装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS   作:ふみー999

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どうもふみー999です。
バイクチェイスを書くのが楽しくて思ったよりも早く書きあげられました。やっぱり趣味分野は筆が進むんだなぁ……
というわけでどうぞ!


第19話 drängend:決死のライディング

時は作戦開始前夜にさかのぼる。深夜の指令室には弦十郎と流生、そして深の三人がリディアンから永田町までの地図を囲んでいた。

「響ちゃんたちを囮に使います。敵がそちらに注意を向けている間に僕と流生さんでゴーストタウンと化しているK-1地区を一気に駆け抜けデュランダルを永田町まで移送しようと考えています」

深が地図の上に置いてある二つの駒をそれぞれ別のルートから動かして見せた。弦十郎はその作戦を聞いて眉をひそめる。

「たった二人というのは危険過ぎるのではないか?」

「おっちゃんの言う通りだぜ。そんな無茶をする理由があるのか?もし俺たち側が強襲を受けた場合ヒビの字もいないのでは対処ができないぞ」

 腕を組み静かに話を聞いていた流生は作戦の問題点を指摘する。深は指摘されることを理解していたのかすぐに弦十郎を見つめて言葉を続けた。

「指令、内通者の存在を疑っていますよね。いや、もっとはっきり言います。先生を疑っているんじゃないですか?」

 単刀直入な質問を投げかけてくる深に弦十郎は目線をそらさず目を合わせる。何も言わずともその通りだと訴えていた。

「僕はその疑いを晴らしたい。先生に一切情報を知らせず、今回僕たちの方に襲撃が来ればブリーフィングに参加した職員や先生以外のところから情報が露呈したことになる。仮に僕たちに襲撃が無く、本体が襲われたのならばその隙にデュランダルを安全に移送することが出来る。どちらにせよ内通者探しは後から腰を据えて取り組めばいい」

 まくしたてるように深は作戦の有効性を説く。流生は納得しながらもナチュラルに自分にとんでもないことを要求してくる深に苦笑いをした。

「それだと、護衛もいない俺たちのところにノイズが襲撃してきてほしいってことになるな」

「流生さんなら余裕でしょう?」

何の疑いもなく深は言い放った。随分と買いかぶられたものだと呆れてしまう。しかし、深はそんな流生を焚きつけるように言葉を続けた。

「失敗したら、二度と翼さんのライブに行けなくなるだけですよ」

「……お前、いい性格しているよ」

流生にとって深が言ったことは絶対にあってはならないことだ。つまり深は言外に失敗するなと挑発しているのだ。そのあまりにあんまりな言い草に引きつっていた口角がますます上がって吹き出してしまった。

「いいぜ。ノイズの百や千、振り切ってやるよ」

 安い挑発と分かっていながら流生はその挑発に乗ることにした。

「指令、命令をお願いします。」

深は流生の返事を聞きうなずくと改めて弦十郎のほうへと向き直した。弦十郎は渋い顔をして腕を組んでいる。

「だがしかし、お前たちにそんな危険なことをさせるわけにはいかん」

「二課に所属した時点で危険は百も承知です。それに僕たちがこの作戦をしなくても明日きっと襲撃はあります。そうなれば犠牲になる人だって必ずいます。」

食い下がるように深は説く。自分たちが危険を冒さなければ本隊が確実に襲撃に合う。そうなればシンフォギアを持たない、先生や護衛するエージェントの命が危ない。飼い猫の写真を見せてくれた遠藤さんやジュースを時々奢ってくれる如月さん。明日出撃するメンバーの中には深も顔見知りの人もいる。先生もほかの人たちも危険な任務に就くのだ。それを自分だけ安全な場所で見ているなんてことはできない。

「お願いです、指令。どうか、僕たちにもできることをさせてください。」

「……分かった。だが、くれぐれも無茶はするなよ」

「ッ!はい!」

 深は頭を下げて懇願する。弦十郎はその姿に折れ作戦を認めたのだった。

 

 

 

 

「おっちゃんに無茶するなって言われたけどなぁ!!」

クラッチを切りギアを上げて加速する。けたたましく轟くエンジン。一拍おいて先ほどまでいた場所にノイズが飛び込んできた。

「しないわけにはいかなくなっちまった!」

やけくそ気味に叫び、フットブレーキを踏んで流生はハンドルを右に切った。ドリフトの慣性で吹き飛びそうになるのを堪え再びスロットルを回す。曲がり切れなかったノイズの数体がビルに激突する。

