異世界転移ニッポン「…あれ?これ帰れるんじゃね?」 作:(休止中)サン少佐
惨憺たる大戦争において現れた"
地を焼き天を焦がす熱線こそ、現実世界における"核兵器"。いわゆる"抑止力"に相当するものであった。
だが、魔力兵器と言うものは〈構造が難解〉で〈製造過程が複雑〉かつ〈非常に高価〉な兵器であり、小国が持ち得る兵器では無い。以前よりその工業力を脅威とされたフェレンツであっても、列強諸国はフェレンツ諸氏族の魔力兵器所有と言う可能性を考慮しなかったのだ。
フェレンツ諸氏族による魔力兵器使用から1週間。
〈皇国連邦〉の首都 "ポドラス"の
"
この宣言によって、皇国連邦を始めとするヴァルツゥルム協定加盟国はフェレンツ諸氏族に対する大規模派兵を実施する事になる…筈であったのだが。
…膺懲作戦において、日本国は"各国への支援"に留まったのである。
王国外務省のシュナイデル氏は、「各国が軍隊を派遣する事で、フェレンツ地方とリール地方の平和はなされると私は思う。従って日本国はヴァルツゥルム協定を遵守し、戦闘地域への部隊派遣を行うべき。」と発言し、
皇国連邦・皇帝官房広報局は、「日本が狂信的な
それに対して日本国外務省は、「日本国はあらゆる"協力"を行う用意があり、我が国はヴァルツゥルム協定を遵守していると認識している。」として、戦闘地域への自衛隊員海外派遣を拒否。あくまでも非戦闘地域への派遣のみを行う事を表明している。
この時、日本の政権支持率は過去最低にまで落ち込んでいた。
ヴァルツゥルム協定への正式加盟と言う"早すぎる行動"に対して、国民からの猛烈な非難があったのだ。それ故に戦地への自衛隊派遣と言う事は避けたかったのだが、国際社会からの非難を受け、"何もしない"と言う事だけは出来なかったのだ。
異世界転移から5年半。
日本国は新たに公布された時限立法である〈リール及びフェレンツ地域における復興支援及び平和回復活動支援活動の実施に関する特別措置法〉に基づき、〈リール復興支援隊〉として、異世界初の自衛隊海外派遣を行う事となる…。
共和国北部の荒野にて。
焦げ堕ちた建造物は、流れる空気と共に、鳴子の如き音を鳴らしている。
この都市は少し前、魔力兵器の熱線に晒されたのである。
「教科書の…ヒロシマみてぇだ…」
日本国陸上自衛隊の自衛官、"鳴門"一等陸士は、乾ききった風を頬に感じながら、眼前の廃墟群を眺めていた。
完璧な
"膺懲作戦"が宣言されてから一ヶ月。日本国自衛隊"リール復興支援隊"は、フェレンツが最初に魔力兵器を使用した都市、"フレイス=ヴァーヴ市"に到着した。
フェレンツ諸氏族との戦闘が続く国境地帯とは違い、フレイス=ヴァーヴは後方に位置している。…復興支援活動を始めるには最適の地であった。
「鳴門陸士!鳴門一等陸士は居るか?!」
すると、鳴門は上官に呼び出された。
「医師団に現地語を話せる者が欲しい。簡単な自己紹介は出来るらしいが、心もとないらしい。ついて行ってやれ。」
「了解。」
日本の異世界転移から5年、既に異世界言語を習得した者が少なからずおり、彼もそのうちの一人である。
そして医師の方も、異世界の種族に関する知識を"ある程度"持つ希少な人材で構成されていた。
…
『出来れば帰ってくれれば有難いんだがね。外人。…まあ人手が足りんのだから暫くは居て欲しいが。』
鳴門一等陸士は、防衛医科大学の医者と看護師
「…鳴門さん、彼は何と?」
防衛医科大学校の"石川"医師が、先程の共和国人について尋ねて来た。
「"来てくれてありがとう"と。…彼は言っています。」
少なくとも、嘘は言っていない。
次の次ぐらいに自衛隊の戦闘シーンが入ります