装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS   作:ふみー999

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どうもふみー999です。

お待たせしました!ついに最終決戦です。切る場所が全くなかったため13話Aパートまるまるお届けいたします!

GEARMANIA—NAGOYA—の日程どころか当選発表まで終わってしまいましたね。皆さんいかがでしょうか?私?私は情報解禁の時点でシフトが組まれてしまったためチケット抽選すら参戦できませんでしたとも!!!泣きたい!!
本当に、次回どこでやるかまだ分かりませんが日程発表はもっと早くお願いしたいですね……

まあ愚痴を言い続けても仕方がありません。本編どうぞ!


第45話 Synchrogazer:共に紡いだ奇跡

「「シンフォギアアアアアアアアアアアア!!!!!」」

 響と深の言葉が朝焼けに響き渡った。その言葉に呼応するようにクリスと翼も復活を果たす。天へと舞い上がった三人のギアは今までのものとは異なっていた。白を基調とし光の翼を携えた神々しいものへと変容していた。その姿を見上げ深が興奮を隠せないといった様子でこぶしを握った。

「よし、上手くいった!」

限定解除(エクスドライブ)、シンフォギアが搭載する決戦機能。発動条件が厳しいために起動することが困難な、まさに奇跡の形態。深の言葉が、未来たちの歌が、そして響の心がその奇跡を手繰り寄せたのだった。

「みんなの歌声がくれたギアが私に負けない力を与えてくれる。クリスちゃんや翼さんにもう一度立ち上がる力を与えてくれる。歌は戦う力だけじゃない———命なんだ!」

「高レベルのフォニックゲイン……こいつは二年前の意趣返し……」

 天高くから見下ろしてくる響たちをにらみつけ、フィーネは現状を的確に分析する。だが、そんなフィーネの頭の中にクリスの声が響いた。

≪んなことはどうでもいいんだよ!≫

「念話までも……限定解除されたギアを纏ってすっかりその気か!」

忌々しいと言わんばかりにソロモンの杖を掲げ、ノイズを展開しフィーネは戦闘態勢を整える。

≪いい加減芸が乏しいんだよ!≫

≪世界に尽きぬノイズの災禍もすべてお前の仕業なのか?≫

 クリスと翼はノイズの出現に気を引き締めながらも念話を続けた。フィーネもまたそれに倣い念話での会話が繰り広げられる。

≪ノイズとはバラルの呪詛にて相互理解を失った人類が同じ人類のみを殺戮するために作り上げた生物兵器≫

≪人が……人を殺すために!?≫

≪バビロニアの宝物庫は扉が開け放たれたままでな。そこからまろび出づる十年一度の偶然を私は必然と変え純粋に力と使役しているだけのこと≫

≪また、わけ分からねえことを!≫

 フィーネが伝えた事実に響は驚愕し、クリスが反発する。フィーネは三人に向けてノイズをけしかけようとした。しかし——

「亜空間に封印されたノイズの召喚と使役。それが完全聖遺物ソロモンの杖の能力……」

「貴様、なぜ念話が聞こえている?」

 念話に割って入るように深が一歩前に出る。そして驚くフィーネに銃を持たない手を差し出した。

「先生、もう終わりにしましょう。どれだけノイズを出してもエクスドライブモードのシンフォギア三人の相手にはならない。スペックは、貴女が一番理解しているはずでしょう?」

 告げる言葉に、向ける顔に現れているのは勝利を確信したものの余裕……ではなかった。そこにあったのはどこまでも静かで、かすかな痛みだった。

(あそこ)にたどり着く方法は……きっと別の道があるはずです。だから——」

「情けでもかけているつもりか、深!」

 深の懇願は怒りを滲ませたフィーネの叫びによって遮られた。

「五千年間求めて彷徨った! 今まさに目の前まで手が届いているのだ! 諦められるわけがないだろう!! 」

「ッ!! 」

フィーネの叫びに呼応するようにソロモンの杖から緑の光線が放たれる。地面を、空を、辺り一面を召喚されたノイズが埋め尽くしていった。その中のノイズ数体が一斉に深に向かって襲い掛かる。

「深君!!」

間一髪で襲い掛かるノイズの群れから響は深を、翼は気を失っている流生を拾い上げ空へと舞い上がる。ノイズたちの追撃を避けるべくビームを連射しクリスが牽制して5人はフィーネから距離を取る。