「こっちに襲撃が来たってことは先生は白ですよね!流生さん!?」

「てめえ深、こんな状況で喜んでんじゃねえよ!」

命の危機的状況と恩師の身の潔白にハイになっている深に突っ込みを入れる。ノイズが飛びこんでくれば左に避け、槍のように飛んでくれば右に倒れるように曲がる。

「くっそ、いったい何匹いやがる!」

バックミラーに映るノイズの影を数える。ひーふーみー、流生はそこで止めた。きりがない。群がるノイズがうじゃうじゃだ。

『聞こえるか流生!深!』

するとヘルメットのインカムにザザザッと音が鳴った。次いで弦十郎の切迫した声が聞こえてきた。

「おっちゃん!!こっちは千客万来だ!」

『こちらでも状況は把握している!その先にある薬品工場まで何とか逃げ切れ!そこで響君と合流させる!』

 空気を読まずに真正面から飛び込んでくるノイズ。ハンドルを切り裏路地に逃げ込む。放置されていたごみ箱やペンキ缶を蹴散らして進み再び大通りに出た。

「はぁ!薬品工場!?んなところに行ったらノイズの襲撃で爆破事故まっしぐらでしょうが!」

「敵はデュランダルを狙っている。あえて危険な場所に誘導して攻撃手段を封じるつもりですか!?」

 流生が弦十郎の指示に突っ込みを入れていると後ろで深が冷静に考察していた。

『そういうことだ。そこまでなんとか粘ってくれ』

「おいおい、勝算はあるのかよおっちゃん!」

『思いつきを数字で語れるものかよ!!』

 司令官としてはどうなのよと言いたくなる気持ちを鼻で笑うことで誤魔化して流生は覚悟を決めた。

「オーケー深!デュランダルと俺の体放すなよ!さぁ振り切るぜ!!」

はい、と聞こえてくる深の気合の入った返事。腰に回された腕に力が入るのを感じた。

再び飛びこんでくるノイズ。

流生は車体を傾けてスピードを維持してカーブを曲がる。リアに固定したデュランダルのケースが地面で削れてギャリギャリと嫌な音を立てた。持ち手が取れて後ろに転がる。

カーブを曲がりきると遠くに工場の煙突が見えた。

「見えました!流生さん、目標地点正面!距離およそ5㎞!」

深のナビゲーションを聞きながら気合を入れなおす。ふと空が暗くなった。

「ッ!まじかよ!?」

轟音を立てて飛んできたトラックが正面の道をふさぐ。しびれを切らしたノイズが物理的な障害物をぶん投げてきたようだ。

「深!左足、俺の腰に回せ!」

流生に叫ばれた深は反射的に足置きに置いていた左足を上げ流生の腰に引っ掛けた。

「南無三!!」

「ちょ!まじですかあああ!」

深の絶叫を聞き流し、流生はドリフトの要領で車体をわざと滑らせる。支えを無くした車体がアスファルトの上を火花を散らして滑る。そしてそのままトラックの車体の下をすり抜けていく。トラックを完全に抜けきった瞬間に流生はスロットルを回し、地面と接する肩で地面をたたきつけ無理やり車体を起き上がらせた。

「だぁ!!ちっくしょう!!絶対にフレーム歪んだ!深、これ修理代経費で落ちるかな?」

「そんなこと気にしている場合じゃないでしょう!後ろ!後ろ!!」

今のスライドでスピードが落ちてしまった隙にノイズが距離を詰めてきていた。

「ッ!?やべえクラッチが!」

クラッチが曲がってしまい、ギアを入れるのに一瞬隙が生まれた。それはチェイス中においては致命傷。ノイズの一匹がとどめを刺すため飛び上がる態勢をとった。流生はすぐにギアを蹴り入れるが間に合わない。

「このっ!!」

乾いた発砲音が二回響くと飛びかかってくるノイズの上に信号機が落下して押しつぶした。流生はその隙にバイクを走らせる。振り返ると深が懐から取り出したショットガンを一回転させリロードしていた。スピンコックというやつだ。

