ハイスクールD×doa   作:プラサミット

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久しぶりに投稿。あやね役でもあった山崎和佳奈さん…ご冥福をお祈りします。


妖艶の黒猫

◇駒王町 廃教会

 

町の外れにあるかつて使われていたであろう教会、しかし今は十字架は折れ教会自体朽ちかけている。その地下にある隠し部屋の一室に片翼の堕天使の女性…レイナーレはいた。あやねの不意打ちによって片翼と指数本を失いその手と翼には痛々しく包帯が巻かれていたが、レイナーレの表情は凄まじい憎悪に満ちていた。もうすぐ至高の存在になれるという時にこのような仕打ちを受け、さらに我々堕天使を攻撃という侮辱行為をしたのだ!絶対に許さない!誇り高き堕天使の自身をこんな目に遭わせた奴はこの手で殺さなければ気が済まない!

 

「あぁ…翼と指が疼くわ…!見てなさい…!お前の手足を引きちぎって…たっぷり痛ぶって槍で心臓を…!ウフフ…!フフフフフ‼︎」

 

「レイナーレ様…」

 

同じ室内にいた堕天使の女性カラワーナは変わり果てた主の様子に心配しながら恐怖した。

 

「それにしても遅いわね…まだ見つからないの?」

 

「もう少しお待ちをレイナーレ様!現在ドーナシークとミッテルトがターゲットを捜索しておりますので!」

 

「チッ、いつまで待たせる気よ?ああ‼︎もう待てないわ、カラワーナ?アナタも探しに行きなさい?見つからなかったら…わかるわよね?」

 

「ッ⁉︎わ、わかりました!直ちに行って参ります!!」

 

今は正体がわからないターゲット…あやねを探しに行ったドーナシークとミッテルトの報告を待っていたが、痺れを切らしたレイナーレに命令されカラワーナは冷や汗を流して探しに行こうとしたがその時、部屋の外から慌ただしい足音が近づいてくると勢いよく扉が開いた!

 

「レ、レレレレレイナーレ様!!き、緊急事態っす!!」

 

「遅いぞミッテルト!何をやっていた⁉︎レイナーレ様は待ち兼ねたぞ!」

 

「そんなことより大変なんす!?」

 

「だから何がだ!それとドーナシークはどうした?」

 

酷く狼狽したミッテルトだけ帰ってきたが一緒に行ったはずのドーナシークがいなかったので聞くとミッテルトの言葉に耳を疑った。

 

「ド、ドーナシークのおっさんは…やられたっす!」

 

「何!?バカな!ドーナシークが⁉︎」

 

信じられなかった、ドーナシークは自分達部下三人の中では一番強い!その奴が返り討ちにあったとでも言うのか⁉︎

 

「フフフ…!」

 

その時ミッテルトの報告を聞いたレイナーレは不気味に笑い出した!その笑みにカラワーナは背筋が凍った。

 

「そう…ドーナシークがやられたのね……面白いわ。ところでミッテルト?アナタどうして手ぶらなのかしら?私の命令覚えてる?」

 

「もちろんっすよレイナーレ様!取り敢えず報告します。ターゲットを見つけました、レイナーレ様を傷つけドーナシークのおっさんを殺したのは、人間の二人組の忍者の女っす、特徴は一人は紫のショートヘアの気が強そうな女でもう一人は茶髪のポニーテールの優しそうな女っす。ウチ今からもう一度出て今度こそ始末して…」

 

その瞬間ミッテルトの言葉は途切れた。気づいた時にはミッテルトはレイナーレが投げた光の槍によって翼を貫かれ壁に縫い止められていた!

