空間異常により発生した謎の穴に吸い込まれたかすみとあやねはうつ伏せに倒れて意識を失っていたが、かすみは目を覚ましゆっくり体を起こした。
「…うぅ…こ、ここは…」
周りを見渡したが木に囲まれている…
「私一体どうなって……確かさっき変な穴に…あ!」
状況整理をしようとしたが隣に同様にうつ伏せで倒れているあやねに気づいて慌てて揺さぶり呼びかけた。
「あやね!大丈夫あやね!しっかり!」
「…う…うぅ……ハッ!抜け忍!!」
少しすると目を覚ましたが目を覚ますなり素早く後転し小太刀を抜くあやね!そんなあやねにかすみも構えたがその時周りの異変に気づいた。
「⁉︎待ってあやね!なんだか様子が変よ!」
「ふん!何言ってる!そんな言葉に騙されないわよ!下忍達!包囲して!」
・・・・・・
「ちょ、ちょっと!何してるのよ下忍⁉︎さっさと…」
かすみを捕まえるように下忍に命令しても誰も反応しなかった為声を荒げたあやねだったが、近くに下忍の気配は無かった。冷静になり周りを確認するとさっきの出来事を思い出した。見たところここは…木に囲まれているが奥には住宅街らしき家がたくさん見える、森林と言うより公園の中だ。
「…そう言えば、さっき変な穴に吸い込まれて…ってさっきの穴何よ⁉︎それに私達何でこんなところにいるのよ⁉︎」
「わからないわ、でも一つだけわかるのは私達を吸い込んだあの穴は自然に起こったものじゃないってことよ。これはもしかしたら…」
「またDOATECの仕業なんて言うんじゃないわよね?」
「えぇ、たぶん」
「アイツら…!何処まで私達一族を狂わせれば気が済むのかしら」
かすみが抜け忍になるきっかけ、兄ハヤテが実験対象になり記憶喪失になった原因、あやねの養父が死亡した元凶など今まで散々な目に遭わされたことから今回もまた奴らの仕業と思い怒りを露わにした。
「まぁいいわ、とにかく場所がよくわからないからアンタを殺すのは今はやめてあげる」
「あやね…」
「あっ何度も言うけど見逃したわけじゃないから、アンタそれなりに強いから元の場所に帰るまでの間戦力に使えるし」
「わかってる、よろしくねあやね」
「…あまり馴れ馴れしくしないで」
握手を求めたかすみにそっけなく拒否したあやね。
「それじゃ場所を変えましょ?ここじゃ色々目立つし」
「えぇ…ッ⁉︎待ってあやね、静かに、何か聞こえる…」
移動を開始しようとしたが誰かの声に気づいた。公園なので人がいるのは当たり前だと思うが、噴水前に誰かいるみたいだ。気配を消して様子を窺うと高校生くらいの男女がいた、どうやらデート中らしい。
『あぁ楽しかったぁ!今日はありがとうねイッセー君!』
『俺の方こそ楽しかったよ!俺からもお礼を言うよ夕麻ちゃん!』
デートを楽しんだ後らしく二人は楽しく笑い合っていたが、こういう雰囲気が嫌いなあやねは呆れていた。
「あ〜あやだやだ、バッカみたい、見てて恥ずかしくなるわ」
「えっ?そう?素敵じゃない、私密かにこういうの憧れてたの」
逆にかすみは忍故に恋愛が出来ない人生の為頬を染めて見ていた。
『ねぇイッセー君?二人で出かけた記念に私のお願い、聞いてくれる?』
『お、お願いって何かな?』
「ッ///きっとキスするわ!」
「あーはいはい、まったく…」
これからするだろう行為にかすみはさらに緊張しあやねは馬鹿馬鹿しくなり後ろを向いて呆れたが…次の瞬間予想外の言葉が聞こえた。
『死んでくれないかなぁ?』
「「…はっ?」」
予想外の言葉に同時に声を出しあやねも向き直ると、死の告白をした彼女の服が変化し背中から黒い烏に似た翼が生えた!!その翼を見た瞬間!あやねにフラッシュバック現象が起きた!
「…‼︎あ、あの翼…!」
『私こそ、深山の女天狗…‼︎』
かつて現れた邪悪な天狗万骨坊に操られ、そう名乗らされた忌々しい記憶が甦った。
「チッ!嫌なことを思い出させるんじゃないわよ…‼︎」
頭を振って忘れようとしていると、変身した彼女は手に光る槍らしき物を出すと彼に突き刺そうと振り上げた!
