装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS   作:ふみー999

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どうもふみー999です!
ギアマニアのクリスイベントも近いですね!私はマリアイベントが来たら本気を出す!!(´;ω;`)

投稿頻度が落ちていますが年末に向けて頑張っていきたいお年頃

それではどうぞ!


第12話 Gesause:剣防る止まり木

翼のつぶやきを聞いた流生は現場に向けてバイクを走らせていた。現場までは約7分、誰もいない無人の幹線道路を一人夜の闇を切り裂いて進む。

「……ようやく、事態が動いたってことか。なんてめぐり合わせだ」

2年前に失われた聖遺物ネフェシュタンの鎧を纏った人物の登場に、流生は静かに吐き捨てるようにそうつぶやく。

『流生!何としてでも鎧を確保するんだ!俺たちも現場に急行する!』

通信機から弦十郎の声が鳴る。しかし、流生は返事をしない。弦十郎の声がどこか遠くのことに聞こえていた。後ろに流れていく街路灯の光に失われた人の影が浮かんだ。

「姐さん……」

5年前、初めて会った時の姐さんは、手負いの獣そのものだった。

ノイズの襲撃により壊滅した長野県水上山聖遺物発掘チーム唯一の生き残りであった当時14歳の天羽奏は復讐の炎に身を焼かれていた。拘束されたままに、ノイズを倒させろ、戦う力をよこせと叫んでいた。

「私の家族の仇は、私しか取れねえんだ!私にノイズをぶち殺させろ!」

「それは君が地獄に堕ちることになってもか?」

「やつらを皆殺せるのなら私は望んで地獄に堕ちる!」

おっちゃんの静かな問いかけに迷いの無い目で姐さんはすぐに答えた。そんな姐さんを抱きしめたおっちゃんの背中はひどく悲しげに見えたものだ。

それから、姐さんは宣言通り地獄に堕ちた。血を吐くような訓練と薬物投与による実験の日々を送ることになる。全ては聖遺物第三号ガングニールへの適合するために。

そして———

「よせ!!」

「ここまで来て連れねぇことを言うなよ……パーティー再会と行こうや。了子さん……」

おっちゃんの制止を振り切り自らLiNKERを姐さんは過剰投与する。そしてその影響で血反吐を吐きその場に倒れこんだ。血の海に沈むその表情は獰猛な獣のそれだった。

「……手に入れたぞ。これが、やつらと戦える力。私のシンフォギアだ!」

怯えるお嬢を背中にかばいながらシンフォギアを纏った姐さんを見た時、全身の毛が逆立ったのを覚えている。自ら求め、血反吐にまみれて力を得た少女に俺は畏怖を抱いたのだ。

そしてシンフォギアを身に纏った姐さんとお嬢はノイズとの闘いに身を投じていく。

自分の身の丈を優に超すノイズを薙ぎ払い、千を超えるノイズを切り刻む。

来る日も来る日も、二人はノイズを打ち倒し、人々を救っていった。いつかの日もそうして戦いを終えて姐さんたちは瓦礫に埋もれた自衛官を助けたことがあった。

「大丈夫か?」

「ありがとう」

助けた自衛官に唐突な礼を言われ姐さんは戸惑っていた。

「え?」

「瓦礫に埋まってもずっと歌が聞こえていた。だから諦めなかった。」

同僚に肩を貸され去っていく自衛官を姐さんは静かに見つめていた。

「無事でよかったっすね。あの人」

「え?あ、あぁそうだな……」

俺の呼びかけに生返事をするその横顔はもう復讐に燃える獣ではなく、嬉しさを露わにした少女だった。

思えば、この時から姐さんは変わっていったのだ。

「なぁ、翼、流生。誰かに歌を聞いてもらうってのは、存外気持ちのいいものだな」

明くる日のランニング中、姐さんは唐突に俺たちにそうつぶやいた。お嬢は戸惑いながら答えた。

「どうしたの唐突に?」

「別に?ただ……」

「この先もずっと、翼と一緒に歌を歌っていたいと思ってね」

「あ……へへ……」

汗をぬぐいながら姐さんはお嬢を見つめて笑いかけた。お嬢も照れながら笑顔で答えた。

木漏れ日に照らされた二人の笑顔は眩しく輝いて見えた。俺は二人がこの日、本当の意味で無二の相棒になったのだとはっきりと感じた。お嬢が姐さんと一緒に遠くに行ったのだと、一番そばで見続けてきたから嫌でも分かった。

