異世界転移ニッポン「…あれ?これ帰れるんじゃね?」   作:(休止中)サン少佐

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1.3 ― 王国特使の訪日

 ―――半年後。白銀に染まる日本列島。

東京都霞が関…今日(こんにち)の気温は-1.0℃である。

 猛烈な風雪に見舞われた東京だったが、之は転移の影響もあった。

転移後の日本の東に位置する寒帯大陸性気団〈ハイドン高気団〉は、()太平洋側に大雪を、()日本海側に空っ風を齎した。要約すると"()()()()()()()()()()"のだ。

 

 …それはさて置き…先月中旬の事。日本国外務省の駐在〈王国〉代理公使が王国外務省に招致された。目的は〈日本のヴァルツゥルム協定への正式加盟〉についての打診であり、王国が協定に関する詳細情報を提供する為に、"特使"を派遣したい旨も伝達された。

 …なお、招致されたのが特命全権大使では無く代理公使であるのは、〈王国〉側が『上級王陛下(王国の国家元首)に大使を派遣すると言う行為は()()()()である。』と、文化的差異(カルチャーギャップ)と言うべきか、抗議と受け止められる見解について伝達して来た為、日本側が国家元首では無く外務大臣に外交使節団を派遣した事が理由である。

 一種の君主崇拝なのか…"皇族や王族に外国人を近づけるのは無礼"と言うのが、こちらの世界では"常識"らしい。

 

 

 

 そして今日。日本国外務省庁舎に王国外務省のシュナイデル特使が現れた。

『ヴァルツゥルム協定の批准に伴って、準加盟国の恩恵である〈自由貿易に関するヴァルツゥルム協定〉*1は引き続き参加出来、新たに〈相互独立保障に関するヴァルツゥルム協定〉への参加が自動的に行われます。もし貴国が何らかの勢力による侵攻を受けたならば、加盟国は参戦の義務を負う事となります。…当然ながら、()()()()()()()()。』

 "高野"外務大臣に対するシュナイデル特使による説明は、外務省の逢田政務官による通訳を通して行われた。

言語の翻訳には2年の歳月を要したが…少なくとも身振り手振りで会話する時代は終ったのだ。

『―――上級王陛下は、日本国(貴国)のヴァルツゥルム協定正式参加を望んでおられます。

この共栄によって、我々はさらなる高みを目指す事が出来るでしょう。』

そこまで聞いて、高野外相は、「…シュナイデル殿、一つ聞きたい事があるのですが。…何故(なぜ)我が国を推薦されたのでしょうか?」と聞いた。

 日本以外にも準加盟国は存在する。

…その殆どは加盟国の属国や保護国であるが、幾つかは加盟国に相応しい様な大国(日本からの視点であるが。)も在る。何か思惑があるのでは…と考えざるを得なかった。

 するとシュナイデル特使は、一瞬だが顔を引きつらせる。

『上級王陛下には高次な考えがあらせられる。…それとも、陛下の招待を無碍にするおつもりで?』

「…!いえ、決してその様な事は御座いません。」

…異世界の価値観は未だ掴めない。何が無礼に当たるのか、何が礼儀なのか…。

 

 

 

 数週間後、ヴァルツゥルム協定の参加は"諸外国との関係改善"や"大国との独立保障"など大きな利点があるとして閣議決定された。

*1
(加盟国の間においてあらゆる関税が免除される。)

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