装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS   作:ふみー999

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どうもふみー999です。
SYMPHOGEAR NIGHT-GEARMANIA-ver.SHIRABEお疲れさまでした!&調ちゃんhappybirthday!
新曲のX-BRAVERSも流れたそうで熱い夜だったんだろうな~イントロの警告音めっちゃ好き
今回も行けなかったけどマリアverが出てきたときは絶対行きたいお年頃……




第16話 Vocalise:大切な人たち

「わぁ~」

ガールズトークに誘われた響は最初こそ困惑していたが、今は目を輝かせて目の前の机に置かれたアルバムを食らいつくように見ていた。

 歓迎の大弾幕が貼られた部屋で了子や弦十郎に絡まれて困惑している深。

 研究室で白衣を着て真剣に実験をしている深。

 二課の炬燵でモチと一緒に溶けて寝ている深。

 流生と一緒に正座させられ弦十郎から説教を受けている深。

笑っている顔、困っている顔、不服そうにしている顔、そこには響の知らない深の姿がたくさん映し出されていた。ありとあらゆるシチュエーションの写真が降りだす交響曲、まさしく深フォニーに頭がくらくらしてときめいている響。了子は温かい飲み物を差し出した。

「気に入ってもらえたかしら?」

「はい!とっても!!特にこのモチちゃんと一緒に炬燵で伸びている写真とかあざといです!!」

「今なら一枚200円よ」

「安いですね!買います!あ、それならこのバーベキューのお肉を口に頬張ってリスみたいになっているやつもください!あとは——」

財布から44000円を出した響に了子は冗談だと告げて写真をそのまま手渡しする。

響は受け取った写真を一枚一枚見ながら顔をほころばせる。にへへへと変な笑いがこみ上げていた。

「私の知らない深君だ~二課に来てから色々な事をしていたんですね~」

「そうね、来たばかりの時は不愛想だったけど。1年以上も一緒にいて、あの子もだんだん二課に馴染んできたわね。特に流生とはなんだかんだ仲がいいわよ。」

「そうなんですね。よかった、ちゃんと楽しそうで……」

写真を見ながらつぶやいた。その声音には優しさと安堵が籠っていた。了子は首をかしげて反応する。

「深君、突然いなくなっちゃたから。ちゃんと食べているのかなとか、元気で過ごせているのかなってずっと心配だったんです。だから写真を見て安心しました。」

「……ほんと、想われているわね~この子も」

了子は自分の飲み物を飲みながら眠る深の様子を覗き込む。深が案じられていることを心から喜んであげている。その顔が響にはとても優しいものに見えた。そして見えたからこそ、響の中でストンと腑に落ちるものがあった。先ほどまでは男女の仲を疑っていたが、了子さんが深に向ける感情は別のものだ。例えるなら——

「……お母さんみたい」

「え?」

思ったことがつい口に出てしまった。了子はその言葉を聞いて響の方を向き直った。その瞳に一瞬強い驚きが浮かび上がっていた。

「や、やだもう響ちゃんったら。私こんな大きな子供がいる年じゃないわよ」

あっけらかんと笑って響の言葉に答える。そのまま了子は立ち上がり入口の方へと歩いて行った。

「さて、私はそろそろ行かなくちゃ。お偉いさんが待ってくれているからね~。そうそう、アルバムは深に片付けさせておいて~」

矢継ぎ早にそう言うと、そのまま扉をくぐって出て行ってしまった。

「怒らせちゃった……のかな?」

そんな様子の了子を見送って響は少し困惑した。確かに妙齢の女性にお母さんのようだと指摘するのはやめておいた方がよかったかもしれない。反省しなくては。

「そうそう~」

自分の言動を振り返っていると扉の端から了子がにゅっと顔だけ出してきていた。その顔を先ほどまでとは打って変わっていたずらを思いついたあくどい笑顔だった。

「深一度寝るとなかなか起きないから。髪、触り心地いいわよ~」

それだけ言い残すとそそくさとその場を後にしたのだった。

「えっと……」

取り残された響はふと我に返って今の状況をおさらいする。

(ここには深君への届け物をしに来たんだった。とりあえず机に置いてメモを貼っておけばいいよね。)

 書類にメモを貼って目的を完了したところで響は意識しないようにしていた顔の熱さととある事実が脳裏にありありと浮かんでしまった。

この場にはまだ見ていないアルバムと寝ている深がいた。今のやり取りを隣でされても深が目覚める様子はない。そしてこの場にはもう誰もいない。

写真と現物。そのふたつが今好きにできる状態で響の前に鎮座されている。言ってしまえば据え膳だ。

(写真を見ていようよ。見たことがない深君を見れれば満足じゃない!)