「もう問答をやっている場面じゃねえんだよ!腹くくりやがれ!」

「……」

 クリスの発破に深は血が出るほどに唇を噛んだ。そんな深の様子を見た響は眉を曇らせる。

「深君——」

 今、深の中で起きている葛藤を、苦悩を想うと響の胸も締め付けられるようだった。だから——

「私たちに、任せて」

彼がこれ以上苦しまないように、この戦いを終わらせる。決意を込めて彼の白黄色をした瞳を見つめた。呼びかけられた深が響を見つめ返す。瞳に驚きと泣きそうな決意が浮かんでいた。

深が頷くと響たちは近くのビルの上へと着地する。深と流生をその場へと降ろした。

「へっ!どいつもこいつもまとめてぶちのめしてくれる!」

「深君たちは安全な所へ避難していて!」

 クリスと響がノイズと戦うべくその場を後にする。残った翼は腕の中で眠る流生を見つめる。顔にかかった髪を掃い、その顔を覗き込む。うなされ表情は苦しげだった。体を見れば、骨が見えていた右手のほかに、両足も折れ、腹の傷からはまだ血が流れている。

「死んだら許さないと言ったのに、どこまでも無茶をして……馬鹿……」

 他の誰にも聞こえないくらい小さく呟いて、目を閉じて息を整える。再び目を開け、気持ちを切り替えた。心配に動けなくなる時ではない。今は防人として守るべきものを防人るため戦う時だ。

「槙野、流生を頼む」

 流生の身体を深へと預け翼もまた空へと飛びあがる。

「……行ってくるね、流生」

 少しだけ振り向いて呟いた。

「翼さん……私、翼さんと師匠に……」

 飛び立った先で響が待っていた。罪悪感に押しつぶされそうな表情をしている。暴走していた時のことを気に病んでいるのだと伝わってきた。

「……気にしてないさ。私も流生も」

「へ?」

 翼は、微笑んで響に答える。予想外の言葉に面食らった響を見て翼は続ける。

「立花は流生の呼びかけに答えてくれた。自分から戻ってくれた。自分の強さに胸を張れ」

「翼さん……」

 もう一度、地上で眠る流生を見る。きっと目を覚ましてこの場にいたのなら同じことを言っただろう。もしかしたら「暴走形態の相手なんておいしい役だったぜ」なんて軽口すら叩くかもしれない。そう思うとくすりっと破顔せずにはいられなかった。

「一緒に戦うぞ、立花。流生の分もな」

「ッ!はい!」

 もう一度響を見つめて翼が助力を乞うと響は気合を入れなおし、それぞれノイズへと向かって飛び出していった。

 

ぎゅっとほら…怖くはない

わかったの…これが命

後悔は…したくはない

「夢、ここから始まる…さあ世界に光を…」

 

 

地上を、空を埋め尽くすノイズの群れへ向けて三人は飛び出していく。

響の拳が巨大なノイズ複数体を一撃で貫き破る。

翼の剣が空を跋扈する空母ノイズを一刀両断にした。

クリスの銃が飛び交うノイズの群れを狙い撃ち逃がさない。

エクスドライブを纏った三人の前にもはやノイズは脅威ではなく張りぼてのように次々と倒され灰塵と化していった。

 

止めどなく溢れてくこの力
これが想い合うシンフォニー

闇を裂き輝くよ聖なるフレイム

全身全霊いざ往かんありのまま
すべてを放とう!

 

 白い流星となりノイズたちを響たちが殲滅していく様子を深はビルの屋上から身を乗り出して見つめていた。響たちは難なくノイズたちを打ち倒していく。このままでいけばやがて先生との対決となるのもそう遅くはないだろう。頭では冷静に状況を分析していたが、手すりを握る手には徐々に力がこもっていった。すると、後ろから息が漏れる音が聞こえてきた。

