という所まで漕ぎつけている。
「私達はエデン条約で他に手が回らない、でも成績不良で落第寸前の子達の対処もやらないといけない。どうしよーって所で丁度見つけたの!新聞に載ってたシャーレの活躍っぷりを!」
つい先程までナギサの言葉の悉くを遮り、危うく口にロールケーキを叩き込まれそうになっていた二人の生徒の内の一人、聖園ミカは可憐に整った顔立ちをころころと変え言葉を連ねる。
「猫探しから町の掃除、宅配便の配達まで八面六臂の大活躍!そんなシャーレになら、この面倒事を任せられそうだなって!」
「面倒事なんて言ってはいけませんよ、ミカさん。」
「ま、まぁでも、ある意味本当の事ではあるし・・・それに先生、なんでしょ?」
先生。ほぼ全ての学校でBDによる学習がカリキュラムの全てを埋め尽くしている今のキヴォトスでは、補助教員の存在などと違い先生という存在は非常に特異で特殊なものだ。アビドスでの一件で対峙した黒服と名乗る異形もまた、意味合いこそ異なるが先生の事を特異な存在だと評した。
「先の道を生きると書いて先生・・・つまり、導いてくれる存在。って事だよね?生徒の尊敬の対象、あるいは生きる指針として皆に手を差し伸べ導く・・・補習授業部の顧問としてこれはぴったりだなって思って!」
「噂では、尊敬という言葉が合うかどうかについては意見が割れている様ですが・・・」
ナギサの言葉にすっと気まずそうに視線を逸らす先生。心当たりしかないが、まぁこの際は置いておくべき話だろう。
「まぁとにかく!今忙しいのもあって、是非先生にこの子達を引き受けて欲しいの!」
「もう少し説明しますと、この補習授業部というのは常設される部ではなく事態に応じて設立され、救済が必要となった生徒を加入させるものです。少々特殊な事例なのですが、急ぎという事もあって、シャーレの超法規的な権限をお借りする・・・といった形でですね。」
連邦生徒会、ひいては連邦生徒会長が定めたキヴォトスにおけるシャーレの権限ははっきり言って強権や特権どころの話ではない。この時期に急遽部を設立し、生徒を加入させるには生徒会権限だけでなくシャーレの超法規的権限の存在も絶対的に必要だろう。
「時期が時期というのもあって色々と複雑ですが、本質は成績の振るわない生徒の救済にあります。だからこそこの様な形での設立が許された訳ですが・・・どうでしょうか、助けが必要な生徒達に、手を差し伸べてくれませんか?」
「うん、私に出来る事なら喜んで。」
「やったぁー!ありがとう先生!」
補習授業部設立にあたり様々な思惑や策略が飛び交ったのだろうという事がナギサの言葉から推測出来るが、それ以前に生徒が苦境に立たされていると聞いて動かない訳にはいかない。それ以外の理由など要らない。故に即答。
「・・・ふふ、きっと断らないだろうとは思っていましたが・・・ありがとうございます。では、こちらを。」
ナギサの言葉と共に手渡された一枚の補習授業部の対象者の名簿を流し見ながら、ミカとナギサの会話に耳を傾ける。
「トリニティのやっか――」
「ミカさん、その表現では愛が足りませんよ。こう言いましょうか、愛が必要な生徒達・・・これでどうでしょうか。」
「まぁ呼び方なんてどうでも良いけどねー。」
愛だのなんだのと、何かと物騒で情け容赦のない戦闘狂のとある傭兵が聞けば即座に「政治家特有の邪魔者を指す隠語だ」と言い出しそうな会話だが、指摘した所でどうにもならなければそもそも彼女達を疑う事情も理由も無いのでスルーに留める。
(あれ、この子・・・)
そんな中、流し読みしていた生徒名簿にふと非常に記憶にある名前を見つける。
(阿慈谷ヒフミ。何故この子が補習授業部に・・・?これといって成績不良に苦しんでるイメージは無かったと思うんだけど・・・)
