装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS 作:ふみー999
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「な、何をやっているんだあいつらは!?」
翼が響に対して切っ先を向ける姿をモニターで見ていた弦十郎が叫ぶ。そんな弦十郎の隣で了子は呑気に微笑みを浮かべている。
「青春真っ盛りって感じね~て、あらら深?」
そんな了子の脇を深がわき目も振らずに駆け抜けエレベーターで地上へと上がっていく。
そんな姿に弦十郎はため息をついた。
「行かせてやれ、誰かがあのバカ者どもを止めなきゃいかんだろうよ」
とはいえ深一人ではシンフォギア装者二人を止めるには危険すぎる。そう考え、続いてエレベーターに乗り込もうとする弦十郎の前に流生が立った。
「司令官が発令所から離れないでくださいよ。俺が行きます。」
弦十郎は2課の司令官、今ここを離れるのは現場を放棄するに等しい。流生の主張は正しかった。しかし、
「流生、だがお前も」
弦十郎には不安があった。流生もまた翼と同じように奏を失った悲しみを負っている。ミイラ取捕りがミイラになったら深や響が危ない。そんな弦十郎の考えを察したのか自嘲気味に流生は笑った。
「お嬢よりは冷静ですよ。それに俺には、姐さんに託されてあの二人を助けた責任がある。」
流生は弦十郎の目を見据え言い放った。それが奏にできるせめてもの償いであると眼が語っていた。その眼を見て弦十郎は決断する。
「分かった。お前に一任する。」
「御意」
一礼を入れ流生もエレベーターで地上へと上がっていった。そんな様子もやれやれと呑気に見ていた了子は再度モニターに目を向ける。
「こっちも青春しているな~でも確かに気になる子よね」
剣を向けられ、響が困惑している。思えばこの子が来てから色々な事が起き始めている。
眼鏡の奥の瞳が品定めするかのように怪しく光る。不敵な笑みを了子は浮かべた。
「放っておけないタイプかも」
そして、誰に聞かせるでもないつぶやきをこぼしたのだった。
「戦うって、そういう意味じゃありません!私は翼さんと力を合わせて」
剣を向けられた響は必死に翼を説得する。戦いたいと言ったのは共闘であって対戦ではない。
「分かっているわそんなこと」
しかし、翼はそんな説得を一刀両断する。響はますます分からなくなった。こちらの意図が理解できているのならばそもそも戦う理由などないはず。
「だったらどうして」
「私が貴女と戦いたいからよ」
「え?」
響の問いに翼は淀みなく答える。まるで、振るわれる刃が止まることなく対象を切り裂くかのように。
「私は貴方を受け入れられない。力を合わせ、貴女と共に戦うことなど風鳴翼が許せるはずがない。」
怒りを込め剣の角度を変える。凛とした金属音がまるで警告するかのように鳴った。
「貴女もアームドギアを構えなさい。それは常在戦場の意志の体現。貴女が何者をも貫き通す無双の一振り。ガングニールのシンフォギアを纏うのであれば、胸の覚悟を構えてごらんなさい!」
「か、覚悟とかそんな…私、アームドギアなんてわかりません。分かってないのに構えろなんてそれこそ全然わかりません!」
怯えを見せながら響は必死に翼を説得する。状況が飲み込めないままそのことを伝えると翼はため息をついて背中を見せる。戦意を無くしてくれたのかと響は少し安堵した。しかし、
「覚悟を持たずに、のこのこと遊び半分で戦場に立つ貴女が奏の……奏の何を受け継いでいるというの!」
振り返った翼の瞳に滲んでいたのはより一層の強い怒り。翼はその場から空へと飛びあがる。空中で手にした剣を響に向け放り投げると剣は翼の身の丈の2倍の大きさを超える大剣へと姿を変化させた。
翼はブースターで加速をつけた蹴りを剣の柄に入れ、自分ごと響に向かって突貫する。空気をつんざく風音と共に巨大な剣が響に迫る。
その時、怯えて動けないでいる響をかばうように人影が響の前に現れた。