「……っ、歌が……聞こえる……」

「流生さん!目が覚めたんですね!?」

 振り向くと壁にもたれかけていた流生がかすかに目を開けていた。呼吸も荒く声も枯れていたが駆け寄ってきた深の存在に気づいたのか、目線をこちらに向けてきた。

「深……お前生きてたのか?」

「あいにく、しぶといもので」

 意識がはっきりしないまま驚く流生に深は苦笑しながら軽口で返す。そして流生の腕に装着されているものに目をやった。

「CDを使ったんですか?無茶をしましたね。使うだけでかなりの激痛だったんじゃないですか?」

「……なに、お嬢のアルバム……全部売られたくらいの……痛みだったさ」

「致命傷じゃないですか」

 流生は鼻を鳴らしてなんてことはないというように答えたが、どうやら自分でも何を言っているのか理解できないほど朦朧としているようだった。ちなみに、おそらく実際にアルバムを全部売られたら流生は憤死する。

 だが、そんなことを言っている場合ではないと流生は何とか体を起こそうとし倒れかけた。深がすぐに支える。

「それより、状況は?フィーネはどうなった。お嬢たちは無事なのか?」

「……戦ってくれています。翼さんも、雪音さんも、響ちゃんも……」

「そうか……無事だったか」

流生の質問に深は空を見上げる。流生もそれに続いて空を見た。そこには歌を歌いノイズを倒す戦姫たちがいた。翼の姿を確認すると流生の身体から力が抜け、深にされるがままもう一度座らせられる。

「それで、これからどうするんだ?」

「え?」

「見ているだけなんてまっぴらごめんだって顔に書いているぜ。戦うつもりなんだろ、フィーネと」

「……」

 図星を突かれた深は押し黙るしかなかった。流生が目を覚ました今、一秒でも早くフィーネのもとへと向かいたかった。だが、流生は淡々と質問を投げつけてくる。

「目標までの距離と障害は?」

「目標まで約800m、障害は計測不可能な数のノイズが地上を埋め尽くしています」

「武装は?」

「9mm拳銃残弾8発のみです」

「なるほど、自殺しに行くだけだなそりゃ。こいつを持っていけないのか?」

 流生が自分の左腕を上げ、そこにあるCDを深の前に差し出す。しかし、深は表情を曇らせ弱弱しく首を横に振った。

「無理です。もう流生さんにパーソナライズされてしまっている。ほかの人には使えない」

「流石の俺も、もう動ける気がしねえな……すると打つ手無しだな?」

流生が告げた事実に深は拳を握った。フィーネに、いやノイズにすら対抗できない今の深がフィーネのもとへ向かったところで何もできないどころか、かえって響たちの足を引っ張ってしまう。そんなことは深が一番理解していたからだ。

「……せめて、ネフェシュタンの再生能力に一矢報いる何かがあれば」

無力さを感じながら深は空を見上げる。すると深と流生以外誰もいないはずの屋上に階段から何かが上がってくる音が聞こえてきた。

 

届け!一人じゃない
紡ぎ合うLOVE SONG

伝え!胸の鼓動原初の音楽よ

 

「ちょっせぇ!」

 掛け声とともにクリスは数多いるノイズに目掛けて砲撃の一斉射を放った。放たれた幾本もの光線が複雑な軌道を描いて飛んでいく。その光線に貫かれてクリスの眼前にいたノイズたちが打ち漏らされることなく塵へと変わっていった。

≪すごい!乱れ撃ち!≫

≪ッ全部狙って撃ってんだ!≫

その殲滅力に響は感心しているとクリスは当てずっぽうと言われたことに文句をつけた。そんなクリスの返事にごめんと破顔して響もまた拳を構える。

≪だったら私が乱れ撃ちだああ!!≫

 

幾度でも…!
いくらでも…!
何度でも…!

永遠に大空に奏で

 

響の拳から放たれるエネルギーが地上に蔓延るノイズたちに流星のように降り注ぐ。

翼もまた上空を旋回する巨大ノイズ2体を蒼ノ一閃の切り落とし撃破する。

三人の攻撃が、歌が、爆発とともに広がり地上を埋め尽くすノイズという絶望を晴らしていく。

 

遥か今創るんだ勇気の火んな

繋ぎ合おうこの手を信じて…

太陽にかざして信じて!
「響け絆! 願い共に…!」

 