阿慈谷ヒフミ。今より少しほど前、アビドス高校の依頼により彼女達が抱えている借金問題や廃校の危機などの問題に対処する為にブラックマーケットを探索している時に偶然出会ったのが初対面の時の記憶。そのままシロコを筆頭にホシノやノノミといったアビドス高校の生徒達に流される形で覆面水着団なる強盗団のリーダーに仕立て上げられ、共に回収された借金の流れを記録した資料を強奪しただけでなく、攫われたホシノを取り戻す為にカイザーPMC基地に強襲を掛けた際、榴弾砲部隊を率いて支援を行ってくれた。
「ん?何か気になる生徒でも居たー?」
「あぁいや、何も?」
「そうですか。では詳細は追って連絡いたします。他に気になる点はございませんか?」
「気になる事・・・」
補習授業部に関しては現状特に質問はない。しかし、違う質問ならある。シャーレの業務の合間にもニュースや噂話で飽きるほど聞いてきた事だが、その主導者達を目の前にしている今こそ問い掛けるべき事だ。
「エデン条約って、なにかな?」
「・・・」
場が静まり返る。ミカは露骨に「え、それ聞いちゃう?」という顔をしている。返しの言葉を聞くまでもなかった。
「うーん、それは・・・なんて言えば良いのかなぁ。」
「エデン条約につきましては、また後日説明させて頂きますね。世間には既に様々なデマと共に出所不明の噂話が出回っておりますが、一応内部機密に分類されるものですので。それに、補習授業部の件とは関係の無い事ですから・・・」
一瞬の沈黙の後、言葉に詰まるミカを余所にナギサが上手い事当たり障りのない返答を返す。それを受けた先生は機密扱いなのにも関わらず世間一般に正否不明の噂が出回っているという事実を聞かなかった事にし、次の質問を口にする。
「それと最初から気になっていたんだけど、ティーパーティーのもう一人の生徒会長は?」
トリニティの首脳部であるティーパーティーは3つの派閥のトップがそれぞれ生徒会長の座に就くのだが、今この場にはナギサとミカの2人しかおらず、3人目の生徒会長の姿がどこにも無い。
「セイアちゃんはその、今トリニティに居ないの。入院中で・・・」
気まずそうに問いに返答したのはミカ。明らかに何か裏がありますと言っている様な表情だが、追及すべき事では無いという事も同時に伺い取れる。セイアという3人目の生徒会長が現在入院中で人前に姿を現す事が出来ない。それだけ知っていれば十分だし、それ以上の追求は俗に言う知り過ぎに当たるのだろう。
「本来はセイアさんが今のホストだったのですが、そのような事情により臨時という形で私がホストを務めています。」
「そうなんだ・・・早く良くなると良いね。」
「はい、また何かあれば聞いて下さい。時間が取れるかどうかは不明ですが、可能な限り回答に応じたいと思います。」
そう言ってカップの中に入った紅茶を洗練された所作で口に含み飲み込むと、ナギサは一息入れて言葉を続ける。
「補習授業部の活動開始は先生にお任せします。準備はある程度完了しておりますので、明日からすぐに活動を始めるとしても問題はありません。該当生徒達の呼び出しが必要とあればすぐに手配いたします。」
ナギサの言葉に頷き、その後エデン条約に関する激務で碌に顔を合わせる暇もなかったらしいミカとナギサの会話を微笑ましく聞き流しながら、二人に別れの挨拶を述べてその場を後にする。
そうしてティーパーティーのお茶会を一足先に終えた先生は、補習授業部のメンバーと顔合わせでもしようかと幾つもある校舎の中から資料に記載のあった校舎に入り――
「やっぱり・・・!?」
「あ、あはは・・・こんにちは、先生。あの、そ、その、これにはやむを得ない事情がありまして・・・あ、あぅ・・・」
――指定の教室にて、ブラックマーケットで出会った時と何ら変化のない阿慈谷ヒフミとあまり望まない形での再会を果たすのであった。
