装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS   作:ふみー999

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どうもふみー999です。
今回は早く書きあげられた!と思ったらフォントとかの特殊な操作に慣れず四苦八苦しました。
ハーメルンの操作に慣れねばいけないですね。
本編に合流できたので頑張りたいです!
というわけでお付き合いください。


第4話 Sonner:覚醒の鼓動

季節は四月。私立リディアン音楽院には多くの新入生がその門を叩き、これから始まる学校生活に胸を弾ませていた。体育館ではリディアンの精神が表された校歌が、生徒たちによって歌い奏でられていた。立花響と小日向未来の姿もその中に見られた。

「立花さんッ!!!」

ところ変わって教室。響は白い猫を抱きかかえたまま担任教諭に詰問を受けていた。あまりの勢いに思わず体をビクリとさせてしまう。

「あ、あの、この子が木に登ったまま降りられなくなって」

「それで?」

「きっとお腹を空かせているじゃないかと」

「立花さんッ!!!!」

より声量の上がった教師の声が教室に響き渡るのだった。未来はそんな姿を見てため息をこぼす。

そんな様子で響の学園生活はなんともまあ締まらないスタートを切ったのであった。

そのまま日が暮れて響、未来の居室。

響は荷ほどきもほどほどにため息をついて床に寝転がっていた。

「つはぁ~疲れたぁ~入学初日からクライマックスが百連発気分だよ~私呪われてるぅ~」

「半分は響のドジだけど、残りはいつものお節介でしょう?」

「人助けって言ってよ。人助けは私の趣味なんだから」

未来はあきれた様子で響に目も向けず自分の荷物の整理を続ける。

響は寝転がったまま抗議する。

「響の場合度が過ぎてるの。特に猫が絡むと…」

そこまで言って未来は自分の失言に気が付く。振り返ると響は困ったように苦笑していた。

「まあ、私も自分でそこは見境なくなる自覚があるというかなんというか」

そういうと響は起き上がる。そして机の上に置かれていたリディアン音楽院の入学パンフレットを手に取った。

ぱらぱらとページをめくり学園内の様子が写真で紹介されているページを見る。その写真の中の一枚。グラウンドが映った写真には一匹の尻尾のない黒猫が映っていた。額には満月のような白い模様が見て取れる。

「本当にその子はモチちゃんなの?」

響の後ろから未来は覗き込むようにパンフレットを見る。響はじっと見つめたまま答えた。

「うん、間違いない。」

初めてパンフレットを見た時からそうだと確信していた。モチがこの学園にいるのならば飼い主である彼もきっと近くにいるはずだと。

1年半前、響の父がいなくなった夜。あの日を境に、深は響の前に姿を見せなくなった。何の連絡もなく、別れの言葉もなかった。

—あぁ、またね響ちゃん—

あの日別れる前に聞いた言葉が響の頭の中でありありと蘇る。

「あの日、最後に深君が言った言葉に嘘はなかったと思う。だとしたらどうして、何も言わずに消えてしまったのか。私はもう一度会ってちゃんと聞きたいんだ。」

「そのためにリディアンに進学したんだもんね。」

「まあ、それだけじゃないけどね。」

ごそごそと書類の山を響はあさる。そこから雑誌を一部とるとその表紙を掲げて見せる。

「CD発売は明日だったよね~やぁっぱりかっこいいな~翼さんは~」

雑誌を胸に抱いて体をくねらせる。その雑誌には一人の女性アーティストの写真が写っていた。

風鳴翼、2年前の会場でコンサートをしていたツヴァイウイングの片翼。天羽奏を失った今彼女は一人でアーティスト活動を続けていた。

未来の前へ雑誌を突き出し響は豪語する。

「翼さんへの憧れもあってここにやってきたのだよ私は!」

「はいはい、どちらにしても大したものだわ。」

「だけど、どっちも影すらお目にかかれなかったなぁ。まぁ、翼さんはトップアーティストだしそう簡単に会えるとは思ってないけどさ」

響は窓の外をぼんやりと眺める。そして思い出したかのように胸の傷を見た。

あの日、響を救ったのは深だけではない。ツヴァイウイングの二人もまたノイズと戦い響を助けてくれた。けれども世間で発表されたのは世界災厄ノイズによって奏と大勢の観客が犠牲になったということだけだった。

(戦っているツヴァイウイング、あれは幻だったの?)