戦姫たちが高々と歌い上げたその果てにノイズの姿はほとんど消えていた。三人はそれでも警戒を解かずにそれぞれの背を預け空中で構えている。

「どんだけ出ようが、いまさらノイズ!」

「ッ!何を!?」

 クリスが不敵に笑う横で翼はフィーネが何かをしようとしているのを目撃した。

「グハッ!!う……フッ」

 フィーネはソロモンの杖を自分の腹へと突き立てると右門の表情を浮かべた後不敵な笑みを作った。

 貫いたソロモンの杖からフィーネの身体へと管のようなものが広がっていく。そして、呼び寄せられるように残っていたノイズがフィーネを取り囲むように集まり始め、フィーネと飲み込んでいった。

「ノイズに取り込まれて?」

「そうじゃねえ、あいつがノイズを取り込んでるんだ!」

 フィーネのしようとしていることに気づいたクリスが響に叫ぶ。巨大な肉塊となったフィーネは牽制するように三人に攻撃を繰り出す。

「来たれ!デュランダル!!」

 装者が回避した隙をつくようにフィーネの肉塊がカディンギルへと伸びていく。地下へと伸びていった肉塊はやがて最奥に安置されていたデュランダルをも飲み込んだ。

 そしてただの肉塊だったフィーネに変化が現れた。

 頭を上げた蛇のように長く、地獄の血を煮詰めたような禍々しい紅の巨大な怪物。

逆鱗(さかさうろこ)に触れたのだ。相応の覚悟は出来ておろうな?」

ネフェシュタン、ソロモンの杖、そしてデュランダル、三位一体となった完全聖遺物の究極形態、黙示録の竜が顕現したのだった。

 

 

 

 

 階段を上がってくる足音に深と流生が警戒し、注視していると姿を現したのは一匹の猫だった。

「……モチ?」

見覚えのある猫に深は構えていた力を抜き近づく。モチはどこほっつき歩いてたんだよと言うようにナウと声を上げた。だが、いつもと違ってその声は少しくぐもっているようだった。どうやら何かを口にくわえているようだった。

「お前それ……」

咥えていたものをぽとりとモチは落とした。深は拾い上げ、それが何か分かると驚き目を丸くする。モチが持っていたのは一発の弾丸だった。しかもただの弾ではない。弾丸部分が緑色の溶液で満たされた明らかに通常の弾とは異なる代物。かつて深がデュランダルの欠片から作った特殊弾だった。

作成時に6発作り5発しか残っていなかったため、作成していなかったと思っていた最後の一発。どうやら研究所からモチが盗み出していたようだ。

「まったく、この泥棒猫め」

 盗み出していたモチを咎めるように頭を乱雑に撫でる。モチは嫌がりながら「ファインプレーだろ!」とでも言うように低くうなった。

 行ける。この弾丸があるのなら、まだやれることがある。

 深は弾丸を握り締めた。見つからなかった出来ることが今目の前に現れたのだ。

その時、背後で巨大な爆発が起こった。爆風にさらされ踏ん張りながら背後を見れば遠くの街が黒煙を上げて崩壊している。

「緋色の女ベイバロン!?滅びの聖女の力を……先生、貴女はどこまで!」

その攻撃を放ったであろうフィーネの方を見ればその様相は著しく変貌していた。紅き龍の如く禍々しく巨大な蛇のような怪物。その中に入り込みフィーネは響たちと戦っていた。先ほどまで優勢だった響たちが徐々に押され始めている。

「深ッ!」

「っ!これ!?」

戦いの様子を見ていた深は流生の声に振り返ると流生は懐から取り出したものを深目掛けて投げ渡した。受け取ったものを見て再び深は驚く。S&WM500、深が好んで使っているリボルバー拳銃だった。

「預かっていたお前の獲物返すぜ。俺のことはいい、行ってこい!」

投げ渡した左手をだらりと下げて流生はニヒルな笑みを作った。心配するなというような態度を保って深の背中を押す。

「ケリ、着けてきやがれ!」

「ッ!はい!」

 深は目を見開くとやがて覚悟を決めた目つきになり階段を駆け下りていくのだった。

その背中を見送って流生はだらりと腕から力を抜いた。もう意識を保っているのもしんどいくらいだった。

そんな流生の隣にモチは近づくと定位置であるかのように足を畳んで座り込む。

「お前が俺のお守をしてくれるのか?心強いな」

 モチの行動に礼を言って笑うと流生は空を見上げる。そこには今もフィーネと戦い続ける翼たちの姿があった。翼は今まさにフィーネの攻撃を受けてしまい墜落しかけ、もう一度戦おうと態勢を立て直したところだった。

