装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS   作:ふみー999

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どうもふみー999です。
最近非常に調子が良くてすーるする書けてしまう。ただこの後の展開に悩んでいるのと5月から職場でいろいろあるので遅くなるかも……
書けるうちに書いてやらあああああ!!!!!!
というわけでお付き合いください!どうぞ!


第22話 Herzig:想えばこその

流生の絶叫が響いてから数分後、響は冷や汗を浮かべながら目の前の光景を見ているしかなかった。

「お嬢、俺は常日頃から申し上げておりましたよね?自分でできることについては自分でしていただきたいと。確かに俺は幼少期から貴女を知っている世話役ですよ?ええ、八紘様からお給金ももらっておりますし、好き好んでやらせていただいております訳ですから、なんなりとこき使っていただいて一向にかまいませんとも。しかしですね、世の中には一般常識や世間体と言うものがございまして、年頃のうら若い娘が同年代の男子に自分の服の洗濯をさせてあろうことか下着の管理までさせているというのは一般的な人から見たらあり得ないことなのでございますよ。それだというのにお嬢ときたら、脱いだ服はその辺に放置し、干した洗濯物から乾ききってもいないものを適当に上下も揃えずに持って行き、挙句の果てには、タンスに仕舞ったものですら上下がそろっていないこともある。俺はきちんと上下をそろえて仕舞っているというのに一体何がそこまでお嬢を駆り立てているんです?上下がそろわないことでアバンギャルドな芸術性でも感じているんでしょうか?そんなことはないでしょう?分かりますか、お嬢がその辺のことをしっかりと行っていただけないとですね、今回のように俺が変態扱いを受けて社会的に抹殺されかねないんですよ?そうなったらいったい誰がお嬢の世話をするって言うんですか?慎次兄ですか?慎次兄だって捜査部の仕事がありますし、マネージャーの仕事だって立て込んでいるんですよ。これ以上仕事を振り分けるわけにはいかないでしょう?そもそも、お嬢は自分の容姿について周りからどのように思われるのかについて、もう少し自覚を持った方がよろしいと思われますけれども?お嬢のように見目麗しい顔立ちをしている女子がそのように無防備でいたらどうなろうことでしょうか。ええ、そうですとも必ず悪い虫がよってくるに決まっているでしょう。それだというのにお嬢ときたら、食べ終わった食器は机の上に置いたままにしていますし。机の上に置いてあるならまだしも時々床に転がっていたりもする。なんなら飲み物なんかの液体をこぼしていてもそのまま放置していることまである始末。部屋の奥から見つかったティーカップの中にカビが発生しているのを見つけた時の俺の気持ちが分かりますか?カビとりって大変なんですよ?どうやって除去するのか知っていますか?煮沸だけじゃ足りないんですよ?それだけじゃありませんよ。ゴミ出しだってペットボトルはラベルをはがして分別してくださいねと言っているのに、分別するどころか燃えるゴミのゴミ箱にぶん投げやがる。子供かっつうの!『駄目だこいつ俺が傍にいないと生きていけない』と思わせて男の庇護欲を駆り立てる無垢で可愛い子どもかっつうの!男の庇護欲そそっていったい何が目的なんですか?いいですか、弁財天ですら嫉妬するような歌声を持っていて多くのファンがいて、一見なんでも卒なく完璧にこなせるみたいな雰囲気を漂わせる容姿端麗、才色兼備の千年に一度の美少女のお嬢がその実、実生活はだらしないなんてギャップを出してしまったらね、とんでもない魅力になるわけで、たいていの男は好意を寄せてしまうことになるんですからね!もう少しですね、生活能力というものを身に着けていただいて、周りに対する隙というものを減らしていただかなければ、お嬢が困ることになるのですよ。そして俺だっていつお嬢に悪い虫が憑かないかと常日頃から心配しているわけですからね。できるのであれば俺の心労についても考えていただきたいものですけれども。くどくどくどくど、ガミガミガミガミ、さきさきさきさき、もりもりもりもり」

 怒髪天を衝くとはかくやと言わんばかりにまくし立てる流生の前で翼はというと時々「はい……」だの「だって……」だの頼りない声をあげて正座のまま縮こまってしまっていた。戦場やライブ会場でみるような凛々しさは鳴りを潜め、うつむいた表情はものすごいしおらしいものになっていた。その姿は悪さをして母親に叱られる娘そのものだった。

(というか途中から説教じゃなかったような?)