「大変!助けないと!行くよあやね!…あやね?どうしたの?」
助けに行こうとあやねに呼びかけたがあやねは動こうとはしなかった。
「助ける?何言ってるのかすみ?私達は忍よ?関係のないことに首を突っ込むべきでは無いわ」
「そ、それはそうだけど今はそんな…あぁ⁉︎」
しかしそうこうしていている内に彼は殺されてしまった!
「あら、運が無かったわね、でもまぁそれも彼の運命ってことで。さ、もう行くわよかすみ?」
ほぼ見捨てたも同然だが、こうなってしまったらもうどうにもならないのでかすみに呼びかけたが、かすみは殺された彼を見つめたままだった、その表情は助けられなかったことを後悔している想いでいっぱいの様子だ。
「早くしなさいよかすみ?もう死んじゃったんだからどうにもできないじゃない、ほらかすみ?」
再度呼びかけても変わらず見つめて後悔しているので、その様子にあやねは溜め息を吐いた。
「はぁ〜…わかったわよ!まったくアンタは忍らしく無いわねぇ!でも死んじゃったからあの天狗女にお仕置きするだけね?」
「あやねちゃん!」
「ちゃん付けしないでよ。でも私がやるわ、あの翼を見てると殺意が芽生えてくるから」
目つきを鋭くすると腰の後ろから取っ手の先に菖蒲の花が付いたクナイを出し、天狗女に狙いを定めると勢いよく投擲した!
一方、彼氏を殺害した天狗女…堕天使レイナーレは自身が殺した彼氏の兵藤一誠を見て冷徹な笑みを浮かべた。
「フゥ、何とかターゲットの危険因子の始末に成功っと。うふふ♪ほんと人間の男ってバカよねぇ?私がちょっと優しく声をかけただけであっさり落ちちゃうんだからねぇ!まぁおかげで楽に済んだしね」
一誠のちょろさに嘲笑うと去り際に一応礼を告げた。
「素敵な思い出を…アリガト♪じゃあね」
用が済みレイナーレは飛び立とうと翼を広げたが…
ドスッ!!
「ッ⁉︎痛った!?な、何!?」
突然翼に激痛が走った!何事かと見ると翼に黒い刃物らしき物が突き刺さっていた!取っ手の先に菖蒲の花が付いた可愛らしいデザインだが、それは忍者が使う投げナイフ、クナイに見えた。
「ク、クナイ⁉︎何よこれ⁉︎何処から!」
クナイが飛んできたことに驚いたが、それよりも自身に攻撃したことに怒り出した。
「クナイなんて時代遅れな物でこの私を攻撃するなんて!誰だか知らないけど許さない!私はいずれ至高の堕天使に…ん?」
シュウゥゥゥゥ…
まるで導火線に点火したような音が聞こえる、見ると取っ手に付いた菖蒲の花がプロペラのように回転してる。
「な、何よこの音?それにこの匂い…火薬⁉︎」
火薬の匂いに気づき慌ててクナイを抜こうとしたが抜けない!刃に返しが付いているのだ!
「くそっ!ふざけんなこの…クナイ!痛!」
出血しながら必死にクナイを抜こうとするも抜けず、そうしてる間に回っていた菖蒲の花が止まった。
「…えっ?ウソでしょ…」
次の瞬間!クナイが爆発した!
「アアアアアァァァァァ!??!イヤアアアアアァァァァァ!!!!」
レイナーレの片翼とクナイを握っていた指数本が吹き飛び激しく血が吹き出しレイナーレの絶叫が響き渡った!!
レイナーレへの仕置きは充分と判断し笑みを浮かべたあやねは旋風を発生させその場から去り、かすみも続いたが去り際に一誠に謝罪した。
「…助けられなくてごめんなさい」
桜吹雪が舞いかすみも姿を消した。
片翼と指を失い絶叫するレイナーレの元にレイナーレと同じ黒い翼が生えた男と女二人が現れ負傷したレイナーレに駆け寄った!
「レイナーレ様!!」
「大丈夫ですか!?」
「酷い怪我っす!ちくしょう!一体誰がこんなことを⁉︎」
それぞれレイナーレの安否を心配する中レイナーレは震えながら立ち上がった。
「レイナーレ様⁉︎まだ立ち上がっては…」
「…せぇ…‼︎」
「えっ?」
顔を上げたレイナーレは先程までの美しい顔では無くなりまるで般若が宿ったようだった!