 あまりに遠く高い空にいる翼に、先ほど撃ち落された翼の姿が重なる。流生は唇を血が出るほど噛んだ。

「俺に、もっと……戦う力があれば……敵を倒す、力があれば……」

 自分にできることを、やれることをやるだけやった。結果を言えばエクスドライブと深という逆転の目に繋げることができた。

「ちくしょう……」

 それでも今、こうして何もできずに見ているだけの自分が、あいつの隣を飛べない自分が情けなくて、悔しくて、悔しくて堪らなかった。

 

 

 

 

「くっそ!馬鹿みてえな火力に、馬鹿みてえな再生力しやがって!」

「まさに最強の矛と盾。崩すには今のギアでも火力が足りない!」

 紅き竜と化したフィーネを前に装者たちは攻めあぐねていた。クリスの砲撃も、翼の斬撃も、その装甲を貫ききることができず、よしんば破壊できたとしても即座に傷が修復されてしまっていた。おまけに反撃として繰り出される一撃は強力無比。まともに当たったとしたらいくらエクスドライブでもただでは済まなかった。

「それでも!つけ入る隙はあるはずです!」

 響はそれでもあきらめなかった。拳を構えてフィーネから決して目をそらさない。二人もそれに頷いてそれぞれの獲物を構えなおした。

 その時、三人の頭に深の声が響いてきた。

≪みんな!聞こえる!?≫

≪深君!?≫

 回線への予想外の乱入者に三人は驚く。だがそんな響たちに構うことなく息を切らしながら深は話し始めた。

≪チャンネルを個別に切り替えて!ネフェシュタンの再生能力を破る方法がある!鍵は響ちゃん、君だ!≫

≪私?≫

 深からの突然の指名に面食らった響だった。深は構わず三人に作戦を伝える。

≪よく聞いて——≫

 深は簡潔に作戦を告げた。クリスと翼が納得する。響は驚き一瞬、困惑した後頷いた。

≪えっと、分かった。私やるよ!≫

 響の覚悟を確認したクリスと翼はフィーネ目掛けて飛び出した。

≪露払いは私と雪音でやる!≫

≪おうよ、手加減はぬきだぜ?≫

≪分かっている!≫

 先行したクリスがフィーネの攻撃を引きつけ、その間に翼がアームドギアにエネルギーを注ぎ込む。注入されたエネルギーに大刀はさらにその刀身を巨大なものへと変化させた。

「はああああ!!」

 

蒼ノ一閃 滅破

 

蒼ノ一閃を越える翼の渾身の一撃がベイバロンへと大穴を開けた。すかさずその大穴を通ってクリスが龍の内部、フィーネが鎮座する玉座へと入り込む。

「なっ!?」

「うおおおりゃあ!!」

 ありったけのエネルギー弾による超高火力、再生により穴がふさがり密閉空間と化した玉間においてその爆発は行き場を失い、クリスすら巻き込んで膨張していく。

 連鎖する爆発にフィーネは自らベイバロンの装甲を展開、外にエネルギーを逃がした。その隙を翼は待っていた。

「はああ!!」

装甲が開かれた刹那に翼は再び蒼ノ一閃を繰り出す。装備を無くしたフィーネに青い斬撃が迫った。

「ちぃ!?」

 とっさに自身の前にシールドを張ってその攻撃をやり過ごそうとする。しかし、斬撃はクリスの砲弾のエネルギーと連鎖しベイバロンの体内を蹂躙して駆け巡った。

 二人の攻撃による大爆発。黒煙がクリスを、翼を、そしてフィーネを包み込む。次の瞬間黒煙の中から何かが飛び出してきた。

「そいつが切り札だ!勝機を零すな!掴み取れ!!」

 爆炎の中から飛び出したのはフィーネが持っていたはずのデュランダルだった。

「ちょっせぇ!」

 爆炎の中から翼が叫び、クリスが銃撃によりデュランダルを響へと向かって誘導する。

「デュランダルを!?させるかあああ!!!!」

 狙いに気づいたフィーネは即座に宙を飛ぶデュランダルに目掛けて5本の触手を飛ばした。だが——

「それは、こっちの台詞だ!!」

 5発の銃声が響き、デュランダルへと伸ばされた触手が弾かれる。突然の横やりにフィーネは目を見開き銃声がした方に目をやれば地上を駆け抜け、リボルバーを構えて自分の下へと向かってきている深の姿を見つけた。