 流生の言っている言葉を端から聞いていると徐々にただの惚気になっているような気がしてならなかった。

「えっとお母さ、じゃなかった。し、師匠?翼さんは病人ですしそれくらいに……」

「誰がお母さんじゃい」

 これ以上は翼のためにも、流生のためにも聞いていられないと思い、おどおどと響は話が止まらない流生に声をかける。すると流生も響の存在を思い出したのか咳ばらいをして話を止めた。

「……ごほん。すまないヒビの字。少し取り乱した」

「……少しですか。ま、まあいいです」

 全然少しじゃないと思った響だったが下手に突っ込んでもめんどくさいことになりそうだと思った為それ以上追及することはしないでおいた。

「ともかく、洗濯物は私がやりますから師匠は別のことをしていてください!いいですね!」

 これ以上翼への説教が続かないように響は無理やり話をまとめた。流生はその勢いに押され、体をのけ反りながら答える。

「あ、ああ分かった。ひとまず俺は病院に提出する書類出してくるからここ任せてもいいか?」

「了解です」

 響は敬礼をして流生を見送ると畳みかけの洗濯物の山へと向かう。上着やタオルなどはすでに全部畳み終わっており残っているのは問題の下着ばかりだった。流生の葛藤が見て取れるようだった。響は流生が帰ってくる前に片付けるべく手を動かし始める。

「す、すまないわね。私はその、こういうところに気が回らなくて……」

 すると今まで沈黙を貫いていた翼が申し訳なさと恥ずかしさをない交ぜにした表情で響に謝罪してきた。

「正直意外です。翼さんってなんでも完ぺきにこなすイメージがありましたから」

「真実は逆ね。私は戦うことしか知らないのよ……」

 響は手を止めないまま素直に思ったことを伝える。すると翼は力なく微笑んでつぶやいた。

「今日みたいに前々から流生にも直すように言われているのだけれども。つい彼に頼ってしまうのよね」

 自分の行いを反省するように肩をすぼませて小さくため息をついた。

「……お聞きしたいんですけど、翼さんと師匠って付き合っていたりするんですか?」

 響は意を決して前々から気になっていたことを尋ねた。主従と呼ぶには二人の距離はなんだが近すぎるように感じていたからだ。問われた翼はというと予想外の質問を受けたとばかりにきょとんとしている。

「私と流生が?ないない。私たちはただの幼馴染なだけ。頼りにはしているけど近すぎてお互いにそういう対象ではないわ。流生の好みはなんていうか我の強い姉御肌なタイプよ」

「え~どうですかね?」

 翼はそう言ってあっさりと否定したが正直怪しいと思う響なのであった。少なくとも流生からは矢印が向いているのではないかと勘繰ってしまう。しかしそれよりも気になったのは———。

「って、じゃ、じゃあ付き合ってもいない男の人にその、これ洗濯してもらっているんですか!?」

「た、確かに考えてみればいろいろと問題がありそうだけど……散らかったままにするわけにもいかないし。それになんだかんだ言ってやってくれるからつい……」

 響に言われてようやくことの状況を把握した翼は赤面しながら、徐々に小さくなる声で弁明した。両方の人差し指を合わせて目をそらしている。

「そ、それよりも報告書や流生から聞いているわ。」

「へ?」

「私が抜けた穴を貴女がよく埋めているということもね」

 これ以上深堀されたくなかったため翼は話題を変えた。流生の話や読み込んだ報告書から響への評価を改めていた。翼はそのことを響に伝える。とはいえ今までの態度もあってか少し照れくささを感じてしまっている。

「そ、そんなことぜんぜんありません!いつも二課の皆に助けられっぱなしです」

 予測していなかったため褒められた響は嬉しさと驚きに慌てながら手を振って謙遜する。翼はそんな響の様子に微笑んで見せた。響は入院している間のことを嬉しそうに語る。翼もその話に笑みを浮かべて聞いていた。

「嬉しいです。翼さんにそんなこと言ってもらえるなんて」

「でも、だからこそ聞かせてほしいの。貴方の戦う理由を」

 照れくさそうに頬を掻く響に翼は表情を硬くして改めて問う。この問いに納得が出来る答えをもらわなければきっと本当の意味で信を置いて戦場で共に戦うことはできないと思ったからだった。