「響ちゃん!翼さんやめてくれ!!」
「し、深君!?だめッ!」
現れた人影が深であることに気づき、響は思わず叫んでしまう。深は両手を広げ、響をかばうように大剣の前に身をさらしている。シンフォギアを纏わない生身の人間が翼の攻撃を受けてしまえばどうなってしまうかなど明白だ。
「ッ!?どきなさい槙野!」
翼も深が割り込んできたことに気が付き叫ぶ。しかし、もうすでに勢いがついてしまった大剣を翼自身も止めることはできなかった。響は深を守るために手を伸ばす。
「深、立花さん、死にたくなかったらそこ一歩も動くなよ。」
すると、深とは別の男の声が響には聞こえた。その声がする方に目をやるとそこには薙刀を構えた流生が二人と翼の間に立っていた。
流生もまた、深同様生身のままである。しかし、飛んでくる大剣を前にしてどこまでも落ち着いた様子を見せている。夜明け前の空のように静かな立ち振る舞いだった。
「栖(せい)ッ!!」
掛け声とともに流生が薙刀を振るい、落下してくる天ノ逆鱗の切っ先へと重ねるようにぶつけ合わせた。
金属同士がすれる音、激しく散る火花、押しつぶされる流生の体。
響が想像したそれら一切は現実にならなかった。薙刀に触れた天ノ逆鱗はまるで最初からそうなるように翼がコントロールしていたのではないかと思うくらい、静かに、流れるように、さもすれば生きているかのようにして薙刀の振るわれた軌跡に沿って響たち三人の上を通過し、はるか後方の道路を破壊して霧散した。そして、インフラを破壊してしまったのだろう、地下から水が噴き出し周囲に雨のように降り注ぎ始めた。
空中を見ると、大剣を吹き飛ばされバランスを崩した翼が落下してきている。
流生はすぐさまに動くと、落下する翼を両の手でしっかりと受け止めた。端的に言うならばお姫様抱っこをしている。
しかし、甘い空気などなく、流生は泣く子を諭すような口調で静かに変身を解除した翼に語り掛ける。
「これは駄目だ。お嬢がこの二人を傷つけたら姐さんは……天羽奏は何のために命を懸けたって言うんですか。」
「……」
語りかけられた翼は流生と目を合わせず何も語りはしない。流生にはその頬に雨とは違う別のものが流れていることが分かった。
抱えられた状態から降ろされると翼はふらふらと響たちに背を向けて歩き出す。
「お嬢!……っ」
涙を隠す必要はない。悲しみを表して構わない。一人で苦しまないでくれ。そんな言葉を流生は翼に伝えたかった。しかし、口にすることはできなかった。
奏の言葉が脳内にフラッシュバックする。俺には慰めの言葉をかける資格がない。俺は、彼女を一人戦場に送り戦わせているのだから。何も、してやれていないのだから。
そんな葛藤を流生がしていることに気が付いたのか、翼は振り返らずに空を見て涙声で語る。気を付けて聞かなければ落ちる水の音にかき消されそうな声だった。
「心配は不要よ。風鳴翼はその身を剣と鍛えた剣士。だから…」
だから、慰めなくていい。剣にそのように振舞う必要はないと翼は告げる。
流生は薙刀を握る自分の手に力がこもるのを感じた。怒りを感じた。それは誰に向けたものなのかは流生には分からなかった。そのためか思わず言葉が漏れてしまう。
「……それでもあんたは、剣である前にただ歌うことが好きな女の子じゃないか。」
「甘やかさないで!防人の勤めは私が、私にしかできないことよ!」
流生がこぼした言葉を聞いた翼が振り返り叫ぶ。雨の中の涙が離れたところにいても流生には分かるくらい翼はもう堪えることが出来ない様子だった。
失言だったと流生は目を見開き激しく後悔した。にらみつけてくる翼から目をそらすことも出来ない。
「……失礼、しました。」
絞り出すように流生が言うと翼はもう一度振り返って立ち去ろうとした。少し遅れて流生もその後に続く。
「翼さん……」
そんな二人の様子を見ていた響は翼に言葉を伝えるために駆けだす。
「私自分がダメダメなのは分かっています。だからこれから一生懸命頑張って、奏さんの代わりになってみせます!」