「なっ!?——ッ深!お前はどこまでもおお!!」

 フィーネの怒声に反応するように弾かれた5本の触手が深に目掛けて襲い掛かる。職種は瞬く間に周りの瓦礫ごと深を飲み込み、周囲を瓦礫の山と化した。

「深君ッ!」

悲鳴に近い声を上げて響は拳からエネルギー弾を打ち出して触手を屠る。深の姿は瓦礫に覆われて見えなかった。最悪の展開が響の脳内に浮かぶ。今すぐにでも瓦礫の下へと駆けつけようとした瞬間、瓦礫の山が動いた。

「構うなあああ!!手に取るんだ!!!!」

瓦礫をかき分けて横たわった状態のまま、血を流しながらも深は渾身の大声で叫ぶ。その瞳に射抜かれた響は意を決して、飛び込んでくるデュランダルへと手を伸ばし、つかみ取った。

「GUUUうううああああAAA!!!!」

刹那、世界の色が反転する。あふれ出すほどの黒い破壊衝動が再び響に襲い掛かる。

 

 

 

 

その様子を地下にいる弦十郎たちも息を飲んで見つめていた。

「このままではまた!」

 破壊衝動に飲まれて暴走してしまう。朔也が焦りのままに叫ぶ。それを聞いた未来は駆け出した。

「未来さんどこへ!?」

「地上へ出ます!」

「無茶よ危ないわ!」

 止めようとするあおいに未来は響と同じ決意を瞳に灯して答えた。

「響は響のままでいてくれるって、変わらずにいてくれるって!だから私は響が闇に飲まれないように応援したいんです!助けられるだけじゃなく響の力になるって誓ったんです!」

未来の言葉に、その意志が伝播していく。その場にいた全員がそれぞれ覚悟を決めた。

 

 

 

 

「Guuuu……Aaaaaaa…!!!!!」

 デュランダルがもたらす破壊衝動は予想以上に響を蝕んでいく。響はその力の奔流に押し流されないように懸命に耐えていた。獣と墜ちる瀬戸際、そのギリギリで踏み留まる。けれどもそこが限界だった。どうしても、力を制御しきるまでには至れない。響ではここが限界だった。

「正念場だ!踏ん張りどころだろうが!」

 諦めかけそうなその時に、地上のシェルターの扉が破壊され中から弦十郎たちが現れた。

「強く自分を意識してください!」

「昨日までの自分を!」

「これからなりたい自分を!」

 緒川が、朔也が、あおいがそれぞれ響に、言葉を投げかけてくるのが聞こえてくる。

(——みんなッ!)

「屈するな立花!お前が構えた胸の覚悟、私に見せてくれ!」

「お前を信じ、お前に全部賭けてんだ!お前が自分を信じなくてどうすんだよ!」

 闇に飲まれかける響を支えるように、翼とクリスも隣に寄り添い、響の両手を支えて握り締める。

「貴女のお節介を!」

「あんたの人助けを!」

「今日は私たちが!」

 詩織が、弓美が、創世が、戦う力を持たない友人たちも全力の声を響へと送る。

「諦めるな!!ここで負けるような軟な鍛え方してねぇだろヒビの字!!」

 もはや動けない流生も血反吐を吐きながら激励する。

「姦しい!!全部まとめて消してくれる!!」

 響へと向けられる声の全てを煩わしいというようにフィーネはエネルギーを球状に収束し始まる。残ったデュランダルの、ノイズを動かすためのエネルギーすべてを込めた渾身の一撃。たとえエクスドライブでもまともに食らえば無事では済まない、それどころか辺り一面が焦土と化す一撃だった。

「まずい!あんなのを食らったら!」

 敗北の一手となりかねないフィーネの攻撃を感じ取った深が焦燥を帯びて叫ぶ。なんとか妨害しようと懐に入れていたデュランダル弾を取り出そうとした。しかし、弾は見当たらない。辺りを探せば少し離れたところに転がっていた。先ほどの攻撃の時にどうやら懐から飛び出てしまったようだった。