「え?」

「ノイズとの戦いは遊びではない。それは今日まで死線を越えてきた貴女なら分かるはず」

 唐突な質問に面食らった響は目を見開く。翼は真摯に問いを続けた。

「よくわかりません。私、人助けが趣味みたいなものだから……それで」

「それで?それだけで?」

「だって勉強とかスポーツは誰かと競い合って結果を出すしかないけど、人助けって誰かと競わなくていいじゃないですか。私には特技とか人に誇れるものとかないからせめて自分にできることでみんなの役に立ててばいいかなって……へへへっ……」

 ごまかすように笑っていた響だったが、言葉尻が徐々に力ないものになっていく。窓の方に体を動かした響はぽつりと話し始めた。

「きっかけは、やっぱりあの事件かもしれません。私を救うために奏さんが命を燃やした2年前のライブ。奏さんだけじゃありません。あの日たくさんの人がそこで亡くなりました。」

 目をつぶれば今でも思い出す。槍を構えて自分たちを守るために奮闘した奏の姿が、自分を助けるために亡くなってしまった深のお母さんの姿が脳裏に焼き付いている。

「でも、私は生き残って今日も笑ってご飯を食べたりしています。そして、その幸福を得てもいいのだと言ってくれた人がいたんです。だからせめて誰かの役に立ちたいんです。明日もまた笑ったりご飯を食べたりしたいから。人助けをしたいんです。」

 君を想う人がいると教えてくれた人がいた。彼自身も大切な人を失っているのに、傷ついた自分を想ってくれる人が。だから、その人に報いるためにも、その人がくれた何気ない日常を守るためにも誰かを助けたい。それは響の心からの願いだった。響は翼に向き直って微笑む。その笑顔を屈託のない、迷いの無い心からの笑みだった。

 その笑みを見た翼は納得して表情を緩めた。

「貴方らしいポジティブな理由ね。だけどその思いは前向きな自殺衝動なのかもしれない」

「自殺衝動?」

 ぶっそうなことを言われた響は戸惑った。それに構わず翼は続ける。

「誰かのために自分を犠牲にすることで古傷の痛みから救われたい、手にいれた幸福への罪悪感を拭いたいという自己断罪の表れなのかも……槙野(まの)が自分を責めているように」

「え?」

 突然、深の名を出されて響の戸惑いはさらに強くなった。翼はそんな響の様子を忘れ過去を思い出していた。

(家族を奪ったノイズが許せない。父も母も妹も奪われて、何もできなかった自分が許せない。このまま黙って泣いて過ごすなんてまっぴらごめんだ。それじゃあ、僕だけが生き残った意味がない。僕だけが生き残ってしまった義務を果たせない。僕のせいで苦しんだ家族への償いが出来ない。)

 冷たく降る雨の中、そう叫んだ彼の姿が病室の窓に映りこんだ気がして翼は悲しげに目を細めた。

「あの私……変なことを言っちゃいましたか?」

 翼の様子に気を悪くしたのではないかと思った響は恐るおそるといった様子で尋ねてくる。その言葉にハッとした翼が響を見ると場を和ませようと愛想笑いをしていた。

「え、ええっとあはははは」

 その様子にやれやれ仕方がない子だと翼は肩をすぼませるのだった。

「……フッ、変かどうかは私が決めることじゃないわ。自分で考え、自分で決めることね」

 すると響も先ほどまでの笑みとは違い真剣な様子を見せた。

「考えても考えても分からないことだらけなんです。デュランダルに触れて暗闇に飲み込まれかけました。気が付いたら人に向かってあの力を。そのせいで深君まで怪我をさせてしまいました。私がアームドギアをうまく使えていたらあんなことにはならずに」

