装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS 作:ふみー999
総UA数七千件突破&第1話UA数千件突破ありがとうございます!!
いや~たくさんの人に見ていただいているようで感無量です!UA数が増えていくともうめっちゃ嬉しいです!この場を借りて読んでくださっている方々にお礼を申し上げます。ありがとうございます!
今後も頑張っていきたいです!
というわけで第18話どうぞ!
機密文書を了子が持ち帰った後、二課の主要メンバーがブリーフィングルームに集めらた。普段指令室にいるメンバーのほかにも多数の構成員を前にして了子は作戦概要の説明を始める。
「私立リディアン音楽院高等科、つまり特異災害対策機動部二課本部を中心に頻発しているノイズ発生の事例から、その狙いは本部最奥区画『アビス』に厳重保管されているサクリストD。デュランダルの強奪目的と政府は結論付けました。」
「デュランダル?」
「EUが経済破綻した際に、不良債権の一部を肩代わりする条件で日本政府が管理保管することになった数少ない完全聖遺物のひとつだよ」
聞きなれない単語に響が首を傾げていると隣に座る深が耳打ちで解説した。すると、そのさらに隣から朔也がいぶかしげに手を挙げて質問する。
「移送するったってどこにですか?ここ以上の防衛システムなんて……」
「永田町最深部の特別電算室、通称『記憶の遺跡』。そこならば、ということだ。どのみち俺たちが木っ端役人である以上御上の威光には逆らえないさ」
弦十郎は苦笑しながら質問に答えた。深はその話を聞きながら顎に親指を置いて考えていた。
(確かに警備という観点から考えれば『アビス』から動かさないことが妥当だ。にもかかわらず移送の命令が下された。昨晩の指令との話から考えても米国政府からの圧力があったんだろうな。)
「予定移送日時は明朝0500。詳細はメモリーチップに記載されています。各自、準備を進めてください。」
深が考えているのをよそにブリーフィングは了子の一言で終わりを告げた。各々が準備のため部屋から出ていく。深と了子も明日の準備のために指令室へと向かった。響も二人に着いていった。
指令室に着くと深はコンソールを操作する。すると正面のメインモニターが点灯する。そこにはカプセルに保管されている、錆びついて剣先が折れた西洋剣にロボットアームが近づいていく様子が映っていた。響が深の横で興味深そうにその映像を眺めている。
「あそこがアビスなんだね」
「そう、東京スカイタワー3本分、地下1800メートルもあるんだ。先生、サクリストDとの接続完了しました。これよりサルベージ作業に入ります。」
「オッケー、深。そのまま引き上げちゃって」
「了解です。あとは僕がしておきますから先生と響ちゃんは休養に入って大丈夫ですよ」
手元のディスプレイから目を離し、深は後ろにいる二人に目を向ける。
「響ちゃんは明日の護衛の要だし、先生も帰ってきてから全然休んでいないでしょう?」
「……そうね、だったらお言葉に甘えちゃおうかしら」
了子は深をじっと見た後、両手を組んで上にあげて体を伸ばしながらそう答えた。
「ほら、響ちゃんも予定時間まで休んでいましょ。あなたのお仕事はそれからよ」
「あ、はい!深君も頑張ろうね!」
響は了子に返事をした後両手を胸の前で握りしめて深を見た。深はその様子に少しだけ肩の力を抜くと響を見てほほ笑んだ。
「うん、僕は本部で管制の予定だから、別行動になると思うけど響ちゃんも気を付けて」
響はうなずき、そのまま了子と一緒に部屋を出ていった。自動ドアが完全に閉まるまで深は微笑みを崩さず手を振って二人を見送る。
そして、二人が完全に立ち去ったのを確認すると顔から表情を消した。そして大きく深呼吸をする。
「……さてと」
再びコンソールに向き合うと移送作業の続きを始める。それから数分して再び部屋の自動ドアが開閉する音が聞こえた。
「お待ちしてました。」
深は振り返ることなく来訪者へ声をかける。先ほどのミーティングの時に二人にだけ伝わるようにメッセージを送っていたのだ。コンソールの操作をやめるとゆっくりと椅子ごと振り返った。
「お二人に具申したい作戦があります。」