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「えっと、その、ですね・・・こうなったやむを得ない理由っていうのはですね・・・」
授業後の人の居ない教室にて改めて先生と向き直ったヒフミは、気まずそうに事の経緯――なぜ自分が補習授業部送りになってしまったのかを話す。
「ペロロ様のゲリラ公演に参加する為にテストをさぼってしまって・・・それで・・・」
・・・返す言葉もない。完全に自業自得である。まさか予め日時が明確に決められたテストよりも当日告知なしに行われた推しのライブを優先していたとは。しかもそれが理由で補習授業部に送られるあたり1回2回の話ではないと推測出来る。
「うぅ・・・」
呆れて言葉も出ないとは正にこの事だろう。学生の本業を無視し、背徳の娯楽に興じるのもまた学生や若い時にしか出来ない青春ではあるのだが、自らの進退が危ぶまれるまで繰り返すのは流石に話が違ってくる。
「そっ、そんな冷たい目で見ないでくださいぃ・・・!ちゃんと試験日は確認していた筈なんですっ!だからその・・・何かの間違いといいますか、手違いと言いますか・・・!」
開いた口が塞がらない先生に向けて必死の言い訳を投げ掛けるヒフミ。確かに間違ってはいるのだろう。テストとライブを天秤にかけ、あろう事かライブの方を取るその思考回路が。
「あぅ・・・ご、ごめんなさい・・・」
「い、いや、私に謝る必要は全くないんだけど・・・」
恐る恐る謝罪の言葉を口にし出したヒフミをやや気まずそうに窘める。一応ナギサに渡された資料を見るに真面目な生徒らしく受けたテストの成績自体は決して悪いという事も無いので、学力面における問題は無いだろう。
「は、はい。それでナギサ様に、先生のサポートを頼まれまして・・・」
「部長なんだ・・・!というかこの部活に部長なんてあったんだ・・・」
「あくまでも臨時の、という形ですが・・・そ、その、補習授業部自体特殊な形で作られた部活ですし・・・」
資料にその様な記述など一切無かったが、学校から正式に予算を貰う部活である以上部長の存在は必要だろう。ましてや非常に特異な立ち位置にある補習授業部、設立時にナギサがそのような事を考慮しないとは考えにくい。
「そ、それに部の活動自体も限定的で、全員が落第を免れたら自然に部は無くなる筈です。なので、えっと・・・その時まで、よろしくお願いします、先生。」
「うん。宜しくね、ヒフミ。」
そう言って頭を下げたヒフミに、こちらこそと言葉を返す。その後ヒフミの提案により4人で構成される補習授業部の部員の内残り3人との合流兼顔合わせをするべく動き出した。
とは言ったものの・・・
「こんにちは。もしかして、私の事をお探しでしたか?」
「「!?」」
「は?え、ちょ、何で!?あんたどうやって牢屋から出てきたの!?ちゃんと鍵閉めたのに!?」
「いえ、開いてましたよ。私の事を話している様な声が聞こえたので、こちらに来てみたのですが――あら、大人の方。という事は先生ですね?改めまして、こんにちは。という事は補習授業部の?」
「ま、待って!その恰好で出歩かないでよぉッ!?」
プールや海でもないのにも関わらず何故かトリニティ指定のスクール水着を着て校内を徘徊し、ばっちり正義実現委員会に取っ捕まっていた2年生浦和ハナコ――
「・・・そうですか、下江さんは全裸でプールを泳ぐのがお好きなんですね。流石は正義実現委員会、そういった分野まで網羅しているなんて。」
「ばっ、ばっかじゃないの!?着るに決まってるじゃない!そんな事する訳・・・!」
「それにしても、裸こそが正義。とは・・・かなり前衛的ですね。余り考えた事はありませんでしたが・・・なるほど、新たな学びを得られそうです。ともなれば試してみるのもまた一興・・・」
「わぁー!駄目駄目駄目!!そんなの絶対やらないでッ!そろそろ先輩達戻って来ちゃうから、とにかく早く戻って!」