響が翼に会いたいのはあの日何が起こっていたのかわかるような気がするからだ。そして、きっとあの日のことを知ることが、深のことを知ることになるのだという予感があった。

日が暮れて、響は布団に入り2段ベッドの上の段を見つめる。上からは未来の寝息が聞こえてきた。木目が月のようだなとなんとなく考えてしまった。

明日は、CDを買いに出かけよう。そしてこのあたりの街を散策しよう。

(大丈夫、きっと会える…)

そう自分に言い聞かせ響は意識を手放した。

 

 

 

 

深夜の郊外、砲撃の轟音と銃撃の鳴動が響き渡る。

それらを意に介せず、民家を破壊しながら大型のノイズが市街を目指して進軍していた。

歩兵が放つ銃弾も、装甲車から放たれる砲撃も、全てがノイズをすり抜けて向こう岸の山を削るばかりでまるで手ごたえがない。だというのにあちら側は一方的に建物を破壊し、触れれば人体を炭化させる。理不尽の権化とはまさにこのことだった。

「くそ、やはり通常兵器では太刀打ちできんか!」

地獄の一丁目と呼ぶのにふさわしい戦場だ。自衛官の悲痛な叫びも戦場の喧騒にかき消される。

しかし———

 

Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)

 

飛来するヘリコプターのプロペラ音すらかき消して、天女の歌が風に乗り鳴り渡った。

ヘリコプターから一人の少女が飛び降りると光に包まれた。そのまま地上へと落ちていく。

地上に降り立った時少女の変身は完了していた。蒼を基調としたバトルスーツに身を包み100はいるノイズの前に単身で相対する。機械仕掛けの戦乙女と呼ぶのがふさわしいかもしれない。

収納されていた足のブレードが展開し、臨戦態勢へと移った。

戦線を離脱するヘリコプターからその様子を二人の少年が見送る。

少女のヘッドフォンへと通信が入る。

『翼、まずは一課と連携しつつ相手の出方を見て』

「いえ、私一人で問題ありません。」

『翼ッ!!』

SG-r01天羽々切のシンフォギアを身にまとった風鳴翼は通信してきた男性が声を荒げ止めるのも聞かずノイズの群れへと突撃する。

 

去りなさい!無想に猛る炎 神楽の風に 滅し散華せよ

 

翼は逆立ち、駒のように回り足のブレードでノイズを次々と屠る。

 

逆羅刹

 

嗚呼絆に すべてを賭した閃光の剣よ

 

続いて空に飛び立つと無数の剣を展開し、地上へ向けて射出する。

 

千ノ落涙

 

四の五の言わずに 否、世の飛沫と果てよ

 

剣を大剣へと変化させもう一度高く飛び立ち、一番大きなノイズに対して上段切りに振り下ろした。

 

蒼ノ一閃

 

着地するとギアの排熱機関から余剰エネルギーが排出され戦闘は終わった。

まさに鎧袖一触。自衛隊が手も足も出ていなかったノイズがものの数分で壊滅した。

残ったのは硝煙と燃え盛る炎、そして呆然と立ち尽くす自衛官たちだった。

翼はそれらを意にも返さず歩き出す。向かう先には飛び降りたヘリコプターが泊まっていた。中から18歳くらいの少年が一人出てくる。

「…独断専行なんざ、また弦十郎のおっちゃんにどやされますよ、お嬢。」

黎明の空を思わせる青黎い髪をした少年は髪と同じ色をした切れ長めの瞳を険しく細め翼を見つめる。

「私一人で殲滅が可能と思ったから実行したまで。」

翼はまっすぐにその瞳を見つめ返す。何か問題があるのか、文句があるならば言ってみろと言外に伝えるようなこちらも険しい氷のような表情だった。

「…いえ、俺から言うことは特にはありません。」

少年は翼から目をそらしてしまう。

「戻るわよ、流生(るい)

「…御意」

翼は流生と呼んだ少年の横を素通りしヘリに乗り込む。

流生もその後に続いて運転席に乗り込んだ。

ヘリの中にはもう一人少年が座っていた。彼はパソコンを操作していたが翼たちが乗り込んできたことに気が付くと顔を上げる。

「お疲れさまでした、翼さん。」

「ええ」

翼は座席に座ると首からペンダントを取り彼に渡す。受け取った彼は専用の装置にペンダントを置くと再度パソコンを注視する。

ヘリが離陸する。機内では誰もしゃべることがなく、キーボードを打つ音だけが響いていた。

「…完成しそうなのか?」

流生がつぶやくように少年に尋ねる。尋ねられた少年はキーボードを打つ手を止める。

「正直、データがまだ足りません。完成は夢のまた夢ですね」

「…そうか」

苦虫を潰したような顔をして流生はヘリの操縦に集中する。そんな流生の姿を見た後、少年は再度パソコンに目を向ける。そして、うざったそうに月に照らされた叢雲のような灰色の髪をかき上げた。