「探せえええぇぇぇ!!!私をこんな目に遭わせた奴をおおおおぉぉぉっ!!!!絶対に見つけ出せえええええぇぇぇっ!!!!」
その乗り移ったような叫びに他の堕天使達はビクついていたが、叫び倒したレイナーレは糸が切れたように意識を失ってしまってしまい堕天使達は慌てて支えた。
「レイナーレ様⁉︎しっかり!わかりました!必ず見つけ出します!ですが今は退きましょう!いつまでもこの場にいるのは危険です!」
堕天使の女二人がレイナーレを支えると堕天使の男は周りに魔法陣を展開し公園から転移して行った。
かすみとあやね、レイナーレ達堕天使が立ち去って数分後、残された一誠の側に紅い魔法陣が現れ、腰下まである紅い髪の美女と膝下まである黒いポニーテールの美女が現れた。
「この子が私を呼んだ張本人みたいね」
「そうみたいですわね、でももう死んでますわね」
紅髪の美女は倒れている少年を見たが、それよりも気になった物があった、それは…明らかにこの少年の物ではない血溜まりだ。
「この血は…この子の血ではありませんわ」
血を見たポニーテール美女の発言に紅髪の美女は顎に手を当てた。
「つまり、ここで堕天使と何者かが争ったってことね、ん?これは?」
「リアス?どうしましたの?」
紅髪の美女リアスは血溜まりの側に落ちていた一枚の花びらを見つけ拾い上げた。
「花びら…ですわね、見たところ菖蒲の花です」
「朱乃、この花の開花時期はわかる?」
「菖蒲の花は確か…5月から6月辺りだと思いますわ。開花時期はもう少し先ですわ」
ポニーテールの美女朱乃から開花時期を聞いたリアスは頷いた。
「ありがとう、つまりこの花びらの持ち主が堕天使と戦った人物というわけね」
手掛かりを見つけたリアスは花びらを小瓶に入れた。
それから噴水広場の周りを調べ、最後に自分を呼び出した一誠の前に来た。
「せっかく呼び出してくれたのに残念ね、もう少し早ければ…あら?そう…あなた、面白いわ」
一誠から感じた力にリアスは笑みを浮かべしゃがむと一誠の頬を撫でた。
「私のために戦いなさい」
◯●◯
同時刻、かすみとあやねが飛ばされてきた公園とは別のこの場所に一人の少女が同じく飛ばされてきていた。かすみが着ていた装束を赤くしたようなかなり露出の高い服に腰の後ろから赤と白の二本の帯を尻尾のように長く垂らした茶髪のポニーテールの女性である。
「えっ?ちょっとちょっと⁉︎なになになに〜!?ここ何処!?」
彼女の名前は不知火舞。かすみとあやねと同じく異世界の忍であり二人とは更に異なる異世界からの住人である。
「突然景色が研究所みたいな所に変わったと思ったらNiCOとか言う偉そうな女の子に戦闘データを取らせてくれっていきなり勝負挑まれて、終わったら返してくれるって言ってたのに…これって一体どういうことよ!?」
かなりテンパりながら自分の経緯を叫ぶ舞!
「こうしちゃいられないわ!早く帰らないとアンディが心配しちゃうわ!待っててね!私の愛しのアンディ!!」
目にハートと炎を灯した舞は飛び上がり素早く姿を消した。
◯●◯
その日の夜、辺りもすっかり日が落ちたこの街に隼の里から飛ばされてきた紅葉も彷徨っていた。
「ここは、一体…?」
警戒しながら歩いていたが住宅街なのでそこまで危険性は感じなかったが、自身の服装と薙刀で怪しまれそうなので気配を消して移動していた。しばらく歩き続けこの街の神社と思われる所に着いた。紅葉は薙刀を構えて誰もいないことを確認すると神社の御堂の前に行き合掌した。
「どうか今晩だけの宿を恵んでください」
御堂の中に入った紅葉は薙刀と弓を床に置くと横になったが、移動し続けたこともありすぐに眠りに落ちてしまった。
「…あら?」
するとそこへ神社の家主と思われる紅葉と同じ黒髪ポニーテールの女性が帰って来て、眠っている紅葉を見て驚いた。
レイナーレファンの方すみません!次回はドーナシークが…