――という名の痴女もしくはHENTAIと、
「ハナコさんとお話するのはまだ難しそうですね・・・えっと、次の生徒は白洲アズサ――」
「ただ今戻りました。」
「任務完了です!現行犯で白洲アズサさんを確保しました!」
「はい、そう――はいぃぃっ!?」
「シュコー・・・シュコー・・・惜しかった。弾薬さえあれもう少し道連れに出来たのに。けど、もういい。好きにして。ただ拷問に対する訓練は受けてるから、そう簡単に口を割るとは思わない方が良い。」
何らかの要因で校内での暴力疑惑により正義実現委員会と交戦し、催涙弾用弾薬約3tが保管された倉庫を占拠して籠城を行い、結果としてその内の1tを爆破。最終的にIEDやブービートラップを用いて3時間に渡る大抵抗と多大なる被害を与えて御用となった同じく2年生の白洲アズサ。
「駄目に決まってるじゃでしょ!凶悪犯なのよ!?釈放だなんて絶対駄目!」
「コハル。先生はシャーレとして、ティーパーティーの正式な依頼を受けてここにいらっしゃったのです。規定上は何の問題もありません。補習授業部の顧問になるのですから。」
「え、えぇ、まぁ先輩が言うなら。・・・ふん!まぁでも良い様よ!こっちはこんな凶悪犯と一緒に居なくて済むし、そもそも補習授業部だなんて、恥ずかしい!ぷっ、あははっ!むしろ良いんじゃない、変態と悪党の組み合わせ!そこに馬鹿の称号が加わるなんて、私なら一緒に居るだけで死んじゃいそう!」
「・・・あれ、あと残りの生徒って・・・」
「はい。非常に言いにくいのですが・・・」
「まっ、精々――」
「最後の一人は、下江コハルさんです。」
「・・・はっ?え、私!?」
「・・・はい。」
そして馬鹿みたいな理由と馬鹿みたいな損害によって無事取っ捕まったハナコとアズサを凶悪犯、ひいては変態と悪党のコンビだと言い、トリニティ生らしい侮蔑の言葉を並べていた正義実現委員会所属の一年生、下江コハル。
このやたらと癖が強い3人と自称普通の生徒にして現状全く自我しか出ていないヒフミの計4人が正義実現委員会の牢屋教室という何ともまぁ・・・といった場所で一堂に会したのであった。
「は、はい・・・何とか皆揃いましたね。補習授業部・・・こ、ここからが、本当の問題なんですが・・・」
「それで・・・ふふ、何をすれば良いのでしょうか?阿慈谷部長。放課後に人気のない教室で、素行の悪い女子高生と大人が集まって・・・始まってしまいそうですね。」
「始まる?・・・まぁ何だって構わない。因みに私が本気を出せば、1か月はこの教室に立てこもれる。物資と装備が揃えられるなら3カ月は余裕だ。」
「死にたい・・・本当に、本当に死にたい・・・」
「えっと・・・その、よ、よろしくお願いします、先生。」
「・・・うん。頑張って・・・みる、ね。」
挨拶も会話も碌に成り立たないまま、補習授業部はスタートを切るのであった。
一方その頃、標根イサネは・・・
《警告!! 万物の天敵 標根イサネ トリニティへの立ち入り厳禁!
無用な争いの火種をトリニティに持ち込むな!!お前が居るだけで悲劇が巻き起こる!!!》
「・・・は?」
情報収集で出掛けた先、誰が書いたのか馬鹿みたいな陰謀論に頭をやられた看板を発見してしまい、本当に無用な戦禍を巻き起こしそうになっていた。
やっぱ先生エミュってムズイっすね。
ベアトリーチェの死に様はどうなってくれると嬉しい?
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普通にイサネさんがボコって終わり
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誰も見てない所で誰も知らない内にグサリ
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先生やアリスクの目の前でぶっころ