装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS 作:ふみー999
ご無沙汰しております。月日が過ぎるのは速いものでもう5月も中頃、それなのにもうこんなに暑いのは相変わらず令和ちゃんの温度調整がバグっておりますね。皆様熱中症にはお気を付けください。
さて、そんなわけで今回からついに始まりますG編でございます!
やっとマリアが!調が!切歌が書ける!ひゃっほー!!というわけでますます頑張って書いていきたいと思います
それでは本編どうぞ!!
第1話 Prelude:欠けたスコアの三旋律
逆巻く炎が燃えている。命を奪う死が蠢いて渦巻いている。幼い頃に見慣れた戦場のような地獄の光景がまた、目の前に現れている。
燃えさかる瓦礫の中にシンフォギアを纏った一人の少女は立ち尽くす。焔の音も、けたたましく鳴り響く警報も聞こえていないかのように。
少女の変身が解除される。それでも少女は立ち尽くす。その手にこの惨劇の元凶を握り締めたまま。
「———!———!!」
隣に居る少女の姉が少女の名前を叫び続けていた。その声にようやく少女は振り返る。
少女の顔には血が流れていた。目は見開かれ、涙と共に瞳から、唇から、赤い鮮血が流れ続けていた。
それでも、そうだとしても、少女はやり遂げたと言うように満足げに口元に笑みを浮かべる。
少女の元へと近づこうとする姉とオレの頭上に瓦礫が落ちてくる。オレ達をかばうようにマムが後ろから覆いかぶさり苦悶の声を上げる。そうして三人は瓦礫の下敷きになった。
「———!」
瓦礫の下敷きになっても少女に必死に呼びかける姉の叫びを聞いて、オレはマムの腕を抜け出して、逆巻く炎の中へと、少女の元へと飛び込んだ。それと同時に再び瓦礫が崩れて今度は少女へと襲ってくる。
立ち尽くす少女を抱きしめてその瓦礫から逃れようと少女をかばう様に倒れ込んだ。オレの背中に燃える鉄柱が倒れ込む。
「ッ!———ッ!!」
熱い。背中を焼き焦がす、そのあまりの熱さに思わず悲鳴が喉を通り抜けていった。皮膚が焼かれてただれていくのが分かった。だが、気にしている場合ではなかった。
「———!———!」
瓦礫を押しのけて、オレは少女の名前を呼び続け、容体を確認する。
瞳と口から血がにじみ出ていて、唇は紫がかっている。確か、チアノーゼだったか。それに腹は固く張りつめて、呼吸も不規則で浅くて弱い。バル・ベルデの戦場で何度も見た、内臓のどこかがやられている患者と同じ症状だった。それにこの炎だ。弱った彼女なら、なおさらすぐに一酸化炭素の中毒も併発してしまう。
今すぐにでも医療処置をしなければ危険な状態だった。力を振り絞って少女を抱きかかえて立ち上がった。けれども……
けれども、辺りを見渡しても研究者たちはすでに避難し、マムも意識を失っている。誰か、誰か助けてくれ。情けなくそう叫んでも応じてくれる大人など、ここにも、いない。助けられる人がいるとしたのなら、それはまた、オレだけ。
「——さん……」
空気が漏れ出るような声で少女はオレの名前を呼びかけてくる。光を失いかけた瞳がオレのことを見続けてくる。助けてくれとすがるように。
「——!」
瓦礫に倒れ伏す姉もオレに向かって叫び声をあげる。救ってくれとすがるように。
けれども、助ける方法も、救うための知識も、オレは持ち合わせていなかった。症状が分かっても何をどう処置すればいいのかなど分かりはしなかった。
少女の呼吸がひゅっ……ひゅっ……と、喉の奥から空気がすれるような音に変わっていく。吸おうとしているのにほとんど吸えていない。その間隔もだんだんと長くなっていった。脈も弱くなっていく。そして手足の皮膚も次第に白く冷たくなっていった。
やがて少女の、———セレナちゃんの瞳がゆっくりと開かれていく。光を写す力を失ったように焦点が合わない黒い部分だけが滲むように広がっていった。
確かこれは……固定散大……。もう戻らない。命が無くなった瞳だ。
セレナちゃんの全身から力が抜け、腕に抱えた体が重くなった。
