装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS   作:ふみー999

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どうもふみー999です。
ちょっと時間がかかりました。予想通りとはいえ、頑張っていきたいところです。
UA12000件突破しました!皆様に読んでいただいて本当にうれしく思っております!これからもどうぞお付き合いいただけたら幸いです。

ところで個人的な事ですが先日初めて絶唱リーチ当てました。てかパチンコで勝つの初めて。友達がジャグラー打ちたいというので付き合いで言ったらぬるぬる動く3Dアニメが見れました。上機嫌で驚いていたら1回でラッシュ終わりまして当たって嬉しいけどとなんとも複雑な気持ちになりました。そんな話でございます。

そんな私のパチンコ話は置いておいて今回はとうとう深が口を割ります。ではどうぞ!


第26話 angoisse:どうしてとその心に

「あの日響ちゃんと別れた後、僕は父さんに殺されかけた」

「……お父さんに?」

 一番に告げられた言葉は響が予想だにしていなかったことだった。響が聞き返すとコクリと深は頷く。

「家に帰ると書斎から物音がして覗いてみたんだ。そうしたら父さんは隠れて注射を打っていた」

 当時、深の父が病気だったという話を響は聞いたことが無かった。むしろ年の割に元気だと以前聞いたこともあった。そんな父親が隠れて注射を打っていた。それが何を意味することなのか、何を打っていたのかを響は理解してしまい口を覆った。

「母さんたちを失った悲しみを紛らわすために、前から何度も手を出していたようなんだ。僕は、末期症状になるまで気づいてあげられなかった」

 深の体が強張る。呼吸も浅くなっていた。もっと早く気が付いてあげられればと後悔の念が伝わってくる。それでも深は絞り出すように話を続けた。

「止めようとした時、錯乱状態だった父さんに首を絞められた。僕が意識を失った後、父さんは家に火をつけて……」

深の頬から涙が一滴零れる。彼女の前では、響の前では泣くまいと決めていたのに溢れてしまった。

「たまたまレンタルビデオを返却しに通りかかった風鳴司令が気づいて助けてくれなければきっと二人とも死んでいたよ」

 自分を助けてくれたその夜に、父を失って泣いていたその夜に、深は自分の父親に殺されかけていた。響は告げられた事実に言葉を失っていた。それでも絞り出すように声を出した。

「……お父さん今は?」

「病院で入院している。この一年間、会話もまともにできていない」

 薬物中毒による重度の心神喪失と医師からは診断された。僕の安全を守るために面会も許されていない。だから、最後に見た父の顔は全てを奪った相手を憎む怒りに染まった表情だった。自分を憎む父の顔を深は忘れられない。

「だから……だから誓ったんだ。せめて仇だけは討つって。そう思って知識も力もないのに、ノイズの前に飛び出して……二課に、先生に保護された」

 人体を炭化させるのならば、と自分の髪の毛を編み込んだ自作の何の効果も得られない武器を持ってノイズと翼の戦闘に割って入った。そして、流生に殴られて止められて、戦闘が終わった後になんの力もないのに許せないと吠えたてた。

「二課に入って、先生から知識を教わってずっと戦うために準備してきた。なのに、今日、目の前にその仇がいたのにッ……!傷一つ与えることができなかった……仇を討つためだけに生きてきたのに……それだけが僕が生きている全てなのに……」

 涙で視界が滲む。悔しかった、許せなかった。すべてを奪ったフィーネが。何もできない自分が。

だというのに、フィーネの顔を見て、動揺した。だって、あの顔を僕は見間違えるはずがない。けれども、そんなはずがない。そう信じたくてどうすればいいのか分からなくて混乱して立ち止まってしまった。

「……復讐しかないなんて、それは違うよ」

 再び思考が混乱の渦に飲まれそうになったところに響の悲しげな声が聞こえてきた。顔を上げてその表情を見れば、彼女は大粒の涙をこぼしながら深を見ていた。

「深君は、ちゃんと誰かの幸福を願える人だよ。みんな、それを知っている。助けられた人だっているんだ。だから、そんな悲しいことを言わないで。それに——」

 移送作戦では深は自ら危険な役目を買って出た。それは了子の身の潔白を証明するためだけではない。襲撃で犠牲になる二課のメンバーを減らしたかったことも理由なのではないかと響は考えていた。彼の苦しみを思うと痛くなる胸を押さえて、もう片方の手で深の袖を握り、響は自分の気持ちをまっすぐに深に伝える。