(フハハハハ、何をいい子ぶっているの。今なら髪だって顔だって触り放題よ!了子さんだってそれを促していたじゃない!こんなチャンスは滅多にないんだから!!)

心の中の天使と悪魔が囁く。

「……どうしようかなぁ」

やたらと心臓の音がうるさくて仕方がない。期待に胸を膨らませて深の方を見る。今からしようとすることの罪悪感がむしろ心地よくすら感じた。頬は赤く染まり、その眼はぎらついていたのだった。

 

 

 

 

深の研究室を出た了子は一人廊下を歩いていた。その表情は硬く先ほどまでとは打って変わって人を寄せ付けないような印象を与えるものだった。

「お母さんか……」

先ほど響に言われたことを小声で反芻する。そしてフッと静かに笑った。それは先ほどまでの人懐っこい笑みではなくどこか自分をあざけているような自虐的なものだった。

「何をしているのかしら……私は……」

流し目に目を細める。その視線は右下を向いていて、何かから目をそらしているようだった。

 

 

 

 

所戻って深の研究室。あの後どうなったのかというと——

「ムフー」

悪魔の誘惑に負けた女が一人いたのだった。ゆっくりと深い寝息を繰り返す深を前に響の理性は敗北を期したのだ。

髪の毛はわしゃわしゃ、頬っぺたもムニムニ、心は満足、体はぴょんぴょん。これぞまさしく深フォニー。響は愉悦の限りを尽くしていた。

指の先から伝わる男の子特融のごわごわした髪の毛の感触はハスキー犬を思わせる。けれども手で梳くと引っ掛かることはなくするりと指の間をすり抜けていく。その下にある頬を指でつついた時の柔らかさは赤子のようだった。指を押し込むとしっとりと指先に吸い付いてくる。

「ムフムフー髪の毛ふさふさ~頬っぺたモチモチだ~」

深は以前、モチと響が似ていると言ったが触り心地の良さはモチとそっくりと言ってよかった。響は夢中になって深の髪の毛や頬を触っていたのだった。

しばらく、べたべたと触っていたが深が目を覚ます様子はなかった。徐々に響からは警戒心がなくなっていっていた。

「……」

だからこそ、髪と頬だけでは満足できなくなったのかもしれない。撫でている内に深の顔のある一部が目に留まった。顔の中心にある薄っすらとした紅色の部分。そこがやけに魅力的に見えた。

 愉悦とは別の高揚が、響の心臓をドクリと響かせる。髪の毛を触っていた左手が頭の輪郭を沿ってゆっくりと目元を伝い、頬へと落ちていく。緊張に震える人差し指が一瞬、触れる前に止まる。3cm、2cmそして残り1cm。ゴクリと自分のつばを飲むことが嫌にはっきりと聞こえた。

「……深、君」

上ずった声で愛しい人の名前を、愛らしく眠る彼の名前をつぶやく。あと少しで指先が唇に触れる——

「ナーウ」

「!?あっ……モ、モチちゃん!?」

その時、深にかけられた毛布の中からモチがひょっこりと顔を出してきた。目は半開きでどうやらまだ寝ぼけている様子だった。ただ、響の顔を認識するとナ~と鳴いた。何してるのエロ娘と言われた気がした。

驚きで余計に高鳴る心臓に手を置いて響は目を閉じてゆっくりと深呼吸をした。

(あ~びっくりした……)

もし了子や流生に見られていたらと思うと羞恥心で胸のガングニールが暴走するところだ。真っ黒に塗りつぶされた恥ずかしさですべてを壊すまで止まれなくなってしまう。

(ともかく、見られたのがモチちゃんでよか……)

「……えっほ、ひびひひゃん?」

深呼吸を終えて目を開けると月明りと目が合った。目を覚ました深はもごもごと言葉を発している。なんでだろうなんて響は冷静に考えた。そしてそれは深の頬に強く押し込まれた響の指が突き刺さり、うまくしゃべれないからだと分かり納得する。

(そっか~私の指が邪魔でしゃべれないんだよね。早くどかさないと、せっかく目が覚めたのに)

