装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS 作:ふみー999
徐々に徐々に暑くなってきましたね。住んでいるところが盆地で熱が逃げないので夏の暑さが今からしんどいところです。皆様も熱中症にお気を付けください。
ハーメルンに投稿してからもうすぐ一年が経ちそうです。当初の予定では一年以内に一期終わらせる予定だったけど、ギアマニアのマリアさんまでに行けるかなぁ……
UA1万4千人、お気に入り登録66件、評価11名の方からいただきました!多くの方に読んでいただけて嬉しい限りでございます!特に深君への感想コメントが多くてそれが特に嬉しいです。嬉しすぎて感想何度も読み返してしまうくらいです。
今後とも深君の活躍をご期待いただければと思います!もちろん流生のことも忘れてませんよ!
というわけで今回もお付き合いくださいどうぞ!
クリスは悪夢を見ていた。迫りくる無数の手。それはノイズのものか、あるいは自分を傷つける大人のものか。それとも自分を不要と切り捨てたあの人か。
どこまで逃げても追ってくる冷たいそれに恐怖しながらただひたすらに暗闇の中を走り続けた。だが、とうとう逃げ切れずに腕を掴まれてしまう。
「うわああああああああ!!!」
恐怖と嘆きに絶叫を上げて体を起こす。そこは知らない部屋だった。
「……夢?」
周りを見渡すとどこかのマンションの一室のようだ。小奇麗でかわいいものでまとめられているところから見るに年頃の女性が暮らしているのではと思わせる内装だった。
着ていた服も真新しいものに着替えさせられている。
「よかった。目が覚めたのね」
クリスが注意深く辺りを警戒しているとキッチンの方から顔を出す少女がいた。水の入った桶を手に持ってこちらに近づいてくる。
「目の前で倒れるし、救急車は呼ぶなって言うから私の家まで運ばせてもらったわ」
そういうと少女は桶の中から濡れたタオルを絞って取り出しクリスに渡してきた。
「……ここは?」
「私立リディアン院学院高等科学生寮」
「リディアン?」
受け取ったタオルで汗をぬぐいながらクリスは倒れる前までのことを思い出した。フィーネの繰り出してきたノイズから逃げて、戦ってそしてその途中で力尽きた。
「……用済みなんだな」
ぐしゃりと手にしたタオルを額に当てて強く握りしめる。ぽたぽたと水がこぼれて頬を伝う。
未来はそんなクリスの様子を心配そうに見ているしかなかった。
およそ、私物というものが無い閑散とした自室の布団に籠って深はただ何をするでもなく天井を見上げていた。深一人しかいないこの静寂の中では時計の秒針だけが音を出す存在だった。
「話すと言ってもな……」
明朝に弦十郎から言われた言葉を思い出して深は独り言ちる。未来と話をするようにと言われたはいいが、どんな顔をして会いに行けばいいのか分からなかった。彼女が言うように響を危険な目に合わせているのは事実だ。それはどう言いつくろうと変わらない。そうであるのならば何を言ったところで許してはくれないだろう。いや、そもそも許される資格があるのだろうか。
「……っ」
立ち上がって無理やり思考を流そうと冷蔵庫に唯一入っていたミネラルウォーターを取り出した。片手で器用にキャップを開けてあおぎ飲む。半分ほど飲み干して、ふと壁の鏡を見ると今度は戦場で見たフィーネの顔が浮かんでいた。ようやく見つけた両親の、妹の仇。この一年間、せめて仇だけは討つと心に決めて生きてきた。それだけが心の支えだった。
「……いや、違うな。支えはもっと、たくさんあった」
白状すれば、自暴自棄になってノイズの前に飛び出したのは最初の一回だけじゃない。二課に入ってからも何度か無策に戦おうとした。殺された母や妹の姿を夢に見てパニックを起こしたこともあった。
そのたびに、命を大事にしろと叱ってくれたのは先生だった。泣きわめき、暴れる自分を抱きしめて落ち着かせてくれたのが先生だった。
二課の皆が、先生がいてくれたから僕はこうして今日まで生きてこられたのだと疑うことなく言うことが出来る。