 

「ミッテルト!」

 

「アアアアア!?レ、レイナーレ様⁉︎何を⁉︎」

 

レイナーレの行為に信じられない表情で見るとレイナーレは心底冷めた表情で告げた。

 

「もう一度聞くわよミッテルト?私は何て命令したかしら?私はターゲットを生かしてここに連れて来いと言ったわよね?」

 

「で、ですからこれからもう一度…」

 

「ドーナシークを簡単に返り討ちにする相手をアナタにどうにか出来るの?」

 

「そ、それは…」

 

「どうせアナタのことだからドーナシークが殺されたのを見て敵前逃亡したってとこでしょう?何が今度こそ始末よ?アナタの考えてることなんてお見通しだわ」

 

「そ、そんなことは!…ッ⁉︎」

 

図星を突かれなんとか弁解しようしたが、レイナーレは切先が大型の光の槍を形成した。

 

「もういいわ言い訳は。まったく…使えないわねアナタ?もうアナタに用は無いわ」

 

「えっ…?ま、待ってくださいレイナーレ様!ウチ、ちゃんとやりますから!今度こそ必ずやり遂げますから!!」

 

「まぁ一応報告ありがとう、じゃあね」

 

冷酷な笑みと共に投げられた槍によって室内からミッテルトの断末魔の叫びが響き渡った。

ミッテルトを始末したレイナーレは返り血を払っていたが、ミッテルトの処刑を見て震えていたカラワーナに告げた。

 

「アナタもこうなりたくなかったらしっかりやりなさいよ?さ、行くわよ?」

 

「ッ!は、はい!………ミッテルト…くっ」

 

地下室を後にするレイナーレにカラワーナも顔を伏せて続いたが追加報告した。

 

「あっ…レイナーレ様!例のシスターですが、後数日で日本に到着するそうです」

 

「…そう、わかったわ」

 

 

◯●◯

 

イッセーを助けドーナシークを始末したかすみとあやねの忍姉妹は夜を越せる寝床を探して駒王町の夜の町を彷徨っていた。

 

「あの子、大丈夫かしら?」

 

「大丈夫でしょ?それに去り際に見た物…あれは魔法陣だったわ、つまりあの男の子は人間じゃ無かったってことよ。人外なんだったら人外同士に任せれば大丈夫よ」

 

イッセーの側に現れた魔法陣を見たあやねはイッセーが人間では無いと理解し以前見捨てた時の致命傷も回復した道理も納得した。応急処置を施したかすみもイッセーが助かることを祈った。

 

「それよりも早く休めそうな所を探さないと」

 

「私は別に何処でも寝られるけど…」

 

「まぁアンタ抜け忍だしね、流石に私は野宿は嫌ね」

 

抜け忍生活をしているかすみは何処でも寝られる為気にしなかったが、あやねはやや潔癖なところがあり野宿は断った。

 

「せめて誰も住んで無い空き家でもあればいいけど」

 

「そうね……ん?あっ、猫」

 

「ハァ?猫?そんなの今はどうでもいいじゃない」

 

住宅の塀の下の暗がりの所に黒猫が一匹伏せていた。寝床ではなく猫を見つけたかすみにあやねは呆れたが、猫を見たかすみは違和感を感じ見た、よく見るとその猫は身体中傷だらけであった。

 

「待ってあやね、この猫ちゃん怪我してるわ」

 

「えっ?あら本当だわ、喧嘩でもしたのかしら?」

 

「喧嘩にしては酷過ぎない?」

 

その猫は擦り傷の他に切り傷や裂傷などもあった、やはり喧嘩で出来た怪我の範囲を超えている、まさか虐待された?そう思って猫に近づくとかすみに気づいた猫は激しく唸りながら威嚇してきた。

 

「フゥゥゥゥ〜‼︎フシャアァァァァ〜!!」

 

「ほら怒ってるわよ?やめといた方がいいわよかすみ?」

 

「フゥゥゥゥ〜!フゥゥゥゥ〜!!」

 

「怖がらないで、大丈夫よ?」

 

怖がらせないように声をかけながら猫を抱き上げようとしたかすみの手に猫が噛み付いた!