部屋の扉の前には弦十郎と流生が立っていた。
「ちょっと、ちゃんと説明してよ!」
リディアンの学生寮、宿泊の荷物を取りに帰った響に未来は心配していることを隠さずに問いただす。
「ああっとええっとつまりですね……もう行かないとッ!」
しかし、響はそんな未来に言葉を濁して誤魔化すしかなかった。そして深く追求される前に部屋を飛び出していった。
「……心配もさせてくれないの?」
そんな響の後姿を見送ることしか未来にはできなかった。
「今回もきっと深さんが関わっている、よね」
スマホを取り出し、以前家に来た時に交換した深の連絡先に『何か知りませんか』とメールを送る。すると返信はすぐに帰ってきた。
『ごめん、言えない。けれど必ず響ちゃんは無事に帰るから』
簡潔な文章だけれども、その一文に深とかかわる何か危険なことに響が巻き込まれていることが記載されていた。
「……貴方は響をどう思っているの?」
スマホを握る手に力がこもった。窓を見れば月が天に昇っている。未来はその月を少しだけにらみつけるのだった。
「未来、怒らせちゃったよね。こんな気持ちじゃ寝られないよ……」
二課地下基地の廊下に備えられた休憩スペースで響は先ほどの未来とのやり取りを思い出して膝を抱えていた。気を紛らわせようと机の上に置かれたスポーツ新聞を手に取って開いてみた。エッチな下着の胸の大きいお姉さんの写真がデカデカと載っていた。
「——ッ!!」
大慌てで新聞を閉じて顔を赤らめながら目をそらす。
「男の人ってこういうのとかスケベ本とか好きだよね……」
深君もそういったのが好きなのではないか。具体的には大きな胸とか。自分の発言を聞いたことで、ふとそんな考えが頭の端っこを通って行った。しばし硬直した後、ちらりともう一度そのページを開いてみようとゆっくりと手と目線を動かす。
「響さん、お疲れ様です。」
「何してんのさ、ヒビの字」
「あひょうん!お、緒川さん。それに師匠!?」
突然声を掛けられて響は素っ頓狂な声を上げながら持っていた新聞紙を畳んでテーブルに叩きつけた。顔を上げるとそこには緒川と流生が立っていた。流生は響が持っていた新聞紙をじっと見つめている。
「いや、師匠これは気の迷いというかなんというか」
「ん?いや、俺が気にしているのはこっちの記事だ」
「え?」
畳まれた新聞紙を指さす流生につられて響ももう一度新聞紙を見た。そこには風鳴翼、過労のため入院と虚偽の情報が載っている。
「こういった情報操作も僕の役目でして」
そう言って緒川は空いている席に腰かけた。流生もその隣に座る。
「お嬢だが、一番危険な状態は脱した。昨日、目を覚ましたところだ。」
「本当ですか!」
「ええ、ですがしばらくは二課の医療施設にて安静が必要です。月末のライブも中止ですね」
流生の言葉に響は安堵を覚えた。続ける緒川に流生は頭に手を置きながら軽い口調で応じる。
「働き詰めだったし、いい休養になるんじゃないですかね」
「まあ、そういった面もあるかもですが。とはいえ、ファンの皆さんにどう謝るか。よかったら響さんも一緒に考えてくれませんか?」
「……あ」
緒川の言葉に響はうつむいてしまう。もとをたどればそもそも翼がケガをした原因は自分の未熟が原因だったのだから。
「自分のせいとかそんなことは考えるなよ。その話はもう無しだ」
流生は頬杖をつきながらジト目を向けた。響が余計な責任を感じないように気遣っているのだと響にも分かった。
「すみません。僕も責めるつもりはありませんでした。僕が伝えたかったのは何事も、たくさんの人間が少しづついろんなところでバックアップしているということです。だから響さんももう少し肩の力を抜いても大丈夫じゃないでしょうか」
緒川の言葉が心強くて響は自分の緊張がほぐれたのを感じた。
「優しいんですね、お二人は」
「怖がりなだけです。本当に優しい人は他にいますよ」
「俺もまあ、一応師匠だからな」
緒川は響から目をそらして自虐的な笑みを浮かべる。流生は飄々とした態度で頬杖を突いたまま目を閉じた。
「少し楽になりました。ありがとうございます。私張り切って休んでおきますね!」
響は立ち上がると二人に頭を下げて休憩所から駆け出して行った。その後ろ姿を見て流生はふと思い出したことがあったと顔をあげた。
