透き通る世界で二度目の答えは出せるのか   作:回り針

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ちょっと内容が冗長になってしまったかもしれないです。




認知されるという事、脅威と見做されるという事

 

 

 

 

 

良く晴れた昼下がりのトリニティ自治区。

 

 

学外故に生徒以外にもロボットや獣人の大人達が行き交う格式高さと現代の建築様式が組み合わさったトリニティの街並みの中に紛れ、一人の少女――標根イサネがその綺麗な銀灰色の長髪を風に遊ばせながら、やや肩を落としながら人混みの中を歩いていた。

 

 

「ちっ・・・どこにでも居やがって正義実現委員会の連中め。学園の入り口全部に検問を敷くなんて、本当に徹底してる。」

 

 

苛立ちと落胆をぶつぶつと溢しながら、歩いていた。

 

(街中での情報収集ならともかく、これじゃ学内での情報や学園の様子を見る事すらも出来ない。そんなに不都合が嫌いなのか。・・・もしくは、それだけ暗殺が怖いのか。)

 

地下トンネルを衝撃波(ソニックブーム)が発生する程の速度で飛行し、見事ブラックマーケットとゲヘナに要らぬ騒ぎをもたらしながらトリニティ自治区の通ずる道路に張られたトリニティの治安維持組織(正義実現委員会)の検問を避けてトリニティ自治区に侵入を果たしたイサネ。

 

その後予約したリゾートホテルという名の簡素な拠点に居を置き直し、トリニティ学内で水着を着て徘徊する変質者と催涙弾の弾薬を保管する倉庫を吹き飛ばした推定テロリストが逮捕された日の翌日、依頼遂行の手がかりや情報を集めるべくトリニティ自治区に繰り出したのだが・・・

 

「学内と入口周辺の監視は想定の範囲内だったんだけど、まさか学内付近の自治区広域にも遊撃隊みたいに人員を配置するだけに飽き足らず、付近自治区ほぼ一帯の公共施設にまで外部者排斥の義務を言い付けるなんてねぇ・・・私の事天然痘か何かだと思ってない?」

 

行く先々の施設で見つかるトリニティ外の人断固お断りの看板や注意喚起。おかげでバスや電車の公共施設から個人経営の店すらも碌に使う事が出来ず、また情報の一つも得る事が出来なかった。

 

「そんなに嫌か?・・・まぁ嫌だろうなぁ。」

 

幾らイサネと言えど自分の中で明確な理由やデメリットを上回るメリットが無い法破りをする程獣ではない。故に外部者排斥の政策を前に何が出来るでもなく町を只進み続ける事数時間、何の成果も無いまま今に至る。

 

どうにも話を聞くに部外者の店舗や施設の利用には正義実現委員会が発行している活動許可証なる物が必要で、それを持っていれば何ら問題無く今のトリニティでの施設や店舗利用が出来るとの事らしいのだが、今の時期にイサネが許可証を取りに正義実現委員会を訪ねようものなら即刻身柄を取り押さえられる事は間違いない。そして調印式終了まで徹底した監視下に置かれる事になるのだろう。もしくは適当な罪を擦られてヴァルキューレ矯正局送りというシナリオも十分にあり得る。

 

(聞こえてくる話の殆どが無関係か既知情報だし、多分一般の市民や学生は知らないんでしょうね。まぁ一般に不要な不安を与えないってのは上層部のやる仕事ではあるけどさ。)

 

許可証が無いので碌に人の話が行き交う場所にも立ち入れず、首脳部と治安維持組織にやたらと警戒されているせいでその許可証も取れない。イサネが置かれた現状は非常に厳しい。

 

(高級菓子を買いに行った時の副委員長さんの言動から察するに、この排斥施策は完全に私対策だろうね。さて、どうするか・・・)

 

幸いな事に一部の者達を除いてトリニティの生徒の殆ど、トリニティに住居を置く一般市民にはまだ超要注意人物【万物の天敵】としての顔が割れていない。だからこそ学外ならまだ活動が出来ている状態だ。勿論正義実現委員会の者に捕捉されたら即アウトだが。

 

 

(・・・古書館か。アリウス分校っていう忘れ去られた歴史に関する情報が保管されているとなるともうそこしかない。)

 

 

故に調印式までに行う諜報活動は特に気を使わねばならない。現状思い当たる場所などを攫い直し、思い付くのは一か所。それもトリニティ学園内という警備がここ以上に強い場所にある場所。