体全体がフリーズしたまま、脳内だけがやけに冷静に働く。考えていて『指』という単語がやけに引っ掛かった。はて、なぜだろうと思い、今までの行動を振り返る。了子に唆され、深の髪の毛や頬をいじり倒した。そして、自分の欲に負けて彼の唇に触れようとした。

「————!!?!??」

響は声にならない悲鳴、ともすれば女の子があげてはいけないような絶叫を上げて思いっきり後ずさりをする。そして、機材に足を引っかけて後ろ向きのままバランスを崩してしまう。

「危ない!」

椅子から急いで深が立ち上がり転びそうになっている響の手を取った。そのままもう片方の手を響の腰に当てて支える。さながら円舞曲のピクチャーポーズのような形で二人の動きは止まった。

「怪我はない?」

先ほどまで好き勝手に弄んでいた深の顔が目の前にある。触り心地によい髪も、柔らかな頬も、月明りのような瞳も、そして触れようとした唇さえも。意識すればするほど、響の顔を真っ赤に染まっていった。心臓が痛いくらいうるさくなっている。それでもなんとか、問われたことへの返答をしようとそれでも響は口を動かした。

「う、うんありぎゃとう……」

噛んでしまった。先ほどまでの暴走も含めて、死んでしまいたいほどに恥ずかしかった。

「ところで僕の頬に指さして何してたの?」

「にゃ、にゃんでもない!!虫!虫がいたから!」

藪蛇をつつかれて響は慌てて言い訳をする。深は若干不振がりながらもそれ以上聞くことはしなかった。

何をしているんだか、呆れるようにモチが大きなあくびをするのだった。

そして、ばさりと倒れた時の衝撃で机の上からアルバムが落ち二人の足元に写真が広がった。

深は響を引き起こすと床に落ちた写真と毛布を見て納得がいった様子を見せた。そして、散らばった写真を拾い始める。

「そっか、さては先生だね?変なこと言っていなかったかい?」

深はいたずらがばれた子供のような顔をして響に尋ねる。変なことと言われ、またいたずらのことが頭に浮かんだが振り払った。

「全然、変なことは言っていなかったよ」

「……そっか。もう先生は、防衛大臣に呼び出されていたはずなのに道草して~」

深はため息交じりに了子への小言を言いながら写真を拾う。響も手伝った。少しだけ二人の間に沈黙が流れ、散らばった写真をすべて回収し終えた。

「ここの人たち、お祭りごとが好きだから。何かあるたびに騒いで、盛り上がるんだ。」

深は愛おしむように集めた写真を見つめて話す。口元は自然と上がっている。楽しい記憶を思い出しているのだろうと響には感じられた。

「私の時も歓迎会を開いてくれたよね。ちょっと面喰っちゃったけど」

「そういえばそうだったね」

初めて響が二課に来た時のことを思い出して二人して同じタイミングで笑った。同じ思い出を共有できていることが嬉しかった。

「実際、楽しい人たちだよ、二課の面々は。その明るさに救われた時もあったし。特に先生には、数えきれないほどお世話になったんだ。」

家族を自慢するように深は響に二課の思い出を語る。アルバムに仕舞われた写真一枚一枚からここが彼の居場所なのだと、この二課を、弦十郎や流生、翼、そして了子を心から大切にしているのだとうかがい知ることができた。

「でも先生、小言が多いんだよな……。ちゃんと布団で寝なさいとか。自分だって雑魚寝が多いのに……」

「フフッ」

「ん?なにか可笑しかった?」

「ううん、やっぱり了子さんお母さんみたいだなって」

深の話を聞いていて思わず響は笑ってしまった。見ていた二人のやり取りが、子どもを心配する親と思春期の息子にあまりに似ていたものだから。了子には悪いが素直な感想としてやっぱりその感想が出てきてしまった。