けれども、あの時見たフィーネの顔は紛れもなく先生のものだった。僕はそれを見間違うわけがない。けれども、デュランダルを移送した時に先生の潔白は証明している。
「そうだ、先生に僕たちの行動を把握する術はない。だから違う」
自分に言い聞かせるようにそうつぶやいて、ふと机の上に目が行った。そこには武骨な拳銃が置かれていた。自分で作った対ネフェシュタン用の切り札。
拳銃を手に取ってシリンダーを動かす。片手ではうまく扱えずパラパラと装填していた弾が床に落ちていった。深は慌てることなく虚ろに再び鏡を見つめた。
もし、本当に先生がフィーネだったとしたら僕はこの引き金を引けるのだろうか……
鏡に向かってその拳銃を構えると引き金を引いた。カチリと銃のハンマーが叩かれる音だけが響いた。数秒そのまま動かないでいたが暗い顔をしたまま腕を下ろす。それから散らばった弾丸を拾い集めてまたシリンダーに再装填したのだった。
「……?」
すると、部屋の呼び鈴が鳴った。弾丸を装填し終えた銃は懐に仕舞い玄関に向かう。覗き穴から外の様子を見るとそこには見知った人物が立っていた。
「どうしたんですか?こんなところに来て」
扉を開けて顔を出して沈んだ声のまま深は来訪者に話しかけた。
「浮かねえ顔だな。思った通りうだうだ考えて尻込みしてたか」
ドンと手に持った封筒と箱を深の胸に押し当ててくる。
「そら、小日向さんに急ぎで渡す外部協力者手続きの書類とシャルモンのケーキだ。これ持ってとっとと家行ってこい。んでさっさと話付けてきやがれ」
「ちょっ、流生さん!?」
深がそれを片手で器用に受け取ったのを確認すると流生は急ぎだからな行けよと念押しし、そのままひらひらと手を振って廊下を進んでいった。
そして階段の前まで行くと立ち止まって振り返る。
「俺さ、最初姐さんのこと気に食わなかったんだよ。突然現れたと思ったらなんかすんげえ執念見せてシンフォギアは手に入れるし、お嬢の隣かっさらっていくし。だからしょっちゅう喧嘩した」
頭を無造作に搔きながら流生は言いたくなさげに続ける。
「だがよ、そうやって喧嘩するうちにあの人のひととなりを知っていけた。そしたら打ち解けることもできたし……次第に尊敬すらするようになった」
昔を振り返ってつまらないことで取っ組み合いの喧嘩をしたこと、言い合ったこと、笑いあったこと、奏とのくだらない思い出を思い出して流生は馬鹿をやったものだとハッと鼻で笑った。そしてもう一度深の眼をまっすぐに見つめる。
「ぶつかり合うことを恐れるんじゃねえ。てめえの思っていることはちゃんと相手にぶつけてみろ。じゃなきゃ一生理解し合うことなんて無理だぞ」
「……」
迷うように深は流生から目をそらす。だが、手に持った箱を握る手に力が籠るのを流生は見逃さなかった。それに満足したようにさっきとは別の笑みを浮かべて今度こそ流生は階段を下っていった。
「まあ、隣をかっさらわれたのは今でも気に食わねえけど、な……」
歩きながらつぶやく。誰に聞かせることもない本音が少しだけこぼれたのだった。
汗や土で汚れたクリスの背中を未来は優しく濡れたタオルで拭いていた。クリスの背中には打撲や切り傷など真新しい生傷が多数あり痛々しい姿だった。
「何も……聞かないんだな」
「うん……私は、そういうの苦手みたい。大事な人を守ろうって動いたのにかえってその大切な人を傷つけちゃった」
クリスからの問いかけに未来は哀しげに目を細めて答えた。
「それって誰かと喧嘩したってことか?」
「……うん」
案ずるようにクリスが振り返る。未来はそれにコクリと頷いた。事情を何も知らない人の方が話しやすかったのかもしれない。ぽつりぽつりと抱えていた悩みの種を打ち明けた。
「友達をね、その人は危険なことに巻き込んだんだ。私はその人のことを許せないって思った。友達のことを大切に思っていないなら近づないでって……」
クリスの背を拭う右手に意識が向き、手が止まった。右手に深の頬を叩いた時の感覚が蘇って罪悪感にも似た感覚が胸の内に広がる。その気持ちを抑えるように両手を胸元へと持って行った。