 

 

 

 

「…あ~もうだめだ…翼さんに完璧おかしな子だと思われた。」

「間違ってないんだからいいんじゃない?」

放課後、提出する書類を記入する未来の隣で響は机に突っ伏していた。昼休み響は運よく風鳴翼に会うことが出来た。しかし、あまりに唐突な出会いに緊張し何を話していいのか困惑してしまったのだ。立ち尽くす響に翼は自分の頬を指さした。釣られて響も自分の頬を触ると米粒が付いていたのである。憧れの人の前にそんな恰好で対面してしまったことで響のメンタルは削れていた。

「…それもう少しかかりそう?」

突っ伏したまま未来を見る。未来は響が言いたいことを理解したようだ。

「そういえば、今日は翼さんのCD発売だったね。でも今時CD?」

「う~るさいなぁ初回特典の充実度が違うんだよ、CDは~」

「だとしたら売り切れちゃうんじゃない?」

「うへぇ!?」

気が付きもしなかった可能性に響は素っ頓狂な声を上げるのだった。

 

 

 

 

「ほほ、CD、ほほ、特典、ほほCD、ほほ特典」

未来と別れた後、響は一人でCDを買うために市内を意気揚々と駆け抜けていた。

結局学園近くのCDショップでは売り切れていたため、モノレールに乗り込み少し離れた地域のCDショップへと向かうことにしたのだった。

曲がり角を曲がったところで乱れた呼吸を整えるために立ち止まる。目の前にCDショップはあるはずだ。

息を整え目線を上げたところで響は異変に気が付いた。街が静かすぎるのだ。

「へ?」

嫌にはっきりと聞こえる風の音、それ以外に物音がしない。そしてその風に乗って灰が空中を舞っていた。

辺りを見渡すとそこら中に落ちている灰の山。それらはわずかに人の形をしているように見える。瞬間、響は理解した。

「ノイズッ」

響がつぶやくと同時にどこかから少女の悲鳴が聞こえてきた。

響は声のした方へと走り出した。

 

 

 

 

緊急招集を受け、翼と流生は指令室へと駆け込んだ。

「状況を教えてください。」

「弦十郎のおっちゃん、どうなっているんです?」

「現在、反応を絞り込み位置の特定を最優先としています。」

オペレーターの一人が端的に状況を報告する。

「…反応絞り込めました。リディアンを中心に南西20km、B‐010地区工場地帯に向けてノイズが進行中です。」

パネルから高音の電子音が鳴る。すると高速で電子パネルを操作していた灰色の髪の少年が振り返り報告した。

「ノイズの向かう先に生体反応を2つ検知。おそらく逃げ遅れた一般人と思われます。」

「相変わらず早いな、お前さんは。」

反応を検知した少年に流生が素直な賞賛を送る。

報告を聞いた司令官、赤い髪に赤いシャツを着た大柄の男、風鳴弦十郎は扉の前にいる二人に視線を向けた。

「翼、流生」

短く名前を呼ばれた二人は即座に自分がなすべきことを理解する。

「直ちに現場に急行します。」

「避難誘導は俺がします。」

阿吽の呼吸で二人が役割を確認するとそのまま指令室から掛け出ていく。

出ていく二人と入れ違いになるように一匹の猫が指令室に入り込んでくる。しかし、誰もその猫を気にする様子もない。猫は慣れた足取りで先ほどの少年のデスクに飛び乗るとそこで静かに丸くなった。

 

 

 

 