「深君に誰かを殺してほしくなんか、ないよ」

 優しい彼に、これだけはしてほしくはなかった。例え仇であろうとも、敵であろうとも誰かの命が亡くなることに心を痛めるのが彼だから。

 響の言葉を聞いた深は少しだけ目を見開いた後、ばつが悪そうに眼をそらしてしまった。

「……ごめん響ちゃん。やっぱり簡単にはフィーネを許せない」

 袖を握る響の手にそっと自分の手を当てて引きはがすと深は立ち上がった。

「深君!」

行ってしまう深を呼び止めようと響も立ち上がって引き留めようとする。しかし、それ以上、言葉が出なかった。

「響……?」

 聞き慣れた声が響のことを後ろから呼びかけてきたからだ。振り返るとそこには未来がいた。緒川と一緒にいるところを見るとどうやら事情の説明が終わったところらしい。響を見つけて安堵した様子を見せたが、すぐにその表情が変わった。

「未来……」

無言で近づいてくる未来の表情は強い怒りがにじんでいた。黙っていたことに腹を立てているのだと響は罪悪感を募らせる。

「未来、私は……」

 弁明をしようとしたが未来は聞く耳を持たなかった。無言のまま右手を振り上げる。叩かれると思いとっさにギュッと目をつぶってしまった。

「————」

パンッと軽い音が廊下に響いた。しかし、響は痛みを感じなかった。恐る恐る目を開くと手を振り下ろした未来が頬を赤くした深を睨みつけていた。頬をはたかれた深はふらつきながら頬を手で抑えている。

 そんな深に構うことなく未来は響の手を引っ張った。

「……帰るよ響。こんな人の傍にいちゃだめ」

「ま、待ってよ未来!どうして……深君は!」

 力強く腕を掴まれ、引っ張られて痛かった。しかし、そんなことに構わず未来の手をふりほどき未来を説得する。隠し事をしていた自分が叩かれるのならばまだ分かる。何故未来が深のことを叩くのか響にはわからなかった。

 手を振りほどかれた未来は響ではなく深を再び睨みつけた。

「……響を守ってくれるって思っていました。……響を支えてくれる人だって——」

 未来の声が響には未来のものではないかのように聞こえた。それくらい今の未来の声は低く震えていて、怒りに染まっている。

「でも1年前、貴方は勝手に消えた。それが、それがどれだけ響を傷つけたのか貴方は知っていますか!」

 堪えていたものがあふれ出したように怒鳴り、未来は深を叱責する。未来は深がいなくなってからの響を知っていた。毎日、河川敷に訪れて響は一人ぼっちで待ち続けていた。ずっと、ずっと。帰ろうと声をかけても、もう少しだけと言って泣き腫らした赤い目で無理やり笑って待ち続けていた。

「貴方にもなにか事情があったのだと思って何も言わずにいました。でも、また現れたかと思えば今度は響にノイズと戦えと言って危険なことに巻き込んだ」

 信じていた。信じていたかった。例え傷つけてしまったのだとしても、深は響のことを大切に思っていてくれていると。しかし、そんなことはなかった。

「どこまで、響を傷つければ気が済むんですか!」

 未来の叫びが廊下にこだまする。その場にいた誰も何も言えなくなってしまった。深は未来の眼を見た。自分を責める怒りを帯びたその眼を。

『お前がライブに行きたいなんて言ったから。お前のせいで、二人は死んだんだ!』

 その眼は自分を殺そうとした父の眼と瓜二つだった。深は静かに自分の首に触れる。まだ、締め付ける手の感覚が消えてくれない。

「……その通りだね」

 よろめきながら深は虚ろな目をしたままフラフラとその場を後にした。響が後を追いかけようとしたが今度こそ、未来はその手を放そうとはしなかった。

 

 

 

 

未来に叱責された後、深は一人、月明りだけが照らす公園のブランコに座っていた。

「……あ、できている。多分、これなら暴発しない」

 力なくつぶやいた自分の声にふと我に帰れば、木の棒で地面にデュランダルの欠片を使った弾丸を完成させるための計算式を書き込んでいた。頭を上げると辺り一面にぐちゃぐちゃに数式が書かれており、随分と長い時間没頭していたようだ。

「こんな時に、こんなことをしているのか……僕は……」

 つくづく復讐が大事かと自問して自虐的な笑みを浮かべ、持っていた木の棒を放り投げた。そしてそのままぼんやりと空を見る。ブランコがキイキイとなる以外には音も特に聞こえなかった。そうやってぼんやりとしていると考えていたことが口からこぼれた。