 

「トリニティの古書館。はてさて入れるだろうか・・・?」

 

トリニティ古書館。キヴォトス最大の図書館と名高い中央図書館と共に別棟という形で運営されている、主に古書を取り扱っている施設。どうやら大昔に建てられた建物を今の今まで補修して使っているらしく、その存在からしてとても長い歴史を持つ場所との事。

 

一般に公開されているトリニティ総合学園の構内地図やホームページの情報によると古書館はキヴォトス最大の規模を誇る中央図書館からは独立した建物で運営されてはいるものの、どちらも図書委員会の管轄で運営が行われている様だ。

 

(古い文献なら間違いなく古書館を当たるのが良いんだけど・・・学内かぁ。)

 

古書館の位置はトリニティ学園の敷地内。つまり警戒の数もそれだけ多い。そして明るい日中では隠密など至難に近く、ちゃんとした変装もまた準備が足りない。イサネは思考を巡らせる。

 

(校門だけじゃなくて学内にも確実に多くの目がある。こそこそ行ったとしても必ずどれかに捕捉される・・・)

 

イサネから見て、キヴォトスの住人達が日常的に繰り広げる銃撃戦や戦闘の平均レベルははっきり言って低い。銃の扱いや基礎的な戦術行動などを習得してはいる様だが、CQCや白兵戦闘、戦闘の押し引きの判断や部隊指揮などは一部の例外を除いて児戯と言わざるを得ない。

 

そして同時に言える事として大体の者の頭が非常に悪い事も挙げられる。これは純粋に学力が無いだとかではなく、歩哨や警備の警戒心の致命的な欠如や子供の悪戯の様な馬鹿みたいな作戦にすら冗談の様に引っ掛かるその知能の低さだ。これは揶揄でも何でもなく、イサネがこれまで数多くの依頼を遂行し、様々な組織や個人を相手にして気付き理解に至った事だ。

 

 

(下手にこそこそ行っても逆に怪しまれる。なら・・・)

 

 

下手に隠れようとすると逆に目立つ。木を隠すなら森の中。数々の経験から目的の古書館に辿り着くべくイサネの下手な天才を遥かに凌ぐ頭脳が弾き出した作戦は―――

 

 

 

 

翌日。

 

 

 

「ね、ねぇ、あれ副委員長が言っていた超要注意人物じゃない?特徴の髪色とかそっくりだよ。」

 

 

「いやいや、万物の天敵と言えどこんな半指名手配状態でわざわざトリニティに入ってくる訳無いでしょ。別人だよ別人。同じ髪色髪型の生徒くらいうちにも居るって。」

 

 

「まぁ写真にあった天敵の普段着とも違うしね。確かにトリニティの制服は着てないけど、あんな堂々としてるんだし多分大丈夫だよ。」

 

 

トリニティ総合学園正門。天気は曇り。授業やそれ以外の用途で学内に足を運ぶ生徒の中に紛れ、彼女――イサネは居た。

 

「・・・あれ、万物の天敵っぽくない?ハスミ副委員長に連絡した方が良いかな・・・」

 

「いーや違うね。まず目が違う。写真で見たあれの目はもっと鋭かったね。それに――ってか、めっちゃ顔綺麗なんだけどあの人。イチカ先輩とは別方向でモテそう。羨ましいなぁ。」

 

「と、取り敢えず写真だけ撮って、後でハスミ先輩に見て貰おうっと。」

 

普段着である白のワイシャツにハーネスベルトを暗灰色のワイシャツに変え、忍ぶ訳でも紛れる訳でもなく堂々と、さも「自分、トリニティの人間ですが?」と言わんばかりの自然体で正門を堂々と歩き抜ける。

 

正門周囲に警備として立っていた正義実現委員会の生徒らの視線を一瞥もくれず、そのままトリニティ学園の中に消えていく。正義実現委員会の生徒達もまた、緊張の欠片も無い彼女の動作に声を掛ける事も無くスルーしていく。

 

 

(はい上手く行ったー。上手く行くと思ったー。想定通りー。)

 

 

正門を通り抜け校内に敷かれた歩道を進みながら、服装の色味とハーネス以外全て普段通りのままの格好のイサネは上手く行った喜び1割、節穴過ぎる監視の目に対する呆れ9割の心境でひたすら自然体を装い続ける。

 