 

「ッ…」

 

「ちょっとぉ?大丈夫?」

 

猫に噛まれたかすみを反射的にあやねは心配したが、噛まれたかすみは猫を責めずに優しく声をかけた。

 

「大丈夫…怖がらないで…」

 

「フゥゥゥゥ…ゥゥゥ…」

 

「よしよし…もう大丈夫よ?安心して…ね?」

 

優しく猫を宥めながらそっと頭を撫でた、するとその想いが通じたのか猫は噛んでいたかすみの手から牙を離した。

 

 

side 黒歌

 

私の名前は黒歌。えっ?誰って?傷だらけの黒猫にゃ。実は私、猫の姿をしてるけど本当は悪魔なのにゃ、それもかなりランクが上の、元は猫魈っていう猫又の仲間の妖怪だったんだけど、妹の白音と一緒に悪魔に拾われて転生悪魔になったのにゃ。悪魔になってからはそれなりに楽しく生きてたけど、ある日とある理由で主の悪魔を殺して逃亡しSS級はぐれ悪魔になったにゃ。

はぐれ悪魔になってからは毎日追っ手を退ける日々を送ってるにゃ、さっきも追っ手を撃退したんだけど油断したにゃ、まさか攻撃を弾いたら無数の刃になるなんて!そのおかげで全身傷だらけになっちゃったにゃ、これは流石にすぐに動けそうに無いにゃ、少し休息を…ん?猫の姿になった私にポニーテールの綺麗なお姉さんが近づいてくる、胸元と両足を大きく露出した変わった服装だけど何者かにゃ?っと警戒を怠っちゃダメにゃ!見たところ人間みたいだけど、もしかしたら追っ手かもしれないし。

 

「フゥゥゥゥ〜‼︎フシャアァァァァ〜!!」

 

私は激しく唸りながらお姉さんを威嚇したがお姉さんは構わず近づいてくる。

 

「怖がらないで、大丈夫よ?」

 

お姉さんは私を抱き上げようと手を伸ばしてきた。ッ!触るにゃ‼︎私は咄嗟にお姉さんの手に噛み付いた!悪く思わないでね?誰も信用するわけにはいかないの!これでいなくなってくれればいいけど、お姉さんは若干表情が緩んだだけでそっと優しく私の頭を撫でた、その手は温かく優しかった。

 

「よしよし…もう大丈夫よ?安心して…ね?」

 

その優しい笑顔に私の警戒は和らぎ噛んでいたお姉さんの手を離した。なんだろこのお姉さん?変な人間…

 

side out

 

 

猫の警戒を解いたかすみは膝の上に乗せて全体の傷を見たが酷いものだった、やはりこれは虐待されたと見るべきか?

 

「酷い怪我…こんなになるまでやるなんて飼い主は何を考えてるのかしら?」

 

「ニィ〜…ニィ〜…(痛い…痛いよ…)」

 

飼い主がやったであろう行いに表情を歪ませていると猫が辛そうな声を上げた。

 

「あっ!ごめんね!痛かったね?ちょっと待ってね?今治療するね!」

 

治療を始めようと懐や帯の中などを探ったが出てきたのは包帯だけだった、しかも先程イッセーの応急処置でほとんど使ってしまったので少ししか残って無かった、これだとせいぜい足くらいしか巻けない。

 

「あっ…全然足りない。ねぇあやね?薬や包帯持ってない?」

 

「何よアンタ?何も持ってないのに治療しようとしてたの?呆れるわね」

 

「そんなこと言っても…ほっておけなかったし」

 

「仕方ないわね、ちょっと待って…えーと、私もそんな大した物は…包帯に止血剤でしょ、後は…あっ、これがあったわ、紫電様特製秘伝軟膏‼︎」

 

腰に下げていた小型の巾着袋から取り出した㊙︎印が付いた容器を見てかすみも反応した。

 

「あっ懐かしい!それ昔父様が独自に調合して作った薬よね?小さい頃よく使ったの覚えてるわ。あやねまだ持ってたんだ?」

 

「まぁね、少し匂いが強くて独特だけどかなりの効力があるからね、今でもお世話になってるわ。動物には効くかわからないけどこれ使ってみる?」

 

「そうね、じゃあ使わせてもらうわ」

 

父特製の秘伝薬を使うことにし指で軟膏を掬うと猫に塗ろうとしたが、猫がかなり嫌そうな声を上げた!