「でもね、その人は友達にとって大切な人で、遠ざけたらとってもつらそうな顔をするの。何が正解か分からなくって……」
響から深の境遇を聞いて何も感じなかったわけではない。むしろ同情もしたのだと思う。
けれども、深は響の前から勝手にいなくなり、現れたと思ったらノイズと戦わせた。そのことは許せない。
大切に思っている。関わって欲しくなかったと彼は言った。でも、ならばどうして響の前にどうしてまた現れたのか。遠ざけようとしなかったのか。辛い目に逢わせるのか。どうしても未来にはそれが分からなかった。
「そいつのこと、嫌いなのか?」
背中を拭き終わったのだと思ったクリスは洗濯された自分の服に着替えながら問いかける。その問いに未来は目を丸くし、そのまま顔を伏せた。
「……どうだろう、嫌うとはまた、違う気がする」
私は彼をどう思っているのか、そう未来は自問する。深のしたことが許せないかと問われればすぐ答えられる。しかし、彼を好きか嫌いかと言われるとどうにもはっきりしなかった。
「……あたしにはよくわからないことだな」
そんな未来の煮え切らない様子を見ながらクリスは独り言ちた。
「友達とかと喧嘩したことないの?」
「……友達いないんだ」
「え?」
予想外の返答に未来は思わず声をこぼした。
「地球の裏側でパパとママを殺された私はずっと一人で生きてきたからな。友達どころじゃなかった」
「そんな……」
「たった一人理解してくれると思った人もあたしを道具の様に扱うばかりだった。誰もまともに相手してくれなかったのさ」
思い出されるのは絶望と恐怖に満ちた戦場での過去。
「大人はどいつもこいつも屑ぞろいだ。痛いと言っても聞いてくれなかった。やめてと言っても聞いてくれなかった。あたしの話なんてこれっぽっちも聞いてくれなかった……」
拉致され手を縄で縛られて物の様に扱われた。大人の汚い欲を満たすための商品として売り出された。どれほど泣いても、叫んでも蔑まれ、引きずられ、弄ばれて、人としての尊厳も大切なものも何もかもを壊され奪われた。
「……ごめんなさい」
語るクリスの顔には痛々しいほどの悲しみと怒りが滲んでいた。未来は安易に人の傷に触れてしまったのだと理解して申し訳なさから謝罪する。
「なあ、お前その喧嘩の相手ぶっ飛ばしちまいな」
「え?」
「問いただしてやればいいじゃねえか。それで本当にその友達のことを蔑ろにしてるってんならぶん殴って、性根を叩きなおしてそれでおしまい。」
けれど、クリスはあっけらかんと話題を変えて未来に助言をした。けれども、そのあまりに単純明快な指摘は未来には難しいものだった。
「……できないよそんなこと」
「ふん……わっかんねえよなぁ」
それでも煮え切らない未来にクリスは理解できないとこぼして窓を見る。未来はそんな後ろ姿に声をかけた。
「でも、ありがとう」
「あん?あたしは何もしてないぞ」
「ううん、本当にありがとう。気遣ってくれて……あ、ええっと」
突然お礼を言われたクリスは意外に思って振り返る。未来はクリスが脱いだ服を畳むと立ち上がる。そこで、まだ名前を聞いていなかったことに気が付いた。
「クリス、雪音クリスだ」
クリスはぶっきらぼうに自分の名前を名乗る。そんな姿に未来は微笑みを浮かべて素直に自分の思ったことを口にした。
「優しいんだね、クリスは」
「……っ!……そうか」
その発言に面食らったクリスはぶっきらぼうに答えると未来から赤くなった顔を背けた。
「私は小日向未来。もしもクリスがいいのなら私はクリスの友達になりたい」
「っ……」
俯くクリスの手を未来はそっと握る。驚いて振り向いたクリスの眼を見てまっすぐに気持ちを伝えた。
けれども、その思いはクリスには眩すぎるものだった。
「あたしはお前たちに酷いことをしたんだぞ」
ネフェシュタンの鎧を纏って行った自分の行い。一歩間違えば目の前の未来を殺しかねなかった自分の罪。それからくる罪悪感から未来の手を振り払って駆け出してしまう。
「ッ!?」