「——うぅ……うわぁああああぁぁああぁあああああああああああああ!!!!!」
また、手の届くところで大切な人を救えなかった事実にオレは、慟哭を上げることしかできなかった。
父が死んだのは俺がまだ六つになって間もない頃だった。
「胸を張りなさい、流生。貴方のお父様は、立派に勤めを果したのです」
通夜で、お袋は棺桶に入っている親父を見つめながら、傍らにいる俺に気丈にそう言い聞かせていた。いや、きっとあの時、お袋は俺にではなく自分に言い聞かせていたのだろう。だが、そのことに気が付いたのはもう少しばかりガキではいられなくなってからだった。
「なんと立派なことだろう」「流石は剣守る鞘ですね」「見事な最期だったとか」「あれほどの働きをする人はおそらく後世にも出てこないでしょう」「忠義とはこういうことなのだろうな」「あの働きは風鳴家にとっても大きいはずだ」「あれこそ、栴檀の血筋よ」「武人として、これ以上の終い方はあるまい」「あれほど潔い散り際も珍しい」「栴檀の者として本懐を遂げられた」「息子は誇りに思わねばな」
参列した大人たちは皆、口々に親父を褒め讃えた。立派な最期だったと、誇るべき死であったと。まるで親父が死んだことが良いことであるかのように。
「惜しむらくは、息子に全てを受け継ぐ前に逝かれてしまわれたことか」
その言葉を聞いた時が限界だった。俺は抜け出して斎場の外へと飛び出した。ここにいるのは誰も彼もが親父が死んだことを惜しんでなんかいない。あの人たちにとってこの葬式は栴檀家の当主を、風鳴訃堂を守った英雄を讃える場でしかないのだ。誰も親父のことなど、栴檀凛のことなど考えては、惜しんでなどはいなかった。
親父は———
親父は、特撮が好きで、お袋の尻に敷かれていて、少し抜けたところがある人だった。死を尊まれるような英雄なんかじゃない。次の休みに遊園地に連れて行ってくれると約束してくれるどこにでもいるただの父親だったというのに。
外に出て、空を見上げる。空はすでに紫色に染まっていた。夏の虫が鳴いている。ここは何処までも静かで、けれども、何も見たくなくてぎゅっと目を閉じた。何も聞きたくなくて耳も塞ごうとした。その時——
その時、夕方のぬるい夏の風に乗って、歌が俺の耳に届いたのを覚えている。
ルナアタック事変から100日が過ぎた現在。
激しく降り注ぐ雨の中、山口県の山中を米国特製の装甲列車が数多のノイズに襲撃されながら岩国の米軍基地を目指して疾走していた。
車両に備え付けられた迎撃装置もノイズが相手では意味が無く後方の車両から徐々に襲撃されてしまっている。
「きゃっ!」
「大丈夫ですか!?」
その襲撃の衝撃で車体が揺れ、友里はバランスを崩して倒れてしまう。それを案じてアタッシュケースを大切そうに抱え込んだ白髪の博士が声をかける。
「大丈夫です。それより、ウェル博士はもっと前方の車両に避難してください」
すぐに友里は立ち上がると今回の護衛対象であるウェル博士へと返答する。そのタイミングで後方の車両の扉が開いて三人の人影が車両内へと入ってきた。
「大変です!すごい数のノイズが追ってきます!」
ひっ迫した状況を伝えるため駆け足で立花響が二人のもとへと近寄ってきた。遅れて雪音クリスと槙野深も車両の中へと駆け入る。
「連中、明らかにこちらを獲物と定めていやがる。まるで何者かに操られているみたいだ」
「岩国の米軍基地まではあとおよそ40㎞、二課本部がある東京から距離が離れ孤立したところへの襲撃。間違いなく誰かがこの護送中のソロモンの杖を強奪しようとしてきているのだろうね」
クリスが忌々し気にノイズたちの行動を分析し、深は冷静に敵の目的を推察していた。
「急ぎましょう!」
この車両もじきに危なくなる。そう判断した友里は三人にも声をかけ前方の車両へと向けて移動を開始する。
「はい!はい?多数のノイズに混じって高速で移動するパターン?」
友里は移動しながらも二課本部へと連絡を入れ状況把握に努めた。その中で何か不穏な要素があったのか声に困惑が混ざる。