「レバーアクションショットガンとはまた渋いものを持ってきたな」

「バイクチェイスと言ったらこれだって指令が前映画を見ながら言っていたので」

「ははっ、おっちゃんらしいや」

深はショットガンの側面を押す。すると片腕くらいの大きさだったショットガンが手のひらサイズの長方形の物体に変化した。深が開発したアームドギアの応用品だ。変化が完了すると深はショットガンを懐に仕舞った。ちなみに流生が使用している薙刀も同じ機構を利用している。

「目標地点まであと2㎞!」

「ファイナルラップだな!」

姿勢を低くしスピードを上げる。無茶をしたバイクのエンジンがけたたましくうなり声をあげる。やがてバイクはトンネルの中へと突入した。

「流生さん、このままじゃ入り口で待ち伏せされます!」

「分かってる!深、そこの扉撃ち抜け」

言われた通りに深が再びショットガンで扉を打ち抜くと迷わず突っ込んだ。

扉の向こうには薄暗い整備されていない坑道が広がっていた。

「ここは!?」

「旧陸軍が使っていた秘密通路だ!ここを通りゃ薬品工場は目と鼻の先だぜ。さぁオフロードの踏破力見せてやらぁ!」

気合を入れた叫びとエンジン音が反響する。ろくに整備されていない悪路からの振動が体に直接響いた。下手にしゃべると舌を噛みそうだ。深が後ろを振り返るとノイズの影は見えなかった。

「振り切った!?」

「はっ!さすがにこのルートは分からなかったようだな!今頃トンネルの入り口で待ちぼうけしてるんじゃねえか?」

愉快だと言わんばかりに流生が高々と笑う。深もほっと息を吐いた。やがて地上から眩い光が差し込んでくるのが見えた。どうやら出口に出たようだ。

「ッ!流生さん前!」

「嘘だろ!このルート知ってやがったのか?」

出口を見ると先ほどまで追っていたノイズが入り口の大穴をふさごうとうごめいていた。このままではノイズでできた捕り網に摑まってしまう。

「流生さんが余計なフラグを立てるから!」

「俺か!?俺が悪いのか!?」

 とはいえ流生にとってもこれは予想外。この道は流生の個人的な伝手で知っていた弦十郎すら知らない道のはずだ。追われるならまだしも待ち伏せされるとは思っていなかった。

敵は千里眼でも持っているのかと突飛な考えが頭をよぎる。

そんなことを考えている間にも正面の入り口がノイズによって塞がれつつある。中心までふさがれるのも時間の問題だ。なにか打開策は。

「ッ!深!」

「はいッ!」

短い流生の呼びかけにすぐに意図を察した深が懐から再びショットガンを取り出す。そして、入り口の前に放置されていた足場材を打ち抜いた。衝撃により崩れた足場材の山がジャンプ台に変わる。

「間に合えええええ!!」

加速して流生はその即席のジャンブ台からノイズが蔓延る入り口に向かって飛び込んだ。だが、ノイズが入り口を閉じる速度の方が早い。

「のけ反れ!」

流生はハンドルから手を離すと深ごとのけ反るように仰向けに倒れこむ。飛び出していくバイクを足でなんとか挟み振り落とされないようにする。

ヘルメット越しの視界すれすれをノイズがすり抜けていった。ぶよぶよした見た目のくせに表面に生えている無数の毛のような体表が至近距離から観察出来て気持ちが悪い。

不愉快なノイズトンネルを飛びぬける。地面にバイクが接地した時の衝撃で体が浮いた。

「痛っ!」

その衝撃が治りきっていない胸の傷に響いて短くうめき声をあげてしまう。ネフェシュタンの少女に入れられた攻撃のダメージはまだ抜けきっていなかったのだ。

それでも流生は足をハンドルにひっかけて深ごと体を無理やり起こす。痛みに耐えて肩で息をしていた。

「…ッ危ねぇ……ノイズの素肌気持ち悪っ」

「あんな近くで見たの僕たちが初めてじゃないですかね」

「生きてる奴でならな」

生きた心地がしないためか深も軽口をたたいている。だが何とか切り抜けたようだ。目標としていた薬品工場へとたどり着いていた。

「響ちゃんはッ!?」

「まだ来てねえみたいだな……ッ!?」

そこに先ほどまでのノイズとは比べ物にならない速度の攻撃が飛び込んできた。とっさにブレーキをかけてぎりぎりでそれを回避するが勢いを殺し切れず二人はバイクから投げ出された。