何のことか分からないと未来が驚いていると、外から危険を知らせる緊迫したアラート音が聞こえてきた。
休憩スペースにいた翼と響は警戒警報が発令されたとともに司令室へと駆け出した。
「——状況は?」
司令室ではすでに朔也たちオペレーターたちがノイズの反応パターンを照合しスクリーンに映し出されたマップへと転写していた。
弦十郎の姿はなく、通信機から声がしてきた。
『ノイズを検知した。相当な数だ。おそらくは未明に検知されていたノイズと関連があるはずだ』
おそらくは雪音クリスを狙ってフィーネが放ったノイズであろう。そうであるのならば民間人はおろか、彼女の身も危険だと翼は即座に判断する。
「了解しました。現場に急行します」
『駄目だ。メディカルチェックの結果が出ていないものを出すわけにはいかない』
すぐに司令室を出ていこうとする翼を弦十郎は強い語気で押しとどめた。
「ですがッ!」
当然、食い下がる翼の前に響は駆け寄る。
「翼さんはみんなを守ってください。だったら私、前だけを向いていられます」
まっすぐに迷いの無い目で響はそう宣言する。翼もその目を見返してきた。
信じてと、響は頷いて現場へと駆け出したのだった。
「おい、いったい何の騒ぎだ?」
慌てて部屋から飛び出した未来にクリスは何が起きたのか分からず唖然としながら後に続いて外に出た。
未来はそんな様子のクリスを信じられないと言った様子で驚いてみる。
「何ってノイズが現れたのよ!警戒警報知らないの?」
「ッ!」
「クリス!?」
ノイズの出現を知らされたクリスはすぐに駆け出してマンションの外へと出た。
そこは阿鼻叫喚の地獄だった。ノイズに恐怖した人々が悲鳴を上げ、母親に手を引かれた少女が涙を流して走り逃げていく。平和なんてものはどこにも存在しないクリスが作ってしまった地獄だった。
「……馬鹿。あたしってば何やらかしてんだ!」
「!?待ってクリス!そっちじゃない!」
未来の制止を聞かず、人々が逃げる方向とは逆に向かってクリスは駆け出した。
現れたノイズは間違いなく自分を狙ってフィーネが放ったものだ。そのノイズのせいでこれからいったい何人の関係のないやつらが犠牲になる?
ただ平和に過ごしていた奴らを死に怯えさせて苦しませている。平和を作ると言った自分のせいでその平和をぶち壊している。自分の考えなしの行動が戦いをいたずらに拡大していっている。
「……違う。あたしがやりたいことはこんなことじゃねぇ……こんなことじゃないんだああああああ!!!!!!」
自分が起こした惨劇に慟哭を上げてしまう。瞳からは大粒の涙が溢れて止まらなかった。
いつもいつもいつも、あたしのやることはどうしてこうも裏目に出てしまうんだっ!
「……あたしはここだ。ここにいるぞ」
辺りを見渡せば四方八方から大量のノイズが獲物を狩る狼の様にクリスを取り囲んでいた。そいつらをにらみつけてクリスは吠える。
「だから、関係のないやつらのところになんかいくんじゃねえ!!」
クリスが叫ぶと同時に前後からノイズがタイミングを合わせて飛び出した。
「ぐっ!しまっ!」
聖詠を口ずさもうとしたがダメージの抜けきっていない体が言うことを聞かずにむせてしまう。それはノイズを前にしては致命的な隙だった。前後から迫りくるノイズにクリスはなす術がない。迫りくる死にクリスは身構えるしかなかった。
「ふんっ!!」
「栖ッ!!」
裂ぱくの気合と共にクリスを挟むように二人の男が現れた。弦十郎と流生だ。
弦十郎は地震のような震脚でアスファルトをひっぺがえすと即席の盾とし、飛び掛かったノイズを防ぐ。そのまま拳を打ち込んでアスファルトの弾丸を待機していたノイズにぶつけて吹っ飛ばした。
流生は投槍の様に細長く飛んでくる飛翔型のノイズにタイミングを合わせ自身の薙刀を当てる。その動作は弦十郎とは対称的にどこまでも静かだった。鳥が翼を休めるために止まった枝の如くしなやかにノイズごと薙刀を振るう。するとまるでノイズ自身がそう動こうとしたかのように飛び込んできた勢いを生かされたままに受け流される。そして流生たちから軌道をそらして別方向のノイズの群れへと突っ込んでいった。