 

「ニィィィィ!!にゃああああっ!?!?(く、くっさ!?いやいやいや!!臭い〜!!)」

 

「めちゃくちゃ嫌がってるわね…まぁ気持ちはわからなくは無いけど」

 

「ご、ごめんね!ちょっと我慢して!きっと良くなるから!」

 

嫌がる中軟膏を傷に塗り込んだ、その瞬間猫は絶叫し出した!

 

「にぃにゃあアアアアァァァッ!?ふにゃあアアアアァァァッ!?!?(いぃだだだだだ!?痛い痛い!!何これ⁉︎めちゃくちゃ泌みるぅぅ!!もういっそ殺してぇぇぇっ!!!)」

 

最早どっちが虐待してるのかわからないくらいの叫びを上げる猫…黒歌。完全に騙されたと思っていたが少しすると薬の効果が出て傷の痛みが引いてきた。

 

(あ、あれ?痛みが引いてく…?)

 

「大人しくなったわ、薬が効いてきたみたいね。それじゃ包帯を巻いてあげる、あやね手伝って?」

 

「まったく、人使いが荒いわねぇ」

 

あやねと協力して猫の全身に包帯を巻いた、その間猫はずっと大人しかった。

 

「これでよしっと」

 

「…まるでミイラね。それでかすみ?この子どうするの?」

 

「ひとまず私が保護するわ。治療してもほっとけないし」

 

「あらそう、じゃ頑張ってね?」

 

「それとこれ、あげるわ。お守りよ、アナタの怪我良くなりますように…これでもう大丈夫!」

 

お守りとして首に付けていた白いチョーカーを黒歌の首に付けてあげ、飼い主が見つかるまでかすみが保護することに決めた。そのお人好しな性格にあやねは呆れたが、幼少期に仲良く遊んだ時に里の者達に呪われた出生故に雑に扱われたのに対しかすみはとても優しく接してくれたことを思い出した。

 

「…まったく、アンタはほんとによく出来たお姉ちゃんね」

 

「えっ?何か言ったあやね?」

 

「ッ///な、何でもないわよ!それよりその子の名前とか決めたの?」

 

「名前?そうね、いつまでも猫ちゃんだと可哀想だしね?何がいいかな…うーん、じゃあ色が黒いからクロちゃん!」

 

かすみのネーミングセンスにあやねと黒歌は微妙な表情をしていた。

 

「…そのまんまね、なんだか昔そんな名前の芸人がいなかったかしら?」

 

「えっ?ダメ?呼びやすくていいじゃないクロちゃん?私はいいと思うけど…ねぇ?」

 

「にゃあ…(まぁ…いいけど)」

 

黒歌にも聞いてみたが渋々という感じの反応に見えた。

 

「まぁ好きに呼んだら?私には関係ないし」

 

「ふふ、よろしくねクロちゃん!」

 

「にゃん!ゴロゴロ〜♪」

 

笑顔で黒歌を抱きしめ頭を撫でると嬉しそうに喉を鳴らす黒歌。その様子にあやねはやれやれと思っていたが、その時ある気配を感じ取った。

 

「!…1、2…5人…いえ6人はいるわね。コソコソしてないで出てきたら?さっきからずっと私達を見てるでしょ?」

 

「ほぅ?まさか気づいていたとは」

 

声が聞こえるとかすみ達の周りにヴァンパイア風の貴族服姿の男達が六人現れた!