(それにしてもこいつら馬鹿なんじゃないの。声の一つも掛けないのかよ。私トリニティの制服着てないんだぞ。)

 

周囲の生徒が自然体で行動している以上下手に隠れようとしたり紛れようとすれば逆に目立ってしまう。どこにでも居る並みの不良や金で雇われたやる気のない警備員と違って学園公式の治安維持組織の目はちゃんと鋭い。適当な隠密ではすぐに看破されてしまうだろう。

 

準備不足の今ではちゃんとした変装は出来ない。人員の多さから隠密も難しい。というかこの段階での隠密は想定していないし何より面倒臭い。ならどうするか。

 

 

――こそこそしてばれるなら、むしろ堂々としている方が周囲に溶け込める、警備の目を騙せる。

 

 

それがキヴォトスにおける数々の傭兵経験を元にイサネの頭脳が弾き出した答え。最低限日常的に着ている服を避け、後は堂々としてさえれば、ある程度の目は誤魔化せる。はっきり言って滅茶苦茶な作戦だが、何故かキヴォトスの住人相手には通じてしまう。

 

(経験から並みの不良とか警備員程度なら騙せると思ってたけど、学園の治安維持組織も完璧に騙せるのはちょっと逆に不安になるよ?本当に不穏分子の看破とか出来るの?)

 

強いて想定外があるなら非合法組織やブラックマーケットにたむろするなんて事はない有象無象連中が相手ならまだしも、まさか正式に治安維持組織として学園主導で組織されている委員会に一声すらも掛けられる事なくスルーされる事だろうか。敵対行為をしている身ながら少し心配にならないでもない。

 

(いや、まぁこういう状況なら騙される方が悪い。こないだの尋問の礼だとでも思ってくれ。)

 

だが請け負った依頼は遂行しなければいけない上、この手の攻防においては相手を出し抜く事こそが全てだ。ゲヘナ嫌いで有名な副委員長に後でこってり絞られそうな正義実現委員会の委員達を心の中で一瞥し、イサネは気持ちを切り替える。

 

(古書館の管轄は図書委員会。というか古書館が本部なんだっけ?確か。まぁ欲しいのは今のアリウスの情報だから古書館漁っても意味無いかもしれないけど・・・)

 

頭に叩き込んだトリニティ学内の地図と現在位置を照らし合わせ、中央図書館に通ずる道へと歩を進める。古書館という事で現代アリウスの情報やこれから締結されるエデン条約にどう絡んでくるか等を知る事は叶わないだろうが、そもそもアリウスに関する情報が殆ど出回っていない為にアリウスに関する情報なら何だって欲しいのが現状だ。

 

 

「よし、取り敢えず本部らしい古書館の方に行くか。せめて一つでも有益な情報が拾えると良いんだけど・・・」

 

 

そうしてイサネは一途の望みをかけつつ歩く足を速め、古書館へと向かったのだが―――

 

 

 

 

「え、あれ、今日ってまだ営業日よね?なんで鍵が・・・」

 

 

――入口の扉が見事に開かないのである。

 

 

営業日である事を確認し足を運んだにも関わらず、リスクの巣窟にわざわざ足を踏み入れたにも関わらず、何故かがっちりと閉ざされている古書館の扉。押しても引いてもがちゃがちゃと音を立てるだけで、扉を開閉できる程度の力ではびくともしない。

 

「敵地でもあるまいし、蹴破る訳にもいかない・・・えぇ?なんで閉まってんの?臨時休業の知らせとかも特にないし、何か問題でも起きてる・・・?」

 

基本的にこの手の施設が何らかのアクシデントで急遽業務が出来ない場合は大抵どこも臨時休業の知らせをネットのホームページか扉や壁等の張り紙にその旨を記載するのだが、それも無い。十秒前後の困惑と思考の後、イサネは踵を返して中央図書館の方へ向かう。

 

本部にしてイサネの目的である古書館の方が開いていないのなら、中央図書館に居る図書委員の生徒に声を掛けるしかない。

 

 

――しかし、

 

 

「事情は分かりました。いつもの事なので後できつく言っておきます。・・・でも、イサネさん。あなたはトリニティの生徒さんじゃないですよね?」

 

 

甘かったと言えばそこまでなのかもしれない。秩序が成り立っているトリニティの一般生徒で自分の容姿と悪名高き【万物の天敵】が結びつく者などそういないと思い込んでいた自分が居なかったと言えば嘘になる。

 