「……それじゃあ、俺は二人の歌を一番近くで聞き続けますよ。」

「お!いいな。つまり流生が私たち二人のファン一号ってことだ」

胸を刺すように痛む気持ちを落ち着けてから、俺はおどけるように言うと、姐さんは愉快だと言わんばかりに乗ってきた。お嬢も照れながらコクリと頷いていた。

そうして姐さんとお嬢はともに歌うツヴァイウイングになった。

引っ込み思案だったお嬢は姐さんと一緒だと明るくなって前向きになった。それはとてもいいことだった。お嬢には前々からもっと広い世界を見てほしいと思っていたから。だから、お嬢と一緒に羽ばたいてくれた姐さんには感謝している。尊敬ももちろんしている。

ただ——————

思考が過去の記憶の海から現実の夜道に戻ってくる。街灯が波のように繰り返し流生の顔を照らしている。おもむろに左手を流生は前に伸ばした。さっきまでこの光の中に浮かんでいた人の背中を捕まえようとするかのように。

やがて流生は手をハンドルに戻すとアクセルを絞りさらにスピードを加速させる。テールランプの赤い光が尾を引いて流生は暗闇の中に消えていった。

 

 

 

 

「ネフェシュタンの鎧……!?」

「へぇ、てことはあんたこの鎧の出自を知ってんだ?」

挑発的な口調で鎧の少女は翼に問いかける。翼の脳内に2年前の惨劇が蘇り剣を持つ手に力が籠る。

「2年前、私の不始末で奪われたものを忘れるものか…何より、私の不手際で失われた命を忘れるものか!」

顔の横に剣を構え翼は鎧の少女に相対する。一触即発の空気の中にそれぞれの武器が鳴る。奏を失った事件の原因と奏が残したガングニールのシンフォギア。時を経て再びそろって現れるという巡り合わせ。

「……だが、この残酷は私にとって心地いいッ」

啖呵を切り翼が切り結ばんとした刹那横から響が翼を抑えるように抱き着いてきた。

「やめてください翼さん!!相手は人です!同じ人間です!!」

「「戦場で何を馬鹿なことをッ!」」

制止を促す響に苛立ちを込めて怒鳴ると鎧の少女と声が被った。そのことに愉快さを感じた翼は口角を少し上げ少女に言葉を投げる。

「むしろあなたと気が合いそうね」

「だったら仲良くじゃれ合うかい!」

その言葉を皮切りに少女は紫に光る鞭を翼目掛けて投げつける。翼は脇にいる響を突き放すとそのまま空中に飛び上がり大剣による斬撃を飛ばす。

 

「わがよ誰ぞ常ならむ」と 全霊にていざ葬る 迷いを断ち切る術など 覚悟を牙へと変えるしか…知らない

 

蒼ノ一閃

 

しかし、少女はその斬撃に鞭を合わせ難なくと弾き飛ばした。その表情は自信と余裕に満ちていた。ならばと着地と同時に距離を詰め、大剣、足の剣すべてを連携した連続攻撃を繰り出す。

少女は後ろに下がりその攻撃をかわすと次に来る斬撃を鞭で受け止めた。

「!ガッ!?」

翼が驚愕により見せた一瞬の隙をつき翼のみぞうち目掛けて蹴りを入れる。まともに食らった翼は距離を離されてしまう。

「くッこれが完全聖遺物のポテンシャルっ!?」

「ネフェシュタンの力だなんて思わないでくれよな?私のてっぺんはまだまだこんなもんじゃねぇぞ!!」

距離を取った翼目掛けて再度鞭が飛んでくる。翼はそれをかわしながら反撃の機会を狙うが、繰り出される攻撃は一撃一撃が重く、地を削り大木を崩す。隙を見つけることが困難だった。

