異世界転移ニッポン「…あれ?これ帰れるんじゃね?」   作:(休止中)サン少佐

2 / 10
   第一章 ― 4年後…
1.1 ― 現代異世界における"冒険者ギルド"


 異世界転移から4年後…。

当初こそ混乱の渦中にあった日本だったが、現在はこの異世界に適応しつつある。

 数ヶ月前には地域協力機構である〈ヴァルツゥルム協定〉に準加盟国として参加し、列強国の一角として振る舞えるまでに昇格していた。

 彼等の目には日本の〈防衛力〉が〈軍事力〉と映った様で、日本は…"ちょっとした大国"と見なされていたのだ。

 

 

 …東京都は赤坂の料亭にて。

鈴虫の声が涼しげに鳴り響く中、二人の政府高官が盃を交わす。

「まさか国連に相当する国際機関が存在しないなど…いやはや盲点だった。」

「ヴァルツゥルム協定は加盟国内の戦争を抑止する事も含まれているが…国際的なものでは無いからな。それに我が国(ニッポン)は協定準加盟国で、加盟国にある様な"相互独立保障"が無いから、非構成国が攻め込んできても文句は言えん。国際機関の重要性を再認識させられたよ。」

「防衛省の重要性もな?」

彼等は笑い声を上げた。既に酒が入っているらしい。

 談笑を交わす二人の名は、防衛省政務官の"岩倉(イワクラ)"と、外務省政務官の"逢田(アイダ)"である。

「ネット小説みたいだよな、日本が異世界転移とか。」

逢田が言うと、岩倉は何かを思い出した様に「あ、…ほんの少し話は変わるがな、」と話を始めた。

「ネット小説で思い出したんだが、例の…〈冒険者ギルド〉で何か変な話は無いか?

須田防衛大臣(須田先生)は消極的でな…」

 

 この世界における〈冒険者ギルド〉とは、設立初期こそ〈冒険者〉と呼ばれる職業の情報交換会であったのだが、冒険者と言う職業が廃れると…"情報交換のみを目的とした〈結社〉"と化していた。政府関係者が多いと言う特性上、陰謀論が憑いて回ると言う代償があるものの、世界情勢を知る上で重要な場であり、日本国政府関係者にも構成員が存在している。

 

 …言わばフリーメイソンである。

 

 「…ああ、一つあるな。福岡の集会所に居た〈王国〉の貿易関係者から聞いた話だが、〈共和国〉北部に居た〈フェレンツ〉と呼ばれる諸氏族群が、突如として二人の王によって統一されたらしい。」

 フェレンツの諸氏族は内紛が絶えず闘争に明け暮れていたが、以前より強大な工業力と人的資源が脅威と見なされていた。…しかし、その闘争的なフェレンツ諸氏族が内紛を辞め、団結したのだ。

 ならば、その闘争欲の捌け口は…?

「フェレンツ諸氏族の団結は共和国の北伐が原因らしい。共通の敵を持って同盟でも組んだんだろう。…問題は、そのフェレンツが共和国に侵入し始めている事だ。」

「…共和国が?共和国はヴァルツゥルム協定加盟国だよな?…我が国(ニッポン)も只事じゃあ―――」

"只事では済まない"、そう岩倉が言おうとすると、逢田は「考えすぎだよ岩倉、パッと出の新興国が列強に敵うと?」と言った。

「まあ…フェレンツが強かろうが、"触らぬ神に祟り無し"だ。」

 

 

 

 "触らぬ神に祟り無し"。

 

()()()()()()()()()()()()()別の話だが。

 

 第一章 ― 4年後…

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。