その後ろで降りしきる激しい雨に耐えながらウェル博士は車両間を移動するべく、連結部分へと降りながら語り始めた。その後を深が続き、後続の二人に手を貸している。
「三か月前、世界中に衝撃を与えたルナアタックを契機に日本政府より開示された櫻井理論。そのほとんどが未だ謎に包まれたままとなっていますが、回収されたこのアークセプター『ソロモンの杖』を解析し、世界を脅かす認定特異災害ノイズに対抗しうる新たな可能性を模索することが出来れば!」
ノイズによる被害を抑えられるかもしれない。それは誰もが夢見る可能性だった。そのためにも何としてでもソロモンの杖を守り切らなければいけない。そう響や深が改めて気合を入れる。しかし、
「それは……ソロモンの杖は簡単に扱っていいもんじゃねえよ……」
「クリスちゃん……」
ソロモンの杖を利用することにクリスだけは乗り気ではなかった。それはかつてその杖を起動させ、利用してきたからこそ、ノイズを召喚することが可能な杖の危険性を誰よりも知っていたからだ。
「もっとも、あたしにとやかく言える資格はねえんだけど」
自虐的な思考の帰結にクリスは落ち着く。そんな様子を見ていた響は何も言わずにクリスの手を握り締めてまっすぐに瞳を見つめる。
「っお前馬鹿、こんな時にッ!」
突然の響の行動に面食らったクリスが赤面しながら目を丸くした。
「大丈夫だよ」
「うん、今は一人じゃないから」
「お前ら本当の馬鹿……」
クリスは自分を案じる響と深の二人の言葉にこそばゆくなり顔が赤くなる。気恥ずかしさを隠すように目をそらして悪態をつくのだった。
「了解しました。迎え撃ちます」
その三人の裏で友里は本部との連絡を付けていた。どうやら装者の出番がついに来たようだ。
「出番なんだな?」
切り替えたクリスの問いかけに、友里は懐からリボルバー拳銃を取り出し、シリンダーに入った弾丸を確認する。そして、肯定するように頷いた。
そのやり取りを見計らっていたかのように突如、車両の天井に穴が開き、複数のノイズが襲撃を仕掛けてくる。
「うわっ!?」
突然の奇襲にウェル博士は驚き尻もちをつき、友里は拳銃にて応戦する。ノイズの出現にいよいよ響たちの戦闘態勢が整った。
「行きます!」
気合の入った宣言と共に響は自身の胸にあるガングニールの欠片へと意識を集中させる。
聖詠。立花響の胸の歌が高々と歌いあげられると、そのフォニックゲインに呼応するように胸の傷から光が放たれる。そして、その光が全身を纏うバトルスーツへと変換される。手足に装甲が、頭にヘッドギアが装着され、SG-03‘ガングニールのシンフォギアが顕現した。
シンフォギアへの変身を終えた響とクリスが天井に突き刺さるノイズを倒し、そのままの勢いで車体の外へと飛び出していく。
その様子を見ていた深は左手に着けている装置の側面を撫でるようにして回し口元へと近づける。
「司令、僕にも出撃の許可を」
≪お前はまだ実戦を経験していないはずだ≫
深が装着している装置はカンビアドライバー、通称CDから弦十郎の声が聞こえてくる。冷静でいて厳格な声だったが、深はひるむことはない。むしろ口元に笑みすら浮かべていた。
「だからこそですよ。どのみち、実験段階では問題ないとしても、実際のノイズに対抗できるのか。戦わないことには分かりませんから」
深のもっともな言い分に、弦十郎は苦い顔をしているのだろうことが通信越しにも分かる長い間を開けた後、納得した様子で返答を返す。
≪……分かった。ただし、無茶だけはするな。危険だと判断したら響君達に任せるんだ≫
「了解!CD-02これより実践テストを開始します」
弦十郎からの許可を得た深は顔の前でCD上部のスイッチを手のひらで叩く。
CDから電子音声が流れ、その起動を告げる。アイドリング状態となったCDからは微かな駆動音が聞こえてきており、深の周辺には活性化されたフォニックゲインが浮遊し始めていた。
深はそのまま叩いた手の親指をCDの側面へと押し当てる。
「采声ッ!」
