異世界転移ニッポン「…あれ?これ帰れるんじゃね?」 作:(休止中)サン少佐
…それから一ヶ月後。
鳴門一等陸士は、リール復興支援隊の隊本部が位置するフレイス=ヴァーヴ市の北西に位置する大都市〈アルジョント=ヴァル〉の〈アルジョント=ヴァル総合病院〉に居た。
然しながら、鳴門一等陸士はこの状況に適応しつつあった。最初こそ衝撃を受けたものの、多忙な復興作業の中で、何時しか置かれた状況を受け入れてしまったのである。
ある日、総合病院に8人の皇国連邦軍兵士が担ぎ込まれた。
2名は到着するまでに事切れており、4名は重症。唯一話を聞けたのは2名であった。
通訳はリール語を話せる皇国連邦軍兵士と、同じくリール語を話せる陸上自衛隊員の鳴門が努め、鳴門の上官も同じく話を聞いた。
『そちらにリール語話者が居て良かった。
私はヴィビツキ皇国連邦ヴラニツキ=
〈第Ⅱ装甲擲弾兵"カモ・トシク記念"師団〉輜重隊*1第4分隊所属、"ヤン・ノヴァク"伍長だ。』
『私は日本国陸上自衛隊の"
二人は自己紹介を済ませると、ノヴァク伍長は『…で、何があったかなんだが…。』と会話を切り出した。
…
…この1時間前。潮香漂う街道を輜重部隊が進んでいる。
2両の軽装甲車と10両の貨物自動車。それらは現在進行形で、北部の戦闘地域に向っている。
サル=ジェズ村北部に位置する沼地へと差し掛かった時の事である。
梯隊は微高地の未舗装道路を進んでおり、若干の土埃を立てている。
前線より遥か後方。敵の姿が見えるなど有り得ぬ事だった。
「…ん?」
その時、貨物自動車の車長が林間から覗く装甲車両を発見する。
「2号車から梯隊長。前方に装甲車を視認。
なお当該車両にあっては―――」
次の瞬間、轟音と共に、2号車の無線は切れた。
『
『輜重隊
梯隊の装輪装甲車が機関砲でもって反撃し、敵戦車は跳弾で煌めいた。
それは花火が炸裂するのに少し似ている。傍から見ればなんと美しきことか、然しながら、彼らにとっては生死を掛けた反撃なのである。
『一号車…大破!』
『奥にもう一両居るぞ!』
『2時の方向!敵戦車更に2両!』
『梯隊長より全体!
退れ!退れ!退れ!』
北部の大都市〈アルジョント=ヴァル〉を出発して数時間。皇国連邦の輜重部隊は、サル=ジェズ
そして今。
『…その敵戦車小隊は…何処へ?』
輜重隊第4分隊の生存者は僅か8名。
『……暫くこちらを追ってきたが、サル=ジェズ村の南の交差点で撒いた。
だが…まだ追いかけて南進してるかも分からん。』
サル=ジェズ村はアルジョント=ヴァルから北に約50km程の距離にある。
輜重部隊が敵戦車小隊に襲撃されたのは1時間前の事であり、当該部隊の所在は不明であった。
…隣で聞いていた芦田陸士長は、鳴門から通訳された詳細を聞き「…不味いな。」と呟いた。
何故なら、自衛隊リール復興支援隊は「非戦闘地域でのみ活動する」と決められていたからである。
然しながら、フェレンツ人戦車小隊の侵入によって、アルジョント=ヴァルは"戦闘地域"だと言っても過言では無くなってしまったのである。
…
フェレンツ人戦車小隊の侵入に際し、アルジョント=ヴァル分遣隊本部はリール復興支援隊本部に対応を求めたが、何故か返答は無く、戦車小隊の脅威が刻一刻と近づく中、現地警察から共和国政府への通報を済ませた上で、分遣隊本部は"アルジョント=ヴァル市周辺の主要道路において道路上警戒任務を実行する事を独断した。
…日本国自衛隊の異世界での初戦闘は、この独断の僅か40分後に発生する。
「1-3からCP、道路上警戒準備完了、オクレ。」
『CP了解、オワリ。』