「危ねえからあんまやりたくねえんだよな、これ」
流生がげんなりしながらつぶやく。ノイズは人体を攻撃するわずかな間は位相差障壁を無くし、こちら側の物理法則下で存在する。その刹那にも満たないわずかな隙をついた絶技を二人は難なく成し遂げたのだ。
畏怖すべき神業。だが、ノイズに恐怖はない。再び三人を攻撃するためにじりじりと間合いを詰めてきている。
「栖ッ!!」
再び飛び込んできたノイズをまた流生が薙刀で受け流す。その隙に弦十郎がクリスを抱きしめると高く飛び上がりビルの屋上へと避難した。
流生も世界一有名な配管工の様にビルとビルの間を交互に蹴って屋上まで逃げ延びる。
「大丈夫か?」
抱きかかえたクリスを案じて弦十郎が声をかけると唖然としていたクリスはハッとして顔を背けると二人から距離を取った。
三人を追ってやってきたノイズを前に今度こそクリスが聖詠を口ずさむ。瞬間深紅のプロテクターがクリスを包みイチイバルのシンフォギアが顕現した。
即座にボウガンを両手に構えて飛翔するノイズを狙撃し撃破する。
「御覧の通りさ。あたしのことはいいからほかのやつらの救助に向かいな!」
「だが……」
「こいつらはあたしがまとめて相手してやるって言ってんだよ!」
食い下がる弦十郎を黙らせ、ボウガンをガトリング砲へと換装する。
「ついてこい屑ども!!」
そのままビルから飛び降り落下しながらガトリングのフルバーストをノイズへと叩きこんだ。
そんなクリスの姿をビルの上から弦十郎はただ見ているしかなかった。
「俺は……またあの子を救えないのか」
ちらりと流生が弦十郎を見れば悔やむような無力を嘆く瞳がクリスを見据えて離さないでいた。そんな弦十郎の視線などお構いなしにクリスは暴れまわっている。
二両の弩弓から赤い光の矢を乱れ撃ち踊るようにノイズの攻撃を避けていく。
殴りかかってきた大型ノイズの懐に入り込み逆に持ち上げぶん投げた。そしてそのままゼロ距離でガトリングの弾を喰らわせる。
迫りくる無数のノイズを相手に派手に銃撃の火花を上げて戦う姿はまさしく苛烈。
クリスは一切ひるむことなくノイズの群れへと飛び込んでいくのだった。
「クリス!どこ!?」
ノイズがいる方へと駆け出して行ったクリスを案じて未来はその後を追いかけてしまった。すでに周辺の避難が完了し、辺りに人の気配はしない。当然クリスの姿も見られなかった。
「———ッ!?」
物音に振り返るとそこにクリスはいなかった。代わりにいたのは一匹のノイズだった。
ノイズは未来を認識すると即座に体を投槍のように細くして未来目掛けて飛び出した。
「ッ!———痛っ」
その攻撃を何とかかろうじて未来は瓦礫の山に飛び込むようにして避けた。しかし、運悪く飛び込んだ先で突き出された鉄筋に足を引っかけてしまい左足を負傷してしまう。
足を押さえて立ち上がるがとても走れそうではなかった。
そんな未来の怪我など構うこともなくノイズが再び未来に狙いを定めて飛びだした。世界がスローモーションに見えた。ノイズが自分に向かってゆっくりと飛んできている。
今度こそ殺される。死を悟った瞬間、今までの日々が頭に浮かんできた。それは走馬灯なのだろう。その中でも悲しげにしている響の姿と力なく立ち去る深の姿がやけにはっきりと浮かぶ。彼と話をすればよかった。そうすればあんな顔をさせずに済んだのに。そんな後悔が頭をよぎる。
「響……ごめん」
親友に謝罪の言葉を口にして恐怖から目を閉じた。
その時一発の銃声が耳に響いた。
「……?」
襲ってくるはずの衝撃がいつまでも来ず、恐るおそる未来は目を開く。目の前でノイズが炭化して塵となって消えていた。
銃声のした方を見るとそこには普通の拳銃よりも大きなサイズのリボルバーを片手で構えた深が息を切らして立っていたのだった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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