「翼さん!」

猛攻に苦戦する翼を案じ響は思わず叫んだ。すると少女の方がその声に反応し腰に装着していた杖を構えた。

「お呼びではないんだよ。こいつらでも相手してな」

杖から緑色の光線が放たれると着弾した箇所に首の長いノイズが4体、突如として出現した。

「っ!ノイズが操られている!?」

現れたノイズたちは距離を取ろうとする響を追いかける。そして口から粘着質な液体を吐き出し響を拘束した。

「うっ!そんな……うそ!?」

響が拘束されたことに少女がほくそ笑む。その隙を見逃す翼ではなかった。大剣にしたアームドギアを腰に構え突貫する。

「その子にかまけて、私を忘れたか!」

隙をついた攻撃は鞭によって防がれる。そこから足払いによって少女の体勢を崩すと足のブレードによる連続攻撃を仕掛ける。

「お高くとまるな!」

だが、これも少女は難なく防ぐと逆に攻撃してきた翼の脚を捕まえ思いっきりぶん投げた。

「ぐっ!」

投げ飛ばされ、肺から空気が抜ける。一度地面をバウンドし先回りした少女に頭を踏まれて翼は止まった。

「のぼせ上がるな人気者!誰も彼もがかまってくれるなどと思うんじゃねぇ!この場の主役と勘違いしているなら教えてやる。狙いは端からこいつをかっさらうことだ」

立てた親指を響に向け少女はそう宣言した。突然の指名に響は困惑し声が漏れる。

踏まれたままの翼はにらみつけた。そんな翼を嘲笑するように言葉を投げかける。

「鎧も仲間も、あんたには過ぎてんじゃないのか?」

「……っ、繰り返すものかと私は誓った!」

翼が剣を天に掲げると数多の剣の雨が降り注ぐ。

 

千ノ落涙

 

自分ごと攻撃しまいかねない奇襲に少女は足をどけ回避行動をとる。翼も拘束が解かれた瞬間体勢を立て直し、二人の攻防が再び始まった。

響は拘束されたままその様子を焦りながら見ているしかなかった。だが、そんな響の頭に妙案が浮かぶ。

「そうだ!アームドギア!」

自分も持っていると聞かされた武器を展開しようと拘束された右手に意識を向け出ろと強く念じる。

「奏さんの代わりに成るには、私にもアームドギアが必要なんだ!それさえあれば、出ろ!出てこいアームドギア!!」

しかし、響の右手は何も反応しない。ただ、虚しく空を切るだけだった。

「なんでだよ!どうすればいいのか分かんないよ……」

より一層の焦りを感じていると攻防を繰り返す翼たちの方から大きな金属音が聞こえてきた。向こうを見ると鞭と大剣での鍔迫り合いが繰り広げられている。

「鎧に振り回されているわけではない……この強さは本物!?」

「ここでふんわり考え事とはなぁ!!」

叫びと共に少女の蹴りが翼に繰り出される。翼はバク転をすることで後方へと避けた。しかし、少女の猛攻は終わらず、鞭が、次いで拳がと続く。翼は何とかそれらをいなして対応するが腹への一撃をもらってしまう。

「ちょっせぇっ!!」

重い一撃をもらいひるんだ翼の隙を見逃さず少女は鞭の先端からエネルギー球を翼目掛けて投げつけた。

 

NIRVANA GEDON

 

投げつけられたエネルギー球を翼は大剣で受け止めようとする。

「そら、おまけだ!!」

少女は攻撃を食い止めている翼に目掛けてもう一発の球体を投げつけた。一つですらぎりぎりだったエネルギー球が二倍となり、そのあまりの攻撃力に耐えられず翼は押し切られてしまった。

「翼さんっ!」

球体が爆発し、その爆風により吹き飛ばされた翼を案じて響が叫ぶ。

少女は地に倒れ伏す翼を再びあざ笑う。

「ふん、まるで出来損ない」

出来損ないと呼ばれた翼は何とか立ち上がろうと剣を地面に突き立てるがダメージが大きく立ち上がることすらできずにいた。

「このままじゃ!くっ!!」

このままでは翼が殺されてしまう。そう考えた響は翼を助けようと何とか自分の拘束を解こうとする。それでもやはり拘束はびくともしなかった。

ゆっくりと少女が止めを刺そうと翼に近づく。響が焦っているとヘッドギアにザザッとノイズが鳴った。

『立花さんッ!』

「流生さん!?」

突然名前を叫ばれ驚きながら響は通信の相手が流生であると気が付く。

『あんたを拘束しているノイズは任せるぞ。それとギアを装着していても痛いだろうからな。先に謝っておく、すまない。』

翼が殺されかけている状況で流生の声は怒りを含んでいた。だが、それ以上に冷静で淡々とした声で突然響に謝罪をしてくる。

「え?」

訳が分からず困惑していると林の方からバイクのエンジン音が鳴り響く。そして林の中から突然に流生を乗せたバイクが飛び出し、まっすぐに響に向かっていく。

流生はノイズたちが蔓延るのもお構いなしにスロットルを回し加速する。エンジンがけたたましく唸り、バイクはそのまま響に突撃した。

「きゃあ!?」

バイクが正面激突した衝撃で響は思わず悲鳴をあげる。流生はぶつかった瞬間にシートを蹴り跳躍した。そして、そのまま手に持った薙刀を振るい、響を拘束する粘液に切りつける。するとブチブチと嫌な音を立てて粘液が引き剥がれ響はバイクごと吹き飛ばされた。