もう今は一人ではない。失われた奏の代わりにいずれ自分が翼と一緒に戦う。だから心配しないでほしい。
響は純粋な気持ちで無邪気にそう伝える。それを聞いた翼は息を飲み立ち止まった。激情のままに勢いよく振り返ると響に平手打ちをしようとして、その手を空中で止めざるを得なかった。
「流生さんッ!!」
振り返った翼が見たのは駆け寄ってきた響、それを再びかばうように両手を広げ立つ深に流生が薙刀の切っ先を向けている後ろ姿だった。
刃を向けられた響は怯えと驚きが顔に滲んでいる。深も必死に恐れを堪えていた。響と深は見た。無言で刃を構える流生の瞳に本気で切り殺してくるのではないかというくらいの殺気が浮かんでいるのを。
「……勝手なことをぬかすな」
しばらく深をにらんだ後、静かにそれだけ言うと流生は刃を下ろす。そして行き場を無くして宙に浮かんだままになっている翼の手を取ると引っ張るようにしてその場から立ち去って行った。
二人が行ったのが分かると響は力が抜けその場にへたり込んだ。深も大きく息を吐き安堵する。
「大丈夫かい、響ちゃん」
響を案じて深が響の肩に手を置きながら顔を覗き込む。響は深の顔を見るとつぶやいた。
「翼さん、泣いていた。それに、流生さんも泣きそうな顔だった。」
殺意に混じって悲憤が流生の顔には浮かんでいた。冷たく降るこの水しぶきは流生が流す涙なのかもしれない。そんな風に響は感じたのだった。
この一件の後もノイズは多数出没し、その排撃のために翼と響は出撃することになる。しかし、二人の距離が近づくことはなかった。
一人でノイズを殲滅する翼と逃げ回る響。
そんな嚙み合わない二人の状況は変わらず、一か月が経過した。
未来と響の部屋、机に座り向かい合った二人はそれぞれの作業に取り組んでいる。正確には響の方は船を漕いでおり手書きのレポートにはミミズが這ったような線が引かれていた。
「響、寝たら間に合わないよ。そのレポートさえ提出すれば追試免除なんだからさ」
見かねた未来が呼びかけるとはっと響は目を覚ます。しかし、すぐに机に突っ伏してしまう。
「だから、寝ちゃダメなんだって」
「寝てないよ、起きてるよちょっと目をつぶっているだけ……」
「最近なんか疲れているみたいだけど」
「へいき……へっちゃら」
「へっちゃらじゃないよ。流れ星、一緒に見に行くんでしょ?頑張らないと終わらないよ」
「うん……分かってる…」
寝ぼけたまま答えてくる響に未来はやれやれとため息をつく。ここ最近の響は明らかに様子がおかしい。用事があるとかで突然出かけたり、夜遅くまで帰ってこなかったりしている。最初は再会した深と会っているのだろうとも考えた。しかし、返ってくるときの響はいつも疲れた様子を見せている。デートをしてきているとは思えなかった。
「いったい何をやってるんだか」
頬杖をついて響を見ていると玄関のチャイムが鳴った。お客さんが来るのも珍しいなと思いながら未来は誰が来たのか確認するためインターフォンのスイッチを入れる。
「はい、どちら様ですか?」
「あ、すみません。立花響さんに用事があって来ました。槙野と言います。」
槙野?どこかで聞いたことがあるような名字と声だなと未来は首をかしげていると突如机の方からガタンッという大きな音が響いた。
未来がそちらの方を見ると先ほどまで虫の息になって完全入眠秒読みだった響がものすごい勢いで散らかったお菓子の袋や衣服を回収し、換気のために窓を開け、コロコロを使ってカーペットの掃除を始めていた。この間わずか10秒である。その動きを見て未来は来客が深だと理解した。
(なんか、海外の人の動画でこんなのあったなぁ……)
「……えっとあの…聞こえますか?」
「え?あ、はい。今開けますね」
恋する乙女の力はすごいなと引き笑いをして現実逃避していると深はこちらが押し黙ったことを心配して呼びかけてきた。それに意識が現実に戻った未来は返事をし、マンションのオートロックを解除する。
「なんでっ!?深君なんでっ!!?」