「あ、ヒビの字」
呼ばれた響がなんだろうと振り返る。そこにはいたずらを思いついたと言わんばかりに意地悪な顔をした流生がいた。
「あいつ、たぶん胸より尻派だぞ」
「し、師匠!!」
どうやら先ほど新聞紙のセンシティブな一面を見ようとしていたことが筒抜けだったらしい。あいつというのが誰を指す言葉なのか、発言の意味を理解した響は赤面しながら抗議の声をあげた。流生はケラケラと愉快そうに笑うと手を払っていくように促す。
「ははは、そらとっとと休んできな」
う~と少しうなり声をあげた後響は逃げるようにその場を後にしたのだった。
「あまりからかうのはよくないですよ」
弟分が年下の女の子をからかっている様子を横で見ていた緒川はたしなめるべく流生に注意する。
「いや~リアクションが素直で面白いもので」
ついね、とあまり反省していない様子で流生は響が立ち去った廊下を見つめていた。緒川はそんな流生の姿に一体誰に似たのかと軽くため息をついてしまう。だが確かに流生の言う通り、あの少女は素直でまっすぐな性格をしている。それはきっと彼女の良いところなのだと緒川は思った。
「翼さんも、響さんくらい素直になってくれたらな」
「え?何言っているんですか。あのめんどくささもお嬢の魅力でしょうに」
緒川が苦笑交じりに翼について言及すると、先ほどまで愉快そうに笑っていた流生は真顔になり、まっすぐに緒川の目を見てそう言い放った。
「急に惚気ないでください」
「事実を言っただけですよ」
さも当たり前のことのように真顔のままである。流生にとって翼とは全肯定するべき存在なのではと思わずにはいられない緒川なのであった。忠誠か愛慕かはさておき、その盲目的な気持ちをこれ以上指摘するのは藪蛇だと思い、やめておこうと思った緒川はそうですねと苦笑するしかなかった。
そんな緒川の様子に満足したのか、流生も椅子から立ち上がると自室に戻るべく歩きはじめた。だが、数歩歩いたところで立ち止まると何かを思い立ったのか、振り返らずに緒川に聞こえるぎりぎりの声でつぶやいた。
「……慎次兄、もしもの時はお嬢を頼む」
「流生君……先ほど、指令室で指令たちと何を話したんですか?」
流生の言葉に込められた重さを感じ取った緒川は真剣に聞き返す。先ほどまで流生は指令室で何かを話していた。指令と深君、そして流生本人しか知りえない何かを言われたことは明白だった。
しかし、流生は緒川の質問には答えず口元を少し上げると再び歩き出した。
「なんでもない。ま、もしもの話だよ。といっても慎次兄ならお嬢の世話くらいそつなくこなしそうだけどね」
それじゃあと言って流生はひらひらと手を振りながらその場を後にした。緒川はその後姿をただ黙って見送った。
明朝05:00、リディアン音楽院前の駐車場には弦十郎に了子、響、深と複数名のエージェントが集結していた。弦十郎と了子、そして深を前にエージェントと響は横一列に並び作戦前の最後のブリーフィングを行っていた。
「防衛大臣殺害犯を検挙する名目で検問を配備。『記憶の遺跡』まで一気に駆け抜ける」
「名付けて『天下の往来独り占め作戦』♪」
真剣な弦十郎の説明とこの場においても陽気な了子の作戦名発表を緊張した面持ちで響は聞いていた。そんな響の前に深が横長のアタッシュケースをもって近づいていった。
「響ちゃん、深呼吸して」
言われた通りに響は大きく息を吸って吐いてを繰り返す。その様子を見ていた深はいつもと変わらない笑みを浮かべた。
「少し落ち着いた?」
「う、うん。ありがとう」
その笑顔を見た響はほんの少しだけ余裕が出たように感じて何とか微笑み返す。深はそんな響に持っていたアタッシュケースを差し出した。その中に今回の護送対象である完全聖遺物デュランダルが収納されているのである。
「デュランダルを頼んだよ」
「う、うん。任せて……あれ?」
差し出されたアタッシュケースを受け取るとなんだか違和感を覚えた。なんというか思っていたよりも軽いような気がする。
「深君、これって」
響が違和感を指摘するより先に深は振り返ると了子へと言葉を投げかけていた。
「先生も気を付けてください。あと、あんまり無茶なドラテク見せないでくださいよ?安全第一でお願いします」