「——ッ!?グッ……くそっ!」

 すぐに拾うために体を動かそうとしたが動かない。痛みを覚え自分の足を見れば、コンクリートの中から飛び出した鉄の棒がふくらはぎに深々と刺さり身動きを封じていた。深はすぐに刺さった棒を引く抜くために両手を添えた。

「ぐぅうああああああ!!!!!!」

 気を抜けば意識を刈り取られてしまいそうな激痛に耐えながら両手に力を籠める。

「GUううううAAAAAああああAA!!!!」

「塵と還れえええええ!!!!!!」

 その時、上空から苦しむ響の声と、怒りに身を任せたフィーネの声が響いてきた。

その二人の姿に、二年前の、母を亡くしたあのライブ会場の光景がフラッシュバックする。一層、鉄を引く抜く深の手に力が籠った。

 何もできなかったあの時とは違う。今、目の前に救うための力がある。それだというのに、こんなところで倒れてられるか!今度こそ守るんだ大切な人を!救うんだ大事な人を!

「響ちゃんッ!!!先生!!!!うあああああああ!!!」

 ぶちぶちッと血と肉を吹き出しながら鉄の棒が抜ける。引き抜いた棒を投げ捨ててバランスを崩しよろけながら駆け出し弾を鷲掴み、銃へと込めた。

「終わりだああ!!!!」

 フィーネがエネルギーを放出した。球状の攻撃は、未だデュランダルの闇を制御できない響たちのもとへとまっすぐに進んでいく。

もはや回避も間に合わない。弦十郎たち全員がそう思った時、一発の銃声が響いた。刹那、放たれたエネルギーの塊が誘爆を起こし響たちに届く前に爆ぜた。

「グッ!?なんだ!?」

 予想外の出来事にフィーネはうめき声をあげる。銃声のほうを見れば深が肩で息をしながら硝煙がたちこめる銃を構えていた。

「深!!!!貴様ああああ!!!!!!!」

「響ちゃん!!」

「響!!」

 フィーネの絶叫、それに負けないほどの深と未来の声が空へと響く。それは闇に飲まれそうになっている響の自我を呼び起こした。

(そうだ、今の私は——私だけの力じゃない)

 二課のみんなが、リディアンの友達が、翼さんが、クリスちゃんが、師匠が、そして未来と深君が、ここにいる全員が死力の限りを尽くして繋いできた力が今自分の手の中にある。誰一人が欠けても得られなかった奇跡、それを今、この手に握っているのだ。だとしたら——

「そうだ、この衝動に塗りつぶされてなるものか!!」

 響を覆っていた闇が晴れ、眩い光の本流が空を貫く。響たち全員が共に紡いだ奇跡が天を描いた。

「その力何を束ねた!?」

 己が扱っていた時以上に膨れ上がるデュランダルの輝きを前にしてフィーネがたじろぐ。

「響きあうみんなの歌声がくれたシンフォギアだあああああああ!!!!」

 

Synchrogazer

 

 振り下ろされた光がベイバロンの身体を真っ二つに切り貫く。膨張したエネルギーが全身へと伝わり、耐えきれなくなった身体が膨張し誘爆を始めた。

「完全聖遺物同士の対消滅……どうした……どうしたネフェシュタン!再生だ!この身砕けてなるものかああああ!!!!!!」

 敗北を認められないフィーネは燃え盛る爆炎の中叫び、そして爆発の中へと消えていくのだった。




最後まで御覧いただきありがとうございました。

今回初めて一話の中で一万文字を超える文字数を書きました!いやまあ、FARST LOVE SONGの多機能フォーム変換がとんでもない文字数稼ぎになっただけなのですが……
全員で歌うパート色変えしたれぇ~とかやっていたら逆光のフリューゲル以上に大変なことに……自己満足ですが読みにくかったら申し訳ないです。てか今から5期の7人コーラスが怖い……

さてさて、次回はついに1期最終回!……のはず!書き始めたときはここまで来れるか不安でしたが今年度中にやったりましょうとも!それでは皆様、また次回で!

感想、お気に入り登録、評価、心からお待ちしております。一行でもいいので感想くれると仕事中でも飛び跳ねて喜ぶのでよかったらぜひ書いてやってください。よろしくお願いいたします。
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