「……そばにいる資格なんて、もともと無かったんだ」

 響は深を探してリディアンに入学したと話していた。だとするのならば未来の言う通り、巻き込んだのは自分だ。自分がいなければ響はリディアンに来ることもガングニールを起動させることもなかった。もっと言えば再会した時に姿を見せなければよかったのかもしれない。響なら誰かのために危険を承知で戦う。そんな考えは自分の勝手な想像でしかない。自分がいなければ、危険な戦いに参加するなんてことを彼女は言いださなかったかもしれない。それなのに響の前に姿を見せてしまったのは——

「……泣き声?」

 ふと、遠くの方で女の子の泣く声が聞こえてきた。

 深はブランコから立ち上がって声のする方へと歩いていくのだった。

 

 

 

 

 同じ頃、響と未来は自室で向き合って立っていた。窓際に佇む未来と畳張りの居間の出口近くにいる響。いつもよりも響には居間が広く、未来までの距離が遠く感じられた。二人の間には不穏な雰囲気が流れている。

「だから未来、深君がいなくなったのは理由があったんだよ。だから責めないであげて!」

 響は深から聞いた話を未来に伝えて、必死に弁明しようと試みた。しかし——

「だったらどうして、また響の前に現れたの?ノイズと戦える力を持った響が、自分の復讐に都合がよかったから……だからまた響の前に現れたんじゃないの?」

「違う!深君はそんな人じゃない!」

 未来の怒りは収まらなかった。深を非難する声に力が増していく。つられて響も未来が言ったことを否定したくて声を荒げた。そんな響の言葉に未来は悲しい顔をして窓の外に目線を向けた。

「そんなの分からないじゃない。少なくとも一年前、あの人は響よりも復讐することを選んだんだよ?」

「それは……」

 未来の指摘に響は言葉を詰まらせてしまう。未来は振り返ってもう一度響を見つめる。

「私は、わがままだけど響がまた大きな怪我をしたり、苦しい思いをするのは嫌だ。それは響のことが大切だから」

 胸に手を当てて未来は素直な自分の気持ちを打ち明ける。2年前のライブ会場で命を落しかけ、その後の生活も誹謗中傷の中で生きてきた響を未来は知っている。隣に居続けていたからこそ、そんな辛いことを経験し続けてきた響がどんな苦しさを抱えて生きてきたかを知っている。だからこそ大切な友人には、ただ笑って平和に、幸福に過ごしてほしいと願うことは未来には当たり前のことだった。

「もちろん、響が誰かの役に立ちたいと思っていることは知っている。それはいつもの響だよ?でもね、そんな響の気持ちを利用して、辛いこと、苦しいことを押し付けようとしているあの人のことを私は許せないよ」

 幸福を願う一方で、響が人助けを大切にする性格であることも未来は知っている。誰かを助けることで幸福を感じる優しさを持っているのが響だ。ノイズと戦う力を得たのなら、それを使って人助けをしようと考えるのも響らしいと理解できた。

 だからこそ、そんな響の優しさを自分のために利用している。響を復讐の道具にしようとしている深のことが未来には辛抱ならなかった。

 響は力なく首を横に振って未来の言葉を否定しようとした。

「違うよ、深君は私が戦おうとするのを嫌がっていた。戦わなくてもいいって逃げ道も作ってくれていた。私が戦うように仕向けたのは深君じゃない」

「なら、どうして是が非でも響を止めようとしなかったの?その方が、都合がよかったからじゃないの?響は、もし深さんがいなかったとしてもすぐにノイズと戦うって言えた?彼がいたから戦うことを選んだんじゃないって、はっきりと言える?」

「そんなの……」

 今度こそ未来の言葉を否定しようとしたが、やはり言葉が出なかった。あの日、深と再会した日。再び会えた喜びを感じていた。そして、また彼が自分のもとを去ってしまうかもしれない可能性に恐怖も感じた。司令に戦うことを求められたとき、純粋に誰かのために戦おうとだけ私は思ったのか?戦うことを選べば深の近くに居られるという打算を、微塵も考えなかったのか?響は自分の心を信じ切れず、そんなことはないと言い切れなかった。

 とうとう返事すらできなくなった響に未来は静かに問いかけた。

「あの人は本当に、響のことを大切に想ってくれているの?」

 その問いの答えを、問いかけた未来も、問われた響も持ち合わせてはいなかった。二人は答えを求めるように窓の外に浮かぶ月をただ見つめた。

 

 

 

 