「現れなすったなネフェシュタン野郎ッ!」

流生はすかさず空中で体勢を整えると着地と同時に薙刀を構える。深の方を見ると流石に流生のようには着地はできなかったようだ。地面を滑って少し行った先で転がっていた。だが、すぐに起き上がろうとしている。おそらくそこまで重傷は負っていないだろう。

 深の安否を確認し、流生は煙突の上にいる人物をにらみつける。

「はっ!また逢ったな。死にぞこないの足手まとい!」

そこにはネフェシュタンの鎧を身に纏った少女が勝ち誇った顔で流生たちを見下ろしていた。

「さんざ手こずらせてくれたがチェックメイトだ。大人しくデュランダルを渡してくれりゃ見逃してやるぜ?」

 辺りを見渡せば二人の周りをノイズたちが取り囲むように立ちふさがっていた。逃げ道はどうやらないようだ。

「お嬢への奇襲の次はノイズに任せて高みの見物ってか?随分と姑息な手段しか取れねえじゃないか。」

「……言っただろう。てめぇ相手にすんならなりふり構わないってな」

「そうかい。自分の力不足は重々理解してますってか?殊勝なこった」

 流生はあえて挑発するように言葉を投げかけた。通信機はまだ生きている。少しでも情報を引き出すために相手のペースを乱そうと考えたのだ。実際に少女は苛立ちを隠せない様子で流生をにらみつけている。

「教えてほしいもんだね。あんたがどうして俺たちの移送ルートを正確に追跡できたのか?」

「はん!誰がてめえなんかに教えるかよ。その手には乗らないぜ」

「そうかい。それは残念だ。ま、大方ご主人様に頑張ってもらったんだろうよ。」

深の様子を見るとようやくまともに動けるようになってきたようだった。ゆっくりとデュランダルを回収するためにバイクの方へと近づいて行っている。流生は少女を小ばかにするような言い方をあえて選び軽薄そうな態度を演じる。少しでも自分にヘイトが向けばそれだけ深が自由に動けるのだから。

「とはいっても?そんな未熟な奴しか現場に出せないなんざ、雇い主の器が知れるぜ」

「てめぇ、フィーネまで侮辱する気か!」

 逆鱗に触れたらしく少女は声を荒げて杖を掲げた。立ち尽くしていたノイズたちが途端に臨戦態勢を取る。のっぴきならない状況ではあったがそれでも流生は冷静に少女の言ったことを頭の中でまとめていた。

 (あの言いぶりからして間違いなく、俺たちを追跡する方法を持っていやがる。それを雇い主おそらくは内通者が手配した。そしてなにより敵の首領はフィーネ、終わりの名を持つ人物か。)

 十分すぎる情報を得たと額に冷や汗を搔きながら思わず口角が上がる。

「そんなに死に急ぎてぇならまずはてめぇから殺してやる。その次にそっちのもやしにこの間の弾の借りを返してやるよ」

 声をかけられた深はデュランダルのケースを抱きかかえ流生の隣へとたどり着いた。そして悔しそうに少女をにらみつける。

ノイズたちが主からの指示を待ってじりじりと流生と深へと歩を進めてくる。まさに絶体絶命。

「……あいにくと俺も深もまだ死ねねぇな。そうだろ?」

「ええ。一緒にお好み焼き食べに行く約束をしていますから」

 だが流生は不敵な笑みを浮かべて薙刀を構えるのを止めた。深は固く結んでいた口元を緩めて微かに笑顔を作った。どうやら深も気づいたようだ。風に乗って微かに車のエンジン音が聞こえてくることに。

「俺もお嬢のライブ、最前席が当たっているんでね」

 流生が啖呵を切ると同時に軽自動車がノイズの頭上を飛び越して二人のところへとやってきた。

 

Balwisyall nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)

 

車の中から歌と共に黄色い影が扉を開けて飛び出す。そして、鈍い音を立てて正面にいたノイズを数体一気に屠ったのだった。

 




最後までお付き合いいただきありがとうございました。

そういえば今日ゲーセンにシンフォギアGのパチンコあったので300円だけ回しました~これが私たちの絶唱だ~でコケるの止めてほしい……ゲーセンなんだからもちっと確率上げてよね(´;ω;`)

閑話休題。
次回ようやく修行の成果を発揮するときが来た。さて、どこまで趣味に寄せたものやら……

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