夕暮れの路地裏、響は一人の少女の手を引いてノイズから逃げていた。息が上がるのも気にせず通路を抜ける。

「嘘ッ」

しかし、道を出た先には大量のノイズが待ち構えていた。

「お姉ちゃんッ!」

少女が恐怖から叫びをあげ響に抱き着く。響は少女を守るように手を添え、目の前の水路を見つめる。溺れかけてしまった時のことが頭によぎった。

「大丈夫、お姉ちゃんが一緒にいるから」

「うん…」

恐怖を振り切り、意を決すると響は少女を抱きしめたまま水路へと飛び込む。そのまま向こう岸まで泳ぎ切ると少女を先に陸に上げる。

ノイズはまだ追ってきていなかった。

そのまま走り続け、気が付くと工場地帯へと来てしまっていた。

「シェルターから離れちゃった」

少女を背負ったまま坂道を息切れしながら登る。しかし、ここまで走ってきた疲労から足がもつれ地面に倒れてしまった。

息が上がり、視界がぼやける。そのぼやけた視界の先、遠くから大量のノイズが追いかけてくるのが見えた。

 

—生きるのを諦めるな—

—君を想う人がいることを忘れないで—

 

二人の命の恩人の言葉が脳裏に浮かぶ。気力を振り絞り再び立ち上がると響は少女を連れて駆け出した。工場の中に逃げ込み、パイプを乗り越え、少女を背負ったまま梯子を上り建物の上に逃げ込む。

太陽がすでに落ち切り、夜の闇が辺りを包んだ頃響たちはようやく梯子を登り切り屋上へと逃げ切った。周りにノイズの影は見えない。

気力まで振り絞り逃げ切った二人はもう動くことすらままならず床に倒れ伏す。

「死んじゃうの?」

怯えた少女が泣きながらつぶやいた。響は起き上がると笑みを浮かべ、そんなことはないと否定するように静かに首を振る。

しかし。

響が振り返るとそこには無数のノイズが二人を取り囲むようにして現れていた。

逃げ場はどこにもなかった。

少女をかばうように響は抱きしめる。堰を切ったように泣き始めてしまう少女を勇気づけようと響は叫ぶ。

「生きるのを諦めないで!」

(私にできることを、できることがきっとあるはずだ)

覚悟を決め、響はノイズを見据える。

 

(死ねない。死にたくない!だって私はまだ!!)

脳裏に月と叢雲が似合う少年の姿が浮かぶ。そして突然、響の胸の中に歌が響いた。

 

Balwisyall nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)

 

無意識に響は胸の歌を口ずさむ。すると響からオレンジ色の光が一条に天に向かって伸びた。

光が収束すると響の服装は今まで着ていた制服ではなく、オレンジ色を基調としたバトルスーツへと変貌した。

心臓に、血管に、細胞の一つ一つに至るまで茨のように侵食して変貌させる何か。

その何かがもたらす強い衝動を抑え込もうと必死になると、体の中から巨大な機械が飛び出してきた。

そして、その機械が響を包み形を変えていく。手に足に装甲としてまとわりつき、やがてアジャストが完了する。SG‐r03´ガングニールのシンフォギアがここに顕現した。

 

 

 

 

指令室では混乱が起こっていた。

「ノイズとは異なる高エネルギーを検知!」

「波形を照合、急いで!」

白衣を着た眼鏡の女性が全体に指示を出す。

「先生、照合出ました!ッまさかこれは!?」

「アウフヴァッヘン波形!?」

灰色の髪の少年がデータを先生と呼ぶ女性に送る。そのデータを見て二人の表情が驚愕に染まる。

指令室のメインモニターにも照合の結果が映し出された。照合の結果、導き出された結果は——

「ガングニールだとッ!?」

弦十郎が動揺し叫ぶ。そこには2年前に失われたはずの名前が表示されていた。

「新たなる適合者?」

「だが、いったいどうして?」

指令室が動揺に包まれる中、目を閉じていた猫はピクリと耳を動かした。

「…?どうした、モチ」

モチと呼ばれた猫は画面を見つめるとミュウと短く鳴く。そしてそのまま画面を凝視し続けた。

少年はつられて画面を見る。そこには今現れたガングニールを纏う少女が映し出されている。

「…響…ちゃん?」

灰色の髪の少年、槙野深(まのしん)は、瞳孔を見開きそうつぶやいたのだった。

 




とうとう第1話を書ききることが出来ました!わーパチパチパチ~
ありがたいことに10件もお気に入り登録していただきました。ありがとうございます。
がんばりますm(__)m
感想待ってます~
ところでリディアンの校歌の楽曲コードってどれなんでしょうね?分からなかったので今回使わなかったのですが…有識者で適合者の方どなたか教えていただけませんか。
というわけでばいばーい。
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