「確か万物の天敵って渾名?異名?で呼ばれてますよね。正義実現委員会の方が凄い危険な人だと顔写真を見せてくれたんですけど・・・」

 

「トリニティの人間で、それを知っている奴がこんなピンポイントで居るのか。」

 

結び目をリボンで括った曙色のツインテールの生徒、中央図書館の司書にして一年生の円堂シミコはイサネの訪問に対し大分申し訳なさそうにそう答えた。次いで

 

「ごめんなさい・・・正義実現委員会の方からエデン条約調印式が終わるまではトリニティではない人を図書館の中に入れるなと言われてまして・・・」

 

とも。

 

「特にあなたの事は銃器を用いてでも入れないで欲しいと。武力に優れた目的不明の者をトリニティに入れるのは危険だという事らしく・・・同時に見かけたら通報して欲しいとも。」

 

やはりと言うべきか正義実現委員会、ひいてはトリニティ首脳部の息はここにも掛かっていた。表向きに作り上げられた如何にもな理由を頭を下げながら述べるシミコに、イサネは起こる事も嘆く事も出来ない。彼女は完全に無関係なのだから。巻き込まれるべきではないのだから。

 

 

「そういう事で本当に申し訳ないのですが、お引き取り願えないでしょうか?正義実現委員会の方

には黙っておきますので・・・本当にごめんなさい。」

 

 

「・・・ほとぼりが冷めたら、また来るよ。多分。」

 

 

深々と頭を下げるシミコに言葉を返しながら、静かに踵を返し図書館を出る。

 

 

 

「成果は無し、ね。いやぁー参ったな。・・・少し、というかかなり腹が立つ。」

 

 

 

リスクを冒したにも関わらず何も成果も得られなかった事ではない。感情の無い諜報戦においてリスクを冒した先に何も無い事など割とザラな事であり、イサネ自身キヴォトスに来る前からこの手の理不尽には慣れていた。

 

だが、イサネの本職は次世代型人型機動兵器アーマードコア・ネクストのパイロットであり独立傭兵だ。諜報戦などは依頼主(企業達)子飼いの情報屋やオペレーター(セレン・ヘイズ)のする事であり、イサネの役割は情報屋によって依頼時にもたらされる情報を参考にして依頼を遂行する事だ。

 

 

「監視の目を出し抜いた程度では、まだまだあいつらの掌の上でしかないって事でしょう?ふふっ、ふふふ、ふはははは・・・はぁ。しょげるなぁ、本当に。」

 

 

トリニティ首脳部に言い様にされる(目的を徹底的に阻害される)事への苛立ちによって無駄に疲弊した心境を抱え、イサネは校門ではなく人の居ない学内と学外を仕切る高い柵を攀じ登って学外へと姿を消す。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

『・・・なるほど。トリニティ学内、もとい一般生徒にはただの不可侵条約としか知られていないと。そして、首脳部の外部者排斥によって碌に諜報も出来ない。という所ですか。』

 

 

「施設利用には正義実現委員会が発行する許可証が必要なんだってさ。何でも良いからアリウスの情報漁ろうと思って古書館に行ったんだけどさ、本部の古書館は謎に閉まってるわ中央の司書には天敵だーって見抜かれるわで・・・ふざけやがって。」

 

 

イサネが危険を冒して冒険に出(学園内に入り)、無事撃沈した日の夜。リゾートホテル特有の広々とした空間に統一感透明感のあるバスルームにて、イサネはシャワーを浴びながら黒服と今日の出来事やその後の行動指針について通話で話し合っていた。

 

『クックック・・・随分と荒れていますねぇ。電話越しでもよくその怒気が聞こえますよ。』

 

「聞こえているなら早く装備を揃えろ・・・ってそんなのはどうでも良い。そっちの様子はどう?トリニティ入りはした?」

 

『いえ、まだトリニティに向かう予定はありません。直接的な武力を持たない私にとって、今のトリニティは余りにも危険過ぎるので。』

 

「あぁそう・・・しかしどうすっかなぁ。学内外の施設は駄目、学園付近の自治区は警備だらけ・・・成果が欲しいならリスクを飲むしかないのかも。」

 

バスルーム用の椅子に座り銀灰色の長髪を両手で梳きながら、湯舟の縁に置いた防水ケースに入ったスマホに己が考えを話す。

 

『リスク・・・ですか。』

 