 

「何よアンタ達?ハロウィンの時期はまだ先よ?イタい奴らね」

 

「ハハハ!これはこれは手厳しい!しかしそれは貴女方も似たようなものでは?」

 

「…うるさい」

 

くノ一装束の為、お互い似たようなものだった。

 

「ごきげんよう、夜分遅くに失礼しますお嬢さん方、私達はとある貴族の者だ」

 

一礼しながら男は丁寧口調で答えるが何処かキザったらしい感じだ。

 

「あらそう、それで?何の用かしら?」

 

「実は我々ある猫を探していましてね、知りませんか?」

 

「ある猫?」

 

「ええ、私のペットでしてね、ずっと探しているのですよ」

 

猫と言われあやねは黒歌を見たが、黒歌はかすみの腕の中に隠れて震えていた。それを見てあやねは納得した、やはりこの猫は普通では無いと。するとかすみが抱いた猫に気づいた男は近づいた。

 

「おお!我が愛しき愛猫よ!探しましたよ!さあ!私達と一緒にお家に帰りましょう!」

 

オーバーアクションで歓喜する男に対し黒歌はかすみの腕と胸の間に入り震えていたが明らかに怯えている、その様子にかすみは男に問う。

 

「貴方、本当にこの子の飼い主?」

 

「ええ、いかにも」

 

「嘘‼︎じゃあ何でこんなに傷だらけなの⁉︎こんなに怯えて…この子に一体何をしたの!?」

 

「あぁ、少々躾けをね?躾けは飼い主の義務でしょう?勘違いしないでほしいが決して虐待などでは…」

 

躾けと聞きかすみの中で何かがキレた。

 

「躾け…ですって?そんな言葉では済ませない!これが貴方が言う躾けだと言うのならこれは犯罪よ!虐待じゃなければ何⁉︎貴方この子を何だと思っているの!?どうせ飼い主というのも嘘なんでしょ⁉︎貴方達にこの子は渡さないわ!!」

 

「かすみ…」

 

「にゃあ…(お姉ちゃん…)」

 

かすみの言葉にあやねと黒歌は心を打たれたが、説教された男は大きく溜め息を吐くと舌打ちした。

 

「チッ、やれやれ、偉そうに説教たれやがって…大人しく渡せば死なずに済んだのによぉ?」

 

丁寧口調からがらりと口調が変わる男、魔法陣を展開すると剣を出し肩に担いだ。

 

「ようやく本性を現したわね、そういうことよかすみ?遠慮なんかいらないわ、コイツらを片付けてその子を護るわよ!」

 

「うん!この子は私が護る!!」

 

あやねは両足に刺した小太刀を抜き、かすみも黒歌を庇いながら腰の後ろから兄ハヤテの小太刀を抜いた!部下達とあやねは戦闘を開始し、かすみにはさっきまで丁寧口調だったリーダー格の男が来た。

 

「へへ、バカな女だ、俺達に勝てると思ってるのか?最後の情けだ、大人しくソイツを渡せば見逃してやる、どうだ?」

 

「何度言われても答えは同じよ!この子は渡さない!さぁ!かかって…ズキッ!…くっ!」

 

その時さっき黒歌に噛まれた傷が痛み出し刀を落としてしまった!こんな時に!

 

「ハッ!偉そうなこと言ってるくせにまともに武器すら握れねぇじゃねぇか!死ねぇぇ!!」

 

まともに戦えないかすみに男は容赦なく剣を振り下ろした!

 

「かすみ‼︎」

 

「にゃあぁぁぁぁっ!!(お姉ちゃん!危ないにゃあぁ!!)」

 

かすみが斬られそうになり黒歌は助けようと重傷の体で動こうとしたが…

 

「花蝶扇!」

 

「ぐっ⁉︎だ、誰だ!?」

 

そこへ一枚の白い扇子が飛んでくると男の顔面に直撃し男は怯んだ。かすみとあやねも扇子が飛んできた方向を見ると茶髪のポニーテールに赤い忍装束を着た女性が現れた。

 

「うふふ、正義の味方只今参上ってね♪ハァ〜イ☆また会ったわねかすみ!危なかったわね?」

 

現れたのは、以前元の世界で出会い日本一のくノ一を決めようと手合わせをしその後意気投合した不知火忍術の継承者である不知火舞であった!