「グフッ、流生さん。なんて、無茶な……」

吹き飛ばされ地面に転がるバイクと響。何とか体を起こし、顔を上げる。そこには空を舞う流生の姿があった。

流生は飛び上がった勢いを殺さず、そのまま棒高跳びのように石突を地面にたたきつけより一層高く飛ぶ。その姿が月と重なり、月の光が一瞬鎧の少女の目を濁らせる。

「栖ッ!!」

そして、空中で体をひねり薙刀を上段で構え、落下エネルギーを加えた一撃を少女へとたたきつけた。

「っ!甘ぇ!!」

少女はその大ぶりな一撃を体を横にずらして難なくかわす。そのまま隙だらけの体を鞭で貫こうとした。しかし———

「……お前がな」

「っ!杖が!?」

たたきつけた刹那に流生はブレイクダンスのように体を曲げ、鞭を避けるとあり得ない角度から蹴りを繰り出し、少女が持つ杖を蹴り飛ばした。少女の手を離れた杖が誰もいない少女の間合いの外に突き刺さる。最初から狙いはノイズを生み出す杖だったのだ。

意表を突かれた少女だったがすぐに切り替えて流生へと仕返しとばかりに蹴りを繰り出す。流生はそれを躱し、バク転とバックステップで少女の間合いから抜け出す。そして倒れる翼の前にかばうようにして立ち薙刀を構えた。

「す、すごい……」

『響ちゃん!まずは目の前のノイズを!』

あまりに超絶した戦い方に響は感嘆の声をこぼす。ヘッドギアに深の焦った声が聞こえてくる。そして響は自分の目の前にいるノイズの存在を思い出した。

「あ、うん!は、はやくなんとかしないと!」

いくら流生が強いのだとしても相手は完全聖遺物を纏っている。さっきの翼との攻防からも分かるように生身の流生が一撃でも攻撃が当たったら致命傷になってしまう。

響は急いで目の前のノイズを倒すべく最初の一体へと向かっていった。

その一方で流生と少女は見合ったまま動かない。お互いに出方を計っているのだ。そして流生は背中側にいる翼に問いかける。

「お嬢、動けますか?」

「無論よ……くっ!」

問われた翼は体を起こそうとするが途中で痛みに再び倒れてしまう。それを見た流生は少女から目を離さずに響の様子をうかがう。4体のノイズ相手に響は苦戦しているが、1体をまさに倒したところだった。

(————まだ少しかかるか。立花さんがノイズを倒したら撤退した方がよさそうだな。それまでは……)

状況を冷静に分析し再び少女に意識を集中する。

「お嬢、もう少し休んでいてください。」

「は?てめえはいったい何者だよ?」

倒れたままの翼をねぎらっていると、奇襲を食らった少女が流生に質問を投げかける。目線が一瞬流生とは別の遠くを見る。蹴り飛ばされた杖を回収しようと考えているのだろう。

「栴檀流生、風鳴翼の付き人だ。落とし物を取りたきゃとってもいいぜ?ただし、腕の一本はもらうけどな。」

ハッタリではなくそう宣言する。先ほどの攻防で狙う場所は流生には把握できていた。(体を動かすために脇下などの関節裏の装甲は他よりも弱い。後は装甲がない首が狙いどころか。)

少女もそれがブラフではないと理解したようですぐに取りにはいかなかった。

そして流生が名乗ると品定めするかのような目つきを向ける。

「そうか、あんたが。はん!ギアも持たないただの腰巾着野郎にそんなことができるってのかよ?()()()()()になるんじゃねえのか?」

安い挑発をしてくる少女。そうと分かっていたが、翼を傷つけられたこと、そして足手まといという単語を出され、流生の手に力が籠る。殺気すらにじませた視線を流生は少女に返した。少女もニヒルな笑いでそれに応じる。

「……だったら仕留めてみろ」

「言われるまでもねぇ!」

 二人の間に風が吹き木々が鳴る。そしてその風によって月が雲に隠れ、木の葉が一枚、二人の間に舞い散る。その葉が地面に落ちると同時に流生と少女は同時に動き出すのだった。

 




最後までお付き合いいただきありがとうございました。
流生の戦闘はいくらでも盛っていいと考えています!ようやくオリ主らしい活躍が出来るのか!?次回に乞うご期待!?
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