「ティーパーティーが使ってる部屋とか建物から直接情報盗んでこようかなって。もうそれくらいしないと冒すリスクに見合うものが得られそうにない。」

 

『クックック・・・確かにそうかもしれませんね。ですが、今の段階で貴方の身に何かあったとしても私ではどうにも出来ませんよ?』

 

「その手の依頼なんて飽きる程やってきたよ。万が一しくじったら見捨てる~だなんて、敵対組織の施設襲撃程度でどいつもこいつもさも大事の様に言うんだから。」

 

リスクを回避していては何も得られない。イサネが自治区内で情報収集に勤しんだたった2日で理解した今のトリニティの様相と首脳部が敷いた外部者対策の徹底ぶり。恐らく許可証の有無や目線の一々を気にしていてはこの先調印式までずっとこのままだろう。

 

 

――少しの無茶ですら今の段階では危険(リスク)。だが依頼の本格遂行に向けて情報は絶対的に要る。

 

 

「ヴァルキューレが使ってる手錠くらいなら普通に引き千切れるし、鉄格子くらいなら破壊できる。この際指名手配されても良いから調印式とアリウスの情報を取りに行くべきだと思う。」

 

『情報収集は私もしています。ですので無理に危険に近付く必要性はないのでは?』

 

超要注意人物という事で元より指名手配に近い状態。侵入が発覚した所で最早変わる事など無に等しい。ならば大きく一歩踏み込んで動くべき。それがイサネの考え。しかしその一方で情報収集は既に黒服が独自のルートで進めている。故に今無理に動いてもあまり意味もメリットもない。

 

 

「まぁそれはそう・・・なんだけど。でも――」

 

 

無いのだが――

 

 

「ここまでずっとあいつらの思い通りなんだ、そろそろ想定外に苦しむべきだとは思わない?」

 

 

『何故そこで感情を優先してしまうのですか。』

 

 

標根イサネ。強火過ぎる闘争本能とそれを可能とするスペックを持ってしまった哀しき存在。たった2日、警戒の檻に居ただけでフラストレーションが溜まってしまう救い難い脳筋馬鹿。

 

「元々戦闘の依頼なんでしょう?だから早く戦いたいんだよ。作戦会議の段階から私の心はもう既に戦闘態勢なの。」

 

『クックック・・・難儀な人ですね。常日頃から闘争に身を投じていなければ碌に知性を保つ事も出来ないとは・・・』

 

「やめろ人をそんな学習中の戦闘用AIみたいに言うのは。」

 

そんな自身の強すぎる闘争心に呆れ笑いを零す黒服にやや半ギレで言葉を投げ返し、イサネは梳き終わった髪をシャワーの温水に晒してシャンプーを流す。

 

『・・・まぁ、貴方が潜入をするというのであれば止めはしません。ですが万が一における私からの支援救援はできないという事だけは忘れないでください。』

 

「はいはい留意しておきますよっと。さて、そろそろ上がるか。」

 

シャワーを止め、イサネはスマホ入りの防水ケース片手にバスルームから出る。

 

「あ、そうだ黒服。装備品に追加でショットガンも送っといて。あとドラゴンブレス弾(12ゲージ散弾銃用焼夷弾)もね。」

 

『ドラゴンブレス弾とは・・・一体何の用途で?あれは合法性を証明にしくい品ですし、何より普通に対人想定をするのなら直接的な攻撃力が不足するように思うのですが・・・』

 

「そんなの戦闘のどさくさに紛れて構造物を燃やす為に決まってるでしょ。トリニティとか木造建築の校舎多そうだし、可燃物でも撒けば小さい棟一つ落とすくらい出来ると思う。」

 

『血も涙もない発言ですね。後アリウス分校の校舎は石材が基本ですよ。』

 

 

標根イサネ。血も涙も考慮に入れるのは事が終わってからが常識の人。

 

 

 

 





逆的な展開とシリアス展開をはっきりと分かる様に書きたい...

因みにですが「イサネから見たキヴォトスの住人の戦闘レベルは一部の例外の除いて低い」という文における一部の例外というのは主にネームド生徒とかの事を指します。捕捉というか、作者の備忘録的なやつです。

ぶっちゃけネームドってだけで実力は大分上の方なんだよなぁ。

ベアトリーチェの死に様はどうなってくれると嬉しい?

  • 普通にイサネさんがボコって終わり
  • 誰も見てない所で誰も知らない内にグサリ
  • 先生やアリスクの目の前でぶっころ
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