 

「ま、舞さん⁉︎どうしてここに!?」

 

「私もアナタ達と同じよ、見知らぬ世界に迷い込んで彷徨っていたところをこの場に遭遇したってことよ。アナタがあやね?かすみから聞いた通り可愛いわね、よろしくね!」

 

「あ、あらそう、かすみから何て聞いたか知らないけど、あまり馴れ馴れしくしないでよね、まぁよろしくね」

 

驚くかすみとぶっきらぼうに返すあやねに舞も笑顔になったが、蚊帳の外になっていた男はぶつけられた舞の扇子を握り潰した。

 

「勝手に盛り上がってるとこ悪いが俺達を忘れてもらっちゃ困るぜ!見たとこお前もソイツらの仲間みたいだな?ついでに始末してやるぜ!」

 

男達は再びそれぞれ武器を構え戦闘態勢を取った!あやねもかすみを庇いながら構えたが、二人の前に舞が立った。

 

「ここは私に任せて、コイツらの相手は私がするわ。かすみ?その子を護ると決めたのなら最後までやり遂げなさい!」

 

「舞さん…わかったわ!」

 

「いいわ、ここは譲ってあげる。不知火忍術のお手並み拝見ね」

 

腕の中の黒歌を見ると優しく頭を撫で頷いた。あやねも舞に任せるとかすみの手の治療を始めた。

 

「うふふ…こんなに素敵なお兄さん達を私一人で相手にするなんて、アンディが見たら嫉妬しちゃうかしらねぇ♪さぁ、かかってらっしゃい?お姉さんがたっぷり遊んであげる♡」

 

胸元から新しい扇子を出し、色っぽく腰の後ろの帯を回して扇子で手招きした。

 

「ッッッ!な、舐めやがってぇ…!お前らぁ!この女をぶっ殺せぇ!!ついでに犯せぇ!!」

 

『おお!!オラァァァッ!!』

 

「ハッ!一つ!二つ!三つ!いよっ!風車崩し‼︎」

 

「うおっ!?くっそぉ!」

 

三人連続で受け流しリーダーを足で掴んで投げ飛ばした!

 

「くっ!怯むな!全員で飛びかかれ!」

 

『ハッ!!』

 

今度はリーダーを含め全員で武器を振り下ろした!舞も扇子を口に咥えると印を結んだ!

 

「陽炎の舞‼︎」

 

舞の足元から激しく炎が舞い上がり部下達を呑み込んだ!これにより三人が塵となり消滅した。

 

「何!?バカな‼︎」

 

「龍炎舞‼︎」

 

驚いている間に腰の後ろから伸びる2本の長帯に炎を纏わせた舞で残りの部下も倒した。舞の予想外の戦闘力と部下の全滅にリーダーの男は唖然としていた。

 

「これでアナタで最後ね?さ、いらっしゃい?」

 

「く、くっそぉ…くそがあぁぁぁぁっ!!!」

 

追い詰められた男は剣を振りかぶると叫んで突っ込んできたが、舞は再び印を結ぶと全身に炎を纏わせた!

 

「超必殺…忍蜂ィィィ!!」

 

側転から強烈な肘打ちを繰り出し、炎と肘打ちによって男の剣は破壊され、そのまま肘打ちを男の鳩尾に当て吹き飛ばした!

 

「ぐふっ!?うわぁぁぁぁぁっ!?!?」

 

男はそのまま家の塀に叩きつけられもたれ掛かるとぐったりして動かなくなった。男の前に舞とかすみの治療が終わったあやねが来ると男に問いかけた。

 

「勝負あったわね?どうする?まだやる?」

 

その問いに男は怪しく笑い出した。

 

「何笑ってるのよアンタ?気持ち悪いわね」

 

「へへへへ…!やっちまったなお前ら?これでお前らはもう終わりだ!」

 

「終わり?どういうことかしら?」

 

男は立ち上がると翼を出して飛び上がって笑い出した!