「う~ん、時と場合次第かしらねぇ~」
深の注意を了子はあっけらかんとした態度で受け流していた。響は指摘するタイミングを逃してしまった。というよりも今意図的に話を続けないように深が仕向けたようにも感じた。疑問を感じているとふともう一つ違和感があることに気が付いた。
「あれ?そういえば師匠は?」
そう、こういった場であれば必ずいるであろう流生がいないのである。きょろきょろと響が辺りを見渡していると弦十郎が口を開いた。
「流生は別件に対応中だ。」
響の疑問に弦十郎が淡々とした口調でそう言い放つ。その言葉を聞いて響は少しだけ肩を落とした。彼がいれば最悪強襲があったとしてもデュランダルを託して逃げ切ってもらうことも可能なのではないかと当てにしていた分、不安を感じざるを得なかったのだ。それにしてもと疑問が湧く。デュランダルの護送という最重要任務よりも優先されることがあるとは、何か良くないことが起こったのだろうか。
「それでは作戦を開始する。俺もヘリで追走して支持を出す。みな、武運を祈る。」
響の落胆と疑問をよそに弦十郎が作戦開始の号令を出した。それを聞いたエージェントたちはそれぞれの護衛車へと乗り込みエンジンを始動する。
「さぁ、私たちも行くわよ。乗って響ちゃん」
了子に促されて響も車へと乗り込む。その寸前にもう一度深を見ると強張った表情をしていた。しかし、響が見ていることに気が付くとすぐに笑みを浮かべて静かに頷く。
「先生、響ちゃん!気を付けて!」
「うん。行ってきます!」
見送る深に頷き返して響は了子が運転する車の助手席へと乗り込む。護送車を先頭に車が出発した。響は後ろを振り返って深の姿を見えなくなるまで見続けたのだった。
天下の往来独り占め作戦が開始されてから1時間。響たち一行は誰もいない首都高を走り続けていた。了子が運転する軽自動車を中心に4台の護送車がその周りを囲む輪形陣を維持している。その上空を弦十郎が乗っているヘリが追走していた。
響は周囲を警戒するために車の窓を開けて周囲を見渡す。しかし、何も起きないまま都市部へと続く大橋を渡り切った。
「特に異変はないみたいですね」
「妙ね。いくらなんでも静かすぎるわ」
「え?」
異常事態が起きないことに安堵した響に了子が普段よりも真剣な声音でそうつぶやいた。
「橋の上なんて格好の襲撃ポイントで何もしてこないなんて。弦十郎君いくらなんでもおかしくないかしら?」
『……どうだろうな。相手もこちらの出方を伺っているのかもしれん』
了子の質問に弦十郎はいつもよりもはっきりとしない物言いで答えた。それを聞いた了子の表情が険しいものに変わる。
「……ねえ。もしかしてだけど何か隠し事していないかしら?」
『それは……』
弦十郎の言葉はそれ以上続かなかった。いや、続けられない状況になったと言った方が正しかった。二人の会話を遮るように突如として大きな炸裂音が辺りに響いたからだ。
「爆発ッ!?」
突然の轟音に響は驚きながらも音の下方向を見た。護送車のどれかが襲撃を受けたのかと思ったがどうやら違う。爆発は響たちがいる地点よりも遠く離れた場所で起こったようだった。
『ッ了子君!作戦変更だ!この先の薬品工場まで響君を送り届けてくれ!』
慌てた様子の弦十郎が突如そう叫んで指示を出してきた。
「どういうことよ!?……まさか!響ちゃんデュランダルのケース開けてみて!」
「え?あ、はい!」
何かに気づいた様子の了子は響に叫ぶ。響は言われた通りに後部座席に保管されていたアタッシュケースに手をかけロックを解除した。
「え?空っぽ?空っぽです!」
ケースの中には入っているはずのデュランダルはなくもぬけの殻だった。
「説明して弦十郎君!」
珍しく焦りをにじませた了子が叫ぶ。
『本隊は囮だ!現在デュランダルを移送している流生と深がノイズの襲撃に逢っている!』
弦十郎が言った言葉は響にとっても冷静ではいられない一言だった。
最後までお付き合いくださりありがとうございました。
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というわけで残念だったな、響は囮なのだ!
無茶しかしない主人公たちさあ一体どうなるのか!
次回、頑張ってカーチェイスシーン書きます!!