 俯く顔には後悔と悔しさがにじんでいる。迷い、自分がこれからどうすればいいのか分からないと言外に訴えていた。

「力の使い方を知るということは即ち戦士になるということ。」

「戦士……」

「それだけ、人としての生き方から遠ざかることなのよ。貴女にその覚悟はあるのかしら」

 だからこそ、翼は響にその覚悟を問う。自分の戦う理由はなんなのか。何を想って戦場に立つのか。その己の矜持はなんなのかと。

「……守りたいものがあるんです。それは何でもないただの日常。そんな日常を大切にしたいと強く思っているんです。」

 未来と過ごす学校での毎日。友達と一緒に行く買い物や遊び。そして何よりも深君とただ話をしている時間。それこそが響が守りたいものだとはっきりと思っている。

「だけど、思うばっかりで空回りして」

「戦いの中、貴女が想っていることは?」

「ノイズに襲われている人がいるなら、一秒でも早く救い出したいです。最速で最短でまっすぐに一直線に駆けつけたい。そして——」

 そして、思い出されるのは一人の少女のこと。ネフェシュタンの鎧を着た彼女のことだった。

「もしも相手がノイズではなく誰かならどうしても戦わなくちゃいけないのかっていう胸の疑問を私の想いを届けたいと考えています」

 拳を胸に当ててはっきりと翼に向けて宣言した。その顔にはもはや迷いなどは見て取れなかった。

「今貴女の胸にあるものを出来るだけ強くはっきりと思い描きなさい。それが貴女の戦う力。立花響のアームドギアに他ならないわ」

 翼は響のその姿に戦士としての覚悟を見出したのだった。

「翼さん……分かりました。私やってみます!」

響は翼の言葉に大きく頷いて見せる。その姿を見た翼も満足そうに微笑みを浮かべたのだった。

「お~いお二人さん、かっこよく決心しているところで悪いんだけどさ」

声がする方をみると流生が入り口の両サイドに腕をついて立っていた。その表情はというと弟子の成長を喜ぶ嬉しさ半分ともう半分は何かを指摘したくてしょうがないといった複雑なものだった。その顔のまま流生はうんうん、と頷き右手で響の足元を指さした。

「わざわざ俺を追い出したんだからさ。畳んどいてくれよ」

 流生の指摘に二人は自分たちの足元を見た。そこにはまだ畳まれていない下着が散乱していた。

「「……あっ」」

存在をすっかり忘れていた二人は異口同音に声をこぼしたのだった

 

 

 

 

 響と別れた後、未来は一人商店街を歩いていた。浮かない顔を浮かべて歩いているとやがて目的の店にたどり着く。『flower』最近見つけたお好み焼き屋だった。

「こんにちは」

「いらっしゃい。おや、いつも人の三倍は食べるあの子は一緒じゃないの?」

 店の扉を開けると人の良い店主のおばちゃんが朗らかに話しかけてきてくれた。けれども、響のことを話題に出されて少しだけ心がもやつく。

「今日は私一人です」

「……そうかい。それじゃあ今日はおばちゃんがあの子の分まで食べるとしようかね」

「食べなくていいから焼いてください」

「あら、アハハハ」

おばちゃんは何かを察したのかそれ以上は聞かず、冗談を言って和ませてくれた。おかげで少しだけ気が楽になり考えていたことが口に出た。

「友達が、何も言ってくれないんです。なにか大変なことに巻き込まれているんだろうけど……。何かを知っている人もはっきり言ってくれなくて」

 深は明らかに何かを知っている。そしてそれを私に意図的に隠している。もちろん彼は響を助けてくれた。響に明るさを取り戻してくれた人だ。でも、だからと言って本当に信じてもいいのだろうか。響にしかできないことだからと言った。関わっても欲しくなかったとも。

「……だったらどうして本気で響を遠ざけないの?」

一年前は何も言わずに姿を消したのに。あの人は本当に響を大切に思っているのだろうか。そんな考えが頭の中で堂々巡りする。

おばちゃんがすっと水を出してくれた。そして微笑みながら気にかけてくれる。

「お腹すいたまま考えるとね、嫌な答えばかり浮かんでくるもんだよ」

「……そうかもしれない」

 自分は何も知らないまま、自分が勝手に思い込んでいるだけだとその言葉に未来は考え直す。きちんと話そう。響にも深にも、そうすればきっとこの疑念も晴れるだろう。そう考えると未来は気持ちが晴れた。

「ありがとう、おばちゃん」

「何かあったらまたいつでもおばちゃんのところへおいで」

「はいっ!」

 未来はおばちゃんの気遣いに元気に返事をして答えた。すると、店の扉が開いて誰かが入ってきた。おばちゃんが元気に声をかけていた。

「いらっしゃい。おや、久しぶりだねぇ。どうしたんだいその頭の怪我?」

「久しぶりですおばちゃん。実はちょっと転んでしまって……」

 声をかけられた人は首を掻きながら朗らかに答えていたが途中で言葉が詰まっていた。その声に未来は聞き覚えがありきちんと入り口を見た。

「……未来ちゃん」

「深、さん」

 そこには包帯を巻いた深が立っていたのだった。

 




最後までお付き合いいただきありがとうございました。
いや~前回からの続きで流生君のセリフが長いこと長いこと。
面白がってワード1ページまるまる書いたのだから自分が末恐ろしいです。

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