 

「すぐに俺に手を出したことは上に知れ渡る!覚悟するんだなぁ!!ハハハハハ!!」

 

勝ち誇ったように笑う男に対し舞とあやねは全く焦っていなかった。

 

「せいぜい残りの人生を大事にするんだな!ハハハ!あばよ!次に会う時がお前らの最後…」

 

カッ!!!

 

捨て台詞を吐いて男は背を向けて去り始めたが、次の瞬間男は爆発し消滅した!

 

「まぁ、もう会うことも無いけどね」

 

手を叩いてあやねは鼻で笑った、あやねが爆破クナイを投げたのだ。

 

「美味しいとこ持って行ったわねあやね?」

 

「最後くらいいいでしょ?ほとんどアナタが倒したんだし。それと不知火忍術、大したものね?」

 

「あらありがとう、アナタも面白いクナイ持ってるわね?後で見せて」

 

互いに褒め合い舞とあやねは手の甲をコツンと付け、男達の撃退(始末)を済ませたかすみ達三人はようやく休憩に入ったのだった。

 

◯●◯

 

 

ひと騒動の後、舞は三人で使えそうな拠点を探しに行き、黒歌を護り切ったかすみは安心すると今までの抜け忍生活の疲れも溜まっていたこともあり、黒歌を抱いたまま眠りに着いてしまった。黒歌も少しの間眠っていたがかすみが完全に眠りに落ちた頃起こさないように腕から抜け出た。かすみから抜け出すと黒歌は魔法陣を展開し潜り抜けると姿を黒猫から黒い着物を着崩した美女の姿に変えた!月夜に照らされたその姿はまさに妖艶の美女だ。

 

「お姉ちゃん…ごめんね」

 

命懸けで護ってくれたかすみに残念そうに黒歌は謝罪した。

 

「行くの?」

 

「ッ⁉︎」

 

後ろから声をかけられ振り向くと見張りをしていたあやねがいた。

 

「アンタ、やっぱりただの猫じゃなかったのね?アンタもさっきの奴らと同族?」

 

「うん、私も同じ悪魔にゃ。私はSS級はぐれ悪魔…つまり指名手配犯、私と一緒にいると貴女達も危険にゃ、さっきだって私のせいでお姉ちゃんも危なかったし」

 

申し訳なさそうに眠っているかすみを見つめる黒歌、その様子にあやねは頭を掻いて告げた。

 

「そう、まぁアンタがそう思ってるんなら好きにすれば?でも行く前にかすみにお礼くらい言いなさいよ?アンタのことを命懸けで護ったのはかすみなんだから」

 

呆気ないくらいはっきり言うあやねに言われ、黒歌はかすみを起さずに礼と謝罪を伝えた。

 

「お姉ちゃん、護ってくれてありがとう。でも私は一緒にいられないの、許してにゃ…また何処かで会えるのを楽しみにしてるにゃ、それじゃ…さよなら」

 

かすみに別れを告げた黒歌はあやねにもお礼を言うと静かに去って行った。黒歌が去ったのを見届けるとちょうどかすみが目を覚ました。

 

「…う…う…ん…あれ?あやね?どうしたの?…ん?あれ?クロちゃん?何処⁉︎クロちゃん!?あやね!クロちゃん知らない⁉︎」

 

一緒に寝ていたはずの黒歌が腕の中から消えていたので慌ててあやねに聞くと、あやねは夜空を見上げた。

 

「さぁね?猫は気まぐれな生き物よ、また何処かで会えるんじゃないの?」

 

「クロちゃん…」

 

いなくなった黒歌を心配しつつかすみも夜空を見上げた、また会えると信じて。

それからしばらくして拠点探しに行っていた舞が戻ってきて、かすみ達三人は移動を開始した。

 

 

 




次回もお楽しみに。
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