声紋認証を行うと同時に側面のベアリングを親指で押しだして回転させる。イグニッションされたCDが高速回転を始め、周辺のフォニックゲインがより一層、強力な黄色い閃光となって深を包み込んだ。
車両の天井へと飛び出したクリスと響が目撃したのは激しく降る雨と空を覆い尽くさんとするノイズの群れだった。
だが、そんな状況下で逢っても二人の顔から余裕が失われることはない。むしろ、やってやろうという闘志すら漲っていた。
「群れ雀がうじゃうじゃと!」
「どんな敵がどれだけ来ようと、今日まで訓練してきたあのコンビネーションがあれば!」
「あれはまだ未完成だろう?実戦でいきなりぶっこもうなんておかしなことを考えてんじゃねえぞ?」
「うん!とっておきたいとっておきだもんね!」
「分かってんなら言わせんな」
闘志がありすぎて先走りそうになっている響をクリスはたしなめる。響から帰ってきた返答を聞いて納得をしたのかクリスは目を閉じた。
そしてそのタイミングで、再び車両の天井が突き破られ中から遅れて深が飛び出してきた。
「わわっ深君ッ!」
「僕も一緒に戦わせてもらうよ?」
先ほどまでとは異なった衣装を身に纏った深の登場にクリスは目を丸くし、響は驚いた様子ながらも深へと駆け寄る。
「ほえ~近くで見るのは初めてだけどこれがFG調理士伝統……カンビールドライバー?なんだね」
「う、うん。FG調律伝達式装甲カンビアドライバーね。シンフォギアとは開発コンセプトから違うから結構姿が違っていて面白いでしょ?」
見当違いな間違いをしている響に苦笑いをして訂正する深。その姿をまじまじと響は観察していた。
金属のような、布のような、不思議な素材となった黄色いフォニックゲインが深の全身を包んでいる。その衣装はさながら聖職者が儀式で身に纏う祭服のようなローブだった。
確かに深の言う通り、メカメカしいシンフォギアの装甲とは異なっている。
「うん!黄色い光のローブ?みたいでキラキラしててかっこいい!」
「ベースになっているのが響ちゃんのガングニールだからね。お揃いってやつだよ」
自分の発明を褒められたことに得意げになっている深とは違って、お揃いと言われた響はというとかぁっと頬が赤らめ、両手の指先をちょんちょんと合わせ目をそらしていた。
「そ、そうなんだ~。ペ、ペアルックか~ちょっと恥ずかしいというかなんというか……でも悪い気はしないと言いますか、なんと言いますか~」
「たく、戦場でイチャついてんじゃねえよ。そういうのは家でやれ!あと、揃いも揃って使い慣れてねえもんをぶっこもうとしやがってからに……ちゃんとやれんだろうな?」
甘ったるい空気を醸し出し始めた二人にクリスが恥ずかしがった様子でツッコミを入れる。その後、切り替えて真剣に深へと問いかけた。その力で戦えるのか、と。
「どうかな?いざという時はフォローしてくれると助かるよ」
そのクリスの問いかけに、深は軽口で答えた。その表情には絶対の自信がにじみ出ている。その表情を見たクリスもまた、満足げに鼻を鳴らした。
「んだよ、頼りねぇ……背中は預けてやるから二人とも気張りやがれ!」
発破を入れてクリスは自身のアームドギアを展開、両手にボウガンを構え二人に背を向ける。
響と深もまた、クリスに背中を向けて自身の正面にいるノイズへと意識を向けた。
「うん、任せて!」
「頼んだよ!」
短くそう言うと、三人は一斉にノイズ目掛けて飛び出していくのだった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
え?シンフォギアじゃない曲が混ざっていたって?
……趣味です!!水樹奈々さんにこの曲歌ってもらいたいんだもん!!!!
というわけでさてさて
次回!ついにCDの性能が明らかに!!頑張ってアクション書きます!!
あ、先に言っておきます。2期が始まったということですでに使った音楽用語をタイトルで使う可能性があります。だってそうしないとボギャブラリーが無くなってしまうので、悪しからず。
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