混乱した様子で着ていた寝間着を脱ぎ制服姿に着替えている響だった。
「響が呼んだんじゃないの?」
「私だったらこんな状態になってないよ!!」
それもそうかと未来は納得する。とりあえず座布団を出しておこう、響の慌てぶりに逆に冷静になった未来はそう思って押し入れから座布団を取り出した。
その間響は右手にドライヤー、左手に櫛、右足に歯ブラシ、左足にコップと体をフルに使って身だしなみを整えている。正直この姿は深に見せてはいけないなと未来は思った。しかし現実は非情かな、響が蛸のような姿になっている時に部屋の扉がノックされる。
「!?……!!……!!!」
歯ブラシを口にくわえたまま響が未来に訴える。とりあえず時間を稼げと言っているのだろう。はいはい、とあきれた様子で未来は頷き玄関に出向く。
「はい、今開けます」
扉を開くとそこには深ともう一人見知らぬ青年が立っていた。黎明の空を思わせる青黎い髪と目をした深と同年代くらいの青年は未来が出てくると無言で頭を下げて挨拶する。
未来もつられて頭を下げた。
「未来ちゃん、だよね?」
頭を上げると朗らかな笑みを浮かべた深がいた。
「深さん、お久しぶりです。その件はお世話になりました。」
「いや、あの時はたいしたことはしていないよ。あ、これお土産です。」
「あ、シャルモンのケーキ。わざわざありがとうございます。」
「とりあえず立ち話もなんだからお邪魔してもいい?」
「……はっ!」
「えっ?」
深からなかなか買えない洋菓子店のケーキを受け取り上機嫌になっていた未来だったがはっと思い出した。部屋の中には名状しがたきものになっている親友がいることを。
「いや、あの今はちょっとまずいと言うか。ちょっと待ってもらえると助かるかな?」
慌てて二人を玄関前に留めようと未来がしどろもどろに話し引き留める。親友の名誉のためにも何としてでもここで食い止めなければ。しかし、
ドガシャゴガーン!!
部屋の中からとんでもない音が鳴り響いてきた。
(何をしているのよ響は!?)
「失礼ッ」
「え?あ、ちょっと!」
驚いた未来が振り返っていると青黎い青年は靴を脱ぎ部屋の中に進んでいく。そしてリビングの前の扉で立ち止まり、スパイ映画のように壁に体をつける。
ドアノブに手を置き勢いよく開けると体を滑らせて中に入り込んだ。
「…………は?」
しかし、飛び込んだ後に出た言葉は何とも気の抜けた声だった。続いて未来もリビングに入った。そこには掃除機のコードに絡まって縛られたようになっている響の何とも無残な姿があった。深からはちょうど二人が邪魔になり死角で見えなかった。
「流生さん、響ちゃんに何かあったんですか?」
「お邪魔しました。」
そして、数秒の沈黙の後、流生は静かにリビングの扉を閉めて深を廊下に押し出し玄関に戻っていく。
「深、そういえばケーキに合う紅茶を買ってきていなかったな。時間もあるし今から行こうそうしよう。」
流生は矢継ぎ早にそういうと靴を履いて外に出ようとする。その際未来を見る目が何かドン引きしているように見えた。
「誤解です!!少なくとも私は無関係です!!!」
あんなアブノーマルな趣味が自分にあると思われてはたまったものではない。未来は流生がどういうことを考えているのか瞬時に察し、親友を切り捨てる判断をしたのだった。
「……!?‥‥‥‥!!!」
リビングからは切り捨てられたことを察知した響が助けを求めて何やら騒いでいる。
「えっと、とりあえず響ちゃんが何か訴えているけど、行った方がいいのかな」
「「貴方/お前だけは絶対にダメ!!」」
「えぇ……?」
見事にシンクロした二人に気圧されて深は訝しそうにしながら流生と一緒に買い物に出かけるのだった。
長くなったのでひとまずここで区切ります。前後半の温度差…
数話前で忙しくなるため投稿遅くなると言っていましたが、ここまでは何とかなってきました。ここから来月の15日あたりまでもしかしたら遅くなるかもです。
楽しみに待っていてくれる方には申し訳ありません。
頑張ります!
感想お待ちしております!