 「なんでだよ、フィーネ……」

 捨てられた子猫のように今にも泣きそうな声音で雪音クリスはつぶやいた。戦場という地獄の中で暴力に恐怖して怯えて暮らしていた自分を救ってくれたのは、争いのない世界の作り方を教えてくれたのはフィーネだった。そのフィーネに必要ないと言われたクリスは帰る場所もなく夜の公園をさ迷っていた。

 思い出されるのは昼間の戦い。ガングニールを纏った立花響が言った言葉だった。

—ちゃんと話をすればきっと分かり合えるはず。だって私たち同じ人間だよ!—

 「チッ……あいつ……くそ」

青臭い言葉に苛立ちが募る。そんなことで世界が平和になると本気で思っている言葉だと伝わってきたからだ。

「あたしの目的は戦いの意志と力を持つ人間を叩き潰し、戦争の火種を無くすことなんだ。だけど……。———?」

 葛藤するクリスの耳に少女の泣き声が聞こえてきた。周りを見渡してみれば近くのベンチで6歳くらいの女の子が泣きべそをかいていた。

「泣くなよ!泣いたってどうしようもないんだぞ!」

「だって……だって……」

 泣いている少女の前にひとりの少年がいた。その子は自分も泣きそうになりながら女の子を責めていた。

「おいこら!弱いものをいじめるな!」

 少年が少女をいじめていると思ったクリスはすぐに近づいて行き男の子を厳しく叱る。すると少年もクリスに気づいたのか振り返った。

「いじめてなんかいないよ。妹が……」

 少年が弁明しようとするが少女の泣き声がさらに大きなものになった。

「いじめるなって言ってんだろうが!」

 言い訳をしようとする少年に腹を立てたクリスは腕を振り上げた。少年は殴られると思って怖がり、腕で自分の顔を隠した。

 しかし、クリスの手が振り下ろされることはなかった。振り上げられたクリスの手を誰かが後ろから掴んだのだ。

「あん?……ッ!?てめぇは!」

「この子は、いじめていたんじゃないよ」

 クリスが振り返るとそこに立っていたのは深だった。なぜこんなところにいるのかとクリスが動揺しているのをよそに深は淡々とクリスに前を見るように促した。促されたクリスが前を見ると先ほどまで泣いていた少女がクリスから少年を守るように立っていた。

「お兄ちゃんをいじめるな!」

 泣きながら叫ぶ少女に呆気にとられたクリスは手を下ろす。深はクリスから手を放すと子供たち二人に目線を合わせるべくしゃがみ込んだ。

「こんな時間に、二人でどうしたんだい?」

「父ちゃんがいなくなったんだ。一緒に探してたんだけど、妹がもう歩けないって言ったからそれで……」

 深が尋ねると少年は心細そうに説明した。クリスは話を聞いてあきれてしまった。

「たくっ迷子かよ。だったら端からそう言えよな」

「だって……だってぇ!」

 クリスに呆れられて少女は再び涙が溢れだしそうになってしまう。

そんな泣きじゃくる少女と不安げな少年、それぞれの頭を順々に深は静かに撫でた。自分があの人にかつてそうしてもらったように。

「そうか……お父さんと離ればなれか。それは……寂しいね」

「……」

 少女たちをなだめる深の背中に、クリスは在りし日の父母の姿が一瞬重なって見えた。思い出したくない思い出に苦虫をかみつぶしたような顔をしてかき消すために首を振った。

「大丈夫、僕とこのお姉ちゃんが一緒にお父さんを探してあげるから」

「はぁ!?なんであたしがッ!?」

クリスは深の発言に困惑した。冗談じゃない。昼間に敵対していた奴のひとりとどうして一緒にそんなことをしなければいけないのか。クリスは断ろうとした。

「え?この子たちを見捨てるの?」

 しかし、動揺するクリスなど気にも留めずに、深は「この人結構薄情なんだな」と言わんばかりに少し引いているような態度をとっていた。クリスはそんな深に苛立ちを覚えた。

「お姉ちゃん……」

 しかし、深につられてその隣にいる少女と目が合った。今にもさらに泣きそうな顔でクリスを見つめている。グッと良心が痛み、歯ぎしりをせざるを得ない。

「グッ……だぁ!分かったよ!!一緒に探してやらぁ!!探してやればいいんだろ!!!」

 観念せざるを得なかったクリスはぐしゃぐしゃと自分の頭を乱暴にかきむしって叫んだのだった。

 




最後までお読みいただき誠にありがとうございます。

感想、コメント、質問、評価、本当に励みになります。簡単な物でもいいので感想いただけるととても嬉しいです!

次回もお楽しみにしていただけると嬉しいです!ではまた!!
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