「深君が了子さんたちのこととっても大切に思っているのが伝わってきたよ。」

「……」

深は面食らった顔をしてから流し目に右下を向いて息を吐くように小さく笑った。

「今日はやけに……自分の胸の内に気づかされるな」

そうつぶやいて自傷気味に笑う。響が気になって見ていることに気が付くと、首を掻いて笑った。

「ううん、なんでもない。でも確かにそうかも。僕はみんなのことを大切に思っている。もちろん、響ちゃんも含めてだけどね。」

今度は響の方が思わぬ不意打ちに赤面する。こういうところが卑怯だとジト目を作って見つめることで訴える。

「それよりも響ちゃんはどうしてラボに?」

そんな響の訴えには気が付かずに深は訊ねてきた。人の気も知らないで、とちょっと恨めしくなったりもする。

「弦十郎さんから深君に渡してほしいってそれを持ってきたんだ」

先ほど机に置いた書類を指さした。深はその資料に目を通し始める。

「……っ!」

そして最後らへんまで読んだところで息を飲んだ。目は驚きに見開かれ、わなわなと口が震えている。

「どうしたの?」

何か、よくないことが書かれていたことは明白だった。深の様子に響が心配そうに尋ねる。深はゆっくりと目を閉じて深呼吸をした。自分を落ち着かせようとしている様子だった。

「……例の発信機についての解析結果が出たんだ。どうやら、意図的に壊されたようだね」

「そっか……後を追うことができたらあの子の目的も分かったかもしれないのに」

「……うん、まさか壊されるとは思わなかったから驚いた」

どうやら深は自分の発明が壊されたことにショックを受けているようだと響は感じた。

「でも途中までは後を追えていたんだから。深君がいなかったら手掛かりゼロだったわけで。それってすごいことだよ!」

思わず、慰めるように響は大げさなジェスチャーをしながら声をかける。深はしばらく資料とにらめっこしていたが、また首を掻き一度目を閉じるといつもの優しい笑顔に戻った。

「ありがとう響ちゃん。すごいって面と向かって言われるとちょっと照れるね」

「すごいことはすごいんだよ。私なんてちっとも難しいこと分からないし」

深を褒めつつも、ここに来る前に弦十郎から聞かされたシンフォギアを取り巻く環境について説明された。そのことを思い出し、げんなりとした様子で響は頭を垂れた。

「まあ、外交とか各省庁との連携とかシンフォギアを取り巻く環境はややこしいからね……」

深はどうやら響が何を聞かされてきたのか察したようで、響の思っていることを代弁してくれる。共感してくれたことが嬉しくて響は顔を上げるとまた得意気に深を褒めるのだった。

「本当にそう思うよ~だからそんなややこしい中で頑張っている深君は偉いのです!」

「なんでちょっと響ちゃんが得意気なの?」

胸を張って深の偉さを自慢する響の姿を見て少し困惑する深。すると何かを思いついたかのように深の笑顔が少し変わった。

「ふ~ん、偉いのですか?」

「偉いのです!」

そんな深の様子に気がつかず、響は自信満々に深を褒める。それが面白いのか思わずこらえられなかったように笑った。

「そうですか。じゃあ褒めてもらわないとねぇ~」

「ほえ?」

「頭とか撫でて偉いと言ってもらえないかな~」

響が深の様子に気が付くと、深はからかうように響に頭をなでるように要求してくる。

「……深君、もしかして起きてた?」

何を要求されているのか理解し、そしてそれを要求されるということは自分の言動を知られているからではないかと気が付いてしまった響の顔が羞恥で徐々に赤くなっていく。

「はて、何のことかな?」

明後日のほうを見てはぐらかされてしまった。だが響には深の顔はいたずらが成功したことを喜んでいるように見えた。

「してくれないの?」

固まっている響に畳みかけるように深が頭を差し出してなでるように促してくる。

「か、勝手に触ってごめんなさああああい!」

響はぐるぐると混乱する頭からぽんと湯気を出すと、真っ赤になった顔のままラボから全速力で逃げ出した。

了子に似てちょっと意地悪になったのかもとちょっと涙目になりながら考え二課の廊下を気持ちが落ち着くまで全力疾走するのだった。

「……からかいすぎたかな?というかやっぱり触っていたのか」

そんな逃走する響の背中を目で追いながら深はふうと一息つく。頬を小突いていたから鎌をかけてみたがどうやら予想通りだったようだ。先生といい、響ちゃんといい僕の頭はそんなになで心地がいいのだろうか。そんなことをまじめに思考してしまう。その隣でモチがナ~と鳴いた。罪な男やなぁと言われているような気がした。

「……さて」

響の姿が完全に見えなくなると深は渡された資料を手に取り、思考を切り替えた。その顔にはもう先ほどまでの優しい笑みは消え、思いつめた怒りがにじむ表情になっていた。

 




最後までお付き合いありがとうございました!
自分で書いておいてなんだけど今回ちょっとエロいな?なんでだ……

感想、評価、ツッコミ、お待ちしております~~
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