異世界転移ニッポン「…あれ?これ帰れるんじゃね?」   作:(休止中)サン少佐

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1.2 ― 共和国地方行政官の苦悩

 共和国北部国境地帯に位置する"フェレンツ属州"は、幾度となく越境を繰り返す"フェレンツ諸氏族"に悩まされて来た。しかしながら、近頃は諸氏族による侵入も減少しつつある。

 そんな中、同・属州の行政官"アルベール"は、共和国〈元老院〉からの召還命令を受け取った。

「…中央への帰還を…これほど嫌に思った事は無いな。」

通常ならば喜ぶべき事だろうが、アルベールの顔にはハッキリとした"不快"が見える。

片田舎の属州…それも異民族による侵入が絶えない戦場から、華々しい中央に帰還出来るのに。

如何(どう)思う。」

 

 「十中八九、死刑でしょうな。」

 

 …半年ほど前。国王が主導した"平和的外交"や"貴族への課税"などの改革に反対した元老院は、遂に民衆を従え挙兵。革命によって国王は幽閉された。

…しかしながら、近頃は元老院で急進主義者(ラディカリスト)の勢力が多数となりつつあり、"旧体制を根本から変革すべし"と貴族の大粛清に取り掛かったのだ。

「…閣下。もう一つ、重要な知らせが…。」

アルベールは顔を引きつらせながら、「…良い知らせか?」と聞いた。

「何とも言えません。…フェレンツの事です、こちらの衛星写真を御覧ください。」

 彼はそう言って、封筒から数枚の写真を取り出す。

一枚目の写真は、森林地帯に佇む遺跡(の様なもの)が写っており、もう一枚には巨大な工場が写っている。

「…これは一体?」

「我が国の偵察衛星が撮影した衛星写真です。

…問題は、二枚とも同じ地点で撮影されている事でしょうか。3()()()()()()()()()()()()、それが3週間で巨大な工場に変貌したのです。」

アルベールは耳を疑った。その理由は言うまでも無く"その期間"である。

…3週間で工場を建設した術は皆目検討も付きませんが、

 彼等を駆り立てたのは間違いなく我々です。」

「一体何が起きているのか…説明してくれ。」

 

 

 

 

「〈ド=ブリュメール将軍の北伐〉以来、フェレンツ諸氏族による侵入は著しく減少しておりました。我々は之を〈北伐〉の成果とばかり考えておりましたが…。」

 数年前。共和国の将軍〈ド=ブリュメール子爵〉は、度々不法越境を繰り返すフェレンツ諸氏族に〈共和国の断固たる決意〉を見せるべく、諸氏族の住む北フェレンツ地方の征服事業を開始した。

…しかし実際の所、〈"戦争"と"拡大"〉を訴える元老院に〈自らを処刑すべきでない理由〉を証明する、そう言う理由もあったのだが…。

「それは〈北伐による成果〉と言うよりかは、〈諸氏族の結束〉が(ゆえ)の減少だったのです。」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…注視すべきだな。」

 

 中央での大虐殺に、異民族の侵入。

列強たる〈共和国〉